著者
坂本 真也
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.85-96, 2011-11-15

本研究では、スクールカウンセリングにおける教員研修としてPCAGIP法を用いた事例検討の実践から、その有効性や課題について検討することを目的とした。事例検討では、スクールカウンセラーはファシリテーターとして働き、他の参加者メンバーは自由で話しやすい雰囲気の中、討議を行った。本研修では、事例提供者の負担が少ないこと、さまざまな視点から事例Aへの対応を考えられたことなどの特徴が見られた。その結果、(1)スクールカウンセラーと教員間の連携強化やチームで関わる経験になったこと、(2)教員が学級経営や児童とのかかわりに関して予防的に関わっていける可能性を示唆した感想が得られた。また、今後の課題として、PCAGIP法による事例検討のプロセスを詳細に検討していく必要性が見出された。
著者
坂本真貴人 藤井昭宏 田中輝雄
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2013-HPC-138, no.6, pp.1-7, 2013-02-14

行列行列積を計算する DGEMM の性能は,さまざまな科学技術計算において重要である.DGEMM の高速化の手法の 1 つに Strassen のアルゴリズムがある.これは再帰的アルゴリズムであり,適用する回数を増やすことで計算量を O(N3) から O(Nlog7) まで削減することができる.しかし,計算機や行列サイズに合わせた適切な回数を選択しないと高速化できない.本研究では,Strassen のアルゴリズムを,自動チューニング機能付きの線形代数ライブラリである ATLAS をベースにして組み合わせた.そして,最適な適用回数を自動的に選択する機能をもつ行列行列積計算ライブラリを試作し,計算性能の評価を行った.実験の結果,さまざまな行列サイズで ATLAS 単体より高い性能を引き出すことができた.また,通常の方法に比べて誤差がどの程度になるか確認した.
著者
吉野 淳也 屋形 叡 清水 祐一郎 萩野谷 雅春 坂本 真樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

実金属と模造金属を見た時の直感的な印象を、被験者に「さらさら」「ざらざら」といったオノマトペで自由に表現してもらう被験者実験を行った。被験者が用いたオノマトペを、研究室で開発したオノマトペ感性評価システムに入力し、質感評価に関連のある形容詞対尺度ごとに各オノマトペの情報を出力し、解析した。実金属と模造金属の違いがオノマトペによって把握し、金属加飾デザインに活かすことができる可能性について報告する。
著者
鈴木 雄大 坂本 真士 村中 昌紀 山川 樹 亀山 晶子 松浦 隆信
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.247-253, 2023 (Released:2023-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

The present research examined the relationship between interpersonal sensitivity (IS), privileged self (PS), and internet addiction, focusing on the direct effects among these variables and the indirect effects of problem-solving coping tendency and expression of emotional coping tendency. A total of 114 university students participated in the questionnaire survey, of which the 92 who completely answered the questionnaire were included in the analysis. Our data showed a significant positive direct effect of IS and PS on internet addiction tendency. Although the indirect effect of IS on internet addiction mediated by problem-solving coping tendency was not significant, the indirect effect of PS on internet addiction mediated by expression of emotional coping tendency was significant. We discussed the direct and indirect effects in terms of IS and PS characteristics and motivations.
著者
芳賀 道匡 坂本 真士
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
pp.2022001, (Released:2023-05-17)
参考文献数
17

The purposes of the present study were to report a loneliness reduction model using student’s subjective social capital (SSC), computer mediated communication (CMC) or face to face (FTF) behavior and perceptions of the closed spaces, crowded places, close-contacts avoidance (perceptions of the norms of avoiding 3Cs) in COVID-19 pandemic. In this article, we focused on subjective social capital as people’s cognition of the psychosocial resource availability accumulated by contact with others. Online cross-section research was conducted at 3th faculties in a Japanese private university, in July 2020, collecting 732 samples. And analyses were done for 659 samples. The results showed that the norms of avoiding 3Cs affected computer mediated or face to face communication behavior, and computer mediated or face to face communication behavior affected SSC, and the SSC reduces loneliness. These results imply that SSC, CMC and FTF are the important factor for student to decrease loneliness in COVID-19 pandemic.
著者
芳賀 道匡 高野 慶輔 羽生 和紀 坂本 真士
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.77-90, 2017 (Released:2017-04-21)
参考文献数
31
被引用文献数
5 6

本研究の目的は, 2つの研究を通して, 33項目から構成される大学生活における主観的ソーシャル・キャピタル尺度(SSCS-U)の開発と, 信頼性および妥当性を検討することにあった。本研究では2つの調査を通じて, SSCS-Uを構成する項目を選定し, 開発されたSSCS-Uの因子構造の再現可能性, 内的一貫性と再検査信頼性の検討, そして他の心理社会的要因との関連を検討した。その結果, SSCS-Uは, 仲間, クラス, 教員に関する主観的ソーシャル・キャピタルという3因子によって構成され, 因子構造の再現可能性があることが示された。また, 内的一貫性と再検査信頼性があること, ソーシャル・スキルおよび主観的ウェルビーイング, ソーシャル・キャピタル関連行動と関連があることが分かった。本尺度は, 学生が主観的に認知しているソーシャル・キャピタルを包括的に測定する尺度として, 大学生活のソーシャル・キャピタルに関する研究の更なる発展に寄与すると考えられる。
著者
坂本 真樹
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第9回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.D-1-4, 2018 (Released:2018-11-10)

The current artificial intelligence is good at object recognition with high accuracy and high speed. However, it is still difficult to perceive things in the same way as the perception of human beings through touching things and feel from them because artificial intelligence does not have a body or sensory organs. However, “kan-sei” cannot be ignored in order to get close to people, strongly support people. Through this presentation, we think about what “artificial intelligence” is about “kansei” and what can be done and what is not likely to be expected to see in coming super smart society.
著者
安達 聡子 坂本 真仁 中沢 実
雑誌
研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) (ISSN:21888965)
巻号頁・発行日
vol.2022-ITS-89, no.4, pp.1-7, 2022-05-19

遠距離恋愛では主なコミュニケーションの方法としてチャットや電話が使用される.しかし,直接会わないとできないことがある点や時間を合わせることが難しい点は寂しさや物足りなさを感じる原因になると考える.特にスキンシップのような物理的なつながりをノンバーバルコミュニケーションとして得られないことで寂しさを感じやすくなる.そこで,本研究では人型の抱き枕を用いて離れている相手の心拍音,体温,抱きしめる動作をリアルタイムで再現するシステムを作成した.心拍音は Web アプリ,体温は電気ヒーター,抱きしめる動作は腕に入れるバネを用いた軸を動かす機構で再現し,考察を行った.
著者
坂本 真樹 服部 兼敏 大内 潤子
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

人は,微妙な心身の状態を,「頭がズキズキ痛い」といったオノマトペ(擬音語や擬態語の総称)を使って表現することが多い.本研究では,医療従事者へのアンケートをもとに35尺度を評価尺度として選定し,オノマトペ表現を構成する各音が評価尺度に与える影響を定量化し,オノマトペによって表される心身の状態を形態と音韻の両面から定量的に推定するシステム開発した.また,評価尺度を多言語化することで,海外の病院で日本人が自分の症状を日本語のオノマトペで入力すると,症状が評価尺度ごとに定量化して示され,外国語では伝えにくい微妙な症状を,外国人医師などに伝えられるシステムを開発した.
著者
及川 恵 坂本 真士
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.106-119, 2007-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
28
被引用文献数
13 9

本研究では, 認知行動療法の理論に基づき, 抑うつ予防を目的とした心理教育プログラムを考案し, その効果を検討した。プログラムでは, 大学の心理学関連の講義時間を活用し, 計7回の介入授業を実施した。プログラムの効果を検討するため, プログラム実施前後に, 介入群と統制群に対して, 抑うつに関連する思考や情動にうまく対処することができるという確信, すなわち抑うつ対処の自己効力感と複数の適応指標からなる質問紙を実施した。まず, 各授業終了時の感想シートの検討から, 授業内容はよく理解され, 興味関心を持って臨める内容であったと思われる。次に, 抑うつ対処の自己効力感を従属変数とし, 群と時期を独立変数とする二要因分散分析を行った。その結果, 交互作用が有意であり, 介入群は統制群に比べ, プログラム実施後に効力感が増加していることが示された。下位目標ごとの検討においても概ね同様の結果が得られ, 本プログラムの有効性が示唆された。なお, プログラムの間接的な効果を把握するため, 自己効力感と適応指標の変化量の相関を検討した結果, 介入群において自己効力感の増加が現状満足感の増加と関連することが示唆された。
著者
西村 明 坂本 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.91-99, 2010-02-01
参考文献数
16

振幅変調に基づく音響データハイディング技術を用いて,スピーカから再生される音に同期して情報を呈示するシステムを提案する.振幅変調に基づく音響データハイディング技術の特徴は,数秒の埋込時間フレームを用いて,広い周波数範囲にデータを埋め込むことによって残響や反射音,変動する付加雑音に対して頑強な点である.データ埋込済み音楽信号に対してPEAQを用いた音質劣化の客観評価を行った結果,劣化は平均的に「やや気になる」以下であることが分かった.また,データ埋込済み信号への残響及び背景雑音付加,入力過大による振幅制限,カラオケ伴奏と同期した歌詞表示利用を前提とする歌唱音の重畳による検出力への影響を,コンピュータシミュレーションによって調べた.その結果,それらの変形を経た信号からも,十分埋込データの検出は可能であり,表示の時間制御のもととなるデータフレーム境界時刻の検出精度も十分であることが分かった.
著者
森本 幸子 伊藤 智之 川村 有紀 菅原 里江 坂本 真士
出版者
日本精神保健・予防学会
雑誌
予防精神医学
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.92-101, 2016

当事者から声を発信する活動が多く行われるようになってきている。当事者やその家族が体験を話すことによって、スティグマが解消されることが報告されているが、当事者が自分の体験を話すことは当事者自身あるいは聴衆にどのような影響を与えるのだろうか。本シンポジウムでは、当事者から声を発信することがどのようにスティグマを解消するのか、その意義や残された課題について整理し、議論したい。
著者
飯場 咲紀 志賀 彩乃 坂本 真樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回全国大会(2012)
巻号頁・発行日
pp.1M2OS8b4, 2012 (Released:2018-07-30)

本研究では,「ふわふわ」といった触覚を表すオノマトペのイメージに適した色彩推定システムを提案する.オノマトペを構成する音韻を基に,オノマトペの印象を感性評価尺度で定量化し,同じ感性評価尺度で印象を評価した色彩との類似度を算出する.システムによる推定色彩がオノマトペのイメージに適しているかを検証し,本システムの評価を行った.ユーザの所望する質感と色が調和した素材提案システムへの可能性を示唆する.
著者
森脇 愛子 坂本 真士 丹野 義彦
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.12-23, 2002-09-30 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
2 3

本研究では,どのように開示するかを測定するための「適切な自己開示尺度」および「不適切な自己開示尺度」を作成し,その因子構造,信頼性および妥当性を検討した.さらに,被開示者の反応を測定するための「聞き手の受容的反応尺度」および「聞き手の拒絶的反応尺度」を作成し,因子構造,尺度の信頼性および妥当性について検討した.研究1では,適切な自己開示尺度および不適切な自己開示尺度についてそれぞれ3因子,4因子を採用した.聞き手の受容的反応尺度および拒絶的反応尺度については,それぞれ4因子を採用した.内的整合性がよく,再検査信頼性が高かった.研究2では,これらの尺度の併存的妥当性がある程度示された.今後はさらに,サンプル等を配慮して検討していきたい.
著者
中野 重行 菅原 英世 坂本 真佐哉 小関 哲郎 上村 尚人 丹生 聖治 角南 由紀子 松木 俊二 梅月 恵美
出版者
The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-7, 1999-01-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8
被引用文献数
5 5

Objectives: A variety of factors influence the incidence of placebo effects . The purpose of this study was to clarify the influence of factors such as the doctor-patient relationship, patient's motivation and expectation for drug therapy on placebo effectsMethods: Data were obtained from two double-blind randomized clinical trials with a placebo control group of 123 patients with psychosomatic disorders. The improvement was assessed by doctors at two weeks after the initiation of treatment. The doctor-patient relationship, patient's motivation and expectation for drug therapy were assessed by doctors at the beginning of clinical trials.Results: The improvement rate in the placebo group was 42.3%, whereas the improvement rate in the diazepam group was 57.6% (p <0.05). In the placebo group, improvement rates were 50.0% in patients with a good doctor-patient relationship, 31.4% in patients with a moderate relationship and 10.0% in patients with a poor relationship (p < 0.05).Improvement rates were 46.1% in patients with a good motiva-tion for drug therapy and 19.0% in patients with poor or lack of motivation (p <0.01).Improvement rates were 36.4% in patients with low expectation for drug therapy, 53.0% in patients with a moderate one, and 7.7% in patients with high expectation (p <0.05).Conclusion: In patients with psychosomatic disorders, factors such as the doctor-patient relationship, patient's motivation and expectation for drug therapy clearly influ-ence the incidence of placebo effects.
著者
坂本 真樹 小野 正理 清水 祐一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回全国大会(2012)
巻号頁・発行日
pp.2N1OS8c2, 2012 (Released:2018-07-30)

病気の症状はしばしば「ずきずき」といったオノマトペで直感的に表現される.痛みの強さに比べ,痛みの質は定量化が難しいとされてきた.痛みの量と質の両者を表現できるオノマトペは,電子化されてきた医療への導入が期待される.本研究では,オノマトペの音韻特性と医療用尺度の印象評価値の関係を特定する被験者実験によりデータベースを作成し,オノマトペによって表される症状を定量的に推定し出力するシステムを作成した.