著者
榊 寿右 角田 茂 中瀬 裕之 多田 隆興 内海 庄三郎 岩崎 聖
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-21, 1990-04-30 (Released:2011-01-25)
参考文献数
19

外傷性てんかんは比較的良好な経過をとり, 抗けいれん剤の投与にて, コントロールされるのが通常である。しかし時に難治性てんかんへと移行し, そのコントロールに苦慮する場合がある。われわれは, 乳幼児期の外傷後にてんかん発作が生じ, 難治性となって, 現在も多種多剤の抗けいれん剤の投与にもかかわらず, 発作のコントロールが不十分である症例を対象として, そのMRIの所見につきCT所見と対比しつつ検討した。これらの症例ではMRIの施行前にCTが行われ, その所見が判明しており, そして脳波上も患側半球で広範に出現する棘波が認められている。また臨床的に片側けいれんや自動症が主たる発作内容で, 粘着気質, 易怒性などの人格変化, 知能の発育障害も認められている。MRIではCTの変化に加え, さらに広範な萎縮性変化と患側側頭葉の発育障害が存在しているのが認められた。
著者
岩崎 稔 橋本 和廣 上村 良 池田 幸広 小林 久人 花房 徹兒 田中 紘一
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.470-479, 2006

【目的】新生児未熟児の胆汁うっ滞症に対し,胆道閉鎖症に対する除外診断の重要性と治療戦略の妥当性を研究すること.【対象と方法】胆汁うっ滞を認めた新生児未熟児2例(超低出生体重児:胆道閉鎖症,極低出生体重児:胆汁うっ滞症)の臨床経過を後方視的に調査分析し,確定診断のための諸検査の妥当性および治療指針に対する正当性を分析した.1990年より京都大学で始まった生体肝移植の移植患児の内,肝移植時の体重が5kg以下の患児は20名(男児:5名,女児:15名)であった.原疾患は,胆道閉鎖症9例,劇症肝炎5例,代謝性肝疾患4例,肝硬変2例であった.それらの患児に対する肝移植の治療成績と治療の妥当性を検討し,今回の症例に対する治療の適合性を検討した.【結果】超低出生体重児の胆道閉鎖症の患児は,生後187日目に葛西手術を受けるも術後36日目に多臓器不全にて死亡.一方,胆汁うっ滞症の極低出生体重児の患児は内服薬を併用し,精査・加療中である.京都大学医学部附属病院で行われた生体肝移植手術時の体重が5kg以下の患児(20例)の治療成績は,10名が生存で10名が死亡であった.肝移植時の体重3.7kg以下の5例は全例死亡であり,3.8kg以上の症例での生存率は66.7%であった.【結論】新生児未熟児の胆汁うっ滞症では,腹部超音波検査,肝胆道シンチグラフィーを施行し,胆道閉鎖症を早期に除外することが重要である.葛西手術時期を逸した症例や,胆汁酸の代謝障害による高度の肝機能障害を呈した疾患では,確定診断のための詳細な検査を行いつつも,確定診断には至らず肝硬変が高度に進行するようであれば,肝移植術も考慮した治療手段を考えることが患児の救命にとって重要である.
著者
HARTING AXEL 吉満 たか子 岩崎 克己
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、日本における非ドイツ語母語話者の教師がいかなる目的のもとに、日本語とドイツ語を使い分けているのかを明らかにすることである。そのために、言語選択を決定づける要因を探るとともに,教授目的ごとに受講者が母語(L1)と学習言語(L2)のどちらを使用するのかを見極めるために,ドイツ人と日本人両方のドイツ語教師を対象にして,調査を行った。その結果,受講者のL1使用を誘発する要因として,複雑な教育内容,規模の大きな授業,そして受講者のやる気の低さないしはL2能力の低さが示唆された。
著者
岡野 節子 岩崎 ひろ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.69-71, 1998
参考文献数
4
著者
竹内 東太郎 笠原 英司 岩崎 光芳
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.9, pp.597-603, 1999
参考文献数
17

[目的]外傷性硬膜下水腫(SDFC)における手術適応と手術法選択の決定因子を検索するために, CT脳槽造影(C-CT)と硬膜外圧持続測定(EDPM)を行い, それらの結果を検討することである.[対象・方法]1993年1月〜1997年12月までの5年間に当科に入院し, CTにてSDFCと診断された75例全例にSDFC発現後1カ月間経過観察したあとrepeat CTを施行した.repeat CTでSDFCが不変または増大群21例と吸収値変化群10例の計31例(男:女=22:9, 年齢31〜82歳, 平均年齢62.4歳, 両側:片側=20:11)を対象とした.これら31例にC-CTとEDPMを施行し, (1)検査結果, (2)手術適応と手術法の選択, (3)手術成績と予後について検討した.[結果](1)C-CTはno filling(N)11例, delayed filling(D)18例, early filling(E)2例で, NとDが29例(93.5%)と多かった.EDPMは持続高圧型(CH)9例, 間欠高圧型(IH)17例, 持続低圧型(CL)5例で, CHとIHが26例(83.9%)と多かった.(2)repeat CTで吸収値変化群, C-CTのN・D, EDPMのCH・IH, C-CTがE, EDPMがCLで症候性の群29例に手術を施行した.手術法は吸収値変化群10例に洗浄+ドレナージ術, SDFC不変・増大群でC-CTがN, EDPMがCHの6例に洗浄+オマヤ貯留槽設置術, それ以外の13例に硬膜下-腹腔内短絡術(S-Pシャント術)を施行した.再発した4例にはS-Pシャント術を施行した.(3)術後2カ月〜4年4カ月の追跡期間中, 最終的に全例SDFCは消失した.手術を施行しなかった2例は6カ月, 2年4カ月の追跡期間でCT上SDFCの増大や症状の発現は認められなかった.[結語]C-CTとEDPMはSDFCの手術適応, 手術法選択の決定因子として有用であり, 治療指針のフローチャートを作成できた.
著者
岩崎 健一 徳永 幹雄 山崎 先也
出版者
福岡医療福祉大学
雑誌
第一福祉大学紀要 (ISSN:13490613)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-12, 2004
被引用文献数
1

学生の精神的健康度の実態を把握するために、橋本らが作成した精神的健康パターン診断検査(MHP-1)を用いてD大学学生に調査し検討を加えた。結果を要約すると下記のとおりである。1.D大学男子学生は対照群男子学生と比べて、ストレス度の低い「はつらつ型」と「ゆうゆう型」が少なく、ストレス度の高い「ふうふう型」と「へとへと型」が多く、両群の間には有意差が認められた。2.D大学女子学生は対照群女子学生と比べて、ストレス度の低い「はつらつ型」と「ゆうゆう型」が少なく、ストレス度の高い「ふうふう型」と「へとへと型」が多く、両群間には有意差が認められた。3.尺度別に見ると、D大学男子学生は、男子対照群(1)(2)と比べて、心理的にも社会的にも身体的にもよりストレスフルな生活を送っている者が多く、対照群(2)の「対人回避」を除きストレスに関係する他の全ての尺度で有意に高い値を示した。しかし、生きがい度に関しては、対照群(1)との間では有意な差はなく、また、対照群(2)との間では「生活意欲」と「QOL尺度」でむしろ有意に高い値にあり、意欲的で張りのある生活をしている者が多い傾向にある。4.尺度別にD大学女子学生をみると、女子対照群(1)(2)と比べて、ストレスに関係するすべての尺度で有意に高い値を示し、D大学女子学生は心理的にも社会的にも身体的にもストレスフルな生活を送っている者が多い。生きがい度に関しても、対照群(1)とは「生活の満足感」と「QOL尺度」で、また対照群(2)とは「生活の満足感」で有意に低い値を示しており、D大学女子学生は生活に満足感を感じていない者が多い。5.精神的健康パターンに男女間の有意差はみられなかった。しかし、尺度別に見ると「身体的ストレス」とその下位尺度の「疲労」で、また、QOLではその下位尺度の「生活意欲」で両者間に有意差がみられ、男子学生の方が女子学生より、「身体的ストレス」が低く、「生活意欲」の高い張りのある生活を送っている者が多い。6.男子学生については、運動頻度の高いMonthly運動者とWeekly運動者が、運動頻度の低いStay運動者より、「心理的ストレス」や「身体的ストレス」が低く、また、「はつらつ型」が多く「へとへと型」が少ない傾向にあり、運動頻度が精神的健康度の改善に影響を与えている可能性が推察される。
著者
葛谷 孝文 小林 孝彰 羽根田 正隆 岩崎 研太 田中 友加
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

臓器移植後に使用される各種免疫抑制剤の薬剤暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果について健常人の末梢血リンパ球を用いたin vitroの系で検討した。始めに、添加した免疫抑制剤の洗浄方法について検討を行い、分析機器(シクロスポリン:CLIA法、ミコフェノール酸HPLC)の検出限界以下まで洗浄できていることを確認後以下の実験を行った。CFSE染色した末梢血リンパ球に免疫抑制剤(シクロスポリン、ミコフェノール酸)添加後、anti-CD3/28 microbeadsで刺激し3日間培養した。培養期間中、刺激1日または2日後に薬剤洗浄を行った。3日間培養後各々の群におけるTリンパ球をCD3で染色し、細胞増殖抑制効果をフローサイトメトリーにより観察し、薬剤間における特徴を比較検討した。その結果シクロスポリンは3日の薬剤暴露に比し1日の暴露後の薬剤除去で同程度のリンパ球増殖抑制効果が観察された(3日の暴露で47±15%の抑制、1日の曝露で37±13%の抑制)。一方、ミコフェノール酸では1日の暴露後の洗浄ではリンパ球増殖は十分抑制されず、暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果に関してシクロスポリンとは異なる傾向を示した(3日の暴露で83±10%の抑制、2日の暴露で73±6%の抑制、1日の暴露で29±11%の抑制)。これらの結果からミコフェニール酸モフェチルは時間に依存した免疫抑制効果を発揮し、シクロスポリンに関しては一度リンパ球の増殖を抑制することにより継続的な効果が期待できることが示唆された。このことはT細胞受容体の刺激後速やかなカルシニューリンの活性を阻害することが重要であり、初期段階の阻害によりその後の細胞増殖はある程度の期間抑制できることが示唆された。
著者
泉 聡志 横山 喬 寺岡 卓也 岩崎 篤 酒井 信介 斎藤 金次郎 名川 政人 野田 秀樹
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.703, pp.380-386, 2005-03-25
被引用文献数
8 16

We have developed a new nut named 'super slit nut (SSN)', which realizes anti-loosening performance without complicated tightening procedures. In this study, tightening behavior and loosening behavior caused by shear load are analyzed by mean of three-dimensional finite element method. It is found that SSN has a prevailing torque of 15 to 19Nm, which closely agrees with experimental data. The load distribution of thread depends on the rotation angle of nut. At the angle of 24.6 degree, the distribution of 1st pitch turns to be 10% larger than that of conventional nut, reflecting the decrease in the thread at slit region. It is also found that the anti-loosening performance cas be realized by the thread contact force at the slit region. Since its contact force does not depend on the tightening force, the effect of anti-loosening performance drastically increases as the tightening force is decreased. Shear fracture would initiate not at slit region but at the bottom of 1st thread, whose stress is about 10% larger, as compared with conventional nut. Moreover, by mean of tensile and fatigue experiments, it is concluded that SSN involves sufficient strength in practical use.
著者
島村 英紀 MARKVARD Sel 末広 潔 金沢 敏彦 岩崎 貴哉
出版者
北海道大学
雑誌
海外学術研究
巻号頁・発行日
1987

本研究では, 1988年に予定されている「本調査」を主な調査として, いまだナゾである大西洋中央海嶺の北部にあるプレート・テクトニクス研究の空白の部分について, すでに多くの研究の実積のある日本の海底地震計を使って, 日本とノルウェーの共同研究として, 精密な地下構造の探査と高感度の自然地震観測を行う. 1987年に行われた「予備調査」では, この研究の一環として, プレートの境界として, 日本のそれとは対照的な「受動的な境界」の精密な地下構造探査を, 世界で初めて, フィヨルドの底に海底地震計を並べて人工地震を行うという研究手法によって行った.この一連の研究によって, 海底から大陸にかけての地殻と上部マントルの『精密な地下構造』が初めて明らかになることと, 微小地震の活動を調べることによって, この付近の『プレートの現在の動きを知る』ことができ, 地球科学上, 大きな貢献をすることが期待される. なお, 海底地震計の設置と人工地震には, ノルウェーの大学の観測船が使われる.実験は海底地震計の場所を変えて二回繰り返され, 合計2万4千本もの地震記録を得ることができた. 解析には約半年を要するが, 記録の質は, もっとも遠い観測点でも良好なので, これらの記録を解析することによって, 同地域でいままでに得られたうちでも, もっとも精密な地殻構造が得られるものと期待されている.また, 次年度以下の本調査の実施についても, 明るい見通しを得ることができた.本調査に使うノルウェーの観測船と, 人工地震のための機材をテストするとともに, 共同研究者であるノルウェーの地球物理学者と共同して, 本調査で行う全体の地殻構造調査のいわば「東の端」である調査を, ノルウェーの大西洋岸で予備調査として行った.具体的には, ノルウェーの大西洋岸から直角に内陸に開けている, 同国最長のフィヨルドであるソグネフィヨルド(長さ200km)の中で, ベルゲン大学の観測船『ホーコンモスビー』(490トン)をつかって, 日本から運んだ海底地震計6台を設置し, ベルゲン大学の所有する大型エアガンで人工地震を行って, ノルウェー大西洋岸の地殻構造を求めるための一連の実験を行った. ノルウェーの大西洋岸は, 「受動的なプレート境界」として地球物理学では重要であるにもかかわらず, フィヨルドが縦横に走るほか, 山岳地帯に阻まれて, 通常の地震探査が行いにくかった. このため, 海底地震計とエアガンをフィヨルドの中で使うというのは, いままでだれも行っていなかった, 地下構造を調べるための効果ある手法なのである.
著者
岩崎 好規
出版者
地盤工学会
雑誌
土と基礎 = Soil mechanics and foundation engineering (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.2-6, 1995-03-01
参考文献数
5
被引用文献数
2
著者
谷川 攻一 細井 義夫 寺澤 秀一 近藤 久禎 浅利 靖 宍戸 文男 田勢 長一郎 富永 隆子 立崎 英夫 岩崎 泰昌 廣橋 伸之 明石 真言 神谷 研二
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.9, pp.782-791, 2011-09-15 (Released:2011-11-15)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

東日本大震災は,これまでに経験したことのない規模の地震・津波による被害と福島第一原子力発電所の事故を特徴とした複合型災害である。3月11日に発生した地震と巨大津波により福島第一原子力発電所は甚大な被害を受けた。3月12日には1号機が水素爆発を起こし,20km圏内からの避難勧告が出された。14日には3号機が爆発,15日の4号機爆発後には大量の放射性物質が放出されるという最悪の事態へと進展した。一方,この間,原子力災害対応の指揮本部となるべく福島県原子力災害対策センターも損壊を受け,指揮命令系統が十分に機能しない状態となった。20km圏内からほとんどの住民が避難する中で,医療機関や介護施設には推定でおよそ840名の患者が残されていた。これらの患者に対して3月14日に緊急避難が行われた。しかし,避難患者の受け入れ調整が困難であり,重症患者や施設の寝たきり高齢患者などが長時間(場合によっては24時間以上)にわたりバス車内や避難所に放置される事態が発生した。不幸にも,この避難によって20名以上の患者が基礎疾患の悪化,脱水そして低体温症などで死亡した。一連の水素爆発により合計15名の作業員が負傷した。その後,原子炉の冷却を図るべく復旧作業が続けられたが,作業中の高濃度放射線汚染による被ばくや外傷事例が発生した。しかし,20km圏内に存在する初期被ばく医療機関は機能停止しており,被ばく事故への医療対応は極めて困難であった。今回の福島原子力発電所事故では,幸い爆発や放射線被ばくによる死者は発生していないが,入院患者や施設入所中の患者の緊急避難には犠牲を伴った。今後は災害弱者向けの避難用シェルターの整備や受け入れ施設の事前指定,段階的避難などを検討すべきである。また,緊急被ばくへの医療対応ができるよう体制の拡充整備と被ばく医療を担う医療者の育成も急務である。
著者
成田 知宏 岩崎 知弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.401, pp.31-36, 2011-01-20

本稿では2チャネルの小規模マイクロホンアレーを用いた音声認識のための雑音除去手法について述べる。車載機器への適用を考えた場合、発話者である運転手の位置は予め想定可能である。また車室内で発生する騒音の多くは拡散性雑音である。そこで低演算量で安定して動作することを重視し、予め話者位置の変動を考慮し設計した固定ビームフォーマを採用した。またスペクトルサブトラクション法の後処理として、非フロアリング成分の密集度に基づくミュージカルノイズ削減処理、主副ビームフォーマの帯域制限パワー差に基づくスペクトル置き換え処理を適用することで音声認識性能の改善を行った。
著者
大友 章司 岩崎 祥一
出版者
一般社団法人日本リスク研究学会
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.33-42, 2011 (Released:2011-11-17)
参考文献数
26

This study examined the effects of the media on the dual-motivation model of earthquake preparedness. The model proposed that earthquake preparedness was determined by two motivations: the intentional motivation that leads to taking an action consciously and the unintentional motivation elicited by the quiet situation affording not to take an action. 92 university students in Sendai city and 96 university students in Nagoya city answered questionnaire. The results indicated that both intentional and unintentional motivations predicted earthquake preparedness. Moreover, students in Nagoya city engaged in more earthquake preparedness activities than students in Sendai city. Between Sendai and Nagoya samples, we found the differences of the direct effects on earthquake preparedness and the indirect effects through the determinants of the model on earthquake preparedness in local and personal media. This study highlights the importance of the role that media plays in promoting earthquake preparedness.
著者
吉本 富士市 原田 利宣 高木 佐恵子 岩崎 慶
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

描画の素人にとって,高品質な絵を描くことは容易ではない.コンピュータの支援により,素人が高品質な作品を容易に製作できれば,多くの人にとって福音となる.しかし,絵の一般的な評価基準を作り,それに基づいて素人の絵を評価・修正することは極めてむずかしい.そこで本研究では描画の初心者が,コンピュータを用いて心地よい手描き風曲線を生成するための支援システムと,それらの周辺の研究を行った.その成果の要点は以下のとおりである.まず,手描き風曲線の形とともに太さを玄人風に表現する,手描き風曲線の生成支援システムを研究した.手描き曲線の輪郭線の骨格から手描きの概形的特徴をフラクタル次元と曲率の符号変化数で抽出する.骨格線から輪郭線の縁までの距離をフーリエ変換して,そのスペクトルの高周波領域から太さの特徴を抽出する.それらについて,素人の特徴を玄人の特徴に近づけることにより,高品質な手描き風曲線を生成する.プロトタイプシステムを開発して評価実験を行った.その結果,玄人が描いた手描き曲線の特徴を用いて,素人が描いたぎこちない手描き曲線の概形的特徴を残しつつ,高品質な手描き風曲線を生成できることがわかった.また,周辺研究として以下の研究を行った.1.モバイル環境で素人が手軽に美しいイラストを作成するシステムを開発した.2.曲率半径と周波数分析を用いた人形の顔を構成する曲線の特徴解析3.VRシステムを用いた自動車コンフィギュレーション印象評価4.日本刀の曲線の性質を解析し,どのような共通点があるかを調べた.5.カーナビの情報デザインを構成する要素とユーザが持つ印象との関係を明確化した.
著者
岩崎 靖士 佐藤 知美 清水 壮一 中村 修三 高橋 伸
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.1951-1954, 2008 (Released:2009-02-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

症例は34歳,男性.黒色便,眩暈を主訴に当院受診した.採血上貧血を認め,緊急上部消化管内視鏡検査を施行したところ,ファーター乳頭の口側2cmの十二指腸下行脚に約2cmの潰瘍を有する隆起性病変を認め同部より出血をきたしていた.内視鏡的に止血できず,受診後2日目に腫瘍核出術を行い止血しえた.病理組織学的所見で十二指腸粘膜下にHeinrichI型の十二指腸異所性膵を認めた.潰瘍底には小動脈および拡張した毛細血管が認められた.十二指腸粘膜下腫瘍からの出血に対して保存的治療で止血しえない症例では外科的治療を行う必要があると考えられた.異所性膵は一般に無症状に経過することが多く,手術摘出標本や剖検時に指摘されるものがほとんどである.今回,十二指腸異所性膵により出血をきたした稀な症例を経験したため報告する.
著者
岩崎 郁雄
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
no.220, pp.35-46, 2009-07-15
被引用文献数
2

(1)本種は、2007年から2年連続発生しているが、その分布拡散には違いが見症れた。(2)幼虫から蛹の前期については耐寒性が強いが、蛹後期から羽化にいたる過程で死亡する個体が急増した。(3)2008年春季は、宮崎県内において、極少数の個体が越冬したと見症れるが、それが夏季の発生につながった可能性は極めて低い。
著者
東藤 大樹 李 潤樅 胡 雪梅 毛利 貴之 岩崎 敦 横尾 真
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

オークションにおける無羨望性とは,誰も他の参加者を羨まない,という公平性の基準である. しかし,組合せオークションでは参加者の選好が複雑となるため,単一の参加者に対する羨望はなくとも,参加者の集合に対する羨望が存在しうる. 本論文では,組合せオークションにおける公平性の新たな基準としてエージェントの集合に対する無羨望性を提案し,この無羨望性を持つ組合せオークションメカニズムを議論する.