著者
名久井 忠 櫛引 英男 阿部 亮 岩崎 薫 早川 政市 仲野 博之
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.300-307, 1975-12-25

十勝地方で栽培されたとうもろこしの早生品種「ヘイゲンワセ」,「ホクユウ」と晩生種「交8号」,「ジャイアンツ」について,栽培ならびに動物試験による栄養価の査定を行ない,それぞれの特性を比較検討した。(1)子実重歩合は「ヘイゲンワセ」が60.9%,「ホクユウ」が47.3%,「交8号」が31.6%,「ジャアンツ」が20.6%であり,早生品種が明らかに高かった。(2)乾物収量は晩生種が多いが,栽植密度の増収に対する影響をみると早生種が勝っていることから,栽培密度を高めることにより,晩生種の水準まで向上させ得るものと推察された。(3)サイレージの品質は良質であり,その評点は早生種が明らかに優れていた。(4)消化率は,早生種が晩生種よりも乾物が7〜10%程度高く,エネルギーにおいても同様の傾向が認められた。(5)TDNおよびDEについてみると,「ヘイゲシウセ」は69.4〜71.6%および3.12〜3.16kcal/g.DM,「ホクユウ」が67.0〜70.7%および3.14kcal/g.DM,「交8号」が61.1〜62.1%および2.90〜2.93kcol/g. DM,「ジャイアンツ」が60.7〜60.9%および2.69〜2.89kcal/g.DMであり,早生品種が優れていた。(6)10aあたりのTDN収量(密植区)は「ヘイゲンワセ」が655kg,「ホクユウ」が792kg,「交8号」が692kg,「ジャアンツ」が621kgであった。また,可消化粗デンプンは早生品種が239〜274kgであるが,晩生品種は106〜153kgと,前者が明らかに多かった。
著者
阿部 亮 名久井 忠 櫛引 英男 石栗 敏機 岩崎 薫 早川 政市 仲野 博之
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.291-299, 1975-12-25
被引用文献数
2

ヘイゲンワセ,交8号,ジャイアンツの3品種のとうもろこしを9月6日以降,ほぼ10日間隔に経時的に採取し,飼料価値および収量の調査をするとともに,それらの品種を含む15点のとうもろこしサイレージについて飼料値価の調査を行なった。その結果,乾物率,子実含量および収量について品種間に大きな差異が見出された。また,いずれの品種も収量は9月24日以降ほぼ一定となったが,その後も乾物に占める子実割合は増加した。また,とうもろこしサイレージの飼料値価について見ると,可消化粗蛋白質,可消化粗脂肪の含量は品種間で大差なく,TDN含量の大小に関しても大きな位置を占めず,可消化全炭水化物の含量がTDN含量の大小に大きく響いた。可消化全炭水化物の中味について見ると,デンプン,単少糖類などの可消化非構造性炭水化物と可消化構造性炭水化物の割合で,試料間に大きな差異が見られた。熟期が進むにつれて構造性炭水化物の消化率は減少の傾向を示し,その可消化量も減少するが,逆にデンプン含量が増加するため,可消化非溝造性炭水化物と可消化構造性炭水化物含量との間には高い負の相関(r=-0.91)が認められた。また,粗蛋白質,粗脂肪,構造性炭水化物の含量と可消化量との間には,いずれもr=0.95以上の有意(P<0.01)の相関関係が得られた。
著者
高田 雅美 木村 欣司 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.91-104, 2006-05-15
被引用文献数
6

高精度かつ高速に上2 重対角行列を特異値分解するために,我々は,dLV(離散ロトカ・ボルテラ:discrete Lotka-Volterra)系による新たな特異値分解ライブラリを開発している.既存ライブラリとしては,線形数値計算ライブラリLAPACK におけるDBDSQR がある.DBDSQR は,QRs法に基づいた特異値分解ライブラリであるが,計算量が多く,実行時間の面で大規模向きではない.また,いくつかの特異ベクトルのみを計算することも困難である.一方,dLV 系により定式化されたI-SVD(Integrable-Singular Value Decomposition)法は,計算量が抑えられる動作原理を持つ.本論文では,I-SVD 法の実装ライブラリDBDSLV を開発し,実行時間と計算精度について,DBDSQR との比較数値実験を行う.精度を調べる際,真の特異値と特異ベクトルが判明している上2 重対角行列が必要となる.そこで,Golub-Kahan-Lanczos 法によるテスト行列作成法を用いる.実験の結果,DBDSLV は,DBDSQR よりも誤差の少ない特異値と特異ベクトルを非常に短い実行時間で計算されることが確認された.計算された特異ベクトルの直交性も同程度であり,再直交化を行えばDBDSQR を上回ることも分かった.To perform SVD (Singular Value Decomposition) of bidiagonal matrices with high accuracy and high-speed, we develop a library by using the dLV (discrete Lotka-Volterra) system. Today's standard routine for SVD is DBDSQR provided in LAPACK (Linear Algebra PACKage). Since the computation of SVD by DBDSQR is based on the QRs (QR with shift) algorithm, DBDSQR is slow in speed and is unsuitable for large scaled problems. It is also difficult to obtain only a few singular vectors by using DBDSQR. On the other hand, the I-SVD (Integrable-SVD) scheme based on the dLV system enables us to cut down the computational cost by separating the computation process of singular values and vectors. In this paper, for evaluation of computational time and accuracy, we implement the I-SVD scheme to a new routine named DBDSLV and compare it with DBDSQR. For a comparison of accuracy, we use a method for constructing a class of upper bidiagonal random test matrices having true singular values and vectors by means of the Golub-Kahan-Lanczos method. As experimental results, we confirmed that DBDSLV is faster and errors of singular values and vectors in DBDSLV are smaller than those in DBDSQR. Though the orthogonality of computed singular vectors in DBDSLV is in the same order as in DBDSQR, we found that DBDSLV has a better orthogonality through a reorthogonalization.
著者
片山 幹基 木村 欣司 高田 雅美 坪井 洋明 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.389-407, 2008-09-25
被引用文献数
1

本論文では,上2重対角行列の高速特異値分解法1-SVDにおける左特異ベクトル計算部を改善し,直交性の優れた精度のよい左特異ベクトルを高速に求める新たな手法を定式化する.さらに,その有効性を数値実験により評価する.
著者
田中 久美子 岩崎 英哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.87, pp.107-114, 1996-09-12

コーパスから得られた共起情報は,共起関係を枝,語をノードとするグラフと見なすことができる.同じ語が複数の意味を持つことがあるという曖昧性によって,この共起グラフは全体でひとつの大きなグラフを形成している,本稿では,曖昧性を「共起関係の推移律」という観点から捉え,共起グラフから同じ意味・話題を成す部分グラフを推移律が成立するように抽出して全体をクラスタ分けするための手法を提案する.クラスタ分けされたグラフの性質などについても考察する.さらに,実際に20Mのコーパスから作成した共起グラフに対して本手法を適用した結果,および,それを用いた主成分分析による記事の分類を行なった結果も合わせて報告する.Co-occurrence information, obtained from a corpus, is a graph, regarding words as nodes and co-occurrences as branches. Subgraphs of different themes stay connected because of ambiguous words. This paper assumes the ambiguity as the non-transitivity in co-occurrence relationship and tries to cluster a graph into subgraphs in which transitivity holds. Several properties of such subgraphs are also discussed. The clustering method is applied to a co-occurrence graph obtained from 20M Japanese newspaper articles and its results are analyzed. They are also used to classify the articles.
著者
田中 久美子 岩崎 英哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.88, pp.49-56, 1996-09-12

コーパスから得られた共起情報は,共起関係を枝,語をノードとするグラフと見なすことができる.同じ語が複数の意味を持つことがあるという曖昧性によって,この共起グラフは全体でひとつの大きなグラフを形成している.本稿では,曖昧性を「共起関係の推移律」という観点から捉え,共起グラフから同じ意味・話題を成す部分グラフを推移律が成立するように抽出して全体をクラスタ分けするための手法を提案する.クラスタ分けされたグラフの性質などについても考察する.さらに,実際に20Mのコーパスから作成した共起グラフに対して本手法を適用した結果,および,それを用いた主成分分析による記事の分類を行なった結果も合わせて報告する.Co-occurrence information, obtained from a corpus, is a graph, regarding words as nodes and co-occurrences as branches. Subgraphs of different themes stay connected because of ambiguous words. This paper assumes the ambiguity as the non-transitivity in co-occurrence relationship and tries to cluster a graph into subgraphs in which transitivity holds. Several properties of such subgraphs are also discussed. The clustering method is applied to a cooccurrence graph obtained from 20M Japanese newspaper articles and its results are analyzed. They are also used to classify the articles.
著者
河村 重行 岩崎 文雄 細田 友雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.146-152, 1974-06-29

1)花粉発芽の基礎的実験の一つとして,花粉粒内の糖含量が植物の種類・花粉の発育時期によりどのように異なるかを調査した。2)実験にはホーセンカ,ペチュニア,コスモス,菜類およびアサガオの花粉を主として用いた。3)糖類の検出はヨード・ヨードカリ法,Periodic Acid Schiff法およびFluckigen法で行った。4)その結果,同一植物の花粉でも発育時期によって糖の種類や含量に差が認められた。5)一般に花粉の発育初期から成熟する重での過程でデンプン含量は減少するが単糖類の含量は増加する傾向がみられた。6)ホーセンカ,ペチュニア,アサガオはデンプン,多糖類,単糖類の含量が比較的多く,特にPAS反応とFluckigen法で検出される糖類が顕著であった。これに対しコスモス,菜類はデンプン,多糖類,単糖類とも検出されたが,とくにFluckigen法で反応する糖類の含量は少なかった。7)無添加の寒天培地に発芽させたところ,ホーセンカとペチュニアはよく発芽するが菜類,コスモス,アサガオは発芽がわるかった。このことから単糖類と発芽との関係をさらに調べることにした。
著者
岩崎 勤 北島 律之 竹田 仰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.106, pp.47-52, 2005-05-27

We developed a large scale three-dimensional-immersive display that is bent the center of the screen and the bending angle can be changed variably. This display was built very cost effectively and portability. However, because the line for the breaking bend enters the center of the screen, it becomes difficult to obtain the absorption feeling. Then, the new type screen that curved naturally and gradually has been developed. This paper describes the feature and the design method of the new screen.
著者
岩崎 学
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.41-56, 1991-12-01
被引用文献数
9

射影追跡は,多次元データのもつ特徴的な構造を,直線あるいは平面などの低次元空間に線形射影することによって探るデータ解析手法であり,コンピュータの計算能力およびそのグラフィック機能を活用するものである,本論文では,射影追跡の考え方ならびに実際の計算法を概観し,いくつかの例に適用した結果を報告する. 射影追跡は,射影の興味深さを表す射影指標と呼ばれる関数の最大値を与える射影を探し出すという手順で実行される.そして,射影の興味深さを非正規性としてとらえる点に特徴がある.また,射影追跡ならびにその考えに基づく多変量解析手法は,高次元空間ではデータ点間の距離が大きくなってしまうという「次元の呪い」を回避できる利点をもっている.
著者
関根 秀一 前田 忠彦 岩崎 久雄 鈴木 康夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会秋季大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.1, 1994-09-26

携帯無線機に用いるアンテナの一つとして、バラン付きスリーブアンテナが提案されている。このアンテナは、他のアンテナに比べ設置された置体上に高周波電流をあまり流さないといった長所を有している反面、パランの取り付けが容易ではなく、しかも強い強度を持たせることが必要になるという実装上の欠点も併せ持っている。そこで本論では、上記のパランのかわりに、筐体の表面にチョーク回路を構成する方法を提案し、その有効性を実験によって検討したので報告する。
著者
岩崎 季世子 鈴木 雄大 神原 誠之 山澤 一誠 横矢 直和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.114, pp.31-36, 2007-06-21

本研究では,GPSやコンパス等が取り付けられたビデオカメラを用いて撮影することで撮影位置・姿勢情報が付加された観光地映像を,その位置・姿勢情報に基づいて検索・閲覧する映像ブラウジングシステムを提案する.システムは,ユーザが効率的に観光地映像を閲覧するために,地理情報データベースを利用して,映像の検索を行う.本研究では,地理情報データベースとして,被写体の位置情報だけでなく,これまでに被写体が撮影された履歴情報から推定された各場所から撮影される各々の被写体の尤度を保持したものを利用する.また,プロトタイプシステムを用いて行った評価実験の結果を示す.
著者
岩崎 治郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.733-738, 2005 (Released:2005-02-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

1990年代初頭に登場した電子ジャーナルは,それまでの冊子体の時代にはなかった購読契約上のさまざまな問題を生み出した。価格設定方式の多様さはそのひとつであり,出版社によるさまざまな試みの結果,1990年代末に価格体系は一応の基本形を確立したが,今なお新たな展開が跡を絶たない。その他,マルチサイト契約,購読中止後のアーカイバルアクセス,バックファイルへのアクセス,パッケージ購読,図書館コンソーシアム契約といった電子ジャーナルの購読契約に特有の重要なポイントについて,歴史的な変遷を盛り込みつつ概観する。
著者
横尾 真 ビンセントコニッツァー トゥオマスサンドホルム 大田 直樹 岩崎 敦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1451-1462, 2006-05-15

提携を結ぶということは,自動化された利己的な主体(エージェント)の持つ重要な性質である.エージェント間の提携が成立した場合,我々は提携を結んだエージェントの集合が得た利得をどのように分配するかを考える必要がある.協力ゲーム理論はこの利得の分配法について研究してきており,(シャープレイ値やコア,最小コアや仁といった)様々な解概念が提案されてきた.本論文ではこれら既存の解概念が,インターネットのような匿名の開環境の下でエージェントが行える操作に対し,脆弱であることを示す.匿名の開環境ではエージェントは架空名義の利用,共謀,能力の隠蔽といった操作が可能となる.我々はこれらの操作に頑健な新しい解概念である匿名操作不可能コアを提案し,この解概念を特徴づけるいくつかの公理的な条件を示す.また匿名操作不可能コアの条件を緩和した解概念として匿名操作最小コアを提案し,この解概念がつねに非空であることを示す.Coalition formation is a key aspect of automated negotiation among self-interested agents. In order for coalition to be stable, a key question that must be answered is how the gains from cooperation are to be distributed. Various solution concepts (such as the Shapley value, core, least core, and nucleolus) have been proposed. In this paper, we demonstrate how these concepts are vulnerable to various kinds of manipulations in open anonymous environments such as the Internet. These manipulations include submitting false names (one acting as many), collusion (many acting as one), and the hiding of skills. To address these threats, we introduce a new solution concept called the anonymity-proof core, which is robust to these manipulations. We show that the anonymity-proof core is characterized by certain simple axiomatic conditions. Furthermore, we show that by relaxing these conditions, we obtain a concept called the least anonymity-proof core, which is guaranteed to be non-empty.