著者
徳永 侑子 堀内 孝
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.193-203, 2012-03-30 (Released:2012-05-22)
参考文献数
25
被引用文献数
8 17

自己概念の明確性は,個人の自己概念の内容や自己についての信念が,明瞭に確信を持って定義され,内的な一貫性を持ち,通時的に安定している程度を表す概念である。Campbell et al.(1996)の自己概念明確性尺度を用いた研究が広く行われているが,本邦においては十分な妥当性および信頼性が確認された自己概念の明確性尺度は未だない。そこで本研究は,自己概念の明確性尺度を邦訳し,信頼性・妥当性を検討することを目的とした。研究1では,邦訳版尺度が原版同様に1因子構造であることが確認された。また,先行研究をもとに選出した他の概念尺度との関連が確認された。研究2では,再検査信頼性が確認され,研究3においては,対自的同一性,自己像の不安定性,自己斉一性・連続性尺度との関連から併存的妥当性が検討された。また,自尊感情と抑うつにおいて,前述の3尺度に対する増分妥当性を有することが明らかとなった。
著者
白石 奈津栄 堀内 孝
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.159-162, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2

This study aimed to develop a Japanese version of the Multidimensional Future Time Perspective (MFTP) scale (Brothers, Chui, & Diehl, 2014). A survey was conducted among men and women over 20 years old, and 501 valid responses were received. The results of the exploratory and confirmatory factor analyses supported the same three-factor structure as the original scale. Multigroup structural equation modeling across three age groups (young, middle-aged, and older adults) provided a significantly good fit to the data. These findings indicated that the Japanese version of the MFTP has the same reliability and validity as the original scale.
著者
林 文俊 堀内 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.452-457, 1997-02-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
25
被引用文献数
6 5

The purpose of the present study was to evaluate H statistic, proposed by Linville (1985, 1987), as an index for cognitive complexity of the self. Linville asserted that high self-complexity would act as a buffer against life stress or depression. One hundred and eighty-seven undergraduates sorted 40 personality-trait adjectives into as many categories as necessary in order to describe themselves. In addition, 126 participants filled out several scales including self-consciousness and esteem. Main findings were as follows: (a) H statistic was not significantly associated with any variable related to the self-ratings, and showed no stress-buffering effect. (b) On the other hand, participants who had high cognitive complexity for the negative aspects of the self, as operationalized by Woolfolk, Novalany, Gara, Allen, and Polino (1995), were low in self-esteem and high in public self-consciousness. The results suggest that cognitive complexity of the negative self may indicate a predisposition for depression or neurosis. (c) Also, women scored significantly higher than men on cognitive complexity of the negative self.
著者
程 岩松 堀内 孝次 大場 伸哉
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.153-160, 2002-09-30
参考文献数
14
被引用文献数
1

植物の他感作用を活用して,イネ科強害草のメヒシバの生育を抑制する目的で,42種類のハーブの抽出液を用いた発芽実験を行い,さらに発芽抑制効果の大きかった数種ハーブについて,植物体砕片を土壌に混入し,それをポットに充填してメヒシバを育成し,その生育抑制効果を調査した。その結果,発芽実験ではバルサムギク,ローマンカミツレ,メボウキ,ミドリハッカ,ラベンダーの蒸留水抽出液とバルサムギク,スイカズラ,メボウキ,アマドコロ(地下茎)のメタノール抽出液が発芽を強く抑制した(第1表)。発芽後初期生育は,スイカズラ,ラベンダー,イチョウ(果皮)の蒸留水抽出液とバルサムギク,スイカズラ,キツネノボタン,ウコン,アマドコロ(地下茎)とイチョウのメタノール抽出液によって顕著に抑制された(第1表)。また,スイカズラとラベンダー砕片を土壌に混入したところ,メヒシバの乾物重と分げつ数は対照区に比べて大きく減少した(第3表)。これらの実験結果は,ハーブ類数種がメヒシバの生育を強く抑制し,他感作用を有する可能性を示した。
著者
堀内 孝次 成瀬 守
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会東海支部研究発表梗概
巻号頁・発行日
no.96, pp.1-5, 1983-10-31

間作はその技術の特徴として土地生産性の向上, 自然的及び経営的危険分散効果, 病虫害・雑草繁茂の抑制効果, さらに組合せ作物に対する被覆作用や支持作用など多くの利点を有している.しかし, その反面, 栽培管理の複雑さや労働生産性の低さなどの欠点をも併せもっている.現在, 東南アジヤやラテンアメリカ・アフリカ等の発展途上国においては土地生産性の向上に着目し, 研究が進められている.本研究は, 間作のこれらの利点を生かしつつ, しかも労働力の少ないわが国で受け入れられるような技術の確立を目的とし, とくにダイズ・トウモロコシ間作を対象に栽培技術の合理化を図る上から重要な栽植様式をとり上げ, 畦ごとの構成単位から考えうるいくつかの栽植様式についてそれらの生育・収量の良否を推定しようとするものである.

1 0 0 0 OA 7.補体

著者
堀内 孝彦 塚本 浩
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.2427-2433, 1998-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

補体の分野における最新の知見は,補体活性化経路として古典経路,第二経路のほかに新たにレクチン経路の存在が見いだされたことである.さらにこの経路の機能不全と慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデスとの関連の可能性が示唆されている.従来の補体検査は,膠原病の診断,活動性の判定に大きく寄与してきたが,これらの新しい知見を発展させることにより,さらに詳細な病態把握が可能となることが期待される.
著者
宗接 哲也 堀内 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.86.14314, (Released:2015-05-28)
参考文献数
16
被引用文献数
3 3

The survival processing effect is a robust memory phenomenon of memory whereby encouraging participants to judge words for relevance to a survival situation produces better recall than other processing tasks such as semantic or self-reference tasks (Nairne, Thompson, & Pandeirada, 2007). The present study separated memory performance into recollection and familiarity, and estimated the contribution of these two factors to the survival processing effect as adaptive memory by using a recognition test based on the dual-process signal detection model. This study also examined the long-term persistence of the effect by delay manipulation (immediate, after a week, after five weeks) of the recognition test. Under delayed conditions (after a week and five weeks), survival processing advantage occurred on recollection, but semantic processing had no effect. In contrast, for familiarity, there was no significant difference between survival and semantic processing. These findings suggest that the survival processing effect mainly relies on recollection.
著者
北村 文雄 堀内 孝雄
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.112-116, 1983-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
12

サクラ類には多くの種・変種・品種があるが, 寒冷地に適するものは多いとはいえず, 北日本に植栽する場合に種類の選択が問題となる。本研究はサクラ類の植栽利用に関する研究の一環として, 寒冷地における植栽利用の基礎になるサクラ類の耐寒性について, 実験的に追求したものである。サクラ類の枝を低温処理し, その後の生育状態の調査をもとに耐寒性の分類を行い。その適合性の検討を行った結果を報告している。サクラ類には多くの種・変種・品種があるが, 寒冷地に適するものは多いとはいえず, 北日本に植栽する場合に種類の選択が問題となる。本研究はサクラ類の植栽利用に関する研究の一環として, 寒冷地における植栽利用の基礎になるサクラ類の耐寒性について, 実験的に追求したものである。サクラ類の枝を低温処理し, その後の生育状態の調査をもとに耐寒性の分類を行い。その適合性の検討を行った結果を報告している。
著者
前田 豊樹 三森 功士 牧野 直樹 堀内 孝彦
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.41-47, 2019-05-31 (Released:2019-06-19)
参考文献数
22

これまで温泉治療が様々な疾患に療養効果があることは示されてきたが,一般的にどのような疾病に予防効果があるのかは示されていない.また,温泉入浴の禁忌症は示されているものの,某かの疾病の発症を促進する可能性についても知られていない.このような状況を踏まえて,筆者らは,平成24年度から3カ年間,65歳以上の高齢別府市民2万人を対象に,温泉の利用歴と各種疾患の既往歴に関するアンケート調査を実施し,その解析結果を先頃論文報告した.結果は,性別によって分かれており,温泉入浴が,男性においては,心血管疾患の予防に寄与し,女性では,高血圧に予防的に働くが,膠原病などの発症には促進的に働く可能性などが示唆された.このように,温泉は必ずしもすべての疾患の予防に働くわけではなく,一部促進する場合もあり得ることが伺えた.この疫学調査から伺える予防的効果には,温泉の効能としては期待されてこなかったものやこれまで示されてきた効能に反するものが含まれている.本編では,様々な疾患に対する温泉の予防効果と治療効果のずれという観点から,アンケートによる疫学調査をレビューする形で紹介したい.
著者
前田 豊樹 三森 功士 牧野 直樹 堀内 孝彦
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
pp.2318, (Released:2018-10-26)
参考文献数
22

これまで温泉治療が様々な疾患に療養効果があることは示されてきたが,一般的にどのような疾病に予防効果があるのかは示されていない.また,温泉入浴の禁忌症は示されているものの,某かの疾病の発症を促進する可能性についても知られていない.このような状況を踏まえて,筆者らは,平成24年度から3カ年間,65歳以上の高齢別府市民2万人を対象に,温泉の利用歴と各種疾患の既往歴に関するアンケート調査を実施し,その解析結果を先頃論文報告した.結果は,性別によって分かれており,温泉入浴が,男性においては,心血管疾患の予防に寄与し,女性では,高血圧に予防的に働くが,膠原病などの発症には促進的に働く可能性などが示唆された.このように,温泉は必ずしもすべての疾患の予防に働くわけではなく,一部促進する場合もあり得ることが伺えた.この疫学調査から伺える予防的効果には,温泉の効能としては期待されてこなかったものやこれまで示されてきた効能に反するものが含まれている.本編では,様々な疾患に対する温泉の予防効果と治療効果のずれという観点から,アンケートによる疫学調査をレビューする形で紹介したい.
著者
堀内 孝
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.137-143, 2016 (Released:2017-01-06)

In this study, I investigated the effect of the recall time of autobiographical memory on conscious and automatic memory processes. Two-second and six-second recall time conditions were used as experimental variables in two different experiments. The contribution degree of conscious and automatic memory processing in relation to the recall time of autobiographical memory were calculated using the Independence/Remember-Know procedure (Jacoby, 1998; Jacoby & Hay, 1998). For conscious memory processing, the results of both experiments showed that the six-second recall time condition exceeded the two-second recall condition. In contrast, for automatic memory processing, both experiments showed no significant difference between the two-second recall time condition and the six-second recall time condition. These results show that, although the recall of automatic memory processing functions well at two seconds, the recall of conscious memory processing was still increasing at six seconds. The observed differences between conscious memory processing and automatic memory processing confirm the validity of the separation of conscious and automatic memory processing in relation to the recall of autobiographical memory.
著者
堀内 孝
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.25, 2011

一般的に自分自身の名前に関する反応時間は短いことが知られている。本研究では,その処理の速さが自己名前の熟知性の高さに起因しているのか否かを検討した。具体的には,名前を繰り返し提示することによりその熟知性の高さを操作した。実験1では,自己名前と3人の他者(親友,男性有名人,女性有名人)の名前が設定され,4回の反復提示が行われた。1回目の反応時間は,自己<親友<男女有名人であった。これは従来の研究知見と一致するものであり,熟知性でも解釈可能な結果である。しかしながら,4回目では他者3名間の反応時間の差は消失したにもかかわらず,自己名前は他者3名の名前よりも反応時間が短かった。さらに,実験2では自己名前と親友の名前が設定され,30回の反復提示が行われたが,それでも,自己名前は親友の名前よりも反応時間が短かった。以上の結果は,自己名前に関する処理の速さは熟知性の高さでは説明できないことを示している。
著者
閻 琳 堀内 孝
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.99-108, 2017-11-01 (Released:2017-11-04)
参考文献数
17

本研究の目的は,自己決定理論に立脚することにより,在日外国人留学生を対象としたアルバイト動機づけ尺度を作成することである。本調査Iでは,予備調査で選定された40項目に対して,在日外国人留学生に回答を求めた。因子分析の結果,アルバイト動機づけ尺度は「内発的調整」「統合的調整」「同一化的調整」「取り入れ的調整」「外的調整」の5つの下位因子から構成されることが示された。また,因子間相関から,理論的に近い動機づけタイプどうしの方が,相関係数が高いことが確認された。さらに,職務満足度尺度との相関係数は,自己決定性の高い動機づけの方が高い値を示した。本調査IIでは,再検査信頼性も一定の水準であることが示された。以上の結果は,本研究で作成した尺度が一定の信頼性と妥当性を有し,職務満足度を予測することを示すものである。
著者
程 岩松 堀内 孝次 大場 伸哉
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.153-160, 2002-09-30 (Released:2009-12-17)
参考文献数
14
被引用文献数
2

植物の他感作用を活用して, イネ科強害草のメヒシバの生育を抑制する目的で, 42種類のハーブの抽出液を用いた発芽実験を行い, さらに発芽抑制効果の大きかった数種ハーブについて, 植物体砕片を土壌に混入し, それをポットに充填してメヒシバを育成し, その生育抑制効果を調査した。その結果, 発芽実験ではバルサムギク, ローマンカミツレ, メボウキ, ミドリハッカ, ラベンダーの蒸留水抽出液とバルサムギク, スイカズラ, メボウキ, アマドコロ (地下茎) のメタノール抽出液が発芽を強く抑制した (第1表)。発芽後初期生育は, スイカズラ, ラベンダー, イチョウ (果皮) の蒸留水抽出液とバルサムギク, スイカズラ, キツネノボタン, ウコン, アマドコロ (地下茎) とイチョウのメタノール抽出液によって顕著に抑制された (第1表)。また, スイカズラとラベンダー砕片を土壌に混入したところ, メヒシバの乾物重と分げつ数は対照区に比べて大きく減少した (第3表)。これらの実験結果は, ハーブ類数種がメヒシバの生育を強く抑制し, 他感作用を有する可能性を示した。
著者
閻 琳 堀内 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18203, (Released:2019-05-20)
参考文献数
42
被引用文献数
3

This study was designed to examine factors that improve job satisfaction of international students studying in Japan when doing part-time jobs, based on sub-theories of the Self-Determination Theory (SDT). A hypothetical model based on the organismic integration theory and basic psychological needs theory, which are sub-theories of the SDT, were developed and examined through covariance structure analysis. The main results were as follows: (a) the need for relatedness and the need for competence, which are basic psychological needs, directly improve job satisfaction; (b) autonomous motivation is increased, and higher job satisfaction is obtained by satisfying the three psychological needs; (c) positive effect of the need for relatedness on the need for competence and positive effect of the need for competence on the need for autonomy were observed, suggesting the importance of satisfying the need for relatedness in part-time employment. The psychological processes affecting the job satisfaction of international students studying in Japan when doing part-time jobs is discussed based on the above results.