著者
太田 雅子
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.39-44, 1997-03-31 (Released:2009-07-23)
参考文献数
10

本稿では, 「因果的説明が因果関係を表すならば, それは何と何との間に成り立つ関係なのか?」という問題提起のもとに考察を行う。「因果的説明」には, 「cがeを引き起こした」という形の単称因果言明の他に, 文を単位として理由を表す言明「AだからBである」または「BなのはAだからだ」をも含めて考えることとする。手順としては,「出来事」を因果関係の関係項とする立場を取り上げた後, それ以外の存在者 (事実, 性質など) もまた因果関係を構成しうることを示し, それによって因果的説明にもたらされる利点を明らかにしたいと思う。
著者
太田 雅子
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.15-27, 2004-07-25 (Released:2009-05-29)
参考文献数
11

It is thought that the problem of self-deception is difficult to treat because it includes a paradox. I investigate under what conditions self-deception occurs, rather than how the paradox is solved. I think one of the important conditions of selfdeception is that the two apparently contradicting beliefs coexist without either of them being unconscious. After surveying the discussions concerning whether self-deception is intentional, I focus on the role of "motivation", following Alfred Mele, and try to state the necessary and sufficient conditions of self-deception on the basis of the motivations and situa-tions of the self-deceivers.
著者
中西 悠斗 七丈 直弘 伊藤 泰久 杉 正夫 ルネルバホイ グエダ 太田 順
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.563-564, 2011

本研究では,スケジューリング手法を用いたアニメーション制作の生産性向上に注目する.現状の制作体制を調査し,作画工程を構成する各段階での生成物と,人員の関係性をモデル化した.このモデルから課題を抽出した結果,スケジューリング手法の適用による改善が見込める課題として,制作進行が行う進捗チェックおよび作画監督が行う修正作業が律速過程となっていることを発見した.
著者
太田 達也
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.438-450, 2008-04-10 (Released:2020-11-05)
著者
太田 達也
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.431-434, 2007-04-01 (Released:2020-11-05)
著者
太田 陽子 ピラツオリ P. 河名 俊男 森脇 広
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.185-194, 1985-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
25
被引用文献数
7 11

琉球列島南部の小浜島・黒島・波照間島の3島(第1図)について,海成段丘,離水ノッチ,ビーチロック,貝・フジツボ・サンゴ化石など,完新世に形成されたと思われる海岸地形・堆積物・化石を調査した.調査した島の地形分類図,試料採取地点などは第2, 4, 5図に,試料のC-14年代は第2表に示される.これらの3島では約4,000yBPから1,000yBPの間の海水準は今よりわずかに高い位置にあったと思われる.すなわち,小浜島では海成段丘堆積物中の貝や原地性のサンゴのC-14年代はそれぞれ約2,600yBP, 3,300yBPで,旧海面は海抜約1mの位置にある.黒島ではビーチロック中の貝化石のC-14年代は約4,200yBPで,旧海面の年代を示すビーチロックやフジツボがやはり海抜約1mの高さに見出される.以上のように,これらの3島においては約4,000年前以降に今より約1m高い位置に海面があり,それ以降わずかながら離水したことが認められる.しかし,日本の各地にみられる縄文海進最盛期(約6,000年前)を示す資料はこれら3島から現在のところ見出すことはできなかった.なお波照間島の南東岸,高那崎付近の海抜約20mに達する平坦面上にサンゴ石灰岩の巨礫が多数みられる.これはその配列の方向やC-14年代から,1771年の明和地震による津波の堆積物であることが明らかになった.
著者
太田 勇
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.115-129, 1985-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
39
被引用文献数
1 1

シンガポールの今日の経済繁栄は,全国民の英語化政策に象徴される強力な国民統合への努力に負うところが大きい.政府関係者はもちろん,ほとんどすべてのシンガポール人学者が,この政策を高く評価している.しかしその反面,独立後20年間に強行された華語系人への抑圧は語られず,現在の政治的安定と物的生活の向上にのみ注意が払われがちである.ここへ至るまでに,英語系エリート主導の人民行動党政府が,いかに華語教育を衰退させたか,いかにアジア系公用語の地位を低下させたかがもっと重視されてよい。筆者はこの観点から,シンガポールの経済繁栄は多数派の華語華人の文化的敗北をもたらし,華語の社会的機能を少数派言語のマレー,タミル両語並みに低めたことに言及した。 また,英語国化をとげつつあるが,シンガポール独自の文化的特色を反映させた言語の土着化には賛成が少なく,イギリス英語至上の思想が指導者層に一般化している.彼らにとっては,国際的に通用する英語こそが習得に価いするのであり,局地的にしか使われない型の英語は異端なのである.それは,国の経済規模が小さく,政治的には国際情勢の影響を大きく受ける小島国が,もっとも効率よく自言語を発展させる智恵の表れでもあろう.かくして,シンガポールはその経済発展の基盤と,将来の言語文化の方向とを,植民地時代の遺産継承の形で確立している.
著者
寺本 洋一 馬場 尊 才藤 栄一 太田 喜久夫
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, 2003-03-18

健常成人8人(平均35.6歳)を対象に,息こらえによる酸素分圧の低下が酸素飽和度に反映されるかを検証した.実測値の測定は最大吸気から約1,2,3l/呼気し息こらえを開始し,パルスオキシメーターにて安静時,20,40,60秒後,最低の酸素飽和度を測定,息止め時間も記録した.理論値の測定は,Borenの残気量予測式等を用い,肺胞内空気の酸素消費に着目し算出した.実測値と理論値の比較で最高(R=0.85)の相関を認めた.実測値と予測値には10〜20秒のタイムラグがあり,約10〜20秒後の実測値において,予測値とほぼ同値の酸素飽和度が認められた.肺胞壁内毛細血管から上肢末梢血管まで血液が循環するのに必要な時間を考慮する必要があった.予測値と20秒後の実測値の相関をみると最高R=0.81の相関を認めた.各症例の酸素飽和度低下度と各パラメーターとの相関では高年齢,肥満,低肺活量,低活動性,smoking index高値の症例において酸素飽和度低下の傾向が著しいことが示唆された.