著者
山口 泰彦 久恒 泰宏 木村 朋義 小松 孝雪 内山 洋一
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1113-1120, 1995-12-01
被引用文献数
29 9

本論文は最近,咬合の診査に用いられはじめた工業用の感圧フィルムを応用したデンタルプレスケールについて検討したものである.咬合接触部位を診査する上で原理的には咬台紙を用いるのと似ているが,これの特徴は各々の咬合接触部位の接触圧が測定できることにある.したがって,顎の機能異常の診断などにその応用が期待されている.しかし,フィルムの厚さや物性によって,咬合のさせ方によっては本来の接触圧が正確に測定できない場合もあるので,本論文はその使用上の特性を明らかにし,それを踏まえて臨床で有効に使用しようとするものである.
著者
幸地 省子 松井 桂子 飯野 光喜 高橋 哲 玉木 祐介 森川 秀広 福田 雅幸 君塚 哲 熊谷 正浩 斎藤 哲夫 猪狩 俊郎 山口 泰 越後 成志 手島 貞一
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.972-983, 1993
被引用文献数
29 2 2

The aim of this study was to clarify the factors which influenced the successful of bony bridging following bone grafts into the alveolar cleft with autogenous particulate cancellous bone harvested from iliac bone.<BR>The bone bridge build up in the alveolar cleft was assessed by periapical radiographs taken before and 18-23 months after the operation. Successful bony bridging defined as a bone bridge with a vertical height of greater than about 11mm, was observed in 123 of all 202 clefts. The frequency of successful bony bridging decreased with increasing severity of cleft type. Successful bony bridging was achieved in 81.8% of unilateral cleft lip and alveolus patients and in only 45.2% of bilateral cleft lip and palate patients. Moreover, the frequency of successful bony bridging was significantly negatively correlated with the width of the cleft. The present study has clearly shown at least two major determinants of successful bony bridging: 1) the cleft type, and 2) the width of the cleft.
著者
後藤田 章人 山口 泰彦 岡田 和樹 松樹 隆光
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.93-102, 2007-02-28
被引用文献数
2

本研究の目的は,咀嚼筋活動や顎位など管楽器演奏時の顎機能の特徴を明らかにし,管楽器演奏により顎関節や咀嚼筋へかかる負荷を検討することである.被験者として金管楽器奏者18名,木管楽器奏者12名を対象に管楽器演奏時の咬筋,側頭筋,口輪筋,顎二腹筋の筋電図測定,および下顎切歯点の移動距離の測定を行い,以下の結果を得た.1.口輪筋,顎二腹筋の筋活動量は比較的大きかったが,咬筋,側頭筋の活動量は最大咬みしめ時に比較すると極めて小さかった.2.音量の大小で各筋の活動量に明らかな変化はなかった.3.金管群と木管群の楽器群間では咬筋,側頭筋,顎二腹筋の筋活動量に明らかな差はなかったが,金管群の方が咬筋活動量の個人間のばらつきが大きかった.4.下顎切歯点については,木管群の方が下方への移動量が大きかったが,移動方向の個人間のばらつきは金管群の方が大きかった.以上より,一般的な楽器演奏では閉口筋の緊張は僅かであり,顎関節への圧縮方向の力の負荷は少ない可能性が示唆されたが,個人差の影響についての今後の検討が必要と考えられた.
著者
野川 春夫 萩 裕美子 山口 泰雄
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本研究の目的は、スポーツイベントに参加するツーリストの消費行動と支出傾向を調査することによって日本人のスポーツ・ツーリズムの実態を明らかにすると共に、スポーツ・ツアーがスポーツイベント開催地にもたらす経済効果を考究することであった。具体的には、1993年2月末にフィールド調査(奥日光クロスカントリースキー大会)で収集したデータの分析を行い、その研究成果を平成5年度の日本体育学会(11月大阪府)において発表するとともに、鹿屋体育大学研究紀要第11巻に『スポーツ・ツーリズムに関する研究II』として掲載される。また、1992年11月に実施した日本最大のウォーキングイベントである日本スリーデーマーチ(埼玉県東松山市)の調査データを分析・検討し、国際保健体育レクリエーシヨン協議会(ICHPER)第36年次世界大会(横浜市開催:1993年8月18〜22日)に『A Study of Japanese Sport Tourists』として発表し、Proceedingsに掲載されている。さらに、日本ウォーキング研究会第3回定例発表会(1993年9月28日:東京)において発表した。1993年11月には全国レベルの生涯スポーツイベントである日本スリーデーマーチの追跡調査を実施し、本助成金の研究成果報告書『スポーツ・ツーリズムと経済効果に関する研究』(印刷中)の参考資料として発表することになつている。生涯スポーツイベントよりもエリートスポーツイベント的な全国レベルの大会としてトライアスロンジャパンカップイン佐渡大会(新潟県佐渡島:1993年9月)を遊び、トライアスリートのフィールド調査を実施し、データの分析・検討を行い、前述の「奥日光クロスカントリースキー大会」と「日本スリーデーマーチ」の研究成果と併せて、月刊社会教育に『地域におけるスポーツイベントの動向』として発表し、さらに日本のスポーツ・ツーリズムの実態とその経済効果をまとめ、研究成果報告書『スポーツ・ツーリズムと経済効果に関する研究』(印刷中)を作成した。
著者
山口 泰雄 武隈 晃 野川 春夫 杉山 重利 大沼 義彦 高橋 伸次
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成11年度は、昨年度の研究成果を整理し、本年度の研究計画を立てた。海外調査は、「北米班」と「オセアニア班」に分かれて、イベント調査と団体調査を実施した。北米調査においては、障害者の国際スポーツ統括団体である「スペシャルオリンピック」の事務局を訪ね、ヒアリング調査と関連資料を収集した。加盟国は150ヶ国に上り、100万人が活動している。また、オーランドで開催されている「全米シニアゲームズ」のフィールドワークを行った。会場は、ディズニーワールドの中のディズニースポーツセンターで、センターに登録されたボランティアが大会のサポートを行っていた。カナダにおいては、厚生省の「ヘルス・カナダ局」を訪ね、フィットネス活動に関するボランティアの概要をヒアリングした。また、フィットネス活動の広報団体である「パーティシパクション」の事務局を訪ね、「トランスカナダ・トレイル2000」事業におけるボランティアの活動概要の資料を収集した。「オセアニア班」は、ニュージーランドの政府機関である「ヒラリーコミッション」を訪ね、ボランティア指導者のキャンペーンやスポーツクラブにおけるボランティアのヒアリング調査と関連資料を収集した。オーストラリアにおいては、政府機関である「オーストラリア・スポーツ委員会」を訪ね、VIPプログラムとボランティアを含めた「アクティブ・オーストラリア」キャンペーンの資料を収集した。2000年2月には、カナダのMcPherson教授を招聘し、研究分担者が集まり、平成11年度における研究成果の研究報告会を行った。同時に、わが国におけるスポーツボランティア活動の定義、分類、および今後の振興方策を議論・整理した。
著者
長ヶ原 誠 山口 泰雄
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、これまで国内外で展開されている自治体レベルの生涯スポーツキャンペーンの事例を集約・評価すると共に、これらの情報を元に筆者らが自治体においてスポーツ潜在層を対象としたキャンペーン事業を直接支援するアクションリサーチを展開し、その効果を実証的立場から縦断的に評価しながら、今後の生涯スポーツ振興キャンペーンの計画化・実践・および評価法についての具体的な提案とモデルを構築することにある。分析の枠組として、キャンペーン後のスポーツ実施頻度に影響する要因を前提・実現・強化要因の分類に基づき,縦断的手法を用いて明らかにした。長ヶ原ら(2002)が行った「健康日本21地方計画における身体活動目標を達成するための条件指標と測定尺度の開発に関する研究」において使用された条件指標ならびに測定尺度をベースラインデータとし、キャンペーンを実施期間中の2004年に、初回調査(2002年)において同意を得た1,239名に対し郵送法による同じ内容の質問紙調査を実施した。2004年時のスポーツ実施頻度を従属変数として、まず2002年時点の年齢、健康状態、スポーツ実施頻度をコントロール変数として投入し、第2段階で同じく2002年時点の前提・実現・強化要因それぞれを投入する階層的重回帰分析を行った。その結果、実現要因の「スポーツ実施の資源認知(β=.125)」ならびに強化要因の「便益効果認知(β=.132)」に上昇率ならびに影響度の有意性が確認された。したがって、スポーツ参加の欲求を実現する機会や資源、場所等の環境的要因および運動・スポーツに関する好ましい身体的・心理的効果を認知させることに着目した運動・スポーツプロモーション戦略が、将来的なスポーツ実施頻度に影響を与えることが示唆され、これらの要因に着目した成人を対象とするスポーツ振興キャンペーンの妥当性が実証された。
著者
鈴木 賢次郎 安達 裕之 加藤 道夫 山口 泰 横山 ゆりか
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

近年、コンピュータによる立体形状の図的表現と図形処理-コンピュータ・グラフィックス(以下、3D-CG)-とその設計製造技術の応用-計算機援用設計(以下、3D-CAD)-が実社会で普及するに連れて、図学教育へのCG/CAD教育導入の必要性が高まっている。そこで、本研究においては、東京大学教養学部前期課程教育(教養教育)における実践を通して、すべての分野に進学する学生を対象とした3D-CG/CADを用いた図的表現法に関する基礎教育-これを、グラフィックス・リテラシー教育と呼ぶ-のためのカリキュラムを開発し、これを普及することを目的とした。平成17年度においては1クラスを対象として、また、平成18年度においては5クラスを対象として試行教育を実施し、これらの試行教育結果の分析を基に、平成19年度から、対象を10クラスに広げて本格教育を開始した。カリキュラム開発に当たっては、学生に提出させたレポート(課題の出来具合/課題を遂行するに学生が要した時間/授業で困難を感じた点を記載)、期末試験、学生による授業評価結果、および、切断面実形視テストを用いた学生の空間認識能力の育成効果について詳細な分析を行い、また、学期末には担当教師による反省会を催し、次年度の教材・教育方法の改善に役立てた。これら授業実施結果の分析によれば。まだまだ、改善すべき点は多いものの、ほぼ目的に沿った授業が実現できたものと考えられる。平成19年3月には、この授業用に執筆した教科書を出版し世に出した。また、カリキュラム開発の経過は、日本図学会、日本設計工学会、グラフィックスとCAD研究会(情報処理学会)、建築学会、図学国際会議、日中図学教育研究国際会議、設計工学国際会議などにおいて、講演・論文の形で公表し、広く当該カリキュラムの普及を図った。
著者
山口 泰雄 野川 春夫
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

平成7年度は、まず、平成6年度に実施した「ふるさと創生一億円事業」に関する質問紙調査によって回収したデータ分析を行い、内容を検討した。その結果、ふるさと創生一億円事業の社会効果と経済効果が明らかになった。続いて、市町村における「体育の日」のスポーツ行事の実施状況および都道府県民「スポーツの日」の設定資料を文部省生涯スポーツ課から入手した。さらに、体力つくり優秀組織として表彰(内閣総理大臣賞、総務庁長官賞、体力つくり国民会議議長賞)を受けた自治体に関する資料を(財)健康・体力づくり事業財団から入手した。平成六年度に続き、スポーツ都市づくりを積極的に進めている都市に対して、現地調査とヒアリングを行い、関係資料を収集した。また、スポーツ都市宣言を行っている自治体に関する資料を集めた。この資料は、平成元年度までのデータであったため、47都道府県の教育委員会に対して「スポーツ・健康都市宣言」に関する質問紙調査を実施した。調査の結果、スポーツ・健康宣言都市は351市町村あり、全国の自治体の10.7%が宣言を行っていることが解明された。また、スポーツ・健康に関する自治体宣言の内容を分析し、それぞれ8つのタイプに分類した。これらのデータを総合的に分析し、スポーツ都市の類型化を行った。すなわち、1)イベント型、2)施設・キャンプ型、3)スポーツリゾート型、4)スポーツ種目型の4つのタイプである。これまでの研究成果をもとにして、4つのタイプに類型化される代表的な市町村を抽出し、一覧表を作成した。平成6年度と平成7年度の研究成果を総合して、研究報告書を発行し、関係団体・機関へ送付した。これらの研究成果は、学会発表をするべく準備を行った。
著者
山本 智史 山口 泰彦 小松 孝雪 会田 英紀 岡田 和樹 大畑 昇
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-40, 2001-11-20
被引用文献数
2

これまで短期間で測定日を変え下顎限界運動のばらつきを調べた報告はほとんどない.そこで今回, 健常有歯顎者の短期間における経日的な下顎限界運動範囲の再現性についての検討を行った.また, 下顎運動の再現性に対し影響を及ぼす因子の一つである顎運動測定器の生体基準点の再現性についても検討した.〈方法〉被験者は26歳から31歳までの健常有歯顎者5名である.被験運動は, 矢状面内限界運動, および前頭面内限界運動とし, それぞれの運動を1日5回ずつ連続5日間計測して限界運動範囲の前後幅と左右幅を求めた.顎運動測定には, ナソヘキサグラフJM-1000(小野測器社製)を用いた.測定座標系の基準点は右オルビタと左右ポリオンとし, 運動解析点は下顎切歯点とした.各基準点および切歯点の経日的再現性を維持するため, ナソヘキサグラフの標点用ポインターの先端が適合するディンプル状の常温重合レジン製標点を作製した.基準点の標点は咬合器用フェイスボウを用いて固定した.標点の位置の再現性を確認するため, 咬合器上および被験者1名の日内, および被験者5名の日間の標点座標値を比較した. <結果>1.切歯点座標値の日間の標準偏差値は0.48〜1.49mm, 基準平面に関する標点間距離の日間の標準偏差値は0.31〜1.55mmと各被験者とも大きかった.しかし, 咬合器上の切歯点では0.19〜0.42mm, 被験者1名の切歯点の日内では0.23〜0.38mmと比較的小さかった.そのため, 標点座標の日間のばらつきには, 測定日毎の各標点の再装着時における位置のずれの影響が大きいものと考えられた. 2.下顎限界運動範囲の前後幅と左右幅に関して日内の施行順位間に有意差がみられたのは1名の左右幅のみであった.一方, 日間に関しては1名の前後幅, 4名の左右幅において有意差がみられた.日内と日間の標準偏差を比較すると, 日内より日間の方が大きい傾向を示した.しかし, その値は日間でも0.12〜0.62mmであり, 各標点に関する日間の標準偏差と比較して小さかった. 以上より, 健常有歯顎者における下顎限界運動範囲の前後幅, 左右幅には, 短期間の日間で変動が認められる場合があることが示された.しかし, 同時に, その変動は比較的小さいことも明らかになった.
著者
岡田 和樹 山口 泰彦 小松 孝雪 松樹 隆光 後藤田 章人 三好 貴之
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.107-115, 2005-02-28

本研究では, マイオモニター^[○!R]に温罨法同様の咀嚼筋血流改善効果があるか否かを明らかにすることを目的に, 温罨法およびマイオモニター施行前後の咬筋組織内ヘモグロビン量, 酸素飽和度(StO_2)の変動を測定し, 比較検討した.被験者は顎口腔系に異常が認められない健常者で, 温罨法群10名, マイオモニター群10名とした.ヘモグロビン量とStO_2の測定には近赤外分光血流計を用いた.測定項目は総ヘモグロビン量(THb), オキシヘモグロビン量(OXHb), デオキシヘモグロビン量(deOXHb), 酸素飽和度(StO_2)とし, 同時に脈拍(HR)も測定した.温罨法群では, 温め後THb, OXHb, StO_2に有意な増加が認められたのに対し, マイオモニター群ではTHb, OXHb, deOXHb, StO_2, HRすべてにおいてマイオモニター後に有意な増加は認められなかった.また, 温罨法群とマイオモニター群の群間比較でも, 温罨法群のTHb, OXHb, StO_2が, マイオモニター群よりも有意に大きな増加率を示した.一方, deOXHbとHRに有意差は認められなかった.以上から, 咬筋の血流改善の効果に関しては, マイオモニターより温罨法の方が有効であると考えられた.