著者
和田 哲
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

ヤドカリには交尾・産卵直前に雌が(1)常に脱皮する種、(2)脱皮しない種、(3)脱皮したりしなかったりする種がいる。(2)や(3)に属する種の存在は、脱皮がヤドカリの配偶行動に不可欠ではないことを示唆する。しかし多くの種で雌は交尾直前に脱皮する。本研究は交尾直前脱皮の適応的意義の解明を目的としておこなった。上記(3)に属する種では、同一個体群の雌が連続産卵雌(過去に産卵した卵を孵化した雌がすぐに雄と交尾し産卵する)と不連続産卵雌(過去の卵を持たない雌が産卵する)に区分できる。本研究はこの点に着目して以下の仮説を検証した。成長仮説:雌は脱皮のコストで不連続産卵となっても、成長するために脱皮する繁殖仮説:脱皮が抱卵場所の更新に役立つならば、雌は連続産卵時に脱皮する上記(3)に属し高知県で普通に見られるホンヤドカリ属3種(ホンヤドカリ、クロシマホンヤドカリ、ユビナガホンヤドカリ)を対象種として、野外で雄に交尾前ガードされている雌をペアとして採集し、研究室で産卵まで飼育して、連続/不連続産卵の識別と脱皮の有無等を比較した。その結果、全ての種で成長仮説が支持された。さらにユビナガホンヤドカリを用いて、脱卵数、抱卵数、オスとメスの体サイズ、メスが背負っている貝殻サイズが脱皮頻度に与える影響を訥べた結果、脱皮によって脱卵数が増加し抱卵数が減少する傾向を認められた。また、脱皮あたり成長率は有意に0よりも大きく、脱皮によって体サイズが増大することが明らかとなった。以上の結果でも成長仮説が支持された。ホンヤドカリ属の他種を含めた種間比較の結果、成長仮説はホンヤドカリ属における(1)-(3)の種間変異もよく説明することが示唆された。
著者
中山 雅博 吉村 知倫 芦澤 圭 中馬越 真理子 廣瀬 由紀 星野 朝文 西村 文吾 田中 秀峰 上前泊 功 田渕 経司 大久保 英樹 高橋 和彦 和田 哲郎 原 晃
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Supplement1, pp.s113-s117, 2013-03-05 (Released:2014-03-05)
参考文献数
6

2002年1月から2011年12月までの10年間に当科において初回手術を施行した甲状腺腫瘍38例につき臨床的検討をした。性差は女性に多く, 男女とも50歳代, 60歳代に多かった。組織型は良性11例, 悪性27例であった。良性は全例が腺腫様甲状腺腫で, 悪性は乳頭癌が24例, 低分化癌が2例, 未分化癌が1例であった。主訴は頸部腫瘤が最も多く, 嗄声, 咽喉頭異常感と続いた。手術は良性では葉峡切除を, 悪性では総合的判断により全摘, 亜全摘, 葉峡切除を施行した。頸部リンパ節郭清は気管傍リンパ節と気管前リンパ節の郭清は悪性腫瘍の全例に行った。治療成績は未分化癌の1症例の死亡例以外は, 現在まで生存している。再発症例は6例あった。
著者
小和田 哲男
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.184, pp.94-97, 2000-01

石田三成といえば、どうしても、関ヶ原の負け組ということで評判はよくない。 「負けるとわかっている戦いに突っ込んだのは無謀だった」とか、「自分の力を過信していたのではないか」と手きびしいいわれ方をされている。
著者
岡本 耕一 岡村 誠介 井本 佳孝 木村 哲夫 竹内 尚 宮本 弘志 四宮 寛彦 岡久 稔也 和田 哲 高山 哲治
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.260-266, 2012-02-20
参考文献数
13

症例は63歳,女性.検診にて異常を指摘され当科に紹介された.内視鏡検査にて十二指腸球部に細長い突起物を認め,内視鏡的ポリペクトミーを行った.この突起物は,病理組織学的に正常十二指腸粘膜で覆われBrunner腺の増生と拡張した静脈を有する粗な粘膜下組織を認め,内部に大小の嚢胞状に拡張した腺が認められた.本症例は稲本らやEzoeらにより提唱されたintraluminal duodenal protrusionやElongated non-neoplastic duodenal polypなる概念に相当するものと考えられた.
著者
鳥居 久展 貴志 真也 吉川 則人 和田 哲宏 吉田 隆紀 小川 成敏 北村 有己子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0325, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】夏季のスポーツ活動における熱中症の問題は以前より指摘されている。なかでも熱痙攣は発生頻度が高く、一般的にも「筋肉がつる」といった表現で知られている。われわれは1998年から和歌山県高校野球連盟からの要請により全国高校野球選手権和歌山大会のメディカルサポートを和歌山県理学療法士協会協力のもと実施してきたが、試合中の熱痙攣の対処には苦難する場面が多いのが現状である。今回、過去のサポート中における熱痙攣の発生状況について調査し、現場での高校球児の熱痙攣の特徴や要因、今後の課題についての知見を得たので報告する。【方法】全国高校野球選手権和歌山大会における熱痙攣の発生率、発生時期、発生部位、ポジション別発生状況、試合復帰状況を過去5年間(2000~2004年)のサポートカルテより調査した。【結果】熱痙攣の発生率は、サポート総処置件数335件中24件と全体の7%であった。しかしその割合は増加傾向にあり2004年では全体の18%と高くなった。発生時期としては21件(88%)が試合後半の6回以降に発生しており、守備中11件、投球中7件、走塁中6件の順に多かった。発生部位は下腿13件(両側4、片側9)、両下肢全体4件、ハムストリングス3件(両側2、片側1)、片側下腿+ハムストリングス2件、全身性2件であった。ポジション別にみると投手8例、捕手1例、内野手8例、外野手7例で全員先発メンバーであった。投手は8例中7例が投球中に軸足側の下腿に発生しておりポジション特性がみられた。処置後、試合復帰可能だった例は16例(うち2例が試合中再発、1例が続行不可能)で、8例が試合復帰不可能となった。処置としては水分補給、アイシング、ストレッチ等の応急処置の他、イニング毎に状況確認を行い必要な処置を実施した。【考察】高校球児にとって夏の地方大会は甲子園に直結する重要な大会であり、その独特の緊張感と暑熱環境下での開催の為、選手の身体的・精神的疲労は大きいと考えられる。2004年度に発生率が高くなったのは大会中の最高気温が平均33°Cを超えるなど(2003年は同29°C)、環境要因が大きいと考える。ポジション別では投手の割合が高く、発生時期が試合後半、部位は下肢に集中しており、運動量、疲労との関係が大きいと考える。復帰状況では3人に1人が復帰不可能となっており、両下肢や全身性の痙攣を起こしていた為、回復に時間を要したことが原因である。試合中は自由飲水させているチームが多いが、自由飲水の場合必要量の60~70%程度しか摂取できていないともいわれ、今後はチームレベルでイニング毎の水分補給やミネラル分の補給を促す必要がある。それには各選手、チームの熱中症に対する知識を高めるとともに大会レベルでの取り組みが必要となるため、今後一層サポート側からの啓発活動を行っていく予定である。
著者
和田 哲
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ホンヤドカリ属を対象として、オスとメスの成長と繁殖の資源配分様式を調べた。本属の一部の種では、交尾直前にメスが脱皮することがあり、繁殖期中にも成長する。本研究の結果、脱皮する個体は、とくに産卵間隔が長い傾向が強く、抱卵数も変異が大きかった。オスも配偶行動によって摂餌行動が抑制されるため、繁殖に費やす時間の増加が成長を低下させることが示唆されたが、実験ではそれを強く支持する結果は得られなかった。
著者
小和田 哲男
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.176, pp.86-89, 1999-05

大友氏は、もともと相模国大友郷(小田原市)を本領とする関東武士で、鎌倉時代のはじめ、初代とされる大友能よし直なおが豊後国の守護となり、以後、戦国時代まで豊後国を中心に領国支配を展開した九州の名門である。 鎌倉・南北朝時代、さらに室町時代と下るにしたがって、惣領そうりょう家から庶子しょし家が派生し、志賀・田北・詫たく摩ま・田原氏といった庶子家が家臣団に組…
著者
樋口 真理可 古屋野 太一 伊藤 篤 和田 哲
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.251-258, 2004-09-20
参考文献数
28
被引用文献数
2

高知県浦ノ内湾及び沖ノ島周辺で採集されたマガキガイの捕食者防御行動について室内実験をおこなった。本種は成長に伴い貝殻外唇部が肥厚するので、外唇部が厚さと防御行動の関係に着目した。ほぼ同一サイズの個体を用いた室内実験の結果、捕食者であるソメンヤドカリは外唇部の薄い個体を選択的に捕食したが、外唇部の肥厚によって捕食者防御行動に対する明瞭な影響は認められなかった。また、本種の行動に対する同一水槽内のソメンヤドカリの影響は認められなかった。ソメンヤドカリに捕らえられたマガキガイは多量の粘液を分泌したが、粘液の有無による本種の行動においても有意な違いは認められなかった。一方、つぶしたマガキガイが入った水槽では、コントロール条件に比べて本種が有意に早く完全埋没(自分の貝殻が底質表面から見えなくなるまで潜砂した状態)に至った。

1 0 0 0 OA 蝸電図検査

著者
原 晃 和田 哲郎
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.45-53, 2008-02-28 (Released:2010-08-05)
被引用文献数
1

音刺激により生じた内耳及び蝸牛神経由来の電気的反応を, 鼓室内あるいは外耳道深部に電極をおいて検出する方法が蝸電図検査 (Electrocochleogram, ECochG) である。誘発される電気現象の構成成分として蝸牛マイクロホン電位 (CM), 加重電位 (SP), 蝸牛神経複合活動電位 (CAPまたはAP) があり, 音刺激からおおよそ3msec以内に認められる。聴性脳幹反応 (ABR) に比べ, 電極留置にやや煩雑な面はあるものの, より蝸牛近傍の情報が得られ, 病態の理解・診断に有用である。本稿では蝸電図検査の意義, 検査法, 適応について概説した。
著者
小和田 哲男
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.177, pp.74-77, 1999-06

戦国時代は、いつ敵に攻められるかわからないということもあって、軍勢がたやすく通れないように、道は狭く、しかも曲がりくねったままで、川には橋を架けないのがあたりまえだった。川は、領内および城を守るための天然の堀と認識されていたからである。 中には、城下町の入口付近にわざと屈曲を設けて、容易に城に近づけないような工夫をしている武将もいた。
著者
徳満 恒雄 大平 孝 原田 博司 柏 卓夫 丹冶 康紀 大和田 哲 大橋 洋二 北澤 敏秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波
巻号頁・発行日
vol.98, no.603, pp.123-132, 1999-02-17

1998年の欧州マイクロ波会議の概要について報告する. 本会議は28回目を数え, 10月5日から9日までオランダのアムステルダムで開催された. 今回より, 従来のEuropean Microwave Conferenceを核とし, GAASとMTT-S European Wirelessなる会議を合体して, European Microwave Weekとして開催された. 論文数は430件であった. 本報告では, これらの発表を衛星搭載機器, ワイヤレス通信, MMIC, ミリ波デバイス, 能動・受動フィルタ, パッケージおよび実装,電磁界理論に分けて, それぞれの概要と興味深い論文の紹介を行う.
著者
安部 素実 田原 志浩 大和田 哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.313, pp.25-29, 2011-11-17

マイクロストリップ結合線路で構成されるカプラは、ストリップ導体の間隔と幅の製造限界により、一定以上の密結合度を得るのが困難、また偶・奇モードの位相速度が異なることから、方向性が劣化しやすい問題がある。これらの課題に対し、マイクロストリップ結合線路で構成される多段カプラにおいて、最も密結合となる1/4波長結合線路の幅を一部狭くするとともに、幅を狭めていない部分にズリットを設ける構造で密結合かつ高方向性を得る手法を提案する。ここでは、本1/4波長結合線路を用いた多段カプラを検討し、カプラとしての所望結合度を実現するために、最密結合段の特性インピーダンスを他段より高くする手法も用いている。提案構成を適用した多段マイクロストリップ結合線路型カプラの試作評価を行った結果、比帯域162%にわたり良好な特性が実現し、本構成の有効性が確認された。