著者
粕谷 大智 山本 一彦 江藤 文夫
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.773-779, 2003-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1 4

長期透析患者に起こる合併症の一つにアミロイドーシスを主因として引き起こされる透析性脊椎症がある。これはβ2-ミクログロブリンの異常蓄積を原因とし, 靭帯や関節などの軟部組織に沈着し, 炎症反応と線維化, 靭帯肥厚を伴いつつ, 靭帯付着部を中心に骨・軟骨破壊が進行する。これら軟部増殖性病変と骨・軟骨破壊により脊柱管狭窄を生じ, ついには脊髄, 馬尾の圧迫をきたし, 種々の臨床症状を呈するに至る。今回我々は透析性脊椎症によって腰部脊柱管狭窄を起こし間欠破行を呈した2症例を経験したので鍼治療の効果について検討した。鍼治療は狭窄部位を中心に置鍼術にて週1回の頻度で約3ヵ月行った。その結果, 症例1の神経根型は跛行距離およびJOAスコアの改善が著明に認められ, 症例2の混合型は症例1に劣るものの跛行距離の若干の改善およびJOAスコアの改善 (特に痛みの軽減) が認められた。透析性脊椎症による腰部脊柱管狭窄症を呈する透析患者に対して鍼治療は, 効果が期待できることが示唆された。
著者
藤元 栄輔 野尻 孝司 北 登代志 馬場 利人 岩井 正博 織田 武吉 岡部 孝一 松原 完也 加藤 隆三 仲井 雄一 室木 俊美 中新 敏彦 中川 清昌 山本 悦秀
出版者
Japanese Stomatological Society
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-6, 1990

Hospitalized cases of surgical procedure for oral lesions in diabetic patients during 4 years (1984-1987) were investigated in this paper. Thirty-four subject cases were older than 40, and the ratio of male to female was 2 to 1. Twenty-one patients were referred from medical doctors, 9 patients from dentists, and 4 patients visited directly. The distribution of oral diseases in diabetic patients was as follows: 14 cases, inflammatory disorders, 11 cases tumors, 4 cases cysts, 3 cases injuries, and 2 cases others. Thirty-one patients sufferred from not only diabetes mellitus but also other systemic complications. At preoperative precautions 34 patients were controlled, with the advice of physician, for fasting blood glucose was less than 150 mg/dl and ketone bodies were negative. As to results, 28 patients got well, but in 6 patients some problems i. e. slow healing, infections, were observed. In conclusion, the factors related to healing process were discussed.
著者
山本 一博 松岡 明裕 稲木 勝英 古川 浩三
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.409-415, 1994
被引用文献数
1

A patient with multiple injuries in the pharynx and esophagus caused by a dog bite was discussed. Examination showed two perforations in the digestive organs: One was located at the left pyriform sinus and the other in the wall of the cervical esophagus. The sternocleidmastoid muscle, anterior cervical muscle, internal jugular vein and sympathetic nerve trunk were also invaded by the trauma.<br>If an injury to the esophagus is suspected it is usually necessary that diagnosis and treatment be done as quickly as possible. In this case, a esophagial injury was diagnosed at an early stage, because saburras were found in the avulsed wound to the cervical skin. There is usually a high possibility of multiple wounds and more serious subcutaneous damage compared to size of a lesion on the surface of the skin in dog bite injuries, and it is indispensable to understand all existinn wounds before beginning surgical treatment.
著者
原田 周作 山本 恭史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,液体中に不均一に分散した固体微粒子の重力沈降挙動について,その集団性を理解するとともに,沈降速度や分散挙動を能動的に制御するための技術を確立した.純粋な液体との間に濃度界面を有するような微粒子分散系の沈降挙動に関して,濃度界面における流体との相対運動を微視的に観察することにより,集団性の形成メカニズムについて明らかにした.さらに分岐や断面積変化を有するような複雑流路中での集団的な粒子沈降挙動について調べ,流路の幾何学的特性量から沈降速度を予測・制御可能な物理モデルを構築した.
著者
山本 仁志 石田 和成 太田 敏澄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.9-16, 2005-03-15
被引用文献数
6

インターネットを介したオンライン市場の発展により、従来は購買者でしかなかった一般の個人が、売り手や買い手として市場に参加することが可能となった。一方で、オンライン市場の発展は、消費者間取引におけるリスクの増大という社会的問題を引き起こしている。例えば、代金不払い、商品不渡し等の不正行為が一例である。オンライン市場では、取引参加者相互の評判情報を流通する評判管理システムを用いることで、市場参加者の協調行動を促進している。本研究の目的は、オンライン市場において売り手・買い手の取引行動や取引相手を選択する際の情報行動を分析することで、評判管理システムの有効性を検証することである。我々は、個人の利得行列が囚人のジレンマ状況である仮想的な取引市場を構築し、被験者をもちいた実験をおこなった。実験参加者の行動を分析することで、実際に個人が評判に基づいて取引相手を選択する際、評判を形成するどのような情報を参考に判断し、どの情報を重要だと考えているのかを議論する。実験の結果、評判管理システムが協調行動を促進することがわかった。また、協調的な参加者は、取引相手を選択する際、非協調行動の回数およびID継続期間を重視して選択していることがわかった。Reputation management system is effective for promotion of cooperative behaviors in online transaction. In most reputation management systems, the reputation of participants in transaction are calculated as an accumulation or an average of the his/her evaluations. We explore the information that the participants emphasize in the reputation management system. To analyze effect of the reputation management system, we develop a C2C market platform and experiment on virtual transactions. We find that the reputation management system can promote cooperative behavior in online C2C markets.
著者
林 秀治 山本 和英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.83, pp.51-56, 2013-06-07

Q&Aサイトには日々新しい質問が投稿されているが、回答がつかないことも多い。本論文では回答者が自分の答えられそうな質問を見つけるための支援として、質問文を質問者の意図毎に事実、根拠、意見、提案、経験の5種類に自動で分類する方法を提案している。自動分類はキーワードと、語の頻度を使ったスコアの2つの手法で行った。その結果、根拠や提案の質問は他の種類の質問にはみられない表現があるため分類はしやすいが、事実や意見では他の種類の分類にはみられず、その種類の質問全体でみられるような表現がないため分類が難しいことがわかった。
著者
林 秀治 山本 和英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.83, pp.51-56, 2013-06-14

Q&Aサイトには日々新しい質問が投稿されているが、回答がつかないことも多い。本論文では回答者が自分の答えられそうな質問を見つけるための支援として、質問文を質問者の意図毎に事実、根拠、意見、提案、経験の5種類に自動で分類する方法を提案している。自動分類はキーワードと、語の頻度を使ったスコアの2つの手法で行った。その結果、根拠や提案の質問は他の種類の質問にはみられない表現があるため分類はしやすいが、事実や意見では他の種類の分類にはみられず、その種類の質問全体でみられるような表現がないため分類が難しいことがわかった。
著者
山本 晃輔 野村 幸正
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.127-135, 2010-02-28 (Released:2010-11-25)
参考文献数
24
被引用文献数
3 1

本研究の目的は,におい手がかりの命名,感情喚起度,および快-不快度が自伝的記憶の想起にどのように影響を及ぼすのかを検証することであった.実験では,118名の参加者に30種類のにおい刺激について,熟知度,感情喚起度,快-不快度の評定と命名を求め,さらに,それらを手がかりとして自伝的記憶の想起が可能であるかどうかを報告させた.記憶が想起された場合には,それについて鮮明度,感情喚起度,快-不快度を評定させた.実験の結果,正しく命名されたにおいは,そうではないにおいよりも熟知度が高く,かつ情動的であった.加えて,感情一致効果がみられた.また,正しく命名されたにおい手がかりによって想起された自伝的記憶は,命名されなかったにおい手がかりによって想起されたそれよりも鮮明でありかつ情動的であった.これらの結果はにおい手がかりによる自伝的記憶の想起において,命名と感情が重要な役割を果たしていることを示唆している.
著者
松本 尚之 山本 靖人 西田 迪雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.62, no.600, pp.3058-3063, 1996-08-25

This paper describes numerical results of a thermal and chemical nonequilibrium plume of high-temperature air. The gas is expanded from an orifice into low-density stationary air as a free jet. The gas considered here is high-temperature air composed of N_2, O_2, N, O, NO, NO^+and e^-, and translational-rotational and vibrational-electron temperatures are treated in a two-temperature model. In addition to this model, a six-temperature model using a multi-vibrational temperature model is adopted. The governing equations for computation are axisymmetric Navier-Stokes equations coupled with species vibrational energy, electron energy and species mass conservation equations. The equations have been numerically solved using the second-order upwind TVD scheme of the Harten-Yee type.
著者
山本 英子 梅村 恭司
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.45-75, 2002-04-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
25
被引用文献数
2 6

本論文では, コーパスから事象間の一対多関係を推定する問題を考える. これまでにコーパスから事象間の関係を推定することが多く研究されている. 一般に, この問題に対する解決法の多くは, コーパスを構成する文書における事象の共起に基づき, 暗黙的に事象間の関係は一対一関係であることを想定している. しかし, 実際には, 事象間の関係は一対多関係である場合があり, この特徴のためにいくつかの工夫が必要である. 本論文では, コーパス中の一対多関係を推定するために補完類似度を利用することを提案する. この尺度は本来文字認識システムのために開発され, テンプレートの文字のパターンにオーバーラップしたパターンがある条件で有効であることが知られているが, これまでテキスト処理に利用されたことはなかった. この補完類似度の一対多関係を推定する能力を評価するために, 地名 (都道府県市郡名) を対象事象とした実験において, 平均相互情報量, 自己相互情報量, 非対称平均相互情報量, ∅相関係数, コサイン関数ダイス相関係数, 信頼度との性能比較を行う. 実験では, 三種類のコーパスを用いる. 一つ目は実際に地名問にある一対多関係から合成する人工的なデータ集合である. 二つ目も実際の関係から合成するが, 誤った関係を導く少量の要素も含むデータ集合である. 三つ目は現実の新聞記事コーパスから得られるデータ集合である. これらの評価実験において, 補完類似度がもっとも優れており, 補完類似度は一対多関係の推定問題に対して有効であることを示す.
著者
米田 力生 中路 貴彦 山本 隆範 山田 雅博 瀬戸 道生
出版者
小樽商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

一般的な空間である荷重付きディリクレ空間上の作用素、テープリッツ作用素、合成作用素がいつ閉値域を持つのかを特徴付けを行った。ベルグマン空間上での掛け算作用素に関しては勿論、一般的な空間である荷重付きディリクレ空間上の掛け算作用素が閉値域を持つ必要条件に関する必要十分条件に関しては知られているが、テープリッツ作用素、ハンケル作用素がいつ閉値域を持つのかに関しては殆ど知られていない。そこで、シンボルを解析函数に限定して、サンプリング集合の特徴付けを行い、その解析結果を利用して、テープリッツ作用素及びハンケル作用素がいつ閉値域を持つかに関する結果を得た。
著者
山本 興太朗
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

傾斜屈性を示すシロイヌナズナ突然変異体hy5 の側根を用いて、傾斜屈性が生ずる機構を調べた。その結果、側根では成長とともに根端のオーキシン濃度が低下し、それに従って成長方向が傾斜方向から下方へ転換するが、hy5 ではオーキシン濃度の低下が遅れる結果、野生型より長い間、傾斜屈性が維持されるとみられる。また、hy5 側根傾斜屈性を抑制する遺伝子座の位置を5番染色体の下腕、14遺伝子を含む領域にまで絞り込んだ。
著者
山本 紀義
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.609, pp.70-75, 2003-04
著者
大谷 浄 金子 憲一 赤岸 桂樹 山本 清大 藤井 昭一
出版者
公益社団法人日本ガスタービン学会
雑誌
日本ガスタービン学会誌 (ISSN:03874168)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.360-367, 1999-09-20
被引用文献数
2

The inverted Brayton cycle was reconsidered experimentally and analytically in this paper. The cycle can be operated in the flow passing through the turbine, heat exchanger and compressor by using the exhaust hot gas with near atmospheric pressure. It is noted that the direction of working fluid is reversed in comparison with gas turbines. To confirm the operation of idling and power extracted, the experiment on the various turbine inlet temperature was carried out by a test rig of 30 mm diameter turbocharger. Further calculations, based on experimental data, show that the exhaust energy recovery of 20% can be possible under the conditions of 90% turbomachinery adiabatic efficiency and 1150 K turbine inlet temperature.
著者
山本 克也
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.3_81-3_96, 2004 (Released:2010-02-02)
参考文献数
23

本稿では「医療施設調査」の個票データを利用し,病院の倒産確率の測定を行なった。「医療施設調査」は非財務データであるが収支の代理変数を抽出しプロビット分析を施して,病院の倒産事由の代表である放漫経営と販売不振を検討した。収入項目である病床に関しては,現在のところ,慢性期患者向けの病床を保有することは固定収入の確保につながり,倒産確率は下がる。一方,外来患者については倒産確率を引き下げる効果を持たない。入院の赤字を外来で埋める式の経営は成立しないので病床管理は重要である。一方,診療機器については,その需要予測はもちろん,普及期をすぎれば診療報酬は下がるということも勘案して導入しなくてはならない。販売不振については,医療需要の飽和ということも考えられるが,患者のニーズと病院の設備事態,有り様がミスマッチになっている可能性もある。すべての病院(医師)が最新の医療,高度医療を行なう必要がないことを病院経営者は銘記すべきであろう。
著者
近藤 拓也 山際 貴志 山中 光司 山本 正信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.247-255, 1997-01-25
被引用文献数
27

これまでの動画像の解析では, 連続する画像間の対応付けに始まり, もっぱら対象の運動パラメータや3次元情報といった物理的・幾何学的情報の抽出が中心課題であった. これに対して, 我々は人間の動作について「上手である」とか「美しい」とかの印象を定量的に把握することを目指している. 本論文ではスキーにおける滑りを取り上げ, 滑りの動画像を解析することにより, 滑りの上手さを判定することを試みた. 実際, 動画像から得られた動作の運動パラメータから, 動作の対称性や滑らかさなど動作の特徴を抽出した. これらの特徴を用いて滑りの上手さを判定することができた. この判定結果は, 同じ動作を観察したときの人間の受ける印象と一致している.