著者
津旨 大輔 坪野 考樹 三角 和弘 立田 穣 豊田 康嗣 恩田 裕一 青山 道夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

A series of accidents at the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant following the Great East Japan Earthquake and tsunami of 11 March 2011 resulted in the release of radioactive materials to the ocean by two major pathways: direct release from the accident site and atmospheric deposition. A 6 years, regional-scale simulation of 137Cs activity in the ocean offshore of Fukushima was carried out by the Regional Ocean Model System (ROMS), the sources of radioactivity being direct release, atmospheric deposition, the inflow of 137Cs deposited into the ocean by atmospheric deposition outside the domain of the model, and river discharges.Direct releases of 137Cs were estimated for 6 years after the accident by comparing simulated results and measured activities adjacent to the accident site. In addition, river discharge rates 137Cs were calculated by multiplication between river flow rate and 137Cs activity. River flow rates were simulated by a water circulation analysis model for each catchment. Temporal change of 137Cs activity both of particle and dissolved forms were measured at 8 rivers and normalized by the inventory of 137Cs in each catchment. 137Cs activity in other 4 rivers were estimated by the normalized 137Cs activity and inventories of catchments. After 2013, direct release and river discharge were dominant for input of 137Cs to the ocean. Apparent half-life of direct release and river discharge of were estimated to be about 1 year and 2 years, respectively.Apparent half-life of measured 137Cs activity adjacent to 1F NPP was about 1 year, on the other hand, the ones in the coastal zone away from 1F NPP were about 2 years after 2013. Apparent half-life of simulated results with river discharge was in good agreement with the one in the coastal zone away from 1F NPP. River discharge affected on temporal change of 137Cs activity there. On the other hands, simulated 137Cs activities with river input were one order of magnitudes smaller than observations. This underestimation suggests modifications of river input process, such as estuary mixing process, removal from particle form 137Cs and inputs from small rivers around the 1F NPP.
著者
川崎 雅俊 安部 豊 恩田 裕一
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2017年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.99, 2017 (Released:2017-12-01)

強間伐が流出に及ぼす影響を評価する為、隣接する2つの小流域を用いて強間伐の有無による流域比較試験を行った。その上で、林内雨量、表面流量の強間伐前後の変化も踏まえ、強間伐が流出に及ぼす影響発生メカニズムの考察を行った。その結果、強間伐施業を行った流域で総流出量が増加したが、その増分は渇水時に発生しており、豊水時の変動は僅かであった。渇水期に流量が増加した原因として、流域内貯留量、特に渇水時に安定的に水を供給する岩盤中の地下水の増加が推測される。そこで、岩盤地下水の地下水位とのよく相関する先行降雨指数(API)を用いて解析を行った。その結果、強間伐実施後、特に夏期の降雨シーズン後において、同じAPIでも流量が増加する傾向が見られた。この結果は、強間伐による林内雨量の増分が、貯留量、特に岩盤中の地下水貯留量の増加に寄与したことを示していると考えられる。APIに対する岩盤地下水位や流出の応答特性は、地質によって異なることが知られている。本サイトで基底流出と良い相関がみられたAPIの半減期(10日)は、堆積岩サイトと比べて長く、この緩やかな降雨流出応答の特性が、強間伐による林内雨量増を渇水時の流量増に変換した可能性が考えられる。今後は、地質の異なる他流域の観測結果との比較を行い、強間伐による流況の平準化に必要な要素について、検討を試みる予定である
著者
恩田 裕一 谷口 圭輔 脇山 義史
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

福島原発事故後5年間のモニタリングによって,福島河川中の放射性セシウム濃度は激減した。本発表では,その低下要因および濃度がチェルノブイリより1桁低いことをを紹介する。また,除染の効果についても算定したのでその結果も報告する。
著者
加藤 弘亮 恩田 裕一 Saidin Zul 山口 敏朗
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

本研究では、福島第一原子力発電所事故後4年間にわたって、森林樹冠に捕捉された放射性セシウムの林床への移行状況の観測を実施してきた。スギ人工林の2林分(31年生壮齢林及び18年生若齢林)とコナラ・アカマツからなる広葉樹混交林を対象として、樹冠通過雨、樹幹流、落葉等に含まれる放射性セシウム濃度を測定した。また、サーベイメータと可搬型ゲルマニウムガンマ線検出器を用いて、林内の異なる高度における放射性セシウムの計数率と空間線量率の測定を行った。調査対象森林において、林内の空間線量率は、樹種や林齢によって異なる特徴的な垂直分布を示した。また、林内空間線量率はいずれの森林においても時間とともに指数関数的な低下傾向を示したが、測定高度や樹種によって異なる低下速度を示した。樹冠(およそ10 m高)の空間線量率は物理減衰速度よりも早く低下したが、林床(1 m高)の空間線量率は調査森林によって異なる低下傾向を示した。本研究の観測結果から、林内空間線量率は樹種や林齢による樹冠から林床への放射性セシウム移行状況の違いを反映して空間的・時間的に異なる時間変化を示すことが示唆された。また、林内空間線量率の低減は、原発事故後4年間(平成23年~26年)とその後の2年間(平成26年~27年)で異なる傾向が認められた。このことから、林内空間線量率の長期変化傾向を予測するためには、林内の放射性セシウムの移行メカニズムと空間分布の時間変化を解明することが必要であることを示した。
著者
恩田 裕
出版者
成城大学
雑誌
教養論集 (ISSN:03898075)
巻号頁・発行日
no.12, pp.104-63, 1995-12
著者
恩田 裕
雑誌
教養論集
巻号頁・発行日
no.12, pp.104-63, 1995-12
著者
恩田 裕一 山本 政儀 山田 正俊 北 和之 竹中 千里 浅沼 順 中島 映至 篠原 厚 神田 穣太 五十嵐 康人
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-06-28

1.領域内の相互啓発と情報共有:全計画研究班の研究が円滑に進むよう統括を行った。WEB中継会議システムを活用して全構成員間のより緊密な連携を図った。 2.研究支援活動:「データベースワーキンググループ」を統括し、事故発生以降の環境データ、モデリングデータ、分析データを使いやすい形で整理し、関係研究者に提供した。また「分析チーム」を統括し、分析がIAEAスタンダードになるようproficiency testの結果を反映させた。3.公募:各計画研究の補完・推進を目的として採択した第ニ期公募案件について研究支援を行った。
著者
恩田 裕一 辻村 真貴 野々田 稔郎 竹中 千里
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 = JOURNAL OF JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY & WATER RESOURCES (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.688-694, 2005-11-05
被引用文献数
9 18

近年,林業労働力の不足,材価の低迷のため,適切に管理されずに放置され荒廃した林分が年々増大している.従来の研究によれば,人工林,特にヒノキ一斉林では,樹冠の閉鎖が進むと下層植生が消失し,浸透能が低下することが知られていたが,従来の浸透能測定法では,裸地化した林床における浸透能を正確に表現していない恐れがある.そこで本研究では,冠水型浸透計,霧雨散水型浸透装置,樹幹上から散水をする大型の浸透計を用い林内における浸透能の把握をすることを目的に研究を行った.その結果,霧雨散水型が294-670 mm/h,冠水型浸透計での測定値は,210-456 mm/h程度とかなりばらつきが多く,また,非常に高い浸透能を示す.これに対し,降雨強度35-45 mm/hの人工降雨を4回,林冠上から散水した結果,浸透能は26-34 mm/hと一桁低い値で比較的安定した値を示した.人工降雨型の浸透試験器は,スプリンクラーにより樹冠上から散水されるために,雨滴径も大きく,林内雨を再現していると考えられるため,人工降雨型を用いた場合の値が,林床が裸地化したヒノキ林の浸透能を示すとするのが妥当であり,他の方法では過大な値を得る結果となる可能性が高い.
著者
恩田 裕一 湯川 典子
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.399-407, 1995-09-01
被引用文献数
22

われわれは第1報において,ヒノキ林において下層植生の失われたところではクラストがあり,浸透能が低いことを示した。そこで,室内実験において,下層植生のクラスト形成抑止効果に関する実験を試みた。実験材料は現場A層(鈴鹿山地の花崗岩土壌および古生層土壌)を4mmの篩でふるったものを用い,28.5cm×17.0cm×14.0cmの容器にさまざまな植生を植えて降雨実験を行った。その結果,花崗岩土壌では,被度と浸透能の相関が高いことがわかった。一方, 古生層土壌では, 被度と浸透能の相関は低いが,それぞれの植生の葉面積と浸透能の関係には高い相関が認められた。中古生層土壌の方が団粒百分率が大きく,クラストが形成されやすいと考えられることから,雨滴エネルギーを抑止しクラスト形成を妨げる効果は,被度により支配されるが,葉の面積が大きいほど効果的であることがわかった。
著者
湯川 典子 恩田 裕一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.224-231, 1995-05-01
被引用文献数
33

下層植生が失われた林地における浸透能の低下の現状と原因を明らかにするために、三重県の鈴鹿山地の下層植生の被覆状態がさまざまなヒノキ林において、土壌の浸透能と土壌物理性の測定を行った。浸透能測定には、雨滴衝撃の少ない散水型浸透計を使用した。測定から、下層植生が失われた林分は、下層植生の繁茂する林分と比較して浸透能が低く、粗孔隙率が高いという結果を得た。また、林床の裸地化したヒノキ林では、土壌硬度が高く浸透能が低い特徴をもった乾燥した皮膜が観察された。この皮膜は、雨滴衝撃による団粒構造の破壊によってできるクラストであると考えられた。以上のことから、下層植生の失われた林地においては、粗孔隙率よりクラストの有無が浸透能に影響を与えることが推察された。
著者
久留 景吾 恩田 裕一 河守 歩 加藤 弘亮
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.267-274, 2013-10-01 (Released:2013-11-13)
参考文献数
13
被引用文献数
9 23

福島第一原子力発電所の事故により放射性物質が降下した福島県内の林相の異なる森林3地点を対象に, 樹冠から林床へ降下するリターを通じた放射性セシウムの移行の特徴を明らかにした。事故後4カ月目から11カ月間, 定期的にリターの134Csおよび137Csの放射能濃度を測定し, 降下量の解析を行った。リターの放射能濃度は総じて落葉広葉樹-アカマツ混交林よりもスギ人工林で高い値を示したのは, 事故発生時に広葉樹が落葉していたために, 飛散した放射性セシウムの多くが広葉樹の樹冠を通過して林床へ降下した結果と考えられる。一方, スギ人工林ではリターに伴う放射性セシウム降下量の累積値が大きく上昇し続けており, 調査終了時でも樹冠に放射性セシウムが相当量残存していることが確認された。2011年10月以降各林分でのリターの放射能濃度が概ね横ばいに推移する中, 放射性セシウム降下量は樹冠からのリター降下量に大きく影響されていることが明らかとなった。今後は降下するリターに加え, 樹冠における生葉の鉛直分布や林床でのリターの平面分布, 林内雨や樹幹流などを含めて総合的に放射性セシウムの移行機構を解明していく必要がある。
著者
恩田 裕一 辻村 真貴 松下 文経
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

北東アジア地域における土地の荒廃について、現地調査およびリモートセンシングによって調査を行った。土地荒廃の理由としては、伐採、リターの採取、プランテーション、過放牧と様々な土地改変が行われており、それによる表面被覆の低下による土壌の浸透能の低下が激しい土壌侵食を引き起こし、土地荒廃の直接的な引き金になっていると考えられる。一方で、中国においては、植林の進展につれて、浸透能の増加、および土壌侵食量の減少も報告されている。本研究においては、現地と協力した詳細な現地調査および、リモートセンシングによって、表面被覆が回復すると浸透能が増加し、土壌侵食量が減少したことがあきらかとなった。また、リモートセンシングによって、NDVIの解析により東アジア全体における荒廃度の変化について、MAPを作成することができた。
著者
平岡 真合乃 恩田 裕一 加藤 弘亮 水垣 滋 五味 高志 南光 一樹
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.145-150, 2010 (Released:2010-08-10)
参考文献数
29
被引用文献数
14 19

ヒノキ人工林における地表の被覆物が浸透能に及ぼす影響を明らかにするために, 急峻な斜面の14地点で振動ノズル式散水装置による浸透能試験を行って最大最終浸透能を測定し, 下層植生をはじめとする地表の被覆物との間で回帰分析を行った。得られた最大最終浸透能は5∼322 mm h−1 であり, 最大最終浸透能と下層植生量, 植被率との間に有意な正の線形関係が認められた。植被率が50% を下回ると最大最終浸透能は45 mm h−1以下と低くなり, 自然降雨下においてホートン型地表流の発生する可能性の高いことが示された。また, 植被率をブラウン-ブランケの被度指標で読み替えた場合でも, 被度3以下で最大最終浸透能が急激に低下することが示された。本研究の結果から, 急峻なヒノキ林斜面では下層植生で被覆された地表面で高い浸透能を維持できること, また下層植生の被度区分を浸透能の指標とできる可能性が示唆された。したがって, ホートン型地表流を抑制する観点から浸透能の目標値を設定し, 下層植生の被度調査によってヒノキ林の荒廃度を評価できる可能性があり, 下層植生を指標とした水土保全機能の評価に基づいた, 施業計画の策定につながることが期待できる。
著者
笹原 克夫 田村 圭司 恩田 裕一 土屋 智 小山内 信智 石塚 忠範
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

2004年3月26日にインドネシア共和国南スラウエシ州ジェネベラン川源流部のバワカラエン山で巨大崩壊が発生し,ジェネベラン川源流部に堆積した.本研究では衛星画像と現地調査により堆積土砂の地形変化を追跡し,流出土砂量の経年変化と侵食ガリーの発達状況を把握した.また流出土砂の放射性同位体分析により土砂の流出源を探り,洪水時の土砂と平常時の土砂は異なる土層から流出したことを把握した.