著者
吉田 満梨 二宮 麻里 三井 雄一 大田 康博
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.30-41, 2023-09-29 (Released:2023-09-29)
参考文献数
17
被引用文献数
1

先行研究では,起業家の機会認識や目的達成の動機が,起業の行動や成果に影響を与えることが指摘されてきた。一方で,起業家がスタートアップの起業,成長,株式上場(IPO)といった目的を,どのようなプロセスを経て形成するのかは,十分に議論されてこなかった重要な研究課題である。本研究では,2004年3月に福岡市で創業し,2022年6月に東証グロース市場への上場を果たした,株式会社ヌーラボの事例研究を通じて,この課題に答えることを目的としている。分析の結果,ヌーラボの起業,成長,上場という新たな目的が見出された3つのフェーズにおいて,自発的パートナーとのコラボレーションの結果として新たな目的が形成される一貫したパターンが確認された。最後に,理論的示唆と実践的示唆を議論する。
著者
吉田 満梨 水越 康介
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.17-34, 2012-03-31 (Released:2013-12-28)
参考文献数
71

本稿では、近年注目を集める実践的転回( practice turn)を考察し、消費経験論への再接続を試みる。 1980年代に Hirschmanや Holbrookを中心に展開された消費経験論は、今日では、消費文化理論(Consumer Culture Theory: CCT)の名のもとに、多様な研究分析が蓄積されるようになっている。我々のみるかぎり、こうした研究には、実践的転回の萌芽をみることができる。実践概念への注目は、 CCTはもとより、多くの消費者行動論やマーケティング論においても、新たな研究方針を提示することにつながる。具体的に言えば、実践概念の下では、主観的かどうかという点ではなく、主観と客観や個人と構造という視点自体がどのようにして形成され、またどのように消費行為に影響を及ぼすことになるかを問うことになる。
著者
吉田 満梨
出版者
日本ベンチャー学会
雑誌
日本ベンチャー学会誌 (ISSN:18834949)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.15-30, 2022-03-15 (Released:2023-04-26)

本研究の目的は、近年アントレプレナーシップ研究において注目される「エフェクチュエーション(effectuation)」に関するこれまでの研究潮流を確認し、今後の研究可能性について考察を行うことである。はじめに、エフェクチュエーションとは何かについて概要を確認した上で、Academy of Management Review 誌で同概念を発表したSarasvathy(2001)以降のエフェクチュエーションに関する研究のレビューを行い、いくつかの先行研究に共通する研究課題や、学会誌における論争を踏まえながら整理した。そうした研究の蓄積は、エフェクチュエーションの有効性についての経験的証拠を提供し、その構成要素に関する理解を深め、適用範囲の境界条件を明らかにすることを通じて、さらなる研究発展に貢献してきたと言える。最後に、アントレプレナーシップ研究におけるエフェクチュエーション研究の意義を、Simon(1996)の「人工物の科学」との関連性から整理し、今後の研究可能性について検討する。
著者
吉田満著
出版者
文藝春秋
巻号頁・発行日
1980
著者
吉田満著
出版者
創元社
巻号頁・発行日
1952
著者
栗木 契 佐々木 一郎 吉田 満梨
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.111-119, 2023-09-29 (Released:2023-09-29)
参考文献数
19

2019年に設立された株式会社KINTO(以下,KINTO)は,トヨタ車およびレクサス車をサブスクリプションで提供するサービスを展開している。2022年12月には累積申込者数が55,000人に達し,その約4割を20~30代の若年層が占める。若者の車離れが指摘される国内の自動車市場において,KINTOは,人とクルマのどのような新しい関係を生み出しているのか。本稿では,トヨタ自動車がKINTOを設立した経緯,KINTOのサービスの特徴を確認した上で,それが若年層の自動車需要に対して,どのような便益を提供しているか。既存の代理店であるディーラーや,自動車保険を提供する企業,そしてトヨタ自動車などとも連携をしながら,どのように新たな価値を創出しているか,を議論する。
著者
吉田 満利恵
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.126, no.4, pp.1-33, 2017

大正二年、司法部刷新のための五法案が成立し、全国で 312 の区裁判所の内 128 の廃止、1510 人の判事及び検事の内 232 人の休職が定められた。また、裁判所構成法に判事の反意転補を可能にする規定が追加された。本稿の目的は、この司法部大改革を巡る議論を通して、この時代における司法問題の扱われ方とその影響を明らかにすることである。<br>判検事の休職法では、本来定員が別に定められ、その身分保障に差のあった判事と検事が同列に扱われ、休職となる判検事の合計数しか規定されなかった。その結果、判事の定員が大幅に削減されたのに対して検事の定員は微減に止まった。また、検事の精選が行われ、定員の減少数を大幅に上回る数の検事が休退職処分となった。<br>休職法と裁判所構成法改正案は裁判官の独立を侵害する危険を持っていたが、区裁判所廃止という人民の利害に直接関わる問題に議論が集中したことで、議会での審議は低調のまま終わった。判事の身分保障を脆弱にする危険のある新法律・条項案が提出されても、議会で争点となりやすい他の論点の存在によって、十分に審議されない傾向があった。<br>そして、当該法案がほとんど批判のないまま成立したことにより、判事の身分保障を規定する憲法五八条二項の「職」という文言を「官」の意味であると解し、裁判「官」であることさえ免じなければ「職」を免じても良いとする解釈が、大正十年に採用された。<br>明治憲法下において司法権の独立が不十分であったのは、裁判所構成法に、裁判所に対する司法省優位の性質があったからだけでなく、行政によって漸次的に法律解釈が変更されたことや 、新法律・条項が追加されたこと、また、それに抵抗する議員や判事、在野法曹が少なくなったことにも要因があるといえる。大正二年司法部大改革は、司法省、議会、そして法曹界自身によって、裁判官の独立の形骸化が促進された事例の一つであった。
著者
吉田満著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1981
著者
吉田満著
出版者
北洋社
巻号頁・発行日
1974
著者
吉田 満梨
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.16-32, 2018 (Released:2019-05-31)
参考文献数
43
被引用文献数
1

本研究の目的は,不確実性の高い市場環境に直面したマーケターが,いかに課題解決を行うのかを分析し,近年アントレプレナーシップ研究を中心に注目されている「エフェクチュエーション」(Sarasvathy 2001, 2008)の論理のマーケティング課題への適用可能性を明らかにすることにある。具体的には,マーケターを対象に,マーケティング実践における8つの意思決定課題への回答を,シンクアラウド法による発話プロトコルデータとして収集する調査を実施した。分析の結果,第一に,市場創造の経験を持つマーケターが課題解決においてエフェクチュエーションに基づく意思決定を行っていること,第二に,起業家ではなくマーケターの文脈における,エフェクチュエーションに基づく意思決定の様式が明らかになった。以上から,起業家の論理としてのエフェクチュエーションを,大企業におけるマーケティングや新規事業開発にも有用な知識として精緻化し,既存のマーケティング理論を補完する知識開発に寄与できる可能性が示された。
著者
藤田 光孝 吉田 満帆
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.945-952, 1995-12-05
参考文献数
20
被引用文献数
1

炭素は,固体としてグラファイトとダイヤモンド,そしてフラーレン固体の多形を持つだけでなく,アモルファスカーボンとしても活性炭やカーボンブラック,カーボンファイバー等,様々な姿で我々の周りに存在している.そのような炭素材料の持つ多形性をミクロな視点で眺めると,それらはspからsp^3すなわち2配位から4配位迄の結合形態の混在と,熱力学的に安定なグラファイトの6員環ネットワークへの,5員環や7員環などの欠陥の混入という,炭素原子ネットワークの2種類の乱れに起因していると考えられる.これは同じIV属のシリコン原子には見られない,炭素の極めて特異な性質である.フラーレン分子群の発見は,その後者を特にクローズアップさせたと言うことができるであろう.我々は,炭素ネットワークのとり得る多形性を,多面体の観点で眺めることにより,その幾何学的構造を系統的に議論する.更に,負の曲面を持つ多種多様なフラーレンネットワークにおいて,ミクロなレベルの構造に関する幾何学的パラメータによって,その電子状態がいかに多様性を持って変化するかを示す.
著者
吉田 満利恵
出版者
史学会 ; 1889-
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.126, no.4, pp.453-485, 2017-04
著者
宗廣 孝継 小林 潤一 吉田 満 松岡 順一 上田 芳信 開沼 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.257, pp.53-57, 2013-10-22

通信やレーダ用途において,フェーズドアレー方式のシステムが検討されている.この方式では,指向性の高い電磁波ビームを形成するため,アレー素子の小型化と高出力化,高効率化の要求がある.そこで,これらの要求を同時に満たす増幅器として,フェーズドアレーレーダシステムへの応用を念頭に置いたMPM(マイクロ波増幅モジュール)に適する9〜10GHzの周波数範囲で高周波出力800W以上,総合効率41%,寸法20mm(W)×20mm(H)×213mm(L),質量0.4kgのミニTWT(小型進行波管)を開発したので報告する.
著者
吉田満 原勝洋著
出版者
文芸春秋
巻号頁・発行日
1975
著者
石井 淳蔵 嶋口 充輝 栗木 契 西川 英彦 松井 剛 村下 訓 水越 康介 岸谷 和広 清水 信年 宮内 美穂 金 雲鎬 棚橋 豪 小田部 正明 山本 奈央 吉田 満梨
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、マーケティング競争下におけるデザイン戦略の重要性について、近年注目されつつある「ロバストデザイン」を核概念として、理論的・歴史的・実証的な研究が実施された。その主要な研究成果として、デザイン概念についての再構築が行われるとともに、競争優位性をもつデザイン戦略の現実と意義、そしてその背景としてのマーケティング競争のメカニズムが明らかにされた。