著者
松井 亮太 稲木 紀幸 能登 恵理 山本 大輔 伴登 宏行
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.131-139, 2018 (Released:2018-08-23)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】周術期歩行数が臨床結果に及ぼす影響を検討した.【方法】対象は当院で大腸手術が行われた97 例とし,術後1 週間までに3,000 歩/ 日が未達成な場合を歩行不良と定義した.短期的アウトカムは術後入院期間,術後合併症,歩行不良にかかわる因子を,長期的アウトカムは術後半年までの筋肉量減少率を検討した.【結果】全97 例中,28 例(28.9%)が歩行不良だった.患者背景では歩行不良群で直腸切除が多く(P=0.084),貧血が有意に多かった(P=0.013).歩行不良群で入院期間が有意に長く(P<0.001),術後合併症が有意に多かった(P=0.003).歩行不良因子についてロジスティック回帰分析を行うと,術後合併症(OR:28.1,95% CI:1.88-419.6),術前歩数3,000 歩/ 日未満(OR:29.9,95% CI:2.28-394.5)で有意差を認めた.術後半年までの筋肉量減少率は有意差を認めなかった(P=0.468).【結語】歩行不良は入院期間を長期化させた.術前歩数3,000 歩/ 日未満,術後合併症は歩行不良にかかわり,リハの早期介入や単位数を増加すべき予測因子と考えられた.
著者
山本 大策
出版者
The Japan Association of Economic Geography
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.60-76, 2017-03-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
43

本稿の目的は英語圏の経済地理学において一潮流となりつつある「多様な経済」論の紹介を行うととともに,その視点から加藤和暢氏を中心として進められてきた「サービス経済化」論を批判的かつ建設的に省察することである.とくに着目するのは,加藤氏の一連の論考からインプリケーションとして浮上してきた「サービス経済化」の市場原理主義的なグローバル経済化に対する役割の問題である.「多様な経済」論はポスト構造主義の影響を受けながら,「経済」概念の意味を問い直し,また行為主体の「主体化=服従化」のプロセスにも注目することで,グローバル経済化に対抗する実践的な知の形成を目指してきた.よって加藤氏が提起する問題と「多様な経済」論の間には通底するものがある.     検討の結果,資本主義市場社会の内部にも存在する非市場型のサービスも看過しえないこと,つまり経済地理学の正当な対象として「多様な経済」を視野に収める必要性があることを主張する.また,空間的組織化論の「地域形成」の論理的根拠として評価しつつ,理論化の過程で「地域存続」のための経済活動が言説的に周縁化される可能性を指摘する.さらに「現状分析」における「対象重視」の加藤氏の主張と,行為主体性を熟視する「多様な経済」論を重ね合わせ,その方法論的影響にも言及する.最後に,「多様な経済」論が経済地理学の願望的地域経済論への後退を示すものではないのか,という懸念に対する若干の検討を試みる.
著者
Mohamad REZA 山本 大介 松岡 裕之
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.67-71, 2013-06-15 (Released:2014-01-08)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

蚊幼虫の生物学的制御のため蚊幼虫捕食性の魚を導入する方法はこれまでも実施されてきた.我々は低濃度の銅を蚊幼虫に作用させると,魚に捕食され易いことを見いだしている.メダカ(Oryzias latipes)は日本国産であるがその近縁種は世界各国に棲息している.我々は,ハマダラカ幼虫の生存能力を低下させるものの,メダカの生存には影響のない銅濃度を検討した.銅濃度0.26 ppm に暴露すると,ハマダラカ幼虫は潜水能力が減少しメダカに容易に捕食されるが,メダカはこの濃度において健常に生存できることを確かめた.このことから我々は,蚊幼虫捕食性の魚を導入することに加え,蚊幼虫の棲息する限られた場所に低濃度の銅イオンを散布することが有用であると考えている.
著者
浜田 亮 吉藤 和久 堤 裕幸 堀 司 吉川 靖 山本 晃代 寺田 光次郎 山本 大 足立 憲昭 浅沼 秀臣 小田 孝憲
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.153-156, 2017

<p>血友病は先天性血液凝固障害のなかでは最も頻度の高い疾患であるが,母体が血友病保因者の場合の分娩方法について明確な指針は定められていない.今回我々は経膣分娩時のストレスに起因すると考えられた頭蓋内出血をきたした症例を経験したので報告する.母親の実弟が重症型血友病Aであり,遺伝子診断でイントロン22の逆位を認めていた.祖母および母親は確定保因者であった.本児は胎児エコーで男児と判明しており器械分娩禁止の方針とした.正期産で経膣分娩で仮死なく出生し,出生直後は皮膚に出血症状はなく頭部エコーでも異常所見は認められなかった.生後19時間のエコー再検査で両側脳室の拡大認め,CTでは右小脳半球を中心に40×30 mmの血腫を認めた.第VIII因子製剤の投与により保存的治療を行い,血腫は拡大せずにその後自然消失した.現在2歳,神経学的異常を認めない.</p>
著者
宮脇 裕 山本 大誠
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.177-183, 2018-01-31 (Released:2018-02-23)
参考文献数
27

他者運動の観察による運動の共鳴は,自身の運動経験から影響を受けるが,非生物学的な動きの観察における運動経験の影響は明らかではない。そこで非生物学的な動きを観察対象とし,運動経験が運動共鳴に及ぼす影響を検証した。対象者は,非生物学的な動きである視覚刺激(三角形)の周期的な垂直運動を観察しながら,腕の周期的な水平運動を実施した。水平運動が垂直方向にどの程度ばらついたかを運動共鳴の指標とした。測定間に,対象者は運動経験として垂直運動を実施した。結果は,対象者の運動は何も観察せずに水平運動を実施したときと比べて,三角形の垂直運動の観察により有意に垂直方向にばらついた。運動経験の前後では,共鳴の程度に有意差を認めなかった。運動制御は非生物から影響を受けている可能性が示唆された。運動経験は,観察対象との運動方向の一致のみでは,その後の運動共鳴に影響を及ぼさないことが示唆された。
著者
山本 大吾 栁谷 拓也 井尾 祐斗 塩井 章久
出版者
一般社団法人 粉体工学会
雑誌
粉体工学会誌 (ISSN:03866157)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.770-775, 2017-12-10 (Released:2018-01-17)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Several research groups including us had reported that catalytic particles with asymmetric composition or morphology exhibit autonomous motions in a homogeneous solution containing reactant. In this study, we provide asymmetric environment where unsteady or quasi-steady gradient of a reactant (ethanol) is formed, although we use spherical catalytic particles made of single metal (Pt). As a result, we found that even spherical particles exhibit specific motility, chemotaxis that objects move along concentration gradient of specific chemical species. In our system, Pt catalytic particles show translation toward the area with higher concentrated reactant (ethanol). Such a new phenomenon is expected to apply to chemical systems such as power source of micromotors and catalytic reaction systems with high reaction efficiency, due to particles’ motility.
著者
山本大著
出版者
高知市立市民図書館
巻号頁・発行日
1967
著者
山本大著
出版者
新人物往来社
巻号頁・発行日
1974
著者
仲野 良佑 打矢 隆弘 西村 良太 山本 大介 内匠 逸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, pp.1-8, 2015-03-13

3D キャラクタとのリアルタイムでの音声対話が可能な音声対話システムとして MMDAgent が提案されている.この動作環境を拡大し,利便性を向上させるために MMDAgent を Android スマートフォン上へ移植したスマートメイちゃんが提案されている.これらのツールキットにおいて採用されているシナリオ定義手法では,複雑な対話シナリオの作成や,端末間通信による連携を必要とするシナリオの構築が困難である.本研究では,これらの問題点を解決するため,スマートメイちゃんをソフトウェアエージェントにより拡張する機構を提案,実装し,有効性を確認するための評価実験を行った.エージェントを用いてスマートメイちゃんの拡張を行うことで,複雑な応答文や条件分岐を持つシナリオの開発がより容易となり,また,ネットワークと連携する必要があるシナリオの開発も,エージェント間通信の延長線上と捉えることで格段に容易となる.評価実験の結果,提案機構によって問題点を解決できたことを確認したが,実用的な機構とするためにはいくつかの課題点も存在することが確認された.
著者
福井 裕行 大田 和美 山本 大助
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.113, no.5, pp.289-297, 1999 (Released:2007-01-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

H1受容体のヒスタミン結合に関与する5つのアミノ酸残基を同定した.部位特異的変異受容体の性質の検討と受容体モデリングを組み合わせる方法はこの研究の目的の達成に非常に有効であった.H1受容体にはヒスタミンとの非結合および結合に応じて不活化状態および活性化状態が存在し,ヒスタミンの結合により第V膜貫通領域のα-ヘリクスの捻れの弛むことが活性化状態へ移行するという機構を提唱したい.H1受容体のヒスタミン結合部位はリガンドの親和性に関与する部位と受容体の構造変化と活性化に直接関わる部位とに分かれた.そして,H1拮抗薬はH1受容体のヒスタミン結合部位のうちリガンドの親和性に関与する部位においてヒスタミンと拮抗する.H1受容体のリガンド結合様式はβ2-アドレナリン受容体,ヒスタミンH2受容体のそれとは異なった.
著者
REZA Mohamad 山本 大介 松岡 裕之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.217-222, 2012
被引用文献数
6

ハマダラカ (<i>Anopheles stephensi</i>) 幼虫を低濃度の銅イオンにさらし,これを死亡させる濃度を探索するため,異なる濃度の銅イオン環境で飼育し,動きが悪くなる個体,死亡する個体を観察した.幼虫を1.2 ppmまたは2.4 ppmの銅イオン環境下で飼育したところ,1週間で半数以上が死亡した.0.6 ppmの飼育では,死亡はしないものの動きが悪くなり,成長が遅くなることが観察された.捕食性の魚であるグッピーに与えたところ,0.6 ppm銅イオン処理幼虫群は,無処理幼虫群に比べ,有意に短時間でグッピーに捕食された.ヒトの飲料水に許容される銅イオン濃度の上限は1 ppmであるため,ヒトとボウフラに対する銅イオンの毒性の差を利用して新たなハマダラカ幼虫対策が期待できる.
著者
山本 大地
出版者
福岡大学
雑誌
福岡大学研究部論集. A, 人文科学編 (ISSN:13464698)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.49-55, 2012-01
著者
松村 和則 伊藤 恵造 佐藤 利明 山本 大策 山本 由美子 村田 周祐 植田 俊
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

(1) 松村和則「人々の『創造力』とは何か-レジャー開発と環境保全への社会学的接近-」(2) 伊藤恵造「スポーツをめぐる住民組織の変容とその論理-郊外化する手賀沼周辺を事例として-」(3) 村田周祐「地域スポーツイベントと地域社会をめぐる関係性と象徴性-手賀沼トライアスロン大会を事例として-」(4) 植田俊「スポーツクラブによる地域環境保全活動の展開-手賀沼ヨットクラブを事例に-」(5) 山本大策「開発主義国家における地域格差と地域社会の能力的貧困:経済地理学からのアプローチ」(6) 山本由美子「ゴルフ場開発問題をめぐる紛争と地域的対応-長野県北安曇郡松川村・神戸原扇状地の事例-」