著者
小林 敦子 田中 堅一郎
出版者
The Japanese Association of Administrative Science
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.185-199, 2012 (Released:2013-08-27)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

The purpose of this study was to examine the influence on the mental health of female workers in Japanese organizations in terms of two dimensions of gender harassment (i.e., omission and commission) toward women committed by men, as well as by other women. A questionnaire was administered to a sample of 200 Japanese working women. It revealed the following: (a) Female workers who desire to get promoted perceived discomfort in experiencing omission and commission. (b) The frequency of experiencing omission and perceiving discomfort of commission had negative effects on their mental health through OPD. (c) The frequency of experiencing omission had a direct negative impact on their mental health. (d) The perceived discomfort of commission had a direct positive impact on their mental health.
著者
松本 光太郎 小林 敦子 梅村 坦 大野 旭 松本 ますみ 高橋 健太郎
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度科学研究費補助金研究成果報告書は、3年間の調査研究の成果と、本プロジェクトの最終年度に開催された国際シンポジウム「移動する中国ムスリム-ヒトと知識と経済を結ぶネットワーク」の報告内容を整理し、作成したものである。その際、本科研プロジェクトの課題として提示した三つのテーマを軸としている。その三つのテーマとは次のとおりである。一つ目に、中国ムスリムの越境移住の実態について調査を行うことである。中国ムスリムは中国国内における人口流動のみならず、迫害や留学、労働移民、宗教指導者の動きやメッカ巡礼などによって、国境を越えて移住し、コミュニティを形成している。移住や定着にともなって、社会構造や文化にどのような変化が生じたのかという点が、本報告書で解明しようと試みた一つ目の軸である。二つ目に、中国ムスリムの国内外における移住に付随して、イスラーム的宗教知識と商業的ネットワークの構築過程を探ることが目的であった。本報告書では、宗教指導者や宗教学生のモスク間の移動や、イスラーム宗教知識の国境を越えた流動などが分析を二つ目の軸として分析している。三つ目に、中国ムスリムの移住や、移住にともなうイスラーム宗教知識の流動などにともなって生じる、宗教復興を調査分析することであった。イスラーム復興をキーワードとする論考も、本報告書に収録されている。これら三つの軸を中心に提出された研究成果を、中国西北、西南華南、新疆、中国域外という地域軸に基づいて整理しなおし、報告書として提出した。
著者
中川 裕美 稲葉 美穂 後藤 祐充 笹舘 夏来 三宅 敏恵 小林 敦子 鈴木 貴博 下澤 達雄
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.654-660, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
16

血中カリウム(potassium; K)値は腎機能などによって変動するが,体内での変動とは別に,検体の溶血や採血時のクレンチングなどの条件によって偽高値を示すことがある。今回,これらに問題はなく一過性に高K血症をきたした症例を経験した。この症例ではカリウムを多く含む食事の影響が推測されたため,その検証を行ったので報告する。同意が得られたボランティア12名を対象に,患者から聞き取りを行った内容と同様の食事を摂取させ,食前,食後1時間,2時間で血清Kと尿K,尿クレアチニン(creatinine; CRE)を測定した。個人別の変動では,12名のうち2名において血清K値が食後1時間で0.7 mmol/L上昇,食後2時間の尿K/CREが60 mmol/g·CRE上昇した。また,血清K値は食前の値に対して食後1時間**,2時間*で有意に上昇し,尿K/CREは2時間**で有意に上昇した(*p < 0.05, **p < 0.01)。12名のうち5名で血清K値が0.3 mmol/L以上上昇しており,この群では食後1時間の尿Kの排泄量が少なく食後2時間で大きく増加していることより,K排泄が遷延していると考えられた。今回の検討で,健常者においても短時間で食後の血清K値の上昇を認めたことから,臨床像と乖離のある高K血症においては採血手技や検体の取り扱いの確認だけでなく,食事内容や食後の時間経過の聞き取りも重要であると考えられた。
著者
小林 敦子 田中 堅一郎
出版者
日本応用心理学会
雑誌
応用心理学研究 (ISSN:03874605)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.33-44, 2020-07-31 (Released:2020-10-31)
参考文献数
30

We examined experiences of violence between couples and their attitudes regarding such violent experiences by using data of married men and women. We first examined the correlation between experiences of being abused and indulging in physical and psychological abuse from the perspective of violent interactions between couples. Results of chi-square analysis indicated a partial interaction; such that men and women indulge in similar types of acts that they have suffered. However, men indulge in acts of violence even without suffering similar acts. Then, attitudes regarding domestic violence (ADV) were considered a factor in determining violence and the correlation between violent attitudes and physical and psychological abusive behaviors were examined. Results of discriminant analysis indicated that abusive behaviors were positively related to several ADV items in men, whereas abusive behaviors were not related to ADV in women.
著者
久保 満佐子 小林 隆人 北原 正彦 林 敦子
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.49-62, 2011
参考文献数
47
被引用文献数
1

1.草原性のチョウ類が多く生息する富士山麓の上ノ原草原において,人為的管理が出現植物の種組成,吸蜜植物の開花,チョウ類の種組成に与える影響を調べ,チョウ類の多様性を維持する草原の管理方法を提案した.<BR>2.上ノ原草原にある1)草刈り後に草を持ち出している防火帯(防火帯),2)草刈り後に草を放置している植栽地(草刈地),3)草刈り後に草を放置している未舗装作業道路(道),4)管理放棄後3年以上経過した草原(放棄草原),5)クロツバラが優占する低木疎林(低木林)の5つの環境を調査地として,各調査地で出現植物の種組成と吸密植物の開花数,チョウ類の種組成を調べた.<BR>3.出現した植物および開花した吸蜜植物の種組成について二元指標種分析を行った結果,両種組成は,第一に植生構造の違いにより低木林に対してその他の調査地に区分され,次に管理方法の違いにより防火帯に対して草刈地と道,放棄草原に区分された.開花した吸蜜植物の種組成における指標種は,防火帯が7月,草刈地と道,放棄草原が8月と9月を中心に開花する種であった.開花数は,管理が行われている調査地で放棄草原や低木林より多い傾向があった.<BR>4.チョウ類の種組成について二元指標種分析を行った結果,防火帯に対してその他の調査地で区分された.防火帯のチョウ類の指標種は7月に発生する種であり,吸蜜植物における指標種の開花季節と一致した.<BR>5.本草原では,季節を通して吸蜜植物の開花があり,発生時期の異なるチョウ類が生息していることが特徴であった.さらに,低木林は,草原とは異なる遷移段階に依存するチョウ類の食樹であり,これらの種の主要な発生源となっている可能性があった.このため,本草原のチョウ類群集を維持するためには,草原の中で管理方法や植生構造の違いを含む植物群落の多様性を維持する管理の工夫が必要であると考えられた.
著者
佐藤 勝 林 敦子 加登 基弘 新田 裕 並河 勇 白木 雅文 勝谷 芳文 岩山 幸雄 平田 健一 木村 健一
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.407-415, 1985-06-28
被引用文献数
2 2

ヒトの口腔内には鞭毛虫類としてTrichomonas tenax (T. tenax)が生息し,歯周疾患の進展と共にその検出率が高くなることが経験的に知られている。しかし本原虫は培養,純培養が困難であるため,その病原性や生物学的性状は不明である。我々はT. tenaxの培養用に新培地を開発し,この培地がT. tenaxの分離,増殖にも優れていることを確認したので今回は,ヒトの歯肉縁下歯垢中における本原虫の分布と検出率を疫学的に調査した。その結果,T. tenaxの検出率と,被検者の年齢,ポケットの深さ,歯肉炎の程度および歯垢集積量の間には密接な関連性が認められた。また歯周療法がT. tenaxの消長に及ぼす影響を検討したところ,臨床症状の改善に伴ってT. tenaxの検出頻度は低下した。
著者
小林 敦子 松本 ますみ 武 宇林 蔡 国英 馬 平 王 建新
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

(1) 中国の少数民族地域である寧夏回族自治区においては、回族の女性教員の増加に伴い、女児・女子青年の教育レベルが向上している。(2) 日本のNGOの教育支援によって養成された回族女性教員は、結婚・出産後も小中学校教員として働き、地域における女性のエンパワーメントの上で貢献している。(3) 民族の特性を生かした女子アラビア語学校の卒業者である回族女子青年は、経済発展の著しい広州や義烏で通訳として活躍している。家庭の経済的困窮等の事情から、普通高校への進学を断念した回族女子青年にとって、アラビア語学校はセイフティネットとなっている。
著者
森林 敦子 Wells Jeffrey D. 倉橋 弘
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.129-135, 1999
参考文献数
21
被引用文献数
2 4

センチニクバエの休眠蛹は20℃, 短日の条件下で成虫, その幼虫を飼育すると得られる。東京で採集したセンチニクバエの休眠蛹を20℃で2ヶ月間置きその後一定の期間低温(4℃)に置いた。その後27℃に移し休眠蛹が覚醒し成虫羽化までに要した日数, 雌雄の確認, 及び生存率を羽化率より検討した。その結果羽化までの日数は低温期間の長さによって変わることが明らかになった。このハエの休眠覚醒に最適な低温期間は3ヶ月で14日後から10日間の間で89%が羽化した。しかしそれ以上低温期間が長引くと羽化率が低下し7ヶ月で13%, 8ヶ月以上ではそれが0%になった。東京の10月, 11月は短日で平均気温が16℃から13℃あり, その後12月, 1月, 2月と5℃を割る低温が続く。3月になると平均気温が5℃を越えるようになる。4月, 5月と気温が上昇し実際ニクバエが野外で見られるようになる。得られた実験結果は, 今回使用した東京産の休眠するセンチニクバエが東京の環境に適応していることを示していると思われる。またこれらの実験結果からセンチニクバエの北限についても考察した。
著者
松本 ますみ 小林 敦子 小林 元裕 権 寧俊 花井 みわ 砂井 紫里 清水 由里子
出版者
敬和学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中国の朝鮮族と回族を抽出し、民族教育の経験と民族アイデンティティの相関性について歴史社会学的研究調査を行った。その結果、1)両民族とも民族教育経験者が民族の矜持が強いこと、2)同民族内のネットワークに依拠し、漢語と民族語を駆使し対外通商業務、出国、留学、出稼ぎを行うという共通点があることが分かった。両民族はグローバル化の波にのった「成功した」民族であり、その鍵は民族教育にあることが分かった。