著者
小林 実夏 岩崎 基 堀口 美恵子
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

若年者から高齢者までを対象に調査研究を行い、詳細に検討した結果、いずれの年代でも摂取食品数が少ない群ではBMIが25以上の肥満者の割合、朝食を欠食する者の割合が高かった。中高年齢者を対象とした調査では、摂取食品数の少ない群では食事摂取基準の推定平均必要量を摂取していない者の割合が高かった。また、摂取食品数が多い群では血清β-カロテン値や総コレステロール、HLDコレステロールのレベルが高く、γ-GTPのレベルが低かった。本研究により、食事の多様性は生活習慣、栄養素摂取量、生体指標、臨床検査値と関連することが明らかになったことから、特に中高年齢者の健康維持、疾病予防に寄与することが示唆される
著者
岩崎 博之
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

31年間AMeDASデータと高層気象データを利用して,近年,北関東山岳域の南側で日没後の豪雨(25mm/hr)が増加し,かつ,大気中の水蒸気量も増加していることを示した.また,数値モデルの結果から,大気中の水蒸気量が増加すると,この領域での日没後の積乱雲活動が活発することが示された.近年の水蒸気量の増加が,北関東山岳域の南側での積乱雲活動の活発化に寄与している可能性が示唆された.
著者
岩崎 仁 萩原 博光 坂東 忠司 安田 忠典 中瀬 喜陽 土永 浩史 土永 知子
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

驚異的な「博物学的知識」が南方熊楠の第一の特徴であるが、一方で彼は日本の先駆的自然保護活動家として評価されている。本研究によって、彼の自然保護活動は、熊野地方を対象とした緻密な自然生態系調査、特に1900~1904 年の那智における植物標本採集を中心としたフィールド調査を絶対的な基礎としていることが明らかとなった。さらに、この時期の植物・生態学的な研究活動が、後に形成される熊楠の思考体系全体、民俗学や宗教学的側面にまで深く影響していることがわかった。
著者
石淵 耕一 岩崎 圭介 竹村 治雄 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.1218-1229, 1996-07-25
被引用文献数
19

本論文では, ユーザインタフェースのための画像処理を用いた実時間手振り推定手法について述べる. まず, 手形状が非剛体であることを考慮し, 画像処理を用いた手振り推定手順を定式化する. 次に, 実時間処理を達成するために, パイプライン方式並列処理を用いた実時間手振り推定手法を提案する. 特に提案手法では, 安定した手振り推定を行うため, 手の大局的特徴を用いて指先の誤検出点を除去する. その後, オクルージョンが手振り推定に与える影響について調べると共に, その解決策を複数カメラの配置問題に帰着させる. 更に, 提案手法を実際に装置化し, この装置を用いたユーザインタフェース環境の構築を通じて, 本手法の有効性を示す. その際, オクルージョン問題や手の姿勢問題が完全に解決されずとも十分なインタフェース環境が構築可能であることも併せて示す.
著者
飯国 芳明 岩崎 貢三 櫻井 克年
出版者
高知大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1.山地酪農の「塾畑化」の経営学的考察:経営の立ち上げ期にはシバ草地の「熟畑化」が伴わないため,濃厚飼料(購入飼料)に大きく依存した経営を強いられる。しかも この時期には牛の馴化の遅れによって搾乳量や乳脂肪の低下が起こるために収入が低下する。また,借入金返済の資金繰り等の問題も重複して現れる。このため,造成後3年から4年目までは通常の経営主体では維持できない水準にまで収益が低下することが明らかとなった。今後一層の普及をはかるためには「芝草地活用肉用牛放牧促進事業」型の数年にわたるシバ草地に対する政策的支援(補助体系)が不可欠である。また,今回の研究を通じて家畜を扱う有機農業の場合には「熟畑化」ばかりでなく,家畜の「馴化」の重要性も明らかになった。今後は「馴化」のプロセスについても学際的な研究を行う必要があると考えられた。2.山地酪農の「熟畑化」の土壌学的考察:高知県南国市の斉藤牧場において,造成10年後の新しい草地と25年後の古い草地を比較することによって以下の知見を得た。古い草地では表層・下層ともに,肥沃度および団粒構造の発達による保水性・透水性の向上が顕著であった。一方,新しい草地の表層での肥沃度の向上は下層にまでは及んでいないことに加えて,牛糞由来の有機物添加の履歴が短く表層での排水性がやや不良であった。低分子有機酸の蓄積量は排水性の不良な新しい草地の表層で最も多かった。新しい造成地の荷電ゼロ点が低いのは,非晶物質が少なく有機物や酸性の強い粘土が多いためであることがわかった。ただし,数十年後には低肥沃度でもバランスのとれた安定した草地へと変化するものと考えられた。また,草地内・外の水を分析した結果,系外よりも系内が,また古い草地よりも新しい草地のほうが溶存イオンの量が多くpHも高かった。しかしながら新しい草地においても,日本シバ利用の山地酪農は水系の富栄養化を引き起こしておらず,環境保全型畜産業であるといえよう。
著者
岩崎 正弥 三原 容子 伊藤 淳史 舩戸 修一
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

農本思想とは、農に特別の価値を認め、その価値を社会の中で追求・実現しようとする思想である。本研究を通して以下のことを明らかにした。1)農本思想は1945年で終息したのではなく、戦後の農村教育や農政にその一部が継承され、帰農や地域づくりにおいて現代にもその影響がみられる。2)日本固有の思考様式だったのではなく、中国の村治運動やアメリカのアグラリアニズムにも認められるように、一種の普遍性をもつ哲学であった。また「社稷」概念は現代においてこそ再評価されるべきである。
著者
大塚 寛治 岩崎 博 小菅 克也 貫井 孝 水本 尚吾 今岡 紀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料
巻号頁・発行日
vol.96, no.413, pp.47-51, 1996-12-12

近年,電子機器の軽薄短小化は特に加速されている.この世界は標準化より先に進展しているため,各社独自の技術的アプローチがなされている.日本全体の将来を見たとき,効率的でない面が出るはずであるる.お互いの密なコミュニケーションが暗黙のうちにも技術の共通性がでる根源になると考え,企画した.軽薄短小の究極はシステムオンチップであろう.しかし機能の増大に対しシステムオンチップは常に取り残されている.複数のLSIと受動・センサー部品を取り込んだ高密度実装がいつの世にも必要であろう.この中に高速信号処理も組み込まなければならず,実装系から見て川上と川下によりものを申すべき時代に来たと思う.ICDでこの企画をすることはその意味で有意義であると見る.
著者
岩崎 哲弥 綾木 良太 島田 秀輝 佐藤 健哉
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J93-B, no.10, pp.1388-1396, 2010-10-01

インターネットのBGP経路制御環境を前提とした,ルータの性能調査や運用監視技術の評価,実験を行う際には,可能な限りインターネットで運用されるルータと同等の環境が必要とされる.このような状況をテスト環境において実現するために,複数のBGPエミュレータが提案されている.しかし,これらのBGPエミュレータでは,インターネットと同等な経路情報,経路広告頻度の双方を満たした経路広告ができない.そこで,本研究ではインターネットで交換されるBGPの経路情報のアーカイブデータを利用し,過去の広告時刻を考慮した経路の再現,広告が可能なBGPエミュレータの開発を行った.また,経路情報をRDBMSにて管理することで,過去の特定期間における経路情報や,特定のパス属性値に基づく経路情報を柔軟に抽出し,広告することを実現した.実装したBGPエミュレータの評価を行い,経路の再現広告を行うBGPエミュレータとしての有用性を示す.
著者
岩崎 秀雄
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

シアノバクテリアの概日リズム,とくに転写翻訳に依存しない翻訳後振動子によるゲノムワイドな転写制御に関する解析を行った。連続明ではゲノム上の約1/3-1/2の遺伝子群に顕著な転写レベルの蓄積リズムが観られ,その位相分布,kai 依存性などを解析した。また,連続明では殆どの遺伝子の転写が劇的に低下し,プロテオームとトランスクリプトームの相関性に著しい乖離が生じること,ごく一部の遺伝子発現は暗期に活性化され,その多くはkai依存性がみられることなどを明らかにした。これらは,あらゆる生物種において,新規の概日遺伝子発現を欠く条件での初めての概日時計依存的転写調節の観察例である。
著者
木村 弘信 原岡 喜重 河野 實彦 八牧 宏美 高野 恭一 岩崎 克則 古島 幹雄 山田 光太郎
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1)一般超幾何関数およびOkubo方程式の研究,2)Painleve方程式をはじめとする非線形可積分系の研究が本課題の目的である.GL(N,C)の正則元の中心化群の共役類はNの分割によって決まるが,一般超幾何関数は,このようにして得られる極大可換部分群の普遍被覆群の指標をラドン変換して得られるGrassmann多様体Gr(n,N)上の関数である.この積分表示の被積分関数から定義される代数的なde Rham cohomology群を具体的決定を行った.この問題はn=2の場合には一般的に,またn>2のときにNの分割が(1,...,1)や(N)の場合にすでに解決していたがそれ以外の場合には未解決であった.今回,分割が(q,1,...,1)の場合にcohomology群のpurity, top cohomology群の次元,具体的な基底の構成を与えた.この結果は関数を特徴付けるGauss Manin系を決定するときに重要である.また,分割が(N)の場合,すなわちgeneralized Airy関数の場合にde Rham cohomologyに対する交点理論を整備し,その交点数をskew Schur関数を用いて明示的に決定する研究を行った.このときに,特異点理論におけるflat basisの類似物が重要な役割を果たすことが示された.アクセサリパラメータを持たない方程式については,Okubo方程式についての結果を用いることによって,解の積分表示を持つことが示された.この積分表示はGKZ超幾何関数の積分表示の特別な場合になっており,その枠組みでの明確な位置づけと不確定特異点をもつ方程式を含む総合的な理解はこれからの課題である.Painleve方程式については,解全体をパラメトライズする解析的な空間である初期値空間の研究において,この空間にSymplecticな構造がはいること,初期値空間の幾何学的構造がPainleve方程式を本質的に決定してしまうことが示された.さらにPainleve方程式に関する不思議な現象が発見された.Painleve II型方程式は自然数によって番号付けされるひとつの系列の有理関数解を持つことが知られているが,この有理関数解を係数とするgenerating functionを作るとそれはAiry関数の無限大での漸近展開から得られることが分かった.
著者
冨田 隆 田矢 功司 島村 栄員 岡田 喜克 岩崎 誠 五嶋 博道 吉田 洋一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.17, no.8, pp.1574-1578, 1984-08-01
被引用文献数
20

大腸癌治癒切除例のうち手術時隣接臓器への浸潤が認められ他臓器合併切除を施行したものは 17.2% (10/58) で, 長期生存は3年10ヶ月, 2年6ヶ月の2症例であるが, 局所再発や播種性腹膜炎による死亡は2例のみで, 合併切除の有効性を示すものと思われた. 肉眼的他臓器浸潤例のうち組織学的に癌浸潤は 57.1% にみられ, 他の42.9%は結合織や膿瘍形成による炎症性癒着であった. 特に膿瘍形成例でその内腔に癌細胞が浮遊し, 相手臓器まで膿瘍腔が連続進展していることから癌浸潤が考えられた. したがって炎症性癒着といえども癌直接浸潤を考慮すべきである.
著者
岩崎 稔 八尾師 誠 大川 正彦 今井 昭夫 工藤 光一 金井 光太朗 小川 英文 米谷 匡史 篠原 琢 藤田 進 岩田 重則
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

国民国家内とそれを越える広域的空間として、南北アメリカ、アイルランド、ドイツ(旧東ドイツを含む)、オーストリア、フランス、イタリア、ベトナム、北朝鮮、韓国、中国、沖縄、日本を選択し、それらの「想起の文化」つまり過去の想起のあり方が、グローバル化・新自由主義の影響によって、大きく変容を遂げていることを、理論・方法論の構築ならびに事例解釈・思想史的分析を通じて明らかにした。それらの成果は世界各地の国際シンポジウム等で発表され、論文・著作として公刊された。
著者
萩谷 昌己 横山 茂之 陶山 明 浅沼 浩之 藤井 輝夫 ROSE John 村田 智 岩崎 裕 吉信 達夫
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

形態変化するDNA分子の設計方法:萩谷は、連続ヘアピンからなる分子マシンに関して、ヘアピンの配列を変化させたときに、3連続ヘアピンから成る分子マシンの挙動がどのように変化するかを調べた。分子マシンの光制御を目指した光機能性超分子の構築:浅沼は、これまでとは逆に「cis-体で二重鎖形成、trans-体で解離」というスイッチングが可能な光応答性DNAの設計と実現に成功した。ヘアピンとバルジによる並行計算:萩谷は、Whiplash PCRの熱力学的な解析と、状態遷移の効率化(Displacement WPCR)を行った。レトロウィルスによる並行計算:陶山は、二つの正帰還と一つの負帰還反応から構成されたオシレータをRTRACの基本反応を用いて構築した。シミュレーションにより発振可能な条件が存在することを確かめた後、実装を進めた。翻訳系による並行計算:横山は、翻訳システムを利用した「オートマトン」を動物細胞(培養細胞)内でも構築することを目標に、非天然型アミノ酸が細胞に与えられた場合にのみ活性化され、サプレッサーtRNAにアミノ酸を結合するような酵素(アミノアシルtRNA合成酵素)を用いることにより、サプレションを制御する機構を構築した。DNA Walker:萩谷は、DNA Walkerの構築に向けて、温度、pH、光の三種類の入力によって駆動する分子マシンに関する予備実験を行った。特に、これらの三種類の入力の独立性について調べた。マイクロチップのための微量液体制御機構の開発:藤井は、液滴操作に必要な周辺技術等の整備を進め、オンデマンド式で液滴の生成・合一の操作が可能にした。また、本技術を用いてDNAとPNAのハイブリダイゼーション反応と電気泳動による反応産物の分離操作をデバイス上で実現した