- 著者
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細見 彰洋
三輪 由佳
古川 真
瓦谷 光男
- 出版者
- THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
- 雑誌
- Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
- 巻号頁・発行日
- vol.81, no.2, pp.159-165, 2012 (Released:2012-04-17)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
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日本の主要イチジク品種‘桝井ドーフィン’については,病原菌(Ceratocystis fimbriata)によるイチジク株枯病(以下,株枯病)が深刻である.そこで本病抵抗性が期待される‘Celeste’,‘Boldido Negra’,‘Ischia Black’,‘Negronne’の 4 品種の耐病性を検証し,‘桝井ドーフィン’用の抵抗性台木としての能力を検討した.砂礫 350 mL を培地とする根箱の‘Celeste’苗は,培地への病原菌の接種直後から根の伸長が抑制され,根の呼吸速度は接種 2 ヶ月後には低下し,細根は伸長が停止して病斑を生じた.用土 3.5 L で鉢栽培した 4 品種は,病原菌の土壌かん注 5 ヶ月後の調査で地下部には病斑が確認された.しかし,全個体は生存し,大量の菌を接種しなければ根の呼吸速度は低下せず,‘Celeste’以外では葉重,新梢重および根重の有意な減少はなかった.4 品種を台木とする‘桝井ドーフィン’樹を用土 22 L のコンテナで栽培し,病原菌を接種すると,2 年目には一部の個体が枯死し,全般に接ぎ穂や根の生育が減退する傾向にあったが,‘Negronne’台木には,枯死や有意な生育の低下は認められなかった.4 品種を台木とする‘桝井ドーフィン’樹は株枯病汚染ほ場でも枯死が少なく,定植後 5 年間はその大半が枯死を免れた.この間,穂木‘桝井ドーフィン’の生育に,経年的な明らかな樹勢衰弱はなかった.以上から,4 品種については,株枯病の被害を受けながらも生存を維持する「ほ場抵抗性」が実証され,台木の耐病性は‘Negronne’が最も期待できた.