著者
山下 光
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.175, pp.175_144-175_157, 2014

This article examines new/neo humanitarianism in a wider context of post-Cold War international relations and argues that its emergence corresponds to an important shift in the meaning of the political in today's international relations. It describes the shift in terms of the contrast between two logics of politics: the conventional "logic of distinction," whereby political processes take place between territorially separated, sovereign entities, and the newer "logic of translucency" in which new values (and risks) are generated by the actor's ability and will to extend beyond its material and ideational boundaries. The logic of translucency has been adopted by many actors who thereby aim to generate new values and extend the reach of their own activities. From this perspective, new humanitarianism, which seeks linkage to the activities that were once off limits to traditional humanitarianism (military intervention, development and governance), can be seen as another example of the ideational and practical socialization to a new political landscape. However, as political actors acting on the logic of translucency each try to extend themselves beyond their traditional realms, dilemmas, contradictions, clashes and conundrums tend to occur: the logic of translucency ironically thus generates diverse forms of "murkiness," creating in turn a new desire for translucency.<br>The current crisis in humanitarian assistance (kidnappings, killings and obstructions against humanitarian personnel) can be seen as part of the murky consequences of new humanitarianism and politics and, as such, cannot be blamed solely on the post-911 tendency of the humanitarianization of politics, i.e., the utilization by state authorities and militaries of humanitarian arguments and programs to serve their ends. This article also suggests that new humanitarianism as well as its murky consequences cannot be wished away by insisting that humanitarianism should go back to the basics, because the changing nature of humanitarianism has deeper roots in the changing nature of politics in general.
著者
山下 光雄 清 和成 惣田 訓 池 道彦
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2010年度日本地球化学会第57回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.33, 2010 (Released:2010-08-30)

セレンは、一般的には-2、0、+4及び+6の原子価(酸化数)を持つ形態をとる非金属元素である。元素態セレン(0)は水に不溶性であり、酸化や還元作用が受けにくく、安定な形態である。セレン化物(-2)は、水素化物、有機物、金属との化合物として存在する。一方、急性及び慢性毒性を持つ酸化物であるセレン酸(+6)および亜セレン酸(+4)は、安定な水溶性イオンとして存在する。セレンの工業的利用は、化学薬品から冶金用途に至るまで多岐に渡っている。人的活動がセレン循環に大影響を及ぼすことから、高濃度セレン汚染を防止するために、排水基準が0.1ppmに定められている。発表達はこれまでセレン酸(+6)を特異的に元素態セレン(0)に還元する異なる2種類のセレン酸還元細菌を分離、機能解析してきた。セレン酸(+6)を排水中から直接除去することは現時点でも容易ではないことから、上記の微生物の還元作用を利用すれば、比較的容易にセレン酸(+6)から元素態セレン(0)に還元し、物理化学的処理を必要としない経済性の高い、除去回収プロセスに応用できるのではないかと考えられる。このような金属代謝に関与する微生物機能を探索・駆使して利用するテクノロジーは、今世紀の元素戦略の重要な役割を担うと考えている。
著者
山下 光
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3+4, pp.125-132, 2017 (Released:2018-04-12)
参考文献数
15

【要旨】神経心理学的評価は、対象者のパフォーマンスを測定することで広汎な認知機能の状態を査定する技法である。その対象領域には記憶、注意、処理速度、推論、判断、問題解決、空間認知、言語等が含まれる。欧米諸国では、神経心理学的アセスメントは神経科学と心理測定学に関して博士課程レベルのトレーニングを受けた臨床神経心理学者が担当する。しかし、わが国の神経心理学は、主に神経内科医や精神科医によって発展させられてきた経緯がある。そのため、近年神経心理学的アセスメントの需要が増加しているにもかかわらず、実用的な検査が少ないという問題がある。また、様々な欧米の検査が邦訳され使用されているが、その妥当性や信頼性、有用性は確認されていない。わが国の神経心理学が今後も発展を続けていくためには、医学と心理学がそれぞれの専門性を尊重した新しい協力関係を構築することが必要である。
著者
渡邊 智子 鈴木 亜夕帆 山下 光雄
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.121-128, 2011-09-30 (Released:2011-10-27)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

The materials to take in iodine properly from diets were created with the use of the Tables 2010. The study proved that a large amount of Iodine is taken in from soup stock made from tangle: iodine of 12,300μg in 150g of one intake of tangle as a guide. Algae as standard food in Japan contains iodine most specifically and animal food does it next to algae except for meat while vegetable food does little except for algae and processed food. Food experts can grasp and analyze the actual condition regarding amount of intake of iodine from food and diets with the tables 1 to 5 made in this study, as a result of which guidance and plan about diets can be carried out easily. These tables are expected to be utilized properly depending on the intended use.
著者
山下 光
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高次脳機能障害の神経心理学的アセスメントを実施する際の問題点とその対策について,主に大学生を対象とした実験的研究によって検討した。その主な成果は以下のようなものである。(1)神経心理検査における利き手の影響について新しい知見を得た。また日本人の基準データを呈示することが出来た。(2)左右弁別能力の測定方法と,個人差について新しい知見を得た。(3)学習におけるテスト効果(testing effect)が,高齢者においても生じることを実験的に証明した。(4)神経心理検査における虚偽反応について実験的な検討を行い,臨床にも有用な知見を得た。(5)くすぐりに関する基本的な実験手法を確立した。
著者
山下 光
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.281, 2016-03-01

10年以上にわたり,わが国で一般的な八田・中塚(HN)式利き手検査1)と,国際性の高いエジンバラ利き手検査(EHI)1)で大学生の利き手を調べてきましたが,最近気になることがありました。 2014年度の医学部新入生141名に実施したHN式では,8名(5.7%)が左利きと判定されましたが,右利き(115名)・両手利き(18名)の合計133名中24名(18%)が,マッチをするとき左手で軸を持つと回答しています。しかし,左手でマッチをする人が2割近くもいるとは思えません。同時に実施したEHI(八田訳)にもマッチに関する質問がありますが(「マッチをする手はどちらですか」),それに対しては,全員が「右手」と答えています。どうやら,今の大学生には「マッチの軸」という言葉がわからないというのが真相のようです。確かに「マッチの軸って棒のほうですか,箱のほうですか」という質問が複数ありました。そこで2015年度はHN式の項目を「マッチをするとき,軸(棒のほう)をどちらの手で持ちますか」に変更したところ,右利き129名,両手利き16名の合計145名中,「左手」と回答したのは1名のみでした。
著者
江後 迪子 山下 光雄
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.106-113, 1997

The Japanese sweets which appeared intherecord of the 16th and 17th century were studied by employing the literature &ldquo;Onari&rdquo; and &ldquo;Chakai&rdquo; from the 16th to the 17th and &ldquo;The Menu of Chosentsusinsi&rdquo;. The introduction of the processed sweets and the historical changes of the sweets were investigated.<br>The result showed that nuts and fruits were popular in the 16th century, while the processed sweets and Nanban sweets were increased in quantity and variety. It was greatly influenced by the entertainment of Chosentsusinsi.
著者
山下 光 山鳥 重
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.651-658, 1994-09-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
38
被引用文献数
1 1
著者
田中 和宏 井口 寿郎 川畑 明治 山下 光則 川野 洋 今村 一秋
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.23-30, 1996-08-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

搾乳牛の分娩時期によって泌乳曲線がどのように変化するかを考察する目的で, 分娩月別泌乳曲線を作成し, 分娩月別の乳牛による夏期における生産性や経済性を検討した。初産, 経産牛ともに4~8月分娩牛はピークのほとんどない泌乳曲線になり, 特に乳量水準の高い8, 000kg以上の牛で5~8月分娩牛になると乳量水準も低くなった。2~4月分娩牛の305日生産乳代がもっとも高く, 5, 6月分娩牛がもっとも低く, 8~12月分娩牛は夏期乳生産にほとんど貢献していなかった。結論として夏期需要期における乳生産のためには, 分娩時期を考慮することが必要であり, 経済性と繁殖サイクルを含む生産性から考慮すれば, 夏 (5~7月) 分娩は望ましくなく, それよりやや早い2~4月分娩の方がより望ましいと考えられる。
著者
室岡 義勝 山下 光雄
出版者
日本乳酸菌学会誌
雑誌
日本乳酸菌学会誌 = Journal of Japan Society for Lactic Acid Bacteria (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.72-79, 2003-12-01
参考文献数
25
被引用文献数
2

フィリピンの発酵食品「Burong Isda」よりデンプン分解能を有する乳酸菌を分離し,<I>Lactobacillusplplantarum</I>Ll37と命名した。このL137株は,15種類のプラスミドを保持し,その一部を欠失した株は,アミラーゼ分解能を失った。熱殺菌したL137株は他の乳酸菌株と比べ, 顕著にIL-12およびinter feron-γを誘導し,anti-casein IgEを抑制した。これは,乳酸菌がアレルギー脱感作する可能性をIL-12レベルで示した最初の報告である。また,L137株は移植ガン抑制作用を持ち,IL-12誘導と相関性があることが示された。この乳酸菌の有効利用を目的として,発現ベクターの開発をした。この過程で,脂肪酸合成の第1段階であるアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子群の<I>acc</I>オペロンを発見し,乳酸菌の脂肪酸要求の特徴を明らかにした。乳酸菌由来<I>acc</I>や<I>ldh</I>プロモーターを利用して,コレステロール酸化酵素遣伝子およびダニアレルゲン遺伝子の発現に成功した。<BR>この様に,乳酸菌に新機能を付与することにより,コレステロール分解を促進する株あるいは,アレルギーの減感作に役立つなど,高機能プロバイオティクス細菌を創生する糸口が得られた。
著者
山下 主子 大角 幸雄 山下 光 山鳥 重
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.319-326, 2000 (Released:2006-04-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

動詞の想起障害と助詞の誤りが顕著な失語症の1例を報告した。症例は60歳の右利き女性で,頭部交通外傷により非流暢性失語症と右不全片麻痺を生じた。頭部MRIでは,左大脳半球の皮質領域に高信号域を示す散在性病変が認められ,右半球の前頭葉内側部にも一部及んでいた。日常会話や物品の使用法の説明課題において,名詞の想起が比較的保たれていたのに対して,動詞の想起障害と助詞の誤りが顕著だった。そこで,動作絵の説明課題を経時的に実施することによって本例の動詞と助詞の回復過程を検討し,動詞の想起障害と文法能力との関係を考察した。6ヵ月後,動詞の想起と助詞の使用はそれぞれ改善した。助詞の選択は動詞の正答,誤答にかかわらず同じように改善したことから両者はある程度独立した能力であると考えられた。本例の多発性病変からは解剖学的考察はできないが,動詞の想起と助詞の選択は異なった神経基盤の上に成り立っている可能性が示唆された。
著者
山下 光
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.140-148, 1997 (Released:2006-05-12)
参考文献数
33

A. D. Baddeleyによって提唱された (Baddeleyら 1974) ,ワーキングメモリー・モデルの成立と発展の過程と,臨床神経心理学との関係について論じた。Baddeleyがワーキングメモリーの3項モデル (ワーキングメモリーが,言語情報の一時的保持を行う音韻ループ,視空間情報の一時保持を行う視空間スケッチパッド,それらをコントロールする中央制御部の3つの下位システムから構成されている) を提案した契機になったのは,Warringtonら (1969) による短期記憶症候群の発見であり,当初は音韻ループと言語性短期記憶に関する研究が注目された。しかし,その後はワーキングメモリー (特に中央制御部) と,前頭葉機能の関係に関する研究が増加している。最近,脳科学における学際的な研究領域として認知神経科学が活況を呈しているが,ワーキングメモリーはそのもっとも重要なキーワードとして広く認知されつつある。
著者
江後 迪子 山下 光雄
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.106-113, 1997-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
35

The Japanese sweets which appeared intherecord of the 16th and 17th century were studied by employing the literature “Onari” and “Chakai” from the 16th to the 17th and “The Menu of Chosentsusinsi”. The introduction of the processed sweets and the historical changes of the sweets were investigated.The result showed that nuts and fruits were popular in the 16th century, while the processed sweets and Nanban sweets were increased in quantity and variety. It was greatly influenced by the entertainment of Chosentsusinsi.
著者
吉岡 秀敏 花島 直彦 疋田 弘光 山下 光久
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会 部門大会/部門学術講演会資料
巻号頁・発行日
vol.34, pp.41, 2002

柔軟構造物に有効な制御手法の1つであるコロケーテッドフィードバック制御は, システムの力学的性質を利用し高いロバスト性を実現することが可能である. しかし, その制御法の安定性は連続時間系において考えられたものであるため, 零次ホールダによる離散化で実装しようとした場合にフィードバックゲインの大きさによっては不安定になり得る. そこでその問題について考え, 安定にする手法として区間定数ホールダ, ゲイン調整フィルタの2つを1リンク柔軟ビームの回転位置制御に適用し, シミュレーションにより比較する.