著者
杉山 崇 坂本 真士
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.1-10, 2006-12-25 (Released:2014-03-28)
参考文献数
28
被引用文献数
3 5

It has been suggested that a low Sense-of-Acceptance (SOA: Sugiyama, 2002) is one feature of a depressive self-others system. However, it is difficult to explain the depressive-self-process exclusively through this concept. Sense-of-Rejection (SOR) is proposed as a psychological concept that directly contributes to the depressive-self-process. The SOA and SOR measurement scales were developed based on the results of factor analysis. The reliability (test-retest reliability and internal consistency) and concurrent validity of the scales were established based on their correlation with the attachment style scale (Toda, 1998). Furthermore, covariance structure analysis examined the hypothesis that self-preoccupation mediates the depressive processes in SOA and SOR (Sakamoto, 1997). The results suggest that SOR is concerned with the depressive-self-process and that SOA is concerned with depression.
著者
亀山 晶子 及川 恵 坂本 真士
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.577-583, 2016
被引用文献数
6

The present study revised a psycho-educational program designed to prevent depression (Oikawa & Sakamoto, 2007) and to enhance interpersonal coping resources for depression. The effects of the revised program on female undergraduates were examined. One hundred and seventy two undergraduates were assigned either to an experimental group or a control group. The experimental group participated in the revised program for ten weeks as part of a psychological class, while the control group did not. All participants were asked to complete a self-report questionnaire about self-efficacy for cognitive, behavioral, and interpersonal coping for depression, the state of their mental health, and perceived social support from their family and friends before and after the program. The experimental group's ratings and responses indicated that the program were interesting and meaningful. Moreover, self-efficacy for coping with depression and perceived support from friends at the post intervention were significantly increased in the experimental group compared with the control group. These results suggest the effectiveness of the revised program for increasing interpersonal coping resources.
著者
坂本 真也
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
no.2, pp.85-96, 2011-11-15

本研究では、スクールカウンセリングにおける教員研修としてPCAGIP法を用いた事例検討の実践から、その有効性や課題について検討することを目的とした。事例検討では、スクールカウンセラーはファシリテーターとして働き、他の参加者メンバーは自由で話しやすい雰囲気の中、討議を行った。本研修では、事例提供者の負担が少ないこと、さまざまな視点から事例Aへの対応を考えられたことなどの特徴が見られた。その結果、(1)スクールカウンセラーと教員間の連携強化やチームで関わる経験になったこと、(2)教員が学級経営や児童とのかかわりに関して予防的に関わっていける可能性を示唆した感想が得られた。また、今後の課題として、PCAGIP法による事例検討のプロセスを詳細に検討していく必要性が見出された。The purpose of this study is to examine efficiency of teacher training in school counseling. In this case conference, all participants discussed in case A were easy to talk to. The school counselor was the facilitator in the group work. The characteristics of this training is to reduce ploblems for a member who presented case A and other group members talked about case A from various points of view. The conclusions are as follows: (1) an experience of problem solving team between teachers and school counselor (2) this kind of teacher training will be a way of preventive approach in school counseling or educational counseling. The teacher training is based on PCAGIP method as a new style group work and it needs further practice and discussion.
著者
上田 祐也 清水 祐一郎 坂口 明 坂本 真樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.455-463, 2013

In medical interviews, Japanese patients often use onomatopoeia such as "zuki-zuki" and "gan-gan" to express their pains or medical conditions. Using onomatopoeia when expressing pain enables simpler and more direct expressions than normal language as well as expresses the quantity (level/intensity) and quality (location/depth) of the pain. However, the subtle differences in characteristics of pain (such as quality), for example between "zeh-zeh" and "zero-zero", are difficult to grasp accurately. Although grasping these differences accurately is said to be critical, it depend on the level of skill of a doctor. So in this study, we constructed a system which supports communication between patients and doctors by evaluating meanings expressed by onomatopoeia. When a user inputs Japanese onomatopoeia, our system estimates quantities and qualities of pains using the relationships between the sounds used in the onomatopoeia and meanings expressed by 35 rating scales such as "sharp - dull", "strong - weak", and "deep - shallow". Visualizing of pains will help to compare between conventional onomatopoeic words such as "zeh-zeh" and novel words such as "zero-zero".
著者
坂本 真貴人 藤井 昭宏 田中 輝雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.405-413, 2014-03-01

さまざまな科学技術計算で用いられる行列行列積計算の高速化手法の一つに,Strassenのアルゴリズムがある.これは1回の適用で計算量を約7/8に削減するアルゴリズムである.また,このアルゴリズムは再帰的に適用することができ,段数(Strassenの適用回数)を増やすことで計算量をO(N^3)からO(N^<log_2 7>)まで削減できる.高速化のためには,計算機環境に合わせて適切な段数を選択する必要がある.適切な段数は行列サイズごとに決まるのでチューニングに多くの時間を要する.本研究では,線形代数ライブラリATLASをベースとしたStrassenの段数を自動チューニングする行列積計算ライブラリSAT Lib(Strassen Auto Tuning Library)を試作した.SAT LibではStrassen及びATLASの特性を利用し,チューニングにかかる時間を削減する.SAT Libの評価を行った結果,全行列サイズを計測する場合に比べXeon X5660上で約1/61,Intel Core i7 2600上では約1/53までチューニング時間を削減できた.
著者
坂本 真紀
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.88-96, 2008-09-10 (Released:2010-12-04)
参考文献数
22
著者
坂本 真士 田中 江里子 影山 隆之
出版者
日本精神衛生学会
雑誌
こころの健康 (ISSN:09126945)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.44-53, 2006-12-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
28

本研究では, 自殺の新聞報道のされ方について検討するため, 代表的な全国紙 (朝日, 毎日, 読売各紙) を取り上げ, 「ネット自殺」以降に自殺を報じた記事の内容を分析した。具体的には, 上記3紙朝夕刊を対象とし, 2003年2月11日からの1年半を調査期間とした。新聞記事検索データベースを使用し, 検索語を「自殺」として, 検索語が見出し, 本文, キーワード, 分類語のいずれかに含まれている記事を抽出した。その後, 記事の見出しから, 明らかに自殺報道ではないと判断でぎる記事を除外し, さらに記事の内容から, 自殺未遂, 自殺と判断できないもの, 海外で起きた自殺などを分析対象から除外した。最終的に分析の対象となったのは, 2, 334件の記事であった。諸外国の自殺報道のガイドライン, さらに, 日本の先行研究を参考に, 記事の評価基準を作成した。本稿では, 掲載箇所および文字数, 見出し, 自殺の手段の記載, 遺書および自殺の原因・動機について報告した。分析の結果, 記事の平均文字数は各紙とも300字程度であったが, 標準偏差が大きかった。また, 見出しに「自殺」という文字がある記事は50.8%, 記事本文中で自殺の手段に言及しているものは92.5%, 単純化した原因・動機について記載されていたのは24.8%の記事であった。さらに報道されていた自殺の手段を見ると, 多い順に, 飛び込み, 総首, ガス, 飛び降りであったが, この順は実際の手段別自殺件数とは異なっていた。これらの結果から, 以下の5点が問題点として指摘された。ニュースバリューのある自殺が報じられるので, 報道が自殺全体の実態を反映していないこと, 詳細な手段が報じられることが多く, 自殺の模倣を招く危険性があること。自殺の原因・動機が単純化して報道されやすいため, 実際の原因・動機が伝わっていない可能性があり, 自殺に対し一面的な見方を人々に植え付けてしまい, 自殺を合理化してしまう可能性があること, である。
著者
飯場 咲紀 志賀 彩乃 坂本 真樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本研究では,「ふわふわ」といった触覚を表すオノマトペのイメージに適した色彩推定システムを提案する.オノマトペを構成する音韻を基に,オノマトペの印象を感性評価尺度で定量化し,同じ感性評価尺度で印象を評価した色彩との類似度を算出する.システムによる推定色彩がオノマトペのイメージに適しているかを検証し,本システムの評価を行った.ユーザの所望する質感と色が調和した素材提案システムへの可能性を示唆する.
著者
土斐崎 龍一 清水 祐一郎 坂本 真樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

毎年約10万件以上の商標が国内で新規登録されており,新奇性のあるブランドネームの開発は年々難しくなっている.本研究は,ブランドネームの音象徴を被験者実験により調査し,ブランドネームが人に喚起する印象の予測値を定量的に出力するシステムを開発した.このシステムを用いることで,ユーザが付加したいイメージに即したブランドネームの提案が可能となり,企業において創造的なブランドネームの開発支援が期待できる.
著者
坂本 真士
出版者
大妻女子大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本年度は昨年度の成果をもとに、抑うつ的な自己注目のあり方と適応的な自己注目のあり方をモデル化した(この成果については、本年度の日本心理臨床学会および日本心理学会にて発表した)。そして、適応的な自己注目のあり方の指導を取り入れた、抑うつ予防のためのプログラムを作成し、女子大学生(1年生、社会心理学専攻)21名を対象に実施した。実施期間は平成13年4月から7月であった。本研究で1年生前期において実施としたのは、大学における適応・不適応を考える上で、入学直後から1年次前半が特に重要な時期だからである。この時期、生活リズムの変化、新しい人間関係づくり、勉学の問題など様々な変化に新入生はさらされている。自分について振り返る時間が増えた分、不適応的な自己注目のために抑うつなどの問題を発生させる可能性も高いと考えられる。申請者らは、本年度前期に週1回の割合で心理教育予防プログラムを実施した。実施は授業の単位とは全く関係のない「自主ゼミ」という形で行い、ボランティアで参加者を募った。前半では、参加者同士知り合うためのグループワークを積極的に取り入れた。また、自分を知るために様々な心理テストを実施した。実施した心理テストについては実施の翌週に申請者が解説した。これによって客観的に自己をとらえるようにした。また、ホームワークを課して、事態に対する認知の仕方を明確にした。後半では、認知療法的なパースペクティブから、自己に関するネガティブに歪んだ認知の修正、自己のポジティブな側面に対する注目などについて指導した。10月に実施した事後アンケートから、この予防プログラムは一定の成果を収めていることがわかった。
著者
坂本 真里子 河野 一世 熊谷 まゆみ 赤野 裕文 畑江 敬子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.427-434, 2007-12-20
被引用文献数
4

硬度の異なる3種の水,南アルプスの天然水,エビアン,コントレックスを用いて,かつお節だし,野菜スープ,牛肉のスープストックを調製した。総窒素,遊離アミノ酸,イノシン酸,グアニル酸,有機酸の分析および官能評価を行い,水の違いを比較した。かつお節だしでは用いた水の種類によって,遊離アミノ酸のパターンが異なっていた。官能評価では総合的な好ましさに有意の差は無かったが,エビアンと南アルプスの天然水が好まれる傾向にあった。野菜スープでは南アルプスの天然水に殆どの遊離アミノ酸が多く,次いでエビアンに多かった。官能評価ではこの両者が有意に好まれた。牛肉スープストックではコントレックスがアクを最も多く分離してスープは清澄であった。遊離アミノ酸合計量はエビアンに最も多く,ついでコントレックスであった。エビアンはイノシン酸,グアニル酸も有意に多かった。官能評価で最も好まれたのはエビアンであった。硬度の異なる水で3種の煮出し汁を調製すると,溶出成分に差があった。煮出し汁の好ましさは溶出成分だけでなく,水そのものの味も影響することから,溶出成分と水の味との兼ね合いで好ましさが決まるといえる。
著者
松木 俊二 菅原 英世 坂本 真佐哉 田中 雄一郎 楢原 久司 宮川 勇生 中野 重行
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.62-68, 1999

不妊症経過中に発症したうつ病2症例の睡眠障害に対して,腕時計型活動性モニタリング(ACTIWATCH^<[○!R]>)と睡眠チェックリスト,睡眠日記を併用して評価を行った.症例1は27歳主婦.2度の卵管妊娠(両側卵管摘出)の既往あり.2度目の退院後にパニック障害とうつ病を発症した.ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬離脱期に2週間装着した.症例2は35歳主婦.両側卵管閉塞による続発性不妊症(体外受精-胚移植による1児あり).ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬導入期に4週間装着した.睡眠-覚醒の客観的評価(ACTIWATCH^<[○!R]>)と主観的評価(チェックリスト,日記)は必ずしも符合しなかった.即ち,患者自身が眠っていると感じた時間帯にACTIWATCH^<[○!R]>で評価した身体活動量は増加し,患者自身が眠れないと感じた時間帯にその活動量は低下していた.睡眠障害患者の睡眠の評価には自覚症状のみでなくACTIWATCH^<[○!R]>や睡眠チェックリスト,睡眠日記を用いた客観的指標の有用な場合があることが示唆された.