著者
土井 慎一 石原 正彦 江角 敏明 神谷 宏 山室 真澄
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.179-183, 2018-09-25 (Released:2019-09-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

宍道湖ではネオニコチノイドの使用開始直後からオオユスリカの減少や動物プランクトンの減少,エビ類漁獲量の減少が生じているが,宍道湖でのネオニコチノイド濃度の報告はこれまでになかった為,予備的に分析を行った。斐伊川の影響を受ける地点ではネオニコチノイドが検出されなかったが,水田排水を宍道湖に流す排水機場に近い地点でネオニコチノイドが検出された。その濃度は動物に慢性毒性を与える影響より小さかった。しかしながら水田排水が集積する排水機場で田植え期に近い6月の方が7月より高い濃度が見られたことから,田植え直後など大量に殺虫剤を使用する時期には濃度が高くなる可能性があると考えられた。

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著者
藤原 正彦
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.407-422, 2005-10-26 (Released:2008-12-25)
参考文献数
22
著者
原 正彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.106-110, 2022-01-15 (Released:2022-03-03)
参考文献数
12

近年,高齢化に伴う医療需要の増加に,医療を支える若い世代の人口減少も相まって医療従事者の負担が激増しており,デジタル技術による医療の効率化が喫緊の課題となっている.われわれは治療効率向上の観点から大阪大学における産学連携活動を通して仮想現実(virtual reality:VR)技術を応用したリハビリテーション用医療機器「mediVRカグラ」を開発した.本機器は運動失調や,歩行・上肢・認知機能障害,および疼痛の治療に応用が進んでおり,業務の効率化に加えて,その高い治療効果に期待が集まっている.本稿ではゲーム分野におけるさまざまな知見が,医療機器にどう応用され臨床効果につながっているのかについて概説したい.
著者
小林 隆人 谷本 丈夫 北原 正彦
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-12, 2004-06-30
被引用文献数
1

オオムラサキ(鱗翅目,タテハチョウ科)の保護を目的とした森林管理手法の確立に必要な資料を得るため,面積の広い森林が連続的に分布する栃木県真岡市下篭谷地区と都市化が進んで面積が狭い森林がパッチ状に分布する伊勢崎地区において,森林群落のタイプとその面積,寄主植物であるエノキの本数,エノキの根元で越冬する本種の幼虫の個体数,夏季における成虫の目撃個体数を調査した.両地区とも,アカマツ-クリ・コナラ林およびクヌギ,コナラ,針葉樹,タケの人工林などがパッチ状に分布し,アカマツ-クリ・コナラ林の面積率が最も高かった.本種の寄主植物であるエノキの母樹(樹高2m以上)は,森林地帯,農家の屋敷地,荒地に小集団で存在した.母樹の本数は両地区ともアカマツ-クリ・コナラ林で最も多く,他の森林群落および土地利用では少なかった.地区別の本数は下篭谷地区と比べて,伊勢崎では顕著に多かった.当年,1年生など発芽して間もないエノキの椎樹は,森林の部分的な伐採から1年ほど経た比較的新しい林縁部に見られた.下篭谷では,胸高直径が15cm以上25cm未満のエノキにおける本種の越冬幼虫の個体数が,他のサイズのエノキよりも有意に多くなったが,伊勢崎では幼虫個体数はエノキのサイズの間で有意に異ならなかった.一方,木の周囲の森林および落葉広葉樹二次林の面積と越冬幼虫の個体数との間には,両地区とも有意な正の相関が認められた.成虫の確認個体数は下篭谷地区で多く,成虫の多くはクヌギ林およびその付近で確認された.以上の結果から,落葉広葉樹二次林に対して土地利用の変換を伴う部分的な伐採を行うことは,エノキの密度を増加させる反面,本種の越冬幼虫や成虫の密度を減少させることが示唆された.このような両者の相反する生息条件を満たすには,クヌギ林とエノキが備わったある広さの落葉広葉樹二次林を伐期が異なる小班に区分することが必要である.
著者
原 正彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.864-867, 2021-05-10

Point◎仮想現実(VR)技術の医療応用は30年以上の歴史があるものの,その効果はきわめて限定的であった.◎われわれは大学での産学連携活動を通して,まったく新しいアプローチのVRリハビリテーション用医療機器の開発に成功した.◎このVR機器「mediVRカグラ®」は歩行(姿勢)・上肢・認知・内耳機能障害および疼痛の改善手段として応用が進んでいる.◎近年では病院などでのリハビリテーションにおける新型コロナウイルス感染症対策としても注目されており,また遠隔リハビリテーション機器としての応用も進められている. *本論文中、関連する動画を見ることができます(音声なし,2023年4月30日まで公開)。
著者
吉原 正彦
出版者
青森公立大学
雑誌
青森公立大学経営経済学研究 (ISSN:13419404)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.52-66, 1996-03-11

In 1932,Henderson started "Seminary on Pareto and Methods of scientific Investigation, " that is known as the Pareto's Seminar, at the department and division of Sociology at Harvard University. It helped the proliferation of pareto's Sociology and the field of social scieces. Henderson came to believe that Pareto's Sociology was not only far superior to that of others as a scientific method, but also as a provider of opportunities for many competent and specialized students to network and stimulate their minds. In fact, students from the diverse fields of scientific study took his course. I will explain shortly in this paper Henderson's influence on F. J. Roethlisberger, G. C. Homans and T. Parsons. I will also attempt to explain clearly what his motive was for writing "Pareto's Science of Society" and Pareto's General Sociology : A Physiologist's Interpertation in 1935. I beleive that his major motive was to criticize the English version of Traite de Sociologie Generale, Whose English title is "Mind and Society." He acknowledged that pareto's Sociology was the greatest scientific study and the excellent "general" theory explaining the complex human interactions that have been investigated by the academic group in humanities and social sciences.
著者
藤原 正彦 小木曽 啓示 堀江 充子 浅本 紀子 榎本 陽子 小山 敏子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

代数多様体上の小さな領域(box)に含まれる、有理点の個数を評価した。exponential sumとこの個数との橋渡しとして、“Fujiwaraの方法"と呼ばれるものがあるが、その方法に依り、これまでより弱い条件下での、整数点の個数の上限を与えた。diagonalなものへの応用もした。ただし、有限体上の評価から、整数点へ移行する際のロスについては、革新的アイデアを得たが、まだ証明を完了していない。引き続き研究してみる予定である。一方、堀江充子は、ハッセのノルム定理を、部分体との関係から研究し、榎本は、有限群のp-ブロックを惰性剰余群の視点から研究し、小木曽は、最止、物理学との接触で興味を呼んでいるCalabi-Yau多様体について、3次元の場合の精細な研究を行なった。
著者
原 正彦
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.90, 2020-01-15

理学療法士の未来が変わる.そんなことを感じさせる医療機器が登場した.仮想現実(virtual reality:VR)技術を応用して歩行に必要な姿勢バランスと二重課題型の認知処理能力を定量的に可視化し,セラピストがより適切に治療介入を行えるようにしたリハビリテーション用医療機器「mediVRカグラ」の導入施設が増えている. mediVRカグラは,座位で行うトレーニングで歩行機能が改善することが最大の特徴で,一見するとごく一般的なVRゲームのようにしか見えないが,その開発に神経内科医や理学療法士,作業療法士が深く関与している点が既存のVR製品とは明確に異なる.その結果はまさに目を見張る効果であり,姿勢バランス制御系の脳内モデルの再構築だけでなく,これまで改善が難しかった注意障害を中心とした認知機能をも劇的に改善させるという報告が相次いでいる.
著者
金 成主 青野 真士 原 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.83, pp.19-24, 2010-06-11
被引用文献数
1

単細胞アメーバ・真性粘菌Physarumの光刺激回避行動に着想を得た「綱引きモデル」という並列探索アルゴリズムを提案する。このモデルでは、アメーバの複数の分枝が、環境情報を収集する探索エージェントとして機能する。アメーバは、その総リソース量(総体積)を保存しつつ、複数の分枝を伸縮させることで光刺激を受容し、どの分枝を伸長させるかを決定する。このとき、保存則を介して生じる分枝間の「非局所的な相関」が、「多本腕バンディット問題」における"exploration-exploitation dilemma"と呼ばれるトレードオフ状況の効率的解決に寄与することを示す。また、他の分枝から伝わる光刺激情報がパフォーマンスに及ぼす影響についても報告する。
著者
吉原 正彦
出版者
青森公立大学
雑誌
青森公立大学経営経済学研究 (ISSN:13419404)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.36-51, 1996-03-11
被引用文献数
1

The purpose of this study is to give a clearer explanation as to what the Harvard Circle is, which emerged in the 1930s. It is based on the materisls I gathered at Baker Library Archives at the Harvard Business School searching for the locus to Lowrence J. Henderson's activities mainly during the period of 1927 through 1932. In 1927 Henderson encounterd Pareto's Traite de Sociologie Generale, which he praised as the greatest scientific construction in this century. He lectured on Pareto's Sociology for the course of "Mills Lectureship in Philosophy" at California University, and discussed the possibility of scientific approach to human behavior in some of his papers : "An Approximate Definition of Fact" (1932) ; "Science, Logic, and Human Intercourse" (1933). In these papers, he pointed out the organic characteristics of experience and the emotional involement in thoughts as the source of errors in scientific system of thought. In order not to fall into errors, we must not analyse things solely from the perspective of "cause and effect, " instead, we need to establish a conceptual scheme based on thorough investigation of independent nature of things and human emotions as well. He further claimed that even the analysis with that scheme, it is impossible to escaps from being the approximate approach to the fact.
著者
小笠原 正彦 宮崎 佳典
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.711-712, 2009-03-10

現在のwebの特徴としてブログなどユーザーの手による参加が挙げられる.現在のブログは様々な機能を持っているが,数式に関してはプレーンテキストによる一次元記述か,画像化して添付ファイルとして載せる方法など直接二次元表記を行うことができない.本稿では, Javaアプレットを用いて二次元記述可能な数式作成支援ツールを開発し,ブログシステム上への実装を行った.また,ブログシステムヘの数式の反映については,数学用マークアップ言語であるMathMLを利用し,作成された数式に関する情報を維持可能とした.
著者
吉田 洋 新津 健 北原 正彦
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第27回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.98, 2011 (Released:2011-10-08)

長らくの間、富士山はニホンザル(Macaca fuscata:以下「サル」と称す)が生息しない分布空白地域とされ、その理由として地形がなだらかであることや、川がないからと説明されてきた。しかし現在ニホンオオカミ(Canis lupus)のような地上性の天敵のいないサルにとって、急峻な岩場や斜面が生息の必須条件とは考えにくく、植物質中心の雑食動物であるサルが、年間平均降水量が1,500mm~2,800mmもある富士山麓において、生存に必要な水分を摂取できないとは考えにくい。そこで本研究では、サルの分布を現在の自然環境要因のみでなく、分布の歴史的変遷とそれをとりまく人間の社会環境を要因に加えてとらえなおすことにより、今後のサルの保護管理に資することを目的とした。1735年~1738年頃に成立した「享保・元文諸国産物帳」には、駿河国駿東郡御廚領の産物として「猿」との記載があり、宝永大噴火(1707年)で少なからず損傷を受けたサル個体群が、約30年間後には産物帳に記載されるほど回復していたと考える。このことは御廚地方の周辺に、御廚地方への供給源となった大きなサルの個体群が存在していたことを示唆している。さらに1923年に東北帝国大学が実施した「全国ニホンザル生息状況アンケート調査」によると、静岡県富士市中里付近に少数の個体の目撃情報があり、静岡県富士宮市上井出付近には、「十数年前までは多数棲息していたが現今はその姿はない」と記載されている。これらのことは、富士山に生息していたサルの個体群が、江戸時代から大正時代にかけて大きく縮小し、明治時代後期はその縮小のさなかであったことを示唆している。さらに環境省自然環境局生物多様性センター(2004)によると、1978年の調査時には富士山にサルは分布していなかったが、2003年の調査時には富士山南斜面にサルの分布が確認されている。これは、1978年に生息が確認されていた愛鷹連峰の個体群が、北方に分布域を拡大し、富士山南斜面に移入しためと考える。以上のことから富士山においてサルは、近世以前には少なからず生息していたが、明治・大正時代にかけて絶滅し、近年は外輪山地の個体群からの移入により再び分布域を拡大していると考える。今後もし今の社会情勢が大きく変化しなければ、サルは分布を拡大し続け、水平方向では富士山の全周に、垂直方向では積雪期には冷温帯落葉樹林の上限である標高1,600mまで、非積雪期には森林限界である標高2,850mよりも高く、分布が拡大すると予測する。
著者
戎崎 俊一 西原 秀典 黒川 顕 森 宙史 鎌形 洋一 玉木 秀幸 中井 亮佑 大島 拓 原 正彦 鈴木 鉄兵 丸山 茂徳
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.779-804, 2020-12-25 (Released:2021-01-18)
参考文献数
94
被引用文献数
2

Previously proposed hypotheses on the origin of life are reviewed and it is demonstrated that none of them can provide the energy flux of ionizing radiation (UV/X/γ photons, and high-energy charged particles and neutrons) required to synthesize organic materials as demonstrated by the experiments by Miller and Urey in 1953. In order to overcome this difficulty, Ebisuzaki and Maruyama, in 2017, proposed a new hypothesis called the “Nuclear Geyser Model” of the origin of life, in which high-energy flux from a natural nuclear reactor drives chemical reactions to produce major biological molecules, such as amino acids, nucleotides, sugars, and fatty acids from raw molecules (H2O, N2, and CO2). Natural nuclear reactors were common on the surface of Hadean Earth, because the 235U/238U ratio was as high as 20%, which is much higher than the present value (0.7%), due to the shorter half-life of 235U than 238U. Ebisuzaki and Maruyama further posited that aqueous electrons and glyceraldehyde play key roles in the networks of chemical reactions in a nuclear geyser and suggested that primordial life depended on glyceraldehyde phosphate (GAP) from the nuclear geyser system as energy, carbon, and phosphate sources, pointing to a possible parallelism with the anaerobic glycolysis pathway; in particular, the lower stem path starting from GAP through Acetyl Coenzyme A to produce ATP and reduction power. It is shown that microbes (members of candidate division OD1) inhabiting high alkali hot springs, a modern analogue of the Hadean Earth environment, do not possess genes associated with conventional metabolisms, such as those of the TCA cycle, but only have genes in the lower stem path of the glycolysis. This is named the “Hadean Primordial Pathway”, because it is believed that this striking result points to a plausible origin of metabolic pathways of extant organisms. Also proposed is a step-by-step scenario of the evolution of the metabolism: 1) Chemical degradation of GAP supplied from the nuclear geyser to lactate; 2) Catalytic reactions to produce reductive power and acetyl coenzyme A (or its primitive form) and self-reproductive reactions by ribozymes on the surface of minerals (pyrite and struvite), which precipitate in a nuclear geyser (RNA world); 3) Enzymatic reactions by proteins with pyrites and the struvite in their reaction centers (RNP world); and, 4) Metabolism of extant organisms with the full assembly of enzymes produced by translating molecular machines with information stored in DNA sequences (DNA world). It is further inferred that relics of primordial metabolic evolution in the Hadean nuclear geyser can be seen at the reaction centers of enzymes of both pyrite and struvite types, nucleotide-like molecules as a cofactor of the enzymes, Calvin Cycle of photosynthesis, and chemical abundance of cytoplasm.
著者
久保 満佐子 小林 隆人 北原 正彦 林 敦子
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.49-62, 2011
参考文献数
47
被引用文献数
1

1.草原性のチョウ類が多く生息する富士山麓の上ノ原草原において,人為的管理が出現植物の種組成,吸蜜植物の開花,チョウ類の種組成に与える影響を調べ,チョウ類の多様性を維持する草原の管理方法を提案した.<BR>2.上ノ原草原にある1)草刈り後に草を持ち出している防火帯(防火帯),2)草刈り後に草を放置している植栽地(草刈地),3)草刈り後に草を放置している未舗装作業道路(道),4)管理放棄後3年以上経過した草原(放棄草原),5)クロツバラが優占する低木疎林(低木林)の5つの環境を調査地として,各調査地で出現植物の種組成と吸密植物の開花数,チョウ類の種組成を調べた.<BR>3.出現した植物および開花した吸蜜植物の種組成について二元指標種分析を行った結果,両種組成は,第一に植生構造の違いにより低木林に対してその他の調査地に区分され,次に管理方法の違いにより防火帯に対して草刈地と道,放棄草原に区分された.開花した吸蜜植物の種組成における指標種は,防火帯が7月,草刈地と道,放棄草原が8月と9月を中心に開花する種であった.開花数は,管理が行われている調査地で放棄草原や低木林より多い傾向があった.<BR>4.チョウ類の種組成について二元指標種分析を行った結果,防火帯に対してその他の調査地で区分された.防火帯のチョウ類の指標種は7月に発生する種であり,吸蜜植物における指標種の開花季節と一致した.<BR>5.本草原では,季節を通して吸蜜植物の開花があり,発生時期の異なるチョウ類が生息していることが特徴であった.さらに,低木林は,草原とは異なる遷移段階に依存するチョウ類の食樹であり,これらの種の主要な発生源となっている可能性があった.このため,本草原のチョウ類群集を維持するためには,草原の中で管理方法や植生構造の違いを含む植物群落の多様性を維持する管理の工夫が必要であると考えられた.