著者
北園 孝成 上田 佳代 吾郷 哲朗 新田 裕史 鴨打 正浩
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.29, no.S1, pp.s207-s211, 2014-02-20 (Released:2014-04-01)
参考文献数
16

The underlying risk factors for stroke, such as hypertension, diabetes, dyslipidemia, and atrial fibrillation, have been established. However, the factors that trigger stroke in patients at high risk are still uncertain. Recent epidemiological studies have documented the possibility that Asian dust may be related to diseases and health conditions. Recently, utilizing data from the Fukuoka Stroke Registry(FSR), we have shown that Asian dust exposure is associated with the incidence of atherothrombotic brain infarction, a subtype of ischemic stroke. Several studies have reported small but statistically significant associations between short-term particulate matter (PM) exposure and incidence of ischemic stroke. Several biological pathways responsible for PM-associated cardiovascular diseases have been explored, including endothelial dysfunction, production of oxygen species, hypercoagulability, induction of arrhythmia, and systemic inflammation. Because the concentrations of PM were higher in the periods with Asian dust than those in the periods without Asian dust, PM may contribute, at least in part, to the occurrence of atherothrombotic infarction in response to Asian dust exposure. Further studies are needed to elucidate the precise mechanisms.
著者
伊藤 聡 小西 真治 村上 哲哉 新田 裕樹 阿南 健一 中川 貴之 本田 中 赤木 寛一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F2(地下空間研究)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.14-31, 2020

<p> 地下鉄開削トンネルの縦断方向の一部に大きな沈下や沈下に伴うひび割れが多く見られ,その使用にあたって耐荷性能を精度よく評価することが課題となっていた.そこで,鉄筋ひずみの調査を行ったところ,トンネルの中立軸位置が設計計算の値と大きく異なることがわかった.この要因として,トンネルにひび割れが生じることでトンネル縦断方向に伸長する挙動が,両端の変状が起こっていない部分により拘束されることにより見かけの軸力が発生するといったメカニズムを想定し,軸力の算定方法を検討した.さらに,この軸力を用いて構造計算を行った結果,見かけの軸力を与え,トンネル形状を再現した疑似3次元モデルを用いることで,トンネルのひび割れ状況などの変状を精度よく再現できることがわかり,軸力の発生メカニズムの妥当性が確認できた.</p>
著者
新田 裕史・道川 武紘
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.35-39, 2014-02-15 (Released:2016-07-30)

環境要因が胎児期から小児期にわたる子どもの健康に与える影響を明らかにすることを目的として,「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」が開始された.調査の対象者は全国15 地域の指定された市区町村に住んでいる妊婦さんと生まれてくるお子さん,加えてそのお父さんである.2011 年1 月から開始して3 年間リクルートを実施し,フォローアップは子どもが13 歳に達するまで行う.調査では,妊婦さんを対象とした質問票調査,診察記録などの医療情報の収集を行い,出産後は6 ヶ月おきに継続して質問票調査を実施する.また,参加者から血液・尿などの生体試料の採取を行って,化学物質などの濃度を測定し,環境汚染物質への曝露指標とすることになっている.10 万組の親子に参加していただくという目標は概ね達成できる見込みである.
著者
新田 裕史
出版者
科学技術政策研究所 科学技術動向研究センター
雑誌
科学技術動向 (ISSN:13493663)
巻号頁・発行日
no.059, pp.11-18, 2006-02-01 (Released:2013-06-12)
著者
橋本 道子 和 秀雄 阪口 雅弘 井上 栄 宮沢 博 渡辺 美香 三関 三乃 安枝 浩 新田 裕史
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.597-598, 1994-06-15
被引用文献数
2

ネコを飼育している家庭の布団からのネコ主要アレルゲン(Fel d I)除去を家庭用洗濯機を用いて行った. 洗濯の前後に布団から綿の一部を集め, その綿からネコアレルゲンを抽出した. その抽出液中のFel d I量をサンドイチELISA法で測定することにより, 除去率を評価した. 洗濯後の布団のFel d I量は95%以上減少した. 布団洗いはネコアレルゲンを除去するのに効果的な方法であることがわかった.
著者
山田 修 安藤 貴洋 西 友美 布施 まどか 新田 裕志 瑞慶山 良松 松田 康孝
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.G1142, 2007

【目的】在院日数の短縮化で入退院が激しいことや高齢化に伴い、認知症や視力・聴力機能低下の患者が増えていることなどから転倒などのインシデントが発生しやすい状況になってきている。平成16~17年の2年間の当院リハビリテーション科(以下リハ科)でのヒヤリハットの内容を調査した結果、その科別患者や内容にいくつかの傾向が見られた。そこで、今回ヒヤリハットの中で最も多かった転倒に関して、その発生状況や原因を詳しく調査し、事故を未然に防ぐ対策を提示したい。<BR><BR>【方法】上記2年分のヒヤリハット報告書を集計し、得られたデータを基に分析し、過去の文献との比較・検討を行った。<BR><BR>【結果】リハ科のヒヤリハット件数は整形外科が15件(55%)を占め、神経内科8件(30%)、脳神経外科3件(11%)となっていた。内容別の件数では、転倒が67%と全体の2/3を占め、点滴抜去が11%、私物破損と膝折れ、しゃがみこみが7%となっていた。年齢別での転倒件数は、70代が5名と最も多く、次いで50代が3名と続いていた。科別患者ごとの転倒割合をみると、神経内科が1/1000回と頻度としては最も多かった。また大阪府内の同規模病院と比較して、当院のセラピストの人数が1/2~1/3程度となっていた。転倒の要因で最も多かったのは、介助方法や介助位置によるもので、9件だった。次いで疾患、機能レベル、合併症考慮が5件となっていた。その結果、スタッフから出された転倒発生防止のための教訓として、介助方法や介助位置の再考が7件、患者の疲労考慮が3件、抑制帯を利用、練習方法の再考が2件となっていた。<BR><BR>【考察】対策として、まず治療者ファクターでは、できるだけリスクが高い患者はマンツーマンで訓練を行う。次に患者ファクターでは、患者個人の全身状態、性格を把握し、ミーティングでスタッフ全員が情報を共有する。さらに施設・システムのファクターでは、リハ開始時に転倒注意喚起のためのパンフレットの作成を予定しており、またリハスタッフの増員も必要と考える。転倒のリスクアセスメントにおいて現在各セラピストの主観的評価に頼っているのみで、統一した方策を行うには至っていない。アセスメント項目として文献に挙げられていたものは、転倒経験、歩行レベルや可動性、精神(知的)状態、歩行補助具や車椅子の使用、排泄等であった。今後データを蓄積し、リハ科独自のアセスメントツールを作成することで転倒予防の効果を挙げることが可能と思われる。<BR><BR>【まとめ】上記2年間の当院リハ科でのヒヤリハットの内容を調査した結果、その科別患者や内容にいくつかの傾向が見られた。そこで、今回ヒヤリハットの中で最も多かった転倒に関して、その発生状況や原因を詳しく調査した。また文献との比較も行い、事故を未然に防ぐ対策を提示した。今後ハイリスクの患者をアセスメントで抽出し、マンツーマンで訓練を行うなどの対策を行っていく。
著者
賀来 文治 油尾 亨 藤田 主税 吉田 太治 下島 正也 勝田 省嗣 田口 富雄 新田 裕 平岩 善雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.1145-1152, 2013-09-15 (Released:2014-09-17)
参考文献数
18

症例は92歳の女性.86歳時に他院にて洞不全症候群および発作性心房細動の診断でAAIペースメーカーの植え込みがなされ,植え込み後も発作性心房細動に対して抗不整脈薬(ピルジカイニド75mg/日,ベラパミル120mg/日,メチルジゴキシン0.05mg/日)の投与が継続されていた.ペースメーカー植え込み後,毎年施行されていたペースメーカーチェックでは,心房のペーシング閾値は0.5V(パルス幅0.4msec)で,ペースメーカーの出力は2.5Vに設定されていた.以後,施設に入所中であったが,意識低下,低酸素血症,徐脈,ショック状態にて当院救急外来へ緊急搬送された.搬送時の心電図では心房のペーシング不全と高度の徐脈を認めた.まず,ペースメーカーの出力を10V(パルス幅1.0msec)にしたが心房は捕捉されなかった.次に体外式ペースメーカーを挿入し,右房の数か所で10V(パルス幅0.75msec)の出力でペーシングを試みたが,やはり心房は捕捉されなかった.引き続き右室でのペーシングを行ったところ,心室は容易に捕捉可能であり心室のペーシング閾値は1.0V(パルス幅0.75msec)であった.その後ピルジカイニドの血中濃度が2.3μg/mLと中毒域にあったことが判明した.抗不整脈薬の中止とともにペーシング不全は改善,全身状態も改善し救命可能となった.本例では血中ピルジカイニド濃度の上昇がペーシング不全の主因であった可能性が高いが,心房と心室のペーシング閾値に大きな差を認めた.日常臨床の場では,ペースメーカー植え込み後に抗不整脈薬を継続投与することも多く,ペースメーカー機種の選択も含めて一考を要する症例と考えられたため,ここに報告した.
著者
佐藤 勝 林 敦子 加登 基弘 新田 裕 並河 勇 白木 雅文 勝谷 芳文 岩山 幸雄 平田 健一 木村 健一
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.407-415, 1985-06-28
被引用文献数
2 2

ヒトの口腔内には鞭毛虫類としてTrichomonas tenax (T. tenax)が生息し,歯周疾患の進展と共にその検出率が高くなることが経験的に知られている。しかし本原虫は培養,純培養が困難であるため,その病原性や生物学的性状は不明である。我々はT. tenaxの培養用に新培地を開発し,この培地がT. tenaxの分離,増殖にも優れていることを確認したので今回は,ヒトの歯肉縁下歯垢中における本原虫の分布と検出率を疫学的に調査した。その結果,T. tenaxの検出率と,被検者の年齢,ポケットの深さ,歯肉炎の程度および歯垢集積量の間には密接な関連性が認められた。また歯周療法がT. tenaxの消長に及ぼす影響を検討したところ,臨床症状の改善に伴ってT. tenaxの検出頻度は低下した。
著者
孫 富順 新田 裕史 前田 和甫 金 潤信 柳澤 幸雄
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.334-342, 1990-09-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
29

1989年1月に韓国で一酸化炭素 (以下CO) の室内濃度と個人曝露濃度の測定を行った。同時に室内汚染と個人曝露濃度に影響を及ぼす家庭特性を調べるための質問紙調査も行った。室内濃度は台所と居間で, 個人曝露濃度は最近開発されたパッシブCOサンプラーを用いて, 主婦に対して測定を行った。調査対象は都市地域であるソウルと地方である忠清南道Togoから, 暖房形態として伝統的オソドル又はオンドルポィラーを使用する世帯を選んだ。その結果, 日平均で室内CO濃度は台所23ppmと居間12ppm, 個人濃度はその中間の18ppmに及んでいた。室内濃度と個人曝露濃度には家庭特性, 特にオンドルのタイプの影響が認められた。さらに, 家庭での換気設備および対象家庭の社会経済的水準が室内CO濃度に影響を与える重要な要因であることが明らかになった。
著者
本田 靖 中井 里史 小野 雅司 田村 憲治 新田 裕史 上田 佳代
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,東アジアにおけるエアロゾルの健康影響,特に死亡への影響を,疫学的手法を用いて明らかにしようとした.日本,韓国,台湾の主要都市における粒子状物質濃度,日別死亡数などのデータを収集した.福岡市など九州地域では粒子状物質濃度に越境汚染の影響が示唆されたが,東京などでは大きな影響は見られなかった.死亡への影響ははっきりしなかったが,福岡で大きいという可能性が示唆された.