著者
溝田 隆之 中村 徹也 岩崎 廉
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.425-431, 1992-09-05
被引用文献数
9 7

グロー放電質量分析法により高純度モリブデン中のppb〜ppmレベルの微量37元素を迅速定量した.約3時間にわたる繰り返し測定の結果から, 王水で洗浄した試料について更に表面汚染を除くために約30分, 特に超微量の炭素, 酸素, 塩素の定量では2時間の予備放電が必要なこと, 大部分の元素についての再現性は相対標準偏差で3%以下であることが分かった.又ICP-AESなど他法による分析結果との比較ができたナトリウム, アルミニウム, 鉄など10元素については, 一方の分析結果が他方の2倍を超えることがなく, ここで使用したVG社推奨の相対感度係数が実用上満足すべきものであることが分かった.なお, チタンはモリブデンの二価イオンの妨害のため定量困難であり, 亜鉛, 銀についても何らかの妨害が予想された.
著者
岩崎 泰頴
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.77, pp.205-"228-1", 1970-04-10

1966年初頭にルソン島Tayabas地区の地質構造調査を行った木村敏雄・徳山明両氏は, 保存は良くないが種々検討する価値があると思われる貝化石標本を, 2ケ所から採集し持ち帰った。産出層は下部Gumaca層の上部で中新統の由であった。さて標本類は二枚貝20種, 巻貝16種が識別され, 不確定の11種を除いてすべて既知の化石種・現生種に同定されている。特徴的な種として, Vicarya callosa, Anadara multiformis, Joannisiella cumingi, Paphia exarataなどを含み, 且ってMARTIN, SMITH等によって指摘されたフィリッピン及びインドネシア方面に広く分布する中新統下部の夾炭層に伴う浅海棲貝化石群に属すると見做し得る。一方の産出地Pitogo付近の2層から得られた標本類については, 不充分な材料ではあるが露頭における産出状態から自生の種群構成を復元することができる。この結果, 現地生に近いDosinia-Anadara群集と運搬されたと思われるBatillaria群集の両要素の混合したものと推定される。更に, この仮称"Pitogo fauna"は日本の黒瀬谷層などにみられるVicaryaを含む貝化石群と古生態的にも極めてよく類似している。両者を種群構成の上から比較すると, 両地の緯度の違いを反映して個々の群集の構成種の入れ替りは, 門ノ沢型における奥尻島と種子ケ島両地産の差よりも大きいが, まったく同一の生物地理区に属するとみて矛盾はない。従っていわゆる"門ノ沢型動物群"と比較できる, はるか南方延長上に存在する貝化石群として古生物地理の観点から見落せない。少くとも中新統下部の日本の貝化石群の古生物地理学的吟味は, 東南アジア地域をも対象にする必要があろう。本報告では層序はKIMURA et al. (1968)に基いた。また貝化石群としてみた場合は, 終始日本のそれと比較するという立場で取扱っている。
著者
小濱 純 斉藤 貢一 坂本 裕則 岩崎 雄介 伊藤 里恵 堀江 正一 中澤 裕之
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1019-1024, 2007 (Released:2008-01-29)
参考文献数
21
被引用文献数
3 5

食品添加物として使用されているL-プロリンをキラル分離・定量するために,オルトフタルアルデヒド(OPA)と9-フルオレニルメチルクロロホルメート(FMOC-Cl)を使用した選択的な前処理法を検討し,液体クロマトグラフィー/質量分析法によるプロリンの高感度かつ選択的な測定法の構築を試みた.夾雑成分の1級アミノ酸をOPA試薬により誘導体化し,固相抽出カートリッジを用いて2級アミノ酸であるプロリン及びヒドロキシプロリンとの分離を行い,続いて2級アミノ酸をFMOC誘導体とした.この2ステップ誘導体化法により試料のクリーンアップが効果的に行われ,2級アミノ酸に選択的な前処理が可能となった.また,β-シクロデキストリン系のキラルカラムを極性有機相モードで用いることにより,プロリンの良好な光学異性体分離が達成された.清涼飲料水,粉ミルク及び食酢を試料として添加回収試験を行った結果,平均回収率は80∼104% 以内と良好であった.本法は液状食品中のプロリンを光学分離,測定することが可能であり,食品添加物として使用されるプロリンの安全性を確保するための有効な分析法の一つになるものと期待される.
著者
岩崎 俊介 池上 大介 中里 秀則 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.14, pp.61-64, 2006-04-13
参考文献数
5

近年,大規模ワームや分散型サービス拒否(DDoS: Distributed Denial of Service)攻撃といったサイバー攻撃が深刻な社会問題となっている.これらの攻撃パケットの送信元IPアドレスは偽装されていることが多く,攻撃発信元を特定することが困難である現状がある.そこで本研究では,AS間のルーチングに利用されているBGP(Boarder Gateway Protocol)の特性を利用した,送信元IPアドレス偽装パケット検知手法を提案する.
著者
近藤 弘一 笹田 昇平 小幡 雅彦 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. コンピューティングシステム (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.216-225, 2007-05-15
参考文献数
13

本論文では非可逆画像圧縮におけるKakarala-Oeunbona (KO)の画像分解アルゴリズムを考える.KO分解では行列の特異値分解(SVD)を利用した主成分分析が行われ,2次元解散ウェーブレット変換と同様な多重解像度解析が可能である.左特異ベクトルをフィルタとして利用することが特徴である.一般に特異値の近接度が高いとき,SVD数値計算アルゴリズムによって特異ベクトルが高精度に求められるとは限らない.本論文ではKO分解における特異値の近接度を低減させるアルゴリズムを提案する.元画像に対してランダム模様のふちどりを追加することで特異値分布を変化させる.数値実験によりその効果を示し,圧縮画像の誤差評価を行う.さらには,フィルタ行列の量子化について議論する.
著者
高野 昌幸 岩崎 禎二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.1076-1081, 1982-12-20

ソニーが, 1981年のNABにおいて発表した, ENG/EFP用のカメラー体形VTRのBETACAMシステムについて, その特徴と, 1982年6月のSMPTEに提案した記録方式について述べる.
著者
福本 聡 新井 雅之 岩崎 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.352, pp.11-13, 2008-12-05
被引用文献数
1

本稿では,著者らの提案した,耐故障プロセッサの性能を解析的に評価するための確率モデルに関する追加的な議論をおこなう.はじめに,著者らの用いた評価尺度である相対性能比の意味を,Pradhanらの関連研究における評価尺度との関係から述べる.つぎに,相対性能比の平均と分散に関するより厳密な解析を示す.
著者
岩崎 雅美 田中 陽子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.945-957, 1994-10-15

In 1987 a man's shirt with a standing collar was introduced into the teaching syllabus for elementary schools as the first teaching material for Western sewing. An apron, a bib, a cap and drawers were subsequently added to the syllabus. The five garments were all Western clothing, however their designs were slightly modified or simplified in several editions of the textbooks. For example, fabric was cut down without paper patterns, and courved lines were never used for cutting fabric, which is distinctive characteristic of the Japanese kimono. The ways Japanese people wore the Western clothes in everyday life were different from the ways Western people did. A shirt and drawers were worn under the kimono, although an apron and a bib could be worn over the kimono. Also a cap could be worn with a kimono. These ways of wearing the Western clothes show that they were well suited to kimono. In addtion to the fact that Western clothing was suited to the kimono, there were other reasons why these items were selected as teaching materials for Western sewing. In this paper the reasons attributable to social and educational factors of those days are discussed as follows : (1) During the Sino-Japanese and the Russo-Japanese wars a large quantity of Western clothing including shirts and drawers had to be supplied for military purpose. (2) Some Westerners pointed out that the neckline, the wide-open edge of the sleeves, and the front opening of the Japanese kimono were not suitable for wearing in the cold season. (3) Educators tried to modify the child kimono into western-style clothing for children's use. (4) Some family magazines contained information on how to use a sewing machine and how to sew shirts and drawers for beginners in order that housewives could make those clothes more economically than purchasing them. The original properties of the Western clothes designs are to fit and be becoming to each individual wearer, to express his/her personality, and to help a wearer develop his/her self-concept. These factors seem to have hardly been taught in those days of Japanese elementary schools, since the major aim of the early teaching materials for Western sewing was on how to make them.
著者
岩崎 宗治
出版者
人間環境大学
雑誌
こころとことば (ISSN:13472895)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.47-60, 2006-03-31

恋愛ソネット集『アストロフェルとステラ』におけるフィリップ・シドニーの霊感の源は<自然の女神>である。ここに歌われている愛はペトラルカ風の精神的な愛ではなくて、中世文学の<自然の女神>に結びついたエロテイクな欲望である。この時代の文化のなかで、変という私的な領域は、政治という公的領域と交叉していて、ソネット連作における求愛のレトリックは、政治における雄弁のレトリックと通底している。シドニーは、ステラへの求愛の背後に、エリザベスに対する婉曲な政治的メッセージを隠しているのかもしれない。
著者
岡野 節子 岩崎 ひろ子
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿国際大学短期大学部紀要 (ISSN:13450085)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.69-75, 1999

鈴鹿市国府地区・平野町に伝承されている食文化「そうめんぬた」について探訪し,次の結果を得た。1.「そうめんぬた」は核家族世帯より複合家族の世帯に多く,日常的に調理されている。2.「そうめんぬた」の供食目的については法事食が最も多くみられ,次いで日常食としてであった。3.「そうめんぬた」に用いる材料(主材料・副材料)については,古くから伝承されてきた材料は,時代の嗜好変化とともに少しずつ変わってきている。4.「そうめんぬた」の供食法についてはご飯と一緒に食べることが多く,ご飯のおかずの一献立としている。嗜好状況について家族全員に好まれている。5.「そうめんぬた」の嗜好は年齢が高くなるにしたがって,「大好き」が増加している。6.その他,平野町に伝承される食文化に「どうかんだんご」がある。「天王祭」の伝承は住民あげて参加をしている。また,この祭事には必ず「どうかんだんご」を各家で作ったり,店で購入して行事食として伝承されている。
著者
杉木 章義 河野 健二 岩崎 英哉 Akiyoshi Sugiki Kenji Kono Hideya Iwasaki 電気通信大学大学院電気通信学研究科情報工学専攻 慶應義塾大学理工学部情報工学科 電気通信大学電気通信学部情報工学科 Department of Computer Science Graduate School of Electro-Communications The University of Electro-Communications Department of Information and Computer Science Keio University Department of Computer Science The University of Electro-Communications
出版者
Japan Society for Software Science and Technology
雑誌
コンピュータソフトウェア = Computer software (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.68-78, 2007-04-24
参考文献数
27
被引用文献数
7

インターネットサーバの手動による性能パラメータ調整は,多くの経験や時間を必要とし,管理コストの増大を招くことが知られている.ウェブサーバの主要な性能パラメータであるkeep-alive時間は,適切に設定しない場合,サーバのスループットや応答性を低下させることがある.本論文では,ウェブサーバのkeep-alive時間の自動設定機構を提案する.本機構は管理者の介入を必要とせず,手動設定で求めた値に近いkeep-alive時間に自動設定する.本機構はリクエスト待機間隔を監視しながら,データを送受信していない接続を切断し,データを頻繁に送受信している多くのクライアントからの接続を保つようにkeep-alive時間を設定する.本機構をApacheウェブサーバを対象としたライブラリとして実装し,実験を行った.その結果,異なる2つの負荷に対して,それぞれkeep-alive時間を自動的に設定し,サーバの性能を適切に維持することを確認した.Manual parameter-tuning of Internet servers causes high administrative costs because it requires administrator's expertise and huge amounts of time. The keep-alive parameter, which is one of major parameters in web servers, may cause severe degradation if it is not set properly. In this paper, we present an automatic tuning technique of the keep-alive parameter. Our mechanism adjusts the parameter without administrator's intervention so as to maintain active connections between clients and a server while closing inactive connections by observing request-waiting intervals. We implemented a prototype for Apache web server. Experimental results show that our prototype automatically adjusted the parameter and successfully yielded the nearly optimal server performance on two different workloads.
著者
岩崎 彰典 宮地 功 尾上 誉幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.368, pp.25-30, 2003-10-10

間隔尺度法により友達関係を測定し,得られた友達関係行列を用い,学習グループの最適化を行う.20人を超える学級ではグループ構成のすべての組合せを列挙すことは困難であり,ヒューリスティックな解法が必要である.本論文では致死遺伝子を発生しない新たな遺伝的アルゴリズムを提案する.また,小規模の学級に対し列挙法により厳密解を求め,遺伝的アルゴリズムの解と比較し,遺伝的アルゴリズムの解か充分に実用的であることを示す.