著者
菅原 俊治 横尾 真 松原 繁夫 岩崎 敦
出版者
日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では,ネットワーク上の各リソースを市場原理に基づいて公平かつ効率的に割り当てるプロトコルを,その実装に向けて評価することを目的とする.P2Pや分散センサネットワークなどのアドホックなネットワークにおけるデータ転送では,個々のノードの所有者や規格が異なる.この場合,各ノードにデータを適切に転送するための誘因(報酬)を考慮しなければならない.この報酬の決定にはしばしばオークションプロトコルが用いられる.しかし従来のプロトコルでは,あるノードが架空のノードを用いるか他ノードと共謀することで,不正に報酬を獲得できることを示した.この場合、理論的にもっとも優れているVickrey-Clarke-Grovesプロトコル(VCG)でも、不正行為は防げない。本研究では、さらに、選択されうる経路を所有しているエージェントの数に応じたペナルティをVCGに適用し、Reserve-Costプロトコル(RC)を提案し、このプロトコルが架空名義を用いた操作の影響を受けないことを理論的に明らかにした。計算機上に再現した小世界ネットワークに対して、提案プロトコルを評価し、VCGに対して約60〜80%の効率性を達成することも示した。また実際のネットワークでは,各ノードでオークションなど取得可能な情報に基づいてどこからデータを受ける(送る)べきかを決定する必要がある.これは,入札可能な対象(サーバなど)が複数あるときに,適切な入札箇所をある程度推定することに相当する.しかし、ネットワークの資源割当てのように非常にたくさんの要求が同時に起こり、かつ多くの地点から独立に処理をする必要がある.このような状況で資源割り当てプロトコルで見られる現象の解析も行った。それぞれが合理的に判断をすると全体の効率が落ちる現象があり、このために揺らぎや学習を導入することが一定の効果を上げることを示した。
著者
増田 絹子 岩崎 寛 藤井 英二郎
出版者
千葉大学
雑誌
食と緑の科学 : HortResearch (ISSN:18808824)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.27-40, 2007-03-31

本研究では,日本でみられる多様な植物との関わりについて検討するために,植物由来の色名について,その意味や成立背景に基づいて把握し,そして戦前から近年におけるこれらの色名の推移を調査し,植物との関わりが色名の推移にどう反映されているのかを分析した.日本の植物由来色名は染料植物由来色名に始まり,植物様態由来色名,染法用語由来色名,欧米起源の植物由来色名で構成されることが確認された.染料植物由来色名については,アイ,クレナイ以外の植物に由来する染めの程度を示す色名や重ね染めを意味する色名,染料植物の婉曲表現の色名が衰退していたことから,植物を染料として利用する機会やこれらの染め色を目にする機会が減少していることが示唆された。植物様態由来色名については,微妙な色の差異を示し,より細かい季節を象徴する色名が衰退していたことや,植物の俗称や別名の色名が衰退していたことから,身近な植物への関心の低下や身近な植物の減少が示唆された.欧米起源の植物由来色名においては,盛んに交替する性質があり,植物名から色がイメージされるまで定着しているものが少なかったことから,色名の対象となった植物の存在が軽視されていることが示唆された.
著者
岩崎 洋一郎
出版者
九州東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

交差点付近のビル屋上に設置したビデオカメラにて歩行者交通流を撮像し、その映像から画像処理によってある瞬間の横断歩道上に散開した歩行者の空間的な分布を得る。次に、その1コマの分布パターンをエントロピーによって定量化し、歩行者交通需要をマクロに推定する手法をこれまでに提案した。本研究では、そのエントロピーの変動に感応して歩行者青信号時間を調整する新たな歩行者交通信号制御方式を提案した。これは、エントロピーの値によって歩行者交通需要を推定し、毎サイクルその値に応じて歩行者青時間を最適に調整する制御方式である。本方式を適用することによって、不要な歩行者青時間を排除でき、特にスクランブル交差点ではそこを起点として延伸する自動車交通渋滞の緩和が期待できる。なお、歩行者交通需要が減少し青信号から青点滅信号へ切り替える際のエントロピー閾値について実画像処理結果およびシミュレーション実験結果を基に検討した。その結果、通常の横断歩道では2.5bits、スクランブル交差点では3.0bitsが最適なエントロピーの閾値であることが判明した。次に、交通信号制御の最小周期は1秒であることから、より処理時間の掛からない簡易な画像処理・エントロピー計測手法を提案した。その結果、PentiumIII600MHz程度のCPUを搭載したパーソナルコンピュータと画像処理ボードにて、画像処理およびエントロピー算出を1秒以内で完了できることが示された。さらに、画像処理によって歩行速度の極端に遅い歩行者(交通弱者)を検出し、歩行者交通需要が途絶え、エントロピーが減少した後も、その歩行者が安全に横断できるだけの時間を青点滅信号の延長によって確保する機能を付加した歩行者交通信号制御方式も提案した。
著者
岩崎 竹彦
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

現在、各地の地域博物館で行われている回想法について、博物館の関与の在り方から3タイプに分類し、それぞれの長所、短所を明らかにした上で望ましい実践方法を提言した。民具がなぜ高齢者の豊かな回想を引き出しうるのかを展覧会を開催することで広く社会に周知すると共に、民具の文化財価値の啓蒙普及に努めた。また、そうした活動を通して回想法は博物館振興につながることを明らかにした。さらに現代人の記憶から時々の社会・時代を象徴するモノが見えてくることを提言し、歴史博物館の現代史展示及び近現代の生活文化にかかる資料収集に有効な事例を収集した。
著者
岩崎 隆至 森田 温 丸山 寿一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.639-649, 1993
被引用文献数
2 1

本論文では、制御対象の同定結果に基づいて制御対象をクラス分けし、予め用意されたそのクラスに最適なルール群を用いてPIDゲインのチューニングを行うファジィオートチューニング法を提案する。このチューニングアルゴリズムの特長は以下のようにまとめられる。(1)制御対象の運転中の出力を繰り返し評価しながらPIDゲインを修正できるので、この方式によるチューニングは外乱に強くなる。(2)提案したアルゴリズムが適用できる制御対象の範囲は、従来のファジィオートチューニング法より広くなる。(3)同定結果はプラントのクラス分けにのみ用いられるため、チューニング性能は、同定誤差の影響を受けにくい。この方式を、一次遅れ+むだ時間系を制御対象とするPIコントローラのオートチューニングに適用し、シミュレーションおよび実験により、提案した方式が様々な特性を持つ一次遅れ+むだ時間系に有効であることを示した。
著者
稲垣 敦 草間 朋子 桜井 礼子 平野 亙 高波 利恵 溝口 和佳 岩崎 香子 品川 佳満 中山 晃志 影山 隆之
出版者
大分県立看護科学大学看護研究交流センター
雑誌
看護科学研究
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.47-56, 2012

大分市と協力して2005年に介護予防運動「お元気しゃんしゃん体操」(OSST)を開発した。OSSTは3段階の運動強度に分けられており、それぞれ道具を使わない4 種類の筋力トレーニングと3 種類のストレッチから構成されている。本研究には64~90歳の130名の在宅高齢者が参加した。3 ヶ月間のプログラムは、高齢者サロンでのOSST、健康相談、健康に関する講義、自宅でのOSSTであった。この期間の前後に、運動機能を測定し、自覚した身体的および精神的な変化に関する質問紙調査票を配付した。その結果、80%以上の者がほぼ毎日OSSTを家で実施し、OSSTでケガをした者はいなかった。また、体重、等尺性膝関節伸展筋力、肩関節柔軟性、10 m全力歩行タイム、最大一歩幅、ステッピングで有意な改善が認められ、体脂肪率、握力、長座体前屈、重心動揺、開眼片足立ち、全身反応時間では認められなかった。さらに、ほとんどの被験者が身体的および心理的に望ましい変化を報告した。OSSTは運動機能や心理面の改善の点で他の介護予防運動と同程度有効であった。さらに柔軟性や平衡性を高めるために改善が必要であるが、OSSTは安全性、継続可能性、効果の点から高齢者に相応しい運動であると考えられる。
著者
今給黎 尚幸 大渕 俊朗 濱中 和嘉子 吉田 康浩 宮原 聡 柳澤 純 濱武 大輔 白石 武史 岡林 寛 岩崎 昭憲
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.595-599, 2011-09-15 (Released:2011-10-26)
参考文献数
10

肺分画症は,肺組織に体循環系の奇形性異常動脈からの流入を有する先天性疾患であり,肺葉内分画症と肺葉外分画症とがある.我々は1994年4月から2010年3月までに当院およびその関連施設で手術を行った肺分画症15例を対象とし,術前診断および手術手技を中心にその臨床像を検討した.術前に全例で造影CTが施行されたが確定診断に至ったものは11例であり,残りの4例は術中所見で診断された.下葉に嚢胞や硬化像が認められる症例では肺分画症も念頭に入れ,異常動脈を検索することが必要である.胸腔鏡手術は4例に適応され,その内2例で開胸手術に移行した.条件が整えば胸腔鏡手術でも安全に施行できる症例があることが確認された.異常動脈の処理における自動縫合器の使用については,本検討では8例に施行され合併症は認めず利便性と安全性を鑑みると十分容認できると考えられた.
著者
原 寛徳 田口 厚 伊藤 信之 岩崎 勝郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.695-697, 1994-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

We investigated the mechanism stabilising the glenohumeral joint that prevents anterior dislocation. We measured the strength of the glenoid labrum and capsule in fifteen shoulders of nine fresh cadavers. The glenoid labrum and capsule were cut in widths of 5mm then the glenoid fixed and the labrum and capsule strained. We measured the tension when the labrum detached from the glenoid or the capsule ruptured. Results showed that the anterior-inferior portion is weaker than the other portion.
著者
藤森 拓人 中野 文夫 高橋 英和 岩崎 直彦 西村 文夫 早川 巖
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.368-375, 2002-11-25
被引用文献数
6

本研究の目的は義歯安定剤の引張接合力に及ぼす被着体の影響を検討することである.被着体として口腔粘膜を擬似した寒天,金属床を擬似した金属板,アクリル板を用意した.市販の義歯安定剤である,粉末タイプ4製品,クリームタイプ4製品,テープタイプ2製品,クッションタイプ4製品の14製品について試験した.粉末タイプではアクリル,金属と比較して寒天との接合力は有意に小さい値を示した.クリームタイプでは被着体による接合力の違いは認められなかった.クッションタイプでは寒天<金属<アクリルと接合力が有意に大きくなった.テープタイプの接合力はクッションタイプと同じ傾向を示した.以上の結果より義歯安定剤の接合力は被着体によって異なることが明らかとなった.

1 0 0 0 OA 実用法律顧問

著者
岩崎徂堂 著
出版者
二松堂
巻号頁・発行日
1910

1 0 0 0 OA 本草図譜

著者
岩崎常正 著
出版者
本草図譜刊行会
巻号頁・発行日
vol.55, 1921