著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.315-328, 2000-11-30
参考文献数
17
被引用文献数
8

Typhoon 9918 (Bart) passed through the Kyushu and the western part of Chugoku districts on September 24,1999. The strong wind and storm surge disasters were caused by the typhoon 9918 in western part of Japan. During the typhoon passing, the peak gust speed recorded at Ushibuka weather station in Kumamoto Prefecture was 66.2 m/s, which was the maximum value in Kyushu district (exclusive of islands). The peak gust speed recorded at the Onoda fire station and the Hofu north base were 58.9 m/s and 61.2 m/s, respectively. The sea level recorded at Moji was 372 cm at 8 : 10,which was 140 cm higher than the calculated value (232 cm). The loss money by the strong wind and storm surge disasters in Yamaguchi Prefecture by the typhoon 9918 exceeded 41 billions yen.
著者
山本 晴彦 荊木 康臣 高山 成 吉越 恆
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

① 人工衛星データと現地踏査等による参詣道の被害解明では、参詣道の被害解明を実施した。② 気象観測モニタリングポイントの設置・運用によるリアルタイム気象解析では、リアルタイム気象解析を行い、多雨地域における降水特性を明らかにした。③ 長期間・高密度データセットの作成による豪雨解析では、雨量観測データの入力を行い、1929年からの雨量データセットを完成させ、紀伊山地で発生した豪雨の解析を試みた。④ 林床画像や分光測定による世界遺産「参詣道」の劣化、被害回復の調査・解析では、現地踏査による参詣道の遺産劣化調査・解析に基づき、和歌山県を中心に現地踏査による遺産被害回復の調査を実施した。
著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.199-211, 1999-08-31
参考文献数
17
被引用文献数
2

Gust Disaster was caused by the typhoon 9807 in Kinki District of Japan on September 22,1998. For the typhoon 9807,the peak gust in the Nara Meteorological Observatory was 37.6 m/s, which was the 3 rd record since 1953's. The Gust was observed many fire offices in western part of Nara Prefecture, the peak gust in Nishikatsuragi Fire Station of Shinjyo Town was recorded as 59.5 m/s, which was the maximum value in Nara Prefecture. Many loss in the agriculture and the forest of Nara Prefecture by this gust associated with the typhoon 9807 exceeded 34.6 billion yen.
著者
松本 淳 久保田 尚之 藤部 文昭 林 泰一 山本 晴彦 財城 真寿美 寺尾 徹 村田 文絵 高橋 幸弘 山下 幸三 赤坂 郁美 遠藤 伸彦 森 修一 釜堀 弘隆 高橋 洋 山根 悠介 大塚 道子 遠藤 洋和
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

日本を含むアジア諸国における紙媒体や画像での日降水量データや台風経路等をデジタル化したデータセットを作成し、モンスーンアジア域における降雨強度の長期変化を解析した。その結果、日本では1930年以降、東北日本を中心に降雨強度が大きくなっていた。フィリピンでは1950年以降の夏季には強雨の増加傾向が、冬季には西海岸で乾燥の強化傾向がみられた。1940年代以前の傾向はこれらとは異なり、近年の変化傾向は数十年スケールでの変動の一部とみられる事、エルニーニョと地球温暖化の影響の両方の影響を受けている可能性が高い事がわかった。中部ベトナムでも近年の傾向と1940年以前の傾向に違いがみられた。
著者
張 継権 早川 誠而 山本 晴彦 岡田 憲夫 多々納 裕一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.239-249, 2002-06-05
参考文献数
7
被引用文献数
2

1991年台風17号・19号と1999年台風18号の三つの台風は,9月中・下旬に九州北部西岸及び九州中部の熊本県に上陸し,九州及び中国地方を通り抜けるという,ほぼ同一時期に,同一経路をたどり,九州,中国・四国地方を中心に大きな農業災害を引き起こした.とくに,水稲,野菜,果樹,飼料作物等の農作物は,倒伏,落果,折損等による災害が発生し,農地や農業施設などの被害を含めて九州,中国・四国地方では,台風9117号・9119号による農業被害の総額は2811億円に達し,台風9918号による農業被害の総額は1135億円に及んだ.台風9117号・9119号では農作物,樹体,家畜,施設等が大きな被害を受けたが,台風9918号では樹体,家畜がほとんど被害を受けなかった.作物別被害状況をみると,最も大きい作物では,台風9117号・9119号の場合は果樹であり,作物被害総額の34%を占めているが,台風9918号では水稲であり,作物被害総額の43%を占め,被害状況に大きな違いが見られる.これは三つの台風の上陸後の勢力,台風による災害現象および被害機構などが異なったためである.
著者
山本 晴彦 丸山 敬 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.453-463, 2001-02-28
参考文献数
15
被引用文献数
5

Typhoon 9918 (Bart) passed through the Kyushu and the western part of Chugoku district on September 24,1999. As the typhoon passed, a tornado occurred in Onoda City of Yamaguchi Prefecture. The recorded peak gust speed was 52.0 m/s at the Onoda fire station, 150 m away from the path of the tornado. The air pressure had decreased by 3.6 hPa at 7 : 59,while the minimum value was recorded as 961.6 hPa. The width of the tornado's path estimated from damags of houses was 50-150 m and its length was 5.1 km. The number of seriously injured persons was 13,and the number of houses damaged was about 650. Fujita and Piason scales were estimated to be F2 and P2 (length : 1.6-5.1 km, width : 51-160 m), respectively.
著者
山本 晴彦 岩谷 潔
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.535-541, 2006-10-05
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

九州・山口地方へは水稲の穂ばらみ期から収穫期にかけて5個の台風(15・16・18・21・23号)が接近・上陸した.これらの台風に伴う強風により,葉ずれによる葉身光合成能力の低下,倒伏等による草姿悪化,籾ずれによる登熟不良,脱粒,倒伏による穂発芽の発生などの複合的な要因により,減収や品質劣化の被害が発生した.作況指数は,福岡県南筑後(70),熊本県県北(74),山口県西部・佐賀県佐賀(76)となり,山口県,福岡県,熊本県では水稲玄米の品質が低下して1等米がわずか13〜15%となった.とくに,山口県では台風18号の通過時に周防灘からの強風,通過直後からの少雨の継続により海岸地域を中心に潮風害が発生し,著しい減収・低品質となった.
著者
山本 晴彦 本條 均 早川 誠而 鈴木 義則 河田 尚之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.207-213, 1996-06-05
参考文献数
13
被引用文献数
1

暖地において水田裏作の基幹作物である二条オオムギ(品種: ニシノチカラ)を対象に, 個体群の太陽エネルギー利用効率(Eu, %), 太陽エネルギー転換効率(Ec, %)ならびに日射吸収量から乾物への変換効率(Cs, g MJ^<-1>)を算出し, 二条オオムギの乾物生産を太陽エネルギーの利用の面から評価した. 節間伸長期から出穂期までの個体群日射吸収量は全天日射量の約56%, 登熟期間中の個体群日射吸収量は約70%であった. 全生育期間の個体群日射吸収量は865.02 MJm^<-2>で, これは生育期間中の個体群に投下された日射量の積算値の約40%に相当した. 節間伸長期から出穂期までの生育中期のEcは3.94%で, 高い値を示した. また, 登熟期間中のEuは1.47%, Ecは2.13%で, 全生育期間におけるEuは1.09%, Ecは2.71%であった. これは, 表作における暖地水稲のEu, Ecに匹敵する値であり, 寒冷地のリクゼンムギに比べてかなり高率であることがわかった. 播種期直後から出穂期までの栄養生長期における乾物生産と積算日射吸収量の関係は直線関係が成り立ち, Csは2.32gMJ^<-1>であった. さらに, 登熟初期および中期は, 1.79gMJ^<-1>, 1.179MJ^<-1>になることが示された.
著者
山本 晴彦 早川 誠而 岩谷 潔
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.226-232, 1998-06-05
参考文献数
14
被引用文献数
8 1

1997年台風9号に伴い山口県北部および島根県西部では7月26日から28日にかけて豪雨に見舞われた.むつみ村では, 7月26日〜28日に582〜782mmの降水を記録し, 7月27日の日降水量は429〜547mmを観測した.本豪雨は, むつみ村の周辺に位置する気象庁の4カ所の観測地点を大きく上回る局地的豪雨であった.この影響により, むつみ村にある4カ所の農業用溜池が決壊して土砂災害が発生した.とくに, 麻生溜池では下流域に氾濫水や土砂が大量に流出して水田内に堆積したため, 水稲が埋没する被害が発生した.現地調査の結果, 土砂堆積深と地上部乾物重および玄米重との関係は2次曲線で近似でき, 地上部乾物重は土砂堆積深が50cm, 玄米重は35cmで重量がほぼ皆無になることが明らかになった.
著者
羽田野 袈裟義 安福 規之 兵動 正幸 橋本 晴行 久保田 哲也 福岡 浩 里深 好文 山本 晴彦 高橋 和雄 宮田 雄一郎 鈴木 素之 牛山 素行 田村 圭子 後藤 健介 藤田 正治 牧 紀男 朝位 孝二 善 功企 守田 治 滝本 浩一 三浦 房紀 種浦 圭輔
出版者
山口大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2009

(1)災害概況:2009年7月の豪雨により防府地域と福岡県北半部の全域で土砂災害が多発し合計で27名が亡くなった.(2)土砂災害の実態:防府の土砂災害は,土石流中の巨礫堆積後の土砂流による埋没である.土質調査からマサ土地域での崩壊発生と間隙水圧の関係が示唆された.土石流の流動解析で石原地区の土砂流出量を評価し,砂防施設の有効性を評価した.(3)情報伝達と警戒避難体制の状況:防災・避難情報の収集・伝達や警戒避難体制の整備状況や土砂災害警戒区域の指定に伴う警戒避難体制の整備状況と問題点を明らかにした.
著者
山本 晴彦 大槻 恭一 森永 邦久 宮本 久美
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、高糖系温州のマルチ栽培において、連年安定・高品質果実生産を実現するため、樹体・土壌水分環境と樹体光環境を迅速に計測するシステムを開発し、両環境の制御により水分ストレスを抑制して、好適な光環境下で高品質果実生産を実現できる技術を構築することを目的としている。土壌水分および樹体水分の計測法の開発においては、市販されているセンサを用いて炉乾燥法と併用して安価で迅速に計測できるセンサを選定した。半楕円モデルより算出した樹体体積を乗して得られた樹体総葉面積と実測による樹体総葉面積には非常に高い相関(r=0.897)が得られ、PCA(プラント・キャノピー・アナライザー)のほぼ10分の1の十数万円の魚眼レンズ付きデジタルカメラを用いて、樹体総葉面積を高精度かつ非接触・非破壊で推定可能な技術を開発した。また、最新の樹木蒸散流の計測手法であるグラニエ法を用いて、白色マルチ栽培下における土壌水分およびカンキツ樹体の蒸散流計測を試みた結果、蒸散流速度は日射量に追随して推移する傾向を示し、白色シートマルチの降雨遮断による土壌乾燥が、樹体に乾燥ストレスを与えて蒸散流速度を低下させることを明らかにした。さらに、近赤外分光解析装置を用いて、カンキツ個葉の水分状態を非破壊で推定する手法と推定精度について検討した。土壌の水分状態、日射・気温・湿度などの気象条件により変動する葉内水分ポテンシャルの範囲内において、全測定波長1,061個(1300〜2400nm)を使用した場合の8主成分のPLS回帰式は、重相関係数R=0.817、予想標準偏差SEP=0.300MPa、残差の平均値Bias=0.004MPaの高い予測精度が得られた。このことから、近赤外分光法を用いてカンキツ葉の葉内水分ポテンシャルを非破壊的かつ迅速で推定が可能であることが明らかになった。
著者
山本 晴彦 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.167-178, 1997-11-30
参考文献数
15
被引用文献数
2

The typhoons 9210 and 9612 damaged crops and green houses in western parts of Japan, in the early and the middle of August. For the typhoon 9210,the maximum instantaneous wind speed in Makurazaki city was 57.0 m/s, the maximum wind speed was about 15〜33 m/s in middle and southern parts of Kyushu districts. The loss money in the agriculture of Kyushu district by typhoon 9210 exceeded 19.8 billion yen. For the typhoon 9612,the maximum instantaneous wind speed in Kagoshima city was 58.5 m/s, this value was the maximum record since 1940. The precipitation of the Ebino meteorological station in August 14,1996 was 372 mm and many area in western parts of Japan were suffered by strong wind and heavy rainfall. The loss money in the agriculture of Kyushu district by typhoon 9612 exceeded 13.7 billion yen.
著者
山本 晴彦 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.163-170, 1998-03-31
被引用文献数
2

近年の凶作年および豊作年の気象的特徴、水稲収量を比較するとともに、水稲の豊凶作を夏季平均気温の気温偏差から解析を試みた。1993年の夏の1980年以来の異常低温であり、福岡市では夏季平均気温の気温偏差-1.4℃、暑冷指数-36日の大冷夏年で、福岡県の水稲単収は363kg、作況指数74の大凶作年であった。1994年の夏は記録的な猛暑で、福岡市では夏季平均気温の気温偏差+1.8℃、暑冷指数56日で高温・少雨年であった。福岡県の水稲単収は過去最高の545kg、作況指数111の大豊作年であったが、潅漑用水の不足した地域では生育遅延、稔実障害などが発生し、高温年にもかかわらず単収が大きく低下した。福岡管区気象台管内の気象官署を対象とした夏季の平年気温の偏差と水稲の平均収量との比率との関係から、とくに冷夏年で夏季の気温偏差が著しいマイナスを示す年は水稲収量平年比が大きく低下した。