著者
斉藤 義明 堀 潤一 木竜 徹
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.102-110, 2000 (Released:2011-10-14)
参考文献数
13
被引用文献数
5

Various vital sensors have been developed for patient monitoring. These sensors restrict patients physically or mentally since either electrodes or probes must be mounted onto a patient's body and then connected to a measuring instrument using a lead wire. In this study, a biomedical-signal detection system capable of being used without subject awareness on the basis of terrestrial magnetism was developed for home use and remote care. When a subject lies on a bed mattress that is situated on a magnetic sheet, the system detects the change in magnetic field related to respiration and heart beat. We have also developed an on-line system that can separate respiration and heart beat components from the detected signal.
著者
関口 涼平 高橋 治久 堀田 一弘
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2009-MPS-75, no.23, pp.1-6, 2009-09-03

本論文では,カーネル判別分析 (KDA) に基づいた新しい多クラス識別器を提案する.KDA は主にパターン識別の前処理として用いられ,線形判別分析を使う場合に比べ良い識別性能が出せることが知られている.しかしながら,その性能は SVM と同様カーネルパラメータに大きく依存し,学習における最適なカーネルパラメータを導くには膨大な事前実験を必要とする.このため学習そのものよりも事前実験に要する計算量が膨大になり応用の障害になっている.本論文では,KDA に対し,分離度の理論に基づいて最適なカーネルパラメータを自動決定するアルゴリズムを提案し,計算機実験によりその性能を評価する.SVM との計算機実験による比較により,提案手法が少ない計算時間でより良い性能を達成できることを示す.
著者
五十嵐 友里 河田 真理 長尾 文子 安田 貴昭 堀川 直史
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.389-396, 2014-10-15 (Released:2017-11-22)
参考文献数
17

うつ病診療における精神科とプライマリケアの連携システムとして,先行研究において協同的ケアが提案されてきた。これまで,日本ではこの協同的ケアの実施報告はなかったが,今回実践したので症例を通してこの取り組みを報告する。協同的ケアでは,プライマリケア医による通常のうつ病診療に加えてケースマネージャーが患者の受療支援を行う。今回の実践では,ケースマネージャーは臨床心理士が担当して電話介入を実施し,精神科医はケースマネージャーに受療支援に関する定期的なスーパーバイズを行った。本稿では,薬剤や副作用に対する不安を訴えた2 例に対する支援を概観しながら今回の協同的ケアの実践を報告し,最後に,協同的ケアで行われた支援について考察した。
著者
寺内 美奈 時田 佳子 菊池 浩平 堀内 靖雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.386, pp.37-40, 2004-10-28
参考文献数
4
被引用文献数
3

手指動作と表情,口形などの非手指動作によって意思や感情を伝える手話は,聴覚障害者の1つのコミュニケーション手段である.手話は対話言語であることから,話者同士がどのように話を進めていぐかを解析することは,手話の言語構造を明確にするとともに,手話学習への指針ともなりうる.そこで,著者らは手話のターンテイキング(発話交替)に着目し,日本手話における会話構造と話者交替のモデル化を試みている.そこで,ネイティブスピーカによる日本手話対話例文データを収録し,工学院大学で開発した対話映像解析支援システムMATを用いて,話者交替時での手指信号ならびに非手指信号の詳細な解析を進めている.本報告では,対話データの収集方法,対話映像の分析方法,解析の途中経過として得られた対話の特徴などについて述べる.
著者
白井 真紀 佐藤 靖 藤川 真章 山田 弘 堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第33回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.89, 2006 (Released:2006-06-23)

【背景】近年,創薬初期でのminiaturizeされたげっ歯類のin vivo毒性試験が展開されてきている。我々は,ラットを用いたin vivo Mini-tox studyを探索研究早期のin vivo毒性スクリーニング試験として立ち上げ,毒性情報の乏しい新規化合物の多面的安全性評価を進めている(第31, 32回日本トキシコロジー学会)。今回,マウスを用いたバリデーション試験を示す。【材料および方法】動物:頚静脈カニュレーション(JVC)施術済みのICR マウス(8週齢,雄)を溶媒対照群,低用量群(L),高用量群(H)の各群に3例づつ振り分け,化合物Xを単回経口投与し,投与翌日にネンブタール麻酔下で放血,安楽殺し,剖検した。検査項目:体重(毎日),機能観察総合評価法(FOB),自発運動測定Motor Activity (MA),心拍数・血圧測定(HR,BP with BP Monitor MK-2000),薬物血中濃度測定,剖検,臓器重量測定および血液生化学的検査を行った。【結果および考察】JVCマウスを用いた今回のバリデーション試験において,ラットとほぼ同等の結果を得ることができた。創薬早期においては使用化合物量の少量化が求められること,また,薬効評価のための疾患モデルとしてマウスが用いられることも少なくない。今回,ラットに比べて,より少ない化合物量で毒性学的評価が可能であり,創薬早期のin vivo毒性スクリーニング試験としてマウスが有用となる場合があることが示唆された。
著者
吉川 理恵 藤川 真章 山本 利憲 堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第32回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.43, 2005 (Released:2005-06-08)

近年医薬品開発における安全性評価は、多種類の化合物を短期間に評価することが求められており、in vivoの毒性を反映するin vitroスクリーニング系の確立が必要とされている。前回,医薬品開発において問題視される肝毒性を標的とし、肝細胞における毒作用のスクリーニング系確立のためのbiomarker探索を目的として、初代培養肝細胞のプロテオミクス解析を行ない,ミトコンドリアに存在する代謝関連タンパク質や酸化ストレス関連タンパク質の変動を認めたことを報告した。今回,肝毒性を惹起することで知られている各種化合物の単回投与ラット肝細胞を用いて酸化ストレス関連タンパク質の免疫組織学的検出を試み,in vitro プロテオミクス解析の結果とin vivo病理組織学的および免疫組織学的検索結果を比較することによりin vitroおよびin vivo肝毒性の発現の相違を比較検討した。その結果,投与後24時間において,アセトアミノフェンおよびテトラサイクリン投与肝において,化合物に特徴的な肝毒性を再現することができた。また,全ての群において発現の増減が共通する酸化ストレス関連タンパクはみられなかったが,いずれの化合物を投与した肝細胞においても投与後6時間より何らかの酸化ストレス関連タンパクの増加を認めた。これらの酸化ストレス関連タンパク質はミトコンドリア呼吸の調整に関連して動くことが知られており,形態学的変化は軽微であっても,細胞の機能低下が起こっていることが明らかになった。
著者
周 玉 石橋 麻子 崎村 雅憲 藤川 真章 山田 弘 堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第33回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.258, 2006 (Released:2006-06-23)

ある種の化合物は光吸収により分子共役構造部位の電子が基底状態から励起状態に励起し、次いでエネルギーの放出によりフリラジカルを生成し、光毒性を引き起こす。この電子励起の起こりやすさ(HOMO-LUMO gap)はIn Silico化学計算により予測ができると考えられている。本研究ではHOMO-LUMO gap化学計算値による光毒性の予測法の3T3 Neutral Red Uptake Phototoxicity Test (3T3試験)を用いた In vitro試験およびモルモットを用いたIn vivo試験結果に対する予測性について検討した。「方法」134のin house化合物及び光毒性の有無が知られた30化合物を用いて検討を行った。HOMO-LUMO gapはSoftware-Jaguar 5.5を用いて計算した。 3T3試験はOECDガイドライン案に示された方法に準拠して実施した。 In vivo試験では、モルモットにCPFX、LFLXまたは8-MOPをそれぞれ単回経口投与し、UVA照射した後の皮膚反応を評価した。「結果」134化合物のHOMO-LUMO gap値をA(10.5未満)、B(10.5以上 11.7以下)およびC(11.7より大)の3領域に区分し、3T3試験の陽性結果との相関性を検討したところ、それぞれA=100%、B=44% 、C=17%の相関率を示した。光毒性の有無が知られた30化合物の3T3試験結果およびCPFX、LFLXまたは8-MOPのIn Vivo試験結果はいずれもHOMO-LUMO gap値(<10.5)による光毒性予測との相関性を示した。
著者
石塚 秀夫 新間 信夫 堀井 郁夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.119, no.12, pp.881-897, 1999-12-01 (Released:2008-05-30)
参考文献数
49
被引用文献数
14 20

Capecitabine (N4-pentyloxycarbonyl-5'-deoxy-5-fluorocytidine) is a novel oral fluoropyrimidine carbamate, which was designed to be sequentially converted to 5-fluorouracil (5-FU) by three enzymes located in the liver and in tumors. N4-alkoxycarbonyl-5'-deoxy-5-fluorocytidine derivatives including capecitabine pass intact through the intestinal tract and are sequentially converted to 5-FU by a cascade of the three anzymes. The first step is the conversion to 5'-deoxy-5-fluorocytidine (5'-DFCR) by carboxylesterase located in the liver, then to 5'-deoxy-5-fluorouridine (5'-DFUR) by cytidine deaminase highly expressed in the liver and various solid tumors, and finally to 5-FU by thymidine phosphorylase (dThdPase) preferentially located in tumor tissues. Among large numbers of the derivatives, capecitabine was selected based on its susceptibility to hepatic carboxylesterase, oral bioavailability in monkeys and efficacy in a human cancer xenograft. Capecitabine given orally yielded substantially higher concentrations of 5-FU within tumors than in plasma or normal tissue (muscle). The tumor 5-FU levels were also much higher than those achieved by intraperitoneal administration of 5-FU at equi-toxic doses. This tumor selective delivery of 5-FU ensured greater efficacy and a more favourable safety profile than with other fluoropyrimidines. In 24 human cancer xenograft models studied, capecitabine was more effective at a wider dose range and had a broader spectrum of antitumor activity than 5-FU, UFT or its intermediate metabolite 5'-DFUR. The susceptibility of the xenografts to capecitabine correlated with tumor dThdPase levels. Moreover, the conversion of 5'-DFUR to 5-FU by dThdPase in tumor was insufficient in a xenograft model refractory to capecitabine. In addition, the efficacy of capecitabine was enhanced by dThdPase up-regulators, such as by taxanes and cyclophosphamide and by X-ray irradiation. The efficacy of capecitabine may, therefore, be optimized by selecting the most appropriate patient population based on dThdPase status and/or by combining it with dThdPase up-regulators. Capecitabine has additional characteristics not found with 5-FU, such as potent antimetastatic and anticachectic actions in mouse tumor models. With these profiles, capecitabine may have substantial potential in cancer treatment.
著者
杉山 雄一 塚本 友子 堀井 郁夫
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.16, no.supplement, pp.84-85, 2001-09-17 (Released:2007-03-29)
参考文献数
2

Capecitabine, an orally administered triple prodrug of 5-FU shows tumor-preferential exposure of 5-FU by being sequentially metabolized to 5-FU by three enzymes, which show relatively specific organ expression. To investigate the mechanism of tumor-preferential exposure of 5-FU after oral administration of capecitabine, a physiologically based pharmacokinetic model describing the pharmacokinetic behaviors of capecitabine and its metabolites including 5-FU in humans was constructed. The factors that have the greatest influence on the pharmacokinetics of 5-FU after administration of capecitabine were clarified by sensitivity analyses. The sensitivity analysis demonstrated the exposure of tumor tissue to 5-FU depends mainly on the activity of both thymidine phosphorylase (producing enzyme of 5-FU from the precursor, 5'-DFUR) and DPD (eliminating enzyme of 5-FU) in tumor tissue, as well as blood flow rate in tumor tissue with saturation of DPD activity resulting in higher 5-FU AUC in tumor tissue. The therapeutic index of capecitabine was found to be at least 17 times greater than that of other fluoropyrimidine, including doxifluridine, the prodrug of 5-FU, and 5-FU over their respective clinical dose ranges.
著者
鈴木 睦 堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.75, 2010 (Released:2010-08-18)

医薬品の評価で,「腎臓の近位直尿細管上皮の好酸球性腫大は,中及び高用量群では全例で認められたが,生理学的変動の範囲内の 組織像と判断された。本所見の発現頻度が増加した原因は不明であるが,高用量群でも組織所見の増悪は認められず,障害性もないこ とから,これらの所見の毒性学的意義は低いと考えられる」などと言う評価は良く見受けられる一節である。その一方で,「サルで認め られた腎臓の鉱質沈着所見は対照群の動物でも観察されることから,自然発生病変と考えられる」としながらも「このような腎所見がヒ トに生じていても見落とされている可能性があり,同様の所見がヒトで生じている可能性について考察し,長期投与により当該所見が 進行して腎機能に影響を与える可能性の有無を考察するべき」と指摘されるケースもある。このように「対照群で認められているから自 然発症病変」と考え毒性評価から除外することは,臨床試験の安全性を保証するには適切では無いケースもあり,所見の発生頻度とそ の時期を含めて十分に考察し,ヒトの有害事象発現を抑制することにできるだけの努力が払われるべきである。 上記のようなケースは一例に過ぎないが,「XXで変化が認められたが,器質的な変化が認められなかったので毒性学的意義は少ない」 とする常套句は,よく見かけられるものである。しかし,ここ数年の間で毒性の評価対象となる化合物は,分子標的やバイオ医薬品へ と変遷し,その非臨床試験評価系の特徴から器質的変化のみに比重を置いた評価には限界も見え隠れする。また,分子毒性学的な手法 や新規バイオマーカーによる毒性評価も広がりつつあるが,試験責任者にとっては従来の評価方法との関係をどう捉え,統合し解釈す るのか戸惑いがあるかもしれない。“器質学的な変化が認められなければ毒性学的意義は低い”という紋切り型の常套句に,更なる新し い概念を加えて整理する必要性があると考えられる。
著者
堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S14-1, 2012 (Released:2012-11-24)

医薬品開発過程における安全性評価は、これまでIND/NDA申請・承認に必要とされる毒性試験に焦点が当てられ、ヒトへの最初の臨床適用・臨床第一相試験における薬物の安全性評価と新薬申請・承認時の検証・承認のための安全性評価・管理を主目的として展開されてきた。最近では、それらに先んじた創薬初期段階における毒性スクリーニングとしてのリード化合物の適正化、臨床適用候補化合物の選定に安全性評価が求められ、試験法そのものもハイスループット・トキシコロジーとしての研究体制が整えられつつある。安全性評価において、発現毒性の特定とそのエンドポイントとしての毒性学的バイオマーカーの設定は重要であり、得られた知見は毒作用発現機序の解明の一助となる。従来の毒性評価は、毒性学的バイオマーカーとしての臨床検査的、組織化学的指標などを基とした伝統的なパラメーターが用いられ、病理組織学的評価と合わせて評価されてきた。この伝統的な毒性評価に加え、分子毒性学的手法・解析やイメージング技術などの新しい科学・技術を基とした多様性科学が積極的に取り入れられ、毒性発現機序の多面的な解析が進み,厳格なリスクアセスメントと賢明なリスクマネジメントの面から毒作用を捉える必要性も増してきている。 最近、毒作用機序解明と意義のある毒性学的バイオマーカー設定のため、多様性科学的アプローチから得られたデータを駆使し、システムズ・トキシコロジー展開への足がかりが出来つつある。分子毒性学的科学・技術の進展は目覚ましいものがあり、遺伝子発現に関しても従来の分子生物学的思考に加えてNon-Coding RNAやEpigeneticsの毒作用発現への関与を視野に入れる必要が生じてきている。 本シンポジウムでは、毒性スクリーニングに関する過去・現在の状況を解説し、将来展望について述べると共にRegulatory Scienceとしての位置づけについても言及する。
著者
堀井 郁夫
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.3, pp.217-221, 2006-03-01
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

創薬初期段階からその薬効・安全性・薬物動態・物性を総合的に評価する事は有用な医薬品を効率的に創生するのに重要である.医薬品開発候補化合物の選択には,多面的な科学領域からの総合的な評価が望まれ,薬理学的・生化学的・生理学的,毒性学的・病理学的,薬物動態学的,化学的,物性的性状などを考慮しながら総合的に評価する実践的挑戦がなされてきている.創薬における探索段階の初期から開発候補化合物選定までの評価試験導入手法のパラダイムシフトの必要性とその実践が今後の創薬の重要挑戦事項である.多面的科学領域からの総合的評価により,(1)薬理作用と毒作用のバランス(薬物動態評価を含めて)からの薬効・安全性評価,(2)物性評価からの開発性の評価(臨床の場での製剤的適応性),(3)構造活性/毒性相関評価(薬理・毒性・薬物動態データ),(4)候補化合物選定のためのランキング設定,(5)当該化合物に潜在しているリスクの明確化とその対応策などが的確にできるようになる事が期待される.<br>