著者
朝廣 雄一 宮野 英次 宮崎 修一 吉牟田 拓朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.405, pp.15-22, 2006-11-27

グラフ上での地図作成問題とは,探索者が未知のグラフの全ての頂点を訪問することによりグラフ構造を調査する問題である.探索者は辺の存在とその長さをその端点を訪れるまで判らないとする.探索者は,できるだけ短い経路を通ることにより全ての頂点と辺を調査して,出発点まで戻って来なければならない.本問題に対する最も単純な方法の一つは,最近傍アルゴリズム(NN)であり,まだ訪れていない頂点の中で探索者の現在の場所から最も近い場所に移動する戦略である.重み付き最近傍アルゴリズム(WNN)は,NNの拡張であり,ある重み付きの距離により次の移動場所を決める.平面グラフにおいては,重み3であるWNNが16競合であることが知られている.本稿ではサイクルグラフについては,NNの競合比が1.5となること,その解析が厳密であることを示す.また,サイクルグラフに対してはWNNの中でNNが最適であることを示す.さらに,本問題に対しては,1.25競合よりも良いアルゴリズムが存在しないことを示す.
著者
宮崎 修二
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.57-82, 2003-09-30 (Released:2010-03-12)
参考文献数
60

In the research of ancient Palestine, Tel Zeror, located in the northern Sharon plain, is generally considered to be a site once occupied by the Sikil Sea People (formerly known in the scholarship as Tjekker) in the early Iron Age. The examination of artifacts brought from mid 1960s excavations of Tel Zeror, some of which are examined here for the first time, reveals that the site's ethnic association with the Sikils is not sufficiently supported, despite the fact that some “Philistine” indicators, such as the lion-headed cup, or “rhyton”, and bottle pyxis were found at the site. The material culture revealed by the early Iron Age layers, including collared-rim pithoi, fails to demonstrate that a certain ethnic group was dominant among the population of Tel Zeror in this period. Furthermore, the common assumption that a fortress that once stood at Tel Zeror that dates back to the late 11th century BC was built by the Sikils is belied by the fact that recent excavations at nearby Dor indicate that the Sikil's settlement there had been destroyed before the fortress was constructed at Tel Zeror.The history of the northern Sharon plain in the late 11th century BC should not be characterized chiefly in terms of Philistine material culture. The local Canaanite tradition still existed, and “Phoenician” influences had started to emerge. The Philistine, or Sea Peoples, culture only played a limited role outside the southern coastal plain, with the probable exceptions of coastal cities in the north, like Dor and Akko. It is more likely that the basic cultural character of early Iron Age Tel Zeror belonged to the continuity of the local tradition. New elements, which can possibly interpreted as belonging to the Sea Peoples, do not have any significance in the material culture of early Iron Age Tel Zeror, particularly in the late 11th century BC. Archaeologically, the Sikil's dominance over the northern Sharon plain cannot be demonstrated in the way most scholars have come to accept.
著者
宮崎 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.195-199, 2005-03-01
被引用文献数
1

安定結婚問題は二部グラフにおけるマッチング問題の一種である.複数の男女がおり, 各人は異性を自分の好みで順序付けした希望リストを持っている.その希望リストに基づいて「安定性」を満たすマッチング(結婚)を求めるのが, 安定結婚問題である.この問題は, アメリカの研修医配属への応用が有名であるが, 近年日本の研修医配属でも利用され始めた.本稿では, 安定結婚問題の基本的性質や応用例を紹介する.
著者
岡部 寿男 宮崎 修一 廣瀬 勝一
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

物理的に離れた場所にいるプレイヤがネットワーク上で対戦ゲームを行う環境構築の基盤を作ることが本研究の目標である。信頼できるサーバを用意することにより容易に実現できるが、サーバ自身の不正やサーバの負荷を考え、サーバなしのいわゆるpeer-to-peer型の環境を対象とする。そのような条件下で、対戦相手の不正を如何に防御するかを考察するのが、本研究の目的である。これまでの研究において、順序機械を用いてゲームを形式的に定義し、その定式化の汎用性を示すとともに、具体的ゲーム(軍人将棋)に対して計算量の削減を行いJaval.4を使って実装した。本年度は、その関連研究として、プライバシーを確保したまま二者間で情報をやりとりし、所望の計算結果(主に認証、認可)を得るためのプロトコルの研究を行った。本研究では、基盤となる認証体系としてShibbolethを仮定し、その上で「マジックプロトコル」と呼ばれる暗号技術を利用して所望のプロトコルを実現する方法を提案した。以下に例を2つ挙げる。例えば、年齢制限のあるWebコンテンツの閲覧の為には、利用者は制限年齢より上であることを証明すれば良く、自分の年齢そのものはできるだけ公開したくない。また、サービス提供側も、年齢制限がどこにあるのかを公開したくない場合がある。このような状況で、お互いに自分の秘密情報を公開しないまま、結果となる判定だけは正しく行いたいという要求が生じるが、これを、Yaoの金持ち比べプロトコル(2人の参加者が、自分の所持金を相手に知らせずに、どちらが金持ちかを正しく判定するプロトコル)を用いて解決した。また、例えば、会社の採用の条件として、大学時代に科目Aの単位を取得しているという条件を課している場合、会社はそれがどの科目であるかを明かさずに、また、大学側は、その科目A以外の単位取得状況は知らせずに、学生が科目Aの単位を取得しているか否かのみを、会社が知るという要求が考えられる。この問題は、紛失通信というプロトコルを応用することにより解決した。
著者
横山 伊徳 中野 等 箱石 大 杉本 史子 高野 信治 吉田 昌彦 井上 敏幸 井上 敏幸 梶原 良則 小宮 木代良 杉本 史子 高野 信治 宮崎 修多 吉田 昌彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

天領豊後日田の広瀬家に伝わる未整理の史料群(大分県日田市・広瀬資料館所蔵「広瀬先賢文庫」)について文書構造を検討して目録を作成し、研究・教育に活用可能な状況を創り出した。また、同史料に基づく共同研究を実施し、近世後期から幕末維新期にかけての広瀬家を中心とする地域ネットワークの実態を、政治情報・経済情報・思想言説という、三つの視角から究明し、報告書にまとめた。
著者
滝沢 茂 大槻 憲四郎 宮崎 修一 田中 秀実 西川 修 松井 智彰 八田 珠朗 興野 純 小澤 佳奈
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

地震断層を引き起こした地殻の歪みエネルギーは主に粉砕粒子の非晶質化に費やされると予測して、粉砕粒子内の非晶質化を示し溶解熱測定を行った。この溶解熱測定はフッカ水素酸液用の試料カプセの開発に成功した。このカプセルは国内外を通じて例がない。特殊なカプセルで溶解熱を測定した結果、石英結晶をアモルファス化するのに要した熱量は約2000J/gであり、これをエネルギー量に換算すると1011ergオーダーとなる。この新知見に基づくと地震断層時の破壊エネルギーは表面エネルギー、すべり摩擦熱エネルギーおよび波動エネルギーとして分配され、主に消費されるエネルギーはすべり摩擦熱エネルギーと波動エネルギーと考えらているが、本研究課題の結論は最も消費エネルギーの大きいのは、結晶内消費エネルギーで、この事は新知見で物質地震学の新展開となる。
著者
宮崎 修次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.795-801, 2006-03-15
被引用文献数
2

有向グラフの確率行列表現と区分線形一次元写像のフロベニウス・ペロン演算子の行列表現を対応させることで,有向グラフの構造を力学系と関連付けることができることを示す.力学量の粗視量の大偏差統計を解明するというカオス力学系の研究手法をグラフ理論に適用する試みを紹介する.簡単な有向ネットワークを例にとり,統計熱力学形式により内在するループを個別に取り出したり,ノードから発する矢印の数の揺らぎをとらえたりすることができることを示す.Directed network such asWWWcan be represented by a stochastic matrix. Comparing this matrix to a Frobenius-Perron matrix of a chaotic piece-wise linear one-dimensional map whose domain can be divided into Markov sub-intervals, we are able to relate network structure to chaotic dynamics. Just like various large-deviation properties of local expansion rates (finitetime Lyapunov exponents) related to chaotic dynamics, we can also discuss those properties of network structure.