著者
渡辺 豊子 喜代吉 夏子 山田 光江
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.293-300, 1992-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9
被引用文献数
3

We prepared cake batter for sponge and pound cakes with both 120 and 190 gram in weight in 12cm round cake pans. Cakes were baked under six different baking temperatures from 150°C to 200°C with 10°C intervals.We examined how the temperature shifted inside these cakes during baking under pre-set baking temperature and also the effect of temperature changes on the final shape of the product, as a cake rose while baking.We conclude from the results of our experiments as follows:1) In all cases, the higher the baking temperatures were, the faster the inner temperature of cakes rose.2) The sponge cake of 120g had the fastest rising speed of inner temperature. The sponge cake of 190g had the second faster speed and the pound cake of 190g had the slowest one.3) It became clear that there were three stages in the changing pattern of the temperature. The first stage was until the temperature at the point of 1cm from both edge and bottom of the cake, became stable. The second stage was until the core temperature stabilised. The third stage was up to the completion of baking. A sponge cake rose mainly in the first stage (93-103% of the final height), barely did so in the second stage and became flat on the top. A pound cake rose to 77-84% of the final height in the first stage and kept on rising also in thes econd stage until it formed a mountain like shape on the top.4) It can be concluded that the suitable temperature for baking sponge cake is around 160°C and that for pound cake about 180°C.
著者
山田 光子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1_85-1_91, 2015-04-20 (Released:2016-01-07)
参考文献数
27

目的:入院中の統合失調症患者のセルフスティグマと自尊感情の関係性を明らかにする。対象と方法:Y県3個所の精神科病院に入院中の統合失調症患者約104名に,セルフスティグマ尺度(PDD),自尊感情尺度(SE),抑うつ尺度(CES-D)を用い調査を行った。結果:有効回答は97名(93.3%)で,男性51名(52.6%)女性46名(47.4%),就業経験のある者91名(93.8%),平均年齢52.9(±13.5)歳,平均発病年齢27.5(±11.5)歳,平均罹病期間25.0(±14.7)年,平均入院期間6.1(±7.2)年だった。各尺度の平均合計得点はPDD 30.5(±8.7)点,SE 31.9(±8.9)点,CES-D 14.3(±10.3)点であった。パス解析の結果,セルフスティグマは抑うつ状態と自尊感情の関連性があることを示した。結論:セルフスティグマは,自尊感情に直接的に影響を及ぼさず,抑うつ状態を介して自尊感情に影響を及ぼすと示唆された。

5 0 0 0 OA 腹診の全て

著者
山田 光胤
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.573-582, 2009 (Released:2010-03-03)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4

日本漢方は,診察法として腹診の手法を行う。腹診は,四診,すなわち望,聞,問,切診の中の切診の一部ではあるが,診断である証の判定の為に,最も有力な情報が得られる手技である。また,腹診は,東亜諸国,諸地域に伝承されている伝統医学の中で,日本で,唯一,独自に発展した診察法である。なお,現代行われている腹診は,主に古方,傷寒論系医学におけるものであるが,折衷派医学にも影響が及んでいる。さらに,腹診は,形式的認識ではあるが,手技,手法である故,一応の修練,習熟が必要である。本稿で,古昔より長年にわたって集積された腹診の知見を解説する。
著者
渡辺 豊子 大喜多 祥子 福本 タミ子 石村 哲代 大島 英子 加藤 佐千子 阪上 愛子 佐々木 廣子 殿畑 操子 中山 伊紗子 樋上 純子 安田 直子 山口 美代子 山本 悦子 米田 泰子 山田 光江 堀越 フサエ 木村 弘
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.288-295, 1999
参考文献数
15
被引用文献数
5

腸管出血性大腸菌O157食中毒を予防するためには,牛ひき肉を用いたハンバーグの焼成においては、内部全体が75℃に到達する必要がある。しかしその到達を判断する方法は明確ではない。そこで,焼成中のハンバーグ内部の最低温度と,流出する肉汁の状態との関係を明らかにすることによって,一般家庭の調理において,食品衛生上安全なハンバーグを焼くことが出来るよう,ハンバーグの焼き終わりを検討した。1個100gのハンバーグ3個をガスオーブン230℃で焼成し,焼成中にハンバーグ内部6点の温度を測定した。また6分・9分・12分・15分・18分間の焼成後,直ちに一定の厚さ圧縮して肉汁を採取し,その色や濁りを観察して以下の結果を得た。1) ハンバーグの最低温度は6分間の焼成では44℃,9分間の焼成では55℃と低く,両者の汁液は赤みが強く濁りもあった。2)12分間焼成したハンバーグの最低温度は66℃であり,その汁液は茶褐色を呈したが,透明な油脂と混じって流出するため濁りを見定め難く,透明と判断される可能性があった。しかし注意深く観察すると濁りが確認された。なお,内部には余熱によっても75℃に達しない部分があり,食品衛生上安全であるとは言えなかった。3) 15分間焼成したハンバーグは食品衛生上安全(最低温度は75℃)であると判断された。その汁液は黄色みを帯びて透明であった。従って透明な肉汁の流出は75℃到達の指標になることが確認できた。4) ハンバーグを軽くおしたときに流出する肉汁の量・ハンバーグ表面の焼き色・断面の色・硬さで75℃到達を判断するのは難しいと思われる。5) 官能検査において,15分間焼成したハンバーグの焼き加減は適切であるとされた。以上より,おいしさと安全性の両面からみて,ハンバーグの焼き終わりは「肉汁の赤みが完全に消失して,透明になったことを確認した直後」が適切である。オーブンの種類やハンバーグの大きさなど焼成条件が異なると,焼成時間と内部温度の関係も変化する。しかし、内部温度と肉汁の色や濁りとの関係は変わらないので,「肉汁の色や濁りを見て焼き終わりを判断する」と言われることは,牛ひき肉ハンバーグに対しては有効であると思われる。
著者
宇田 律子 山田 光江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.236-242, 1983-12-20

家庭用ガスオーブンを用いて種々の大きさのシュー皮焙焼時の設定温度と時間を検討した結果,1.イ(12.5g×16個)は180℃15分か200℃12分,ハ(50g×4個)は200℃18分か220℃14分,ニ(100g×2個)は220℃17分,ホ(200g×1個)は220℃20分+150℃15分で何れも余熱10分を加えて焙焼するとよいことがわかった。2.今回の条件のペ一ストでは,設定温度の上限は220℃,大きさの上限は,この規定のオーブンでの天板上のぺ一スト量400g1個,ただ今回の時間配分では脹れ方がやや不足なので焼く時の工夫次第で良好なシュー(400g大)が出来る可能性は十分にあると思えた。3.庫内温とシュー内温上昇勾配の関係では庫内温が同一ならばぺ一ストが大きくなる程,また天板上のぺ一ストが1個で200g以上の場合には庫内温が低い程,それぞれ勾配は緩やかとなるが,ぺ一ストが100g以下になると庫内温の勾配への影響は必ずしも見られなかった。本研究に当り,種々御助力頂きました本学調理学教室の皆様に衷心より感謝の意を表します。尚,本研究の大要は昭和57年11月27日第58回日本家政学会関西支部研究発表会(於:ノートルダム女子大学)にて口演発表したことを附記します。
著者
山田 光胤
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.505-518, 1996-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17

医療は専ら西洋医学を修めた医師によって行うこととし, 漢方を学んでも医師の資格は与えないという明治政府の処置によって, 明治16年 (1883) 以降漢方医学を学ぶ者は次第に絶え, 我が国の伝統医学・医療は絶滅に瀕した。これは, 日本人の特に当時の政府人の西洋崇拝, 伝統蔑視の思想が強く関与しているものと思われた。このような風潮は, 現在でも引き継がれていると考えられる。しかし, 幕末から明治にかけて, 日本漢方を西洋医学と対比するに, 外科手術の面は別として, 内科的治療のレベルは, むしろ日本漢方が優れていた。この具体的な症例を, 浅田宗伯は著書『橘窓書影』の中に記録している。そのような時流の中で, 東洋医学を学んで医師となった和田啓十郎は, 漢方医学の有用性・重要性を唱えて, 明治43年 (1910),『医界之鉄椎』を著した。この書は実に, 漢方医学復興の一粒の種子となった。金沢医専出身の医師・湯本求眞は, この書によって啓発され, 和田門下となって生涯を漢方医学の究明と, それによっての患者の治療に尽し, 昭和2年,『皇漢医学』3巻を著した。この書は, 西洋医学の知見を混えて, 傷寒論, 金匱要略の解釈を中心にした, 漢方最初の現代語による解説書である。湯本の『皇漢医学』は, その後の我が国に於ける漢方医学の復興に, 大きな影響を及ぼしたのみでなく, 中国に於ても, その伝統医学の温存に力を与えたといわれる。ともあれ昭和年代初頭では, ごく僅かな生き残りの漢方医と数名の医師によって, 漢方医学が伝承されていたが, やがて, 漢方復興の機運が, 次第に醸成され, 種々な運動が起こった。昭和11年 (1936), 当時新進の漢方医学研究者が志を同じくし, 漢方医学復興を目指してその講習会を開催した。偕行学苑と名付けられたが, 翌年より拓大漢方講座と名を改めた。この漢方講座は, 昭和19年 (1944) 迄8回, 毎回約3ヵ月乃至4ヵ月間ずつ開催され, 第2次大戦後の昭和24年 (1949) に, 第9回紅陵大学漢方講座として15日間開催された。通算9回, 700名以上の有志が聴講し, 中からはその後, 漢方医学界の柱石となる人物も輩出した (筆者も, 戦後の第9回講座を, 医学生の身分で聴講した)。第2次大戦前の昭和16年, 南山堂より『漢方診療の実際』という書が発行された。この書は, 従来の「証」に随って治療する漢方の本質から一歩踏み出して, 現代医学的病名に対して, 使用した経験のある漢方処方を列挙して解説している。当時とすれば画期的な漢方医学の解説書であった。そして, 第2次大戦後, 昭和29年 (1954) に改訂版が発行された。さらに昭和44年 (1969) に発行された『漢方診療医典』(南山堂) は, 漢方診療の実際を大改訂した書である。これらの書を通じて解説された, 現代医学病名に対応して用いられる漢方処方の延長が, 現在の日本で, 大量に使用されている漢方製剤の応用なのである。これらの書が, 現代日本漢方に及ぼした影響は多大なものがある。その『漢方診療の実際』初版は, 大塚敬節, 矢数道明, 木村長久, 清水藤太郎の共著となっている。これらの著者達こそ, 拓大漢方講座講師団の中核であって, その後の漢方復興運動を成し遂げた人達である。それらの人達の系譜こそはまた, 現代日本漢方の正統でもある。即ち大塚敬節は, 湯本求眞門下の古方派の学統を継ぎ, 木村長久は, 明治の大家・浅田宗伯の直門・木村伯昭の嗣子で折衷派の学統を継ぎ, 矢数道明は, 大正時代に活躍した漢方医・森道伯の流れを汲む後世派・一貫堂の後裔であった。
著者
大喜多 祥子 山田 光江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.214-232, 1980-10-30
被引用文献数
1

家庭用ガスオーブンの予備加熱の必要性について,イースト醗酵の食パンやロールパンと,天板に直接薄く並べて焼き上げるクッキー類について,パン切片を用いたこげ方の基礎実験も含めて検討した結果,1.食パンでは同じ焙焼時間で,ロールパンではやや長いめの時間で,予備加熱なしは予備加熱ありと形や味など総合的に差なく焼き上る。2.パン切片を焙焼した結果,予備加熱は焙焼の温度や時間によって影響があったりなかったりする。3.クッキー類は高速オーブンでは同じ時間で,普通オーブンでは時間を少し長くするだけで差のないものが得られた。特に薄く焼き上げたいラングドシャは予備加熱なしの方が好ましい製品が得られる。4.ガス使用量からみても予備加熱なしの方が少ないガス量ですんだ。以上より,前報のケーキ,シューに加えてパン類やクッキー類でも,予備加熱は必ずしも必要とは言えなかった。但しパン切片の焙焼実験から,より高温短時間加熱のものの場合や,ラングドシャの結果から逆に形がかわらないうちに焼き固めねばならないものの場合などについては,予備加熱を考慮する必要があることが示唆された。
著者
猿樂 拓也 北濱 幹士 山田 光穗
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.29-42, 2021 (Released:2021-02-25)
参考文献数
18

In recent years, due to international sports competitions, attention to sports has increased, and sports science research has been conducted to develop athletes who can play in international competitions. In sports science, the measurement of eye movements has attracted a great deal of attention because it can reveal the superior performance of an athlete. However, it has been difficult to measure eye movements during actual competition with conventional wired eye movement measurement devices. We developed a wireless eye movement measurement device and measured the line of sight during actual competition in various sports.
著者
山田 光男
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.8, pp.75-83, 2015-02-28

これまで航空安全のために、警報システムの開発、多重装備、航法機器の精度向上など様々な方策がとられてきたが、近年最も注目を浴びているのは人間の行動そのものに対する方策である。機長の判断ミスが致命的なエラーにつながった2件の事故からCockpit Resource Management (CRM)と呼ばれる乗員の行動様式を改善するための方策が開発され、このCRMにエラーとそのエラーの元となる潜在的危険要素を考慮したThreat and Error Management(TEM)の概念が組み込まれ、一層の安全性を確保する動きへと繋がっていった。この経緯を検証し、TEMの概念は有効な安全対策に成り得るか、また今後の課題は何かについて考察した。
著者
大喜多 祥子 山田 光江
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.38-45, 1982

家庭用ガスオーブンの予備加熱の必要性について,高温短時間で層状に膨化させて焼き上げるフレンチパイの,型ぬき式とパルミエ式のそれぞれ小型の基本型について,実用的な形の場合も含めて検討した結果,<BR>1.型ぬき式パイの基本型で厳密に比較すると,予備加熱ありの方が焼き縮みが小さく,よく揃って焼ぎ上るが,予備加熱なしでも加熱時間の延長でパイ製品としてはほとんど支障のない製品が得られた.<BR>2.パルミエ式パイの基本型で厳密に比較すると,予備加熱ありの方がやき縮みが少なく,特にファンなしのオーブンでは外観に加えて層のでき方や触感の点でも,加熱時間の延長のみでは解決できない有意差がみられた.<BR>3.1,2のようなことが厳密には出現するが,実用的な場合として小型のブーシェ,パルミエを焼いてみると,結局基本型より形が複雑であったり,生地量が多いので焙焼時間を長く要したりするため,予備加熱なしでも加熱時間を延長すれば予備加熱ありより特に劣るとは感じられなかった.<BR>4.ガス使用量は前報同様の結果であった.以上より,差が出やすいはずの小型・基本型のパイでは,今までに検討したケーキ,シュー皮,パン,クッキー(ラングドシャ以外)とは異なり,予備加熱の有無による影響が非常に僅かではあっても明らかにあることを確認したが,実用的な形にするとすでにそれらのことは問題にならない.<BR>1報以来の検討を通して,それ以外の場合でも結局は家庭用ガスオーブンではガスの節約という点からも予備加熱の必要はない.<BR>これは業務用の大型と異なり庫内が小さいことと,ガスという熱源に起因すると考えるが,特にファンありの高速オーブンが普及しつつある今日から将来にかけて,家庭用ガス高速オーブンである限りほとんどすべてのものを焼く場合に予備加熱の必要性は無しと判断するに至った.
著者
大喜多 祥子 山田 光江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.38-45, 1982-04-20

家庭用ガスオーブンの予備加熱の必要性について、高温短時間で層状に膨化させて焼き上げるフレソチパイの、型ぬき式とパルミエ式のそれぞれ小型の基本型について、実用的な形の場合も含めて検討した結果、1 .型ぬき式パイの基本型で厳密に比較すると、予備加熱ありの方が焼き縮みが小さく、よく揃って焼き上るが、予備加熱なしでも加熱時間の延長でパイ製品としてはほとんど支障のない製品が得られた。 2 .パルミエ式パイの基本型で厳密に比較すると、予備加熱ありの方がやき縮みが少なく、特にファンなしのオーブンでは外観に加えて層のでき方や触感の点でも、加熱時間の延長のみでは解決できない有意差がみられた、 3. 1,2のようなことが厳密には出現するが、実用的な場合として小型のブーシェ、パルミエを焼いてみると、結局基本型より形が複雑であったり、生地量が多いので焙焼時間を長く要したりするため、予備加熱なしでも加熱時間を延長すれば予備加熱ありより特に劣るとは感じられなかった。4.ガス使用量は前報同様の結果であった。以上より、差が出やすいはずの小型・基本型のパイでは、今までに検討したケーキ、シュー皮、パン、クッキー(ラングドシャ以外)とは異なり、予備加熱の有無による影響が非常に僅かではあっても明らかにあることを確認したが、実用的な形にするとすでにそれらのことは問題にならない。1報以来の検討を通して、それ以外の場合でも結局は家庭用ガスオーブンではガスの節約という点からも予備加熱の必要はない。これは業務用の大型と異なり庫内が小さいことと、ガスという熱源に起因すると考えるが、特にファンありの高速オーブンが普及しつつある今日から将来にかけて、家庭用ガス高速オーブンである限りほとんどすべてのものを焼く場合に予備加熱の必要性は無しと判断するに至った。
著者
篠原未歩 石井英里子 星野祐子 山田光穗
出版者
特定非営利活動法人 パーソナルコンピュータ利用技術学会
雑誌
パーソナルコンピュータ利用技術学会論文誌 (ISSN:18817998)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.40-55, 2021 (Released:2022-03-18)

映像視聴が人にもたらす効果の研究では,主観評価や眼球運動計測を用いる研究が多く行われているが,生体信号を軸とした研究事例が少ないのが現状である.また,「癒やし効果」に関しては評価基準が難しく,明確な研究報告が行われていない.そこで,本研究では「癒やし効果」に着目し,主観に左右されない生体信号を用いることで高精細映像がもたらす効果を明らかにする.癒やし効果の評価にはリラックスに関連する副交感神経の影響を評価することが最適だと判断し,計測する生体信号は心拍数,呼吸数,脳血流動態,皮膚温度とした.さら に,映像品質に関する重要な要素である解像度と色域 ・輝度に着目し, ,2種類の実験を行うことで,より詳細に高精細映像が人にもたらす癒やし効果を解析・検討した. 本研究結果では,高解像度・広色域・高輝度の自然映像に 大きな 効果が見られた.このことから,高品質な映像条件で視聴することによって,実際に見る景色に近づき,自然の中にいる時と同等の癒やし効果を得られる可能性が高いことを示した.
著者
加藤 大一郎 石川 秋男 津田 貴生 福島 宏 山田 光穗
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.1315-1324, 1999-09-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
9
被引用文献数
9 6

We are studying an intelligent robot camera system that can automatically shoot images with a powerful sense of reality. To clarify the relationship between the size of a subject, shooting velocity, and position of the subject in the image, a basic experiment was conducted on the shooting of a moving subject. The following points were clarified. The subject's position in the image seems to be more closely related to the size of the subject than its velocity ; the larger the subject and the faster it is moving, the greater the values for the distribution of the subject's position. We also found that if a subject moves outside the best position in the image, its position is not corrected immediately but the shooting continues keeping the maximum velocity of positional change within about 0.20 to 0.35. We also conducted subjective image evaluation experiments using a camera control system. This has revealed that the factors in subjective evaluation of camera work may be divided into four groups representing continuation, vividness, sensitivity, and human-warmth, and that the tested subjects were liable to feel shots, taken with techniques similar to those used by cameramen were more human-like, so they gave them relatively high evaluations.
著者
國石 洋 関口 正幸 山田 光彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.156, no.2, pp.62-65, 2021 (Released:2021-03-01)
参考文献数
32

慢性的なストレスへの暴露は,シナプス伝達といった脳の情報処理機構に様々な影響を与える.特に,前頭前皮質と扁桃体など情動処理に関与する脳領域に対し,ストレスが与える影響やその詳細なメカニズムを理解することは,ストレス関連精神疾患に対する新しい治療標的の探索のために重要である.近年,うつ病などのストレス関連精神疾患の症状を引き起こす責任部位として,前頭葉の腹側領域である眼窩前頭皮質(orbitofrontal cortex:OFC)が注目されている.OFCは扁桃体などの辺縁系領域や,腹側被蓋野など報酬系といった情動に関与する様々な領域に神経投射を送っており,特にOFC外側領域は負の情動処理に重要な機能を持つと推測される.本稿では,OFCの機能とストレス関連疾患への寄与を示すこれまでの知見を記述しつつ,マウスの外側OFCから扁桃体基底外側核(basolateral amygdala:BLA)へ投射するシナプス伝達を光遺伝学的に単離計測し,ストレス負荷が与える影響と負情動行動への寄与を明らかにした,我々の研究について紹介する.
著者
山田 光宏 佐藤 康二 麻生 明義
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.154-162, 2010 (Released:2011-03-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

人間の様々な動作において1/fβゆらぎがみられるが,ヒューマンアニメーションに1/fβゆらぎを適用した研究は,従来,みられない.そこで,本論文では,人間の動作として拍手を採り上げ,1/f^βゆらぎを用いたヒューマンアニメーションに関して検討している.まず,1/fβゆらぎを拍手の周期や振幅に対して加えた,拍手のヒューマンアニメーションを制作した.次に,SD法を用いて被験者による評価実験を行い,実験結果に因子分析およびテューキーのWSD検定を適用した.その結果,拍手の周期および振幅を一定とした場合よりも,拍手の周期を一定とし拍手の振幅のみに1/fゆらぎを加えた場合のほうが,より自然で,違和感のない,人間らしいものとなった.
著者
山田 光胤
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.505-518, 1996-01-20

医療は専ら西洋医学を修めた医師によって行うこととし, 漢方を学んでも医師の資格は与えないという明治政府の処置によって, 明治16年 (1883) 以降漢方医学を学ぶ者は次第に絶え, 我が国の伝統医学・医療は絶滅に瀕した。 これは, 日本人の特に当時の政府人の西洋崇拝, 伝統蔑視の思想が強く関与しているものと思われた。 このような風潮は, 現在でも引き継がれていると考えられる。 しかし, 幕末から明治にかけて, 日本漢方を西洋医学と対比するに, 外科手術の面は別として, 内科的治療のレベルは, むしろ日本漢方が優れていた。 この具体的な症例を, 浅田宗伯は著書『橘窓書影』の中に記録している。 そのような時流の中で, 東洋医学を学んで医師となった和田啓十郎は, 漢方医学の有用性・重要性を唱えて, 明治43年 (1910), 『医界之鉄椎』を著した。 この書は実に, 漢方医学復興の一粒の種子となった。 金沢医専出身の医師・湯本求眞は, この書によって啓発され, 和田門下となって生涯を漢方医学の究明と, それによっての患者の治療に尽し, 昭和2年, 『皇漢医学』3巻を著した。 この書は, 西洋医学の知見を混えて, 傷寒諭, 金匱要略の解釈を中心にした, 漢方最初の現代語による解説書である。 湯本の『皇漢医学』は, その後の我が国に於ける漢方医学の復興に, 大きな影響を及ぼしたのみでなく, 中国に於ても, その伝統医学の温存にカを与えたといわれる。 ともあれ昭和年代初頭では, ごく僅かな生き残りの漢方医と数名の医師によって, 漢方医学が伝承されていたが, やがて, 漢方復興の機運が, 次第に醸成され, 種々な運動が起こった。 昭和11年 (1936), 当時新進の漢方医学研究者が志を同じくし, 漢方医学復興を目指してその講習会を開催した。 偕行学苑と名付けられたが, 翌年より拓大漢方講座と名を改めた。 この漢方講座は, 昭和19年 (1944) 迄8回, 毎回約3ヵ月乃至4ヵ月間ずつ開催され, 第2次大戦後の昭和24年 (1949) に, 第9回紅陵大学漢方講座として15日間開催された。 通算9回, 700名以上の有志が聴講し, 中からはその後, 漢方医学界の柱石となる人物も輩出した (筆者も, 戦後の第9回講座を, 医学生の身分で聴講した)。 第2次大戦前の昭和16年, 南山堂より『漢方診療の実際』という書が発行された。 この書は, 従来の「証」に随って治療する漢方の本質から一歩踏み出して, 現代医学的病名に対して, 使用した経験のある漢方処方を列挙して解説している。 当時とすれば画期的な漢方医学の解説書であった。 そして, 第2次大戦後, 昭和29年 (1954) に改訂版が発行された。 さらに昭和44年 (1969) に発行された『漢方診療医典』(南山堂)は, 漢方診療の実際を大改訂した書である。 これらの書を通じて解説された, 現代医学病名に対応して用いられる漢方処方の延長が, 現在の日本で, 大量に使用されている漢方製剤の応用なのである。 これらの書が, 現代日本漢方に及ぼした影響は多大なものがある。 その『漢方診療の実際』初版は, 大塚敬節, 矢数道明, 木村長久, 清水藤太郎の共著となっている。 これらの著者達こそ, 拓大漢方講座講師団の中核であって, その後の漢方復興運動を成し遂げた人達である。 それらの人達の系譜こそはまた, 現代日本漢方の正統でもある。 即ち大塚敬節は, 湯本求眞門下の古方派の学統を継ぎ, 木村長久は, 明治の大家・浅田宗伯の直門・木村伯昭の嗣子で折衷派の学統を継ぎ, 矢数道明は, 大正時代に活躍した漢方医・森道伯の流れを汲む後世派・一貫堂の後裔であった。(敬称略)
著者
倉賀野 妙子 北尾 敦子 山田 光江
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.665-670, 1988
被引用文献数
1

クッキーの食味とショートネス, 硬さとの関係を把握するために嗜好度官能検査を行い, 同時に定速圧縮破断特性値と対応させて検討した.<BR>1) クッキーの嗜好度官能検査をもとに, 総合評価および各評価項目間の単相関係数, 偏相関係数を求めた.その結果から, ショートネスが, 甘味, 風味と並んで総合評価に貢献する官能的要因として欠かせないことが認められた.硬さはショートネスと大きな相関があり, クッキーにとっては, 両者は切り離せない性質であり, 硬さも総合評価に影響を及ぼす要因と推定される.<BR>2) クッキーのもろさの嗜好度評価 <I>K<SUB>B</SUB></I> とみかけの破断エネルギー <I>E<SUB>n</SUB></I> (×10<SUP>6</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>), および硬さの嗜好度評価 <I>K<SUB>H</SUB></I> とみかけの破断応力 <I>P<SUB>f</SUB></I> (×10<SUP>7</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>) の関係は, おのおの, <I>K<SUB>B</SUB></I> =-0.147<I>E<SUB>n</SUB></I><SUP>2</SUP> + 0.666<I>E<SUB>n</SUB></I> + 0.551, <I>K<SUB>H</SUB></I> =-0.209<I>P<SUB>f</SUB></I><SUP>2</SUP>+ 0.979<I>P<SUB>f</SUB></I> + 0.141 で示すことができた.クッキーのもろさは, みかけの破断エネルギー 2.27×10<SUP>6</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>, 硬さはみかけの破断応力 2.35×10<SUP>7</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>を有するものが, 嗜好度評価が最も高いことが推定された.これらの破断特性値を有するクッキーを調製できる材料配合比を明らかにした.