著者
立川 一義 大坊 郁夫
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.307-309, 2000-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

『コミュニケーションの円滑化をたすける香り』をテーマに創作した香水のパーソナルスペース (以後PSと略す) 減少効果を測定し興味深い結果を得た。大学生パネラー30名の協力を得て, 香りなし, 創作香水A, 創作香水B, の3条件で, 前後左右4方向について, ストップデイスタンス法によりPS計測を行った。その結果, 香りなしに比べ, 香水A, Bはそれぞれ面積比換算で50%, 20%のPS減少効果がみとめられた。PS減少の原因を子細に論ずることはできないが, 減少効果のより大きかった香水Aと小さかったBの香りの印象を比較してみた。すると, 香水Aは刺激的, 香水Bは親しみやすいという印象としてとらえられていた。この結果は「嗜好性の高い香りほどPS減少効果が大きいのではないか」という想像に反するもので興味深い。
著者
後藤 学 大坊 郁夫 Goto Manabu Daibo Ikuo ゴトウ マナブ ダイボウ イクオ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.5, pp.93-99, 2005-03

本研究では、参加者69名に対する短期間での社会的スキル訓練の試みと、そのトレーニング効果について検討した。社会的スキル・トレーニングの応用可能性を視野に入れ、参加者が自分自身のコミュニケーション・スタイルを見直し、円滑なコミュニケーションに必要な基本的なスキルを刺激するための簡便なトレーニング・プログラムを構成した。2 日間にわたる短期集中的なトレーニングの結果、参加者の非言語表出性と対人感受性が上昇し、自己抑制傾向が強まっていることが確認された。また、今回のプログラムが多くの参加者の非言語的表出性を高めていた一方、それと比較すると日本的対人スキルにはさほどの影響を及ぼせなかったことが明らかになった。今後、社会的スキル・トレーニングをより幅広い場面で応用していくためには、より多様な条件での実践とその効果に関する詳細な分析が求められる。
著者
立川 一義 大坊 郁夫
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.307-309, 2000
被引用文献数
1

『コミュニケーションの円滑化をたすける香り』をテーマに創作した香水のパーソナルスペース (以後PSと略す) 減少効果を測定し興味深い結果を得た。大学生パネラー30名の協力を得て, 香りなし, 創作香水A, 創作香水B, の3条件で, 前後左右4方向について, ストップデイスタンス法によりPS計測を行った。その結果, 香りなしに比べ, 香水A, Bはそれぞれ面積比換算で50%, 20%のPS減少効果がみとめられた。PS減少の原因を子細に論ずることはできないが, 減少効果のより大きかった香水Aと小さかったBの香りの印象を比較してみた。すると, 香水Aは刺激的, 香水Bは親しみやすいという印象としてとらえられていた。この結果は「嗜好性の高い香りほどPS減少効果が大きいのではないか」という想像に反するもので興味深い。
著者
大坊 郁夫
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.17, no.73, pp.33-40, 1993-11-25 (Released:2017-10-06)
被引用文献数
1

対人コミュニケーションの過程はメディア、個人属性、対人関係、状況など多くの要因からなる。社会的行動の中心的な要因であり、多くの機能を担っている。それは、情報伝達、相互作用調整、親密さの表出、社会的統制の行使、サービス・作業目標の促進などである。これまでのように、チャネルの用いられ方だけでなくその機能を把握していく必要がある。コミュニケーションは対人的な親密さを反映する。その親密さは発言や視線の直接性を高め、しかもそれは、親密さを意味すると解読される。しかし、親密さが結合段階に達すると、さらには増大せず、減退することにも見られるように、コミュニケーションの機能は関係の段階に応じて変化するものでもある。
著者
藤原 健 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.412, pp.59-64, 2013-01-24

本研究では、競争/協調という文脈と、ポシティブ/ネガティブという感情が、笑顔あるいは悲しみ表情の刺激人物に対する会話動機評価にどのような影響を与えるのかについて検討を行った。具体的には、68名の男女大学生を対象に、競争/協調のプライミングおよび感情誘導を兼ねて音楽刺激の提示とエピソード記述を行ったうえで、刺激人物(笑顔 or 悲しみ表情)とどの程度会話したいかについて回答を求めた。その結果、笑顔の人物に対する会話動機で2要因の交互作用が有意となり、競争条件のポシティブ感情群は協調条件のポジティブ感情群よりも会話動機を低く評価していた。また、競争条件のネカティブ感情群は笑顔の人物に対する会話動機を高く評価していた。悲しみ表情の人物に対する会話動機については、競争/協調あるいは感情の効果は有意とならなかった。これらの結果について、適応的気分効果仮説から考察された。
著者
大坊 郁夫
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.11-26, 1982
被引用文献数
3 2

本研究の目的は, 対面的な2人会話事態における発言と視線の時系列的な活動性の構造を, 話者の不安水準と対構成条件との関連で検討しようとするものである。<BR>あらかじめ, TaylorのMASによって高・中・低の3種類の不安者群を規定して短大・大学1年の女子学生各不安者群20名計60名を被験者とした。対面場面において・2人の組み合わせ計6通りを構成し, 会話実験を行った。被験者は互いに未知の者同士であり, 1回24分間の会話を日を変え, 各回異なる中程度の興味の話題で2回行った。本報告では, そのうち初回の記録を分析対象とした。<BR>言語活動性の指標としては, 時系列的に0次の4種類の状態 (同時沈黙, 同時発言, 2名各々の単独発言) を基本として, 各対の総発言時間, 発言総頻度や同時沈黙後の単独発言, さらに, 発言交代に関する2次の状態を用いた。視線活動性の指標としては, 4種類の0次状態 (相互視回避, 相互視, 2名各々の一方視) の他に, 相互視回避後の一方視をとりあげた。いずれも, 頻度, 度数平均時間, 総時間を測度として6分間毎の値を算出した。合計50指標を分析のために用いた。これらの指標値に主因子分析, Varimax回転法を適用し, その因子負荷量, 因子得点を算出した。<BR>因子分析の結果によると, 言語活動性と視線活動性とは因子的には独立の構造を各々示している。抽出された因子は, 言語活動性, 視線活動性各々についての共同的な活動性, 個体単独の活動性, 会話相手単独の活動性であり, さらに発言中断生起性, 個体単独, 相手単独の沈黙後発言の因子, 相手の発言持続-発言中断の強さの因子であった。なお, 言語活動性の因子次元は, 非対面会話事態での因子次元と類似している。<BR>話者間の不安水準差の有無 (不安落差群, 一致群) ごとに因子的特徴を比較すると, 共同的な活動性については, 発言面では, 不安落差群>不安一致群, 視線活動面では, 不安一致群>不安落差群の大小関係が認められた。個々の活動性については, 言語活動性では, 不安一致群>不安落差群, 視線活動性では, これと逆転した関係があり, 二重の相補的関係が認められた。<BR>発言と視線の動きとは独立のチャンネルを形成しているが, 相互作用者間の関係によって, 顕著な有機的関係を示すものであることが知られた。また, 不安落差群, 一致群間の判別的特徴を示す因子のなかでは, 個体発言, 中断の生起性因子, 共同的な言語活動性因子の有効性が視線活動牲よりも大きいことが知られた。<BR>両話者の個体単独の活動性を示す指標間の関係を比較すると, 一回あたりの単独発言時間は, 正の相関関係を示すものの, 発言の総時間については, 2名の間に負の相関関係があり, 会話全体としての一定の水準を保つ相補的な関係がみられる。また, 両者の視線活動性について, および言語活動牲と視線活動性との間にも話者間で弱いが相互依存的な関係が認められる。しかし, その関係は, 不安落差の有無という話者の対構成条件によって異なる。<BR>これらのことから, 単純な加算的見方ではないコミュニケーションの多次元的な研究の必要性, コミュニケーションにおける相互作用者間の関係の重要性が指摘できる。
著者
毛 新華 大坊 郁夫
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.22-40, 2016-08-25 (Released:2016-08-25)
参考文献数
47

The cognitive and behavioral effectiveness of a social skills training (SST) program involving uniquely Chinese cultural characteristics was investigated through self- and others’ assessment. Chinese undergraduates (N=39) were divided into a control group and an SST group. The SST group participated a brief SST program that was developed by incorporating cross-cultural social skills and unique Chinese cultural characteristics. The control group participated in a program that bears no relationship to social skills. In order to examine the behavioral effectiveness of the program, a series of conversational and observational experiments was conducted. The results indicated that Chinese, cross-cultural, and Japanese social skills’ scores of the SST group increased significantly after the program compared with the control group. This suggested the effectiveness of the program on participants’ cognition. The scales for evaluating participants’ behaviors from self-observations and those of other observers also showed significant changes in the SST group. It is concluded that the program was effective for changing participants’ behaviors in addition to their cognition. Simultaneous changes in Chinese and Japanese skill factors suggested the possibility that cultural factors are connected to each other.
著者
藤本 学 大坊 郁夫
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.23-32, 2007
被引用文献数
1

This study aimed to examine participants' predication patterns in small group communications. Distinctive prediction patterns from utterance data were extracted from two experiments which were different in acquaintanceship, controlled situations and group size. Specific patterns were related to personal traits. The interesting difference of the predication patterns between Study 1 and Study 2 was the presence or absence of "listeners." In Study 1, which has conversations by three persons, the participants needed to be actively involved in conversations to establish communication. In contrast, the participants in large groups were able to participate passively in conversation. Therefore, the notion of "listener" as a predication pattern was extracted from Study 2, which has conversations by five persons.
著者
上出 寛子 大坊 郁夫 趙 〓珍 高橋 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.385, pp.33-38, 2005-10-27
被引用文献数
10

社会的スキルが, 顔面表情時の顔形態特徴に与える影響について, 韓国人の大学生を用いて検討を行った.84名の大学生(男性37名, 女性47名)が真顔・幸福・怒りの表情を表出し, 各表情を3次元計測器を用いて撮影した.各表情の顔形態特徴と社会的スキルとの関連を調べた結果, スキル得点が高いと, 口や顎周辺と, 目や眉毛周辺という顔の上下部位の表情が豊かであるということが示された.男女別の検討では, スキル得点の高い男性は, 口や顎周辺の表情が豊かであり, スキル得点の高い女性は, 目の表情が豊かであることが示された.また, 社会的スキルの判別分析では, 男性の方が女性よりも表現力の識別には多くの顔形態部位が必要であり, また, 男女共に目の周辺や顎, 口の周辺の表情が重要であることが明らかとなった.さらに, 目の周辺や鼻, 眉の動かし方が豊かであると, 基本的なスキルが高いことも明らかとなった.
著者
松田 昌史 八重樫 海人 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.457, pp.79-84, 2010-03-01
被引用文献数
3

ビデオ会議システムは,対面状況と同等なコミュニケーション環境を遠隔地間につくり出すことを目標の一つとしている.本稿では,遠隔地と空間共有を目指すt-Roomを取り上げ,同システムがこの目標を満たしているかどうかを評価した.本稿では評価法に関するロジックと,実際に評価を行った結果について報告する.評価の結果,必ずしも対面状況と同等の結果が得られるわけではないが,t-Roomでは対面状況と同様に平等的な選択がなされやすいことがわかった.また,地点間の人数の不均衡によるバイアスは発生せず,その点においては対面状況と同等であるとみなせることがわかった.
著者
松田 昌史 八重樫 海人 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.383, pp.37-42, 2011-01-14
被引用文献数
1

ビデオ会議システムの究極の目標の一つは,対面状況と同等な環境を遠隔地間に作り出すことにあると言える.本研究は,遠隔地間で利用者の相対位置を共有することのできるビデオコミュニケーションシステムt-Roomを取り上げ,同システムがこの目標を満たしているか確かめることを目標とする.本稿では評価法に関するロジックと,実際の評価について説明し,先行実験の結果を確認するための追加実験のデータを報告する.追加実験の結果,先行実験の結果がおおむね再現され,t-Roomは対面状況と同様な合議結果がもたらされやすいことがわかった.