著者
木内 敦詞 中村 友浩 荒井 弘和 浦井 良太郎 橋本 公雄
出版者
公益社団法人 全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.69-76, 2010

生活習慣と学力が関連することはこれまで経験的に述べられてきた.しかしながら,それを十分に裏づける学術的データはわが国においてほとんど提出されていない.本研究は,大学初年次生の生活習慣と修学状況(取得単位数)との関係を明らかにすることを目的とした.近畿圏にある工科系大学男子1068名が本研究に参加した.彼らの初年次前期取得単位数は以下のとおりであった;25単位以上(52%,N=554:A群),20-24単位(30%,N=317:B群),15-19単位(12%,N=131:C群),15単位未満(6%,N=66:D群)。前期授業終了時における健康度・生活習慣診断検査(DIHAL.2,徳永2003)から,以下のことが明らかとなった.すなわち,「食事」「休養」尺度および「生活習慣の合計」において,D<C<B<A群の順位傾向とともに,D群に対するA群の有意な高値(P<.01)が示された.特に,「食事の規則性」「睡眠の規則性」スコアにおいては,明確なD<C<B<A群の順位性とともに,食事や睡眠を軸とした"規則的な生活リズム"の重要性が示された.これらの結果は,大学入学直後から教育の枠組みの中で,健康的なライフスタイル構築のための健康教育を実施することの必要性を支持している.
著者
荒井 弘和 中村 友浩 木内 敦詞 浦井 良太郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.667-676, 2006-07-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
26
被引用文献数
4

本研究の目的は,主観的に評価された睡眠の質と,身体活動および心理的適応(不安・抑うつ)との関連を検討することであつた.本研究の対象者は,夜間部に通う大学1年生の男子186名であつた.測定尺度にはPittsburgh Sleep Quality Indexの日本語版(PSQI-J),身体活動評価表(PAAS),Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS)日本語版を用いた.本研究は,横断的研究デザインであつた.相関分析の結果,運動や日常身体活動を行つていない者ほど,睡眠時間が長く,眠剤を使用していた.また,日常身体活動を行つている者ほど,睡眠困難や日中覚醒困難を感じていないことが明らかになった.次に,階層的重回帰分析を行つた結果,運動の実施はPSQI得点を予測していなかつたが,日常身体活動の実施は睡眠時間,睡眠効率,睡眠困難,および日中覚醒困難を予測することが明らかになつた.結論として,本研究は,身体活動が主観的な睡眠の質と部分的に関運することを支持した.
著者
川戸 湧也 長谷川 悦示 木内 敦詞 梶田 和宏 中川 昭
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.775-792, 2020 (Released:2020-11-18)
参考文献数
37

The purpose of this study was to design and implement judo courses of physical education (PE) in higher education (HE) based on the ADDIE model and to validate the students’ outcomes and issues. The ADDIE model is part of the Instruction Design (ID) theory of educational technology. The subjects were 162 first-year undergraduate students (91 males: 71 females) attending judo courses in a designated sports university, and the lecturer who was responsible for instruction. Courses were implemented corresponding to each of the ‘analysis’, ‘design’, ‘development’, ‘implementation’ and ‘evaluation’ phases of the ADDIE model. In the analysis phase it was confirmed that the role of the course was to provide a PE teacher’s license. Therefore, the content was designed in accordance with the course of study for junior high and high schools. Considering the lesson time (a total of 50 minutes) in junior high and high schools, the time allocation for one lesson in the course was developed with an introductory 10-minute lesson followed by a 40-minute lesson each in the first and the second half. A learning notebook (learning portfolio) was also created in order to ensure the achievement of cognitive and emotional goals, and students were asked to describe their learning during each lesson. Course implementation was by the lecturer, based on systematic observational analysis of the teaching-learning process and self-reflection. Course evaluation was conducted based on the results of the systematic observational analysis, the distribution of student grades, and self-evaluation by students. Analysis of the teaching-learning process showed that the motor learning duration was sufficiently secured while the management duration was kept low. However, visualization of the teaching-learning process revealed that the initial planned time allocation was not realized. Through these results, the importance of a systematic observational analysis can also be recognized in the PEHE. The verification of the grades distribution and the students’ self-evaluation showed that the courses had the expected outcomes as a subject related to teacher’s qualification license. Furthermore, application of the ADDIE model in this judo course highlighted some critical issues, such as increasing students’ opportunities to teach each other, adjusting the learning environment through control of temperature and hydration, and creating special teaching materials for low-skilled students. Thus, in order to guarantee and improve the quality of PEHE, the authors propose an effective approach for course design and implementation that utilizes the ADDIE model.
著者
壺阪 圭祐 島本 好平 木内 敦詞
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.113_1, 2016

<p> 文部科学省(2013)は「新しい時代にふさわしいスポーツ指導法」の確立を目指し、「スポーツ指導者の資質向上のための有識者会議」を設置した。そこでは、指導者における競技横断的な知識・技能を有するコーチング(Coaching:以下、C)の獲得が課題とされている。そこで本研究の目的は、壺阪ら(2015)によって見出されたライフスキルの獲得を促すコーチングスキルの4側面(可視化を促すC、感謝する心の育成を促すC、自発的な行動を促すC、目標達成を促すC)を指導者に求められる競技横断的なCとし、同コーチングスキルの獲得の様相を探る手がかりとして、同スキルの獲得パターンをもとに指導者を類型化することであった。対象者は関西、関東地区の中学・高校・大学年代のスポーツ指導に携わる指導者551名(男性458名、女性93名、平均年齢:41.9 ±10.9)であった(有効回答率97.5%)。大規模クラスター分析を行った結果、「自発的な行動を促すC低群(n=138)」、「可視化を促すC低群(n=116)」、「C全体低群(n=87)」、「感謝する心の育成を促すC低群(n=123)」、「可視化と目標達成を促すC高群(n=87)」の5つのクラスターに分類されることが示された。</p>
著者
木内 敦詞 荒井 弘和 浦井 良太郎 中村 友浩
出版者
一般社団法人日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.145-159, 2009
被引用文献数
1 4

身体活動増強は他の健康行動改善へのきっかけとしての役割が示唆されているものの,大学生の身体活動レベルは低い.Sallis et al.(1999)によるProject Graduate Ready for Activity Daily(GRAD)は,行動科学に基づいてプログラムされた,卒業直前の大学生のための身体活動増強コースである.大学新入生に対しても,GRADと同様の視点に立った身体活動介入を行う必要がある.本研究の目的は,行動科学に基づく宿題を併用した体育プログラムが大学新入生の心理的・行動的・生理的な身体活動関連変数に正の効果を持つかどうかを検討することであった.本プロジェクトは,First-Year Physical Education(FYPE)と名づけられた.近畿圏にある工科系大学の新入生が本研究に参加した(N=993;介入群,N=497;非介入群,N=496).全授業の共通プログラムは以下のとおり(数字はその順序に対応);1:ガイダンス,2:健康関連体力テスト,3-6:実技,7:講義,8-12:実技,13:健康関連体力テスト,14:まとめ.介入群にのみ,行動科学に基づく身体活動増強プログラムが追加された.そのプログラムは,ワークシートによる行動変容技法教育(意思決定バランス分析,セルフトークの修正,逆戻り防止,社会的支援,シェイピングなど)と,授業時間外演習課題のアクティブ・ホームワーク(身体活動に関するセルフモニタリング,目標設定)から構成された.週1回のプログラムの期間は3.5ヵ月であった.心理的変数(運動セルフ・エフィカシー,運動に関する意思決定のバランス[恩恵-負担]),行動的変数(強度別の身体活動量,区分された身体活動の実施頻度),生理的変数(健康関連体力:心肺持久力,柔軟性,筋持久力,体脂肪率)を測定した.これら変数を授業期間の前と後に測定し,介入群と非介入群を比較した.2要因分散分析とその後の下位検定により,心理的変数の運動セルフ・エフィカシーと運動実践の恩恵知覚への有意な介入効果が認められた.行動的変数については,「運動・スポーツ」「日常活動性」といった幅広い強度の身体活動量および区分された身体活動の実施頻度(日常身体活動と健康関連のエクササイズ[有酸素運動・柔軟運動・筋運動])への有意な介入効果が示された.生理的変数としての健康関連体力に関しては,筋持久力への介入効果が認められた.これらの結果は,行動科学に基づく宿題を併用した体育授業が,大学新入生の身体活動関連の心理・行動・生理的変数への包括的な正の効果を持つことを示唆している.
著者
木内 敦詞 中村 友浩 荒井 弘和 浦井 良太郎 橋本 公雄
出版者
公益社団法人 全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 7.1 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
pp.69-76, 2010-03-15 (Released:2018-01-09)

生活習慣と学力が関連することはこれまで経験的に述べられてきた.しかしながら,それを十分に裏づける学術的データはわが国においてほとんど提出されていない.本研究は,大学初年次生の生活習慣と修学状況(取得単位数)との関係を明らかにすることを目的とした.近畿圏にある工科系大学男子1068名が本研究に参加した.彼らの初年次前期取得単位数は以下のとおりであった;25単位以上(52%,N=554:A群),20-24単位(30%,N=317:B群),15-19単位(12%,N=131:C群),15単位未満(6%,N=66:D群)。前期授業終了時における健康度・生活習慣診断検査(DIHAL.2,徳永2003)から,以下のことが明らかとなった.すなわち,「食事」「休養」尺度および「生活習慣の合計」において,D<C<B<A群の順位傾向とともに,D群に対するA群の有意な高値(P<.01)が示された.特に,「食事の規則性」「睡眠の規則性」スコアにおいては,明確なD<C<B<A群の順位性とともに,食事や睡眠を軸とした"規則的な生活リズム"の重要性が示された.これらの結果は,大学入学直後から教育の枠組みの中で,健康的なライフスタイル構築のための健康教育を実施することの必要性を支持している.
著者
奈良 隆章 木内 敦詞
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.1909, (Released:2020-01-31)

目的:本研究の第一の目的は,大学新入生におけるライフスキル獲得水準の性別および専攻別の特徴を明らかにすることであった。第二の目的は,その結果を踏まえてよりよい体育授業の設計を展望することであった。方法:首都圏にある国立T大学の2015年秋学期開講必修科目「基礎体育」を履修した1,326名(男子745,女子581)を対象に,日常生活スキル尺度(島本・石井,2006)によるライフスキル調査を行った。この尺度は,対人スキル(親和性,リーダーシップ,感受性,対人マナー)と個人的スキル(計画性,自尊心,情報要約力,前向きな思考)の下位概念(下位因子)から構成される。ライフスキルの下位概念(下位因子)の各得点を,性×専攻の二要因分散分析によって解析した。結果:対人スキルは男子よりも女子が有意に高く,それは親和性と感受性の高さによるものであった。専攻別の特徴として,対人スキルと個人的スキルともに,社会・国際学を専攻する学生が最も高く,情報学を専攻する学生が最も低かった。これは,親和性とリーダーシップ,計画性の差異によるものであった。結論:大学新入生のライフスキルは,性別と専攻別でそれぞれ特徴のあることが明らかになった。これらを踏まえて,大学新入生へのよりよい体育授業の設計を展望した。
著者
木内 敦詞 荒井 弘和 浦井 良太郎 中村 友浩
出版者
社団法人全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.3-14, 2006-03-15

本研究の目的は、身体活動ピラミッド(Corbin & Lindsey, 1997)の概念と行動変容技法を取り入れた半期の体育授業が、日本の大学の初年次男子学生(N=322)の身体活動量に及ぼす影響を検討することであった。非介入群(N=156)は「健康関連体力テスト2回」「講義1回」「スポーツ活動9回」を含む授業を受講し、介入群(N=166)はそれに加えて身体活動増強のためのプログラム「身体活動ピラミッドの概念学習」「行動変容ワークシートの実践」「日常における身体活動状況のモニタリング」を含む授業を受講した。受講の前後で日歩数は変化した(非介入群7841±2965歩-7693±2781歩[-1.9%]、介入群7890±2821歩-8546±2861歩[+8.3%])。分散分析の結果、非介入群に対する介入群の日歩数増加が示された。この介入群における日歩数の増加は、平日よりも休日の歩数増加に起因していた。身体活動評価表(涌井・鈴木,1997)を用いて受講前・受講後・追跡期における身体活動パターンを検討した結果、低い強度の身体活動量「日常活動性」ではいずれの測定時期においても両群に有意な差異は認められなかった。一方、中等度以上の強度の身体活動量「運動・スポーツ」では、受講後において非介入群に対する介入群の有意な高値が示されたが、受講終了3カ月後の追跡期では、「運動・スポーツ」における両群間の有意な差異は示されなかった。結論として、身体活動ピラミッドの概念学習と行動変容技法を取り入れた体育授業は、受講期間中、日本の大学の初年次男子学生の身体活動を増強することが明らかとなった。
著者
木内 敦詞 七五三木 聡 天貝 均 大野 敦也 勝田 茂
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.77-85, 1997
被引用文献数
1

本研究は, 閉経後骨粗鬆症の実験モデルとしてOVXラットを用い, OVX後の骨の変化を皮質骨と海綿骨の量的変化および組織学的特徴から検討し, これらが運動負荷によりいかなる影響を受けるかを調べたものである.実験にはWistar系雌性ラットを用い, 偽手術・コントロール群 (Sham-C群) , 偽手術・トレーニング群 (Sham-T群) , 卵巣摘出・コントロール群 (OVX-C群) , 卵巣摘出・トレーニング群 (OVX-T群) の計4群を設けた.卵巣摘出および偽手術は14週齢時に行い, トレーニングは17週齢より10週間のトレッドミル走とした.トレーニング期間終了時に, 脛骨を摘出後, 脱脂乾燥骨重量, 骨塩量を測定し, さらに海綿骨の組織形態計測を行った.<BR>得られた結果は以下のとおりである.<BR>1.脱脂乾燥骨重量および骨幹部骨塩量において, OVX-C群とSham-C群の有意な差異は認められなかった.しかし体重あたりの骨塩量ではOVX-C群がSham-C群に対し有意な低値を示した.また, 海綿骨の単位骨量ではOVX-C群がSham-C群よりも有意な低値を, LS/BSをはじめとする骨形成パラメータでは逆に有意な高値を示した.<BR>2.海綿骨単位骨量および体重あたりの骨塩量は, OVX-T群がOVX-C群に対し有意な高値を示した.骨形成パラメータでは両群に有意な差は認められなかった.<BR>3.上記のすべての測定パラメータで, Sham-C群とSham-T群の間に有意な差異は観察されなかった.<BR>以上の結果から, 運動は卵巣摘出による骨量の減少に対し抑制的に作用することが示された.また, これは骨形成の促進よりはむしろ骨吸収の抑制に起因する可能性が示唆された.
著者
木内 敦詞 荒井 弘和
出版者
一般社団法人日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.677-688, 2006

It has been clarified that self-efficacy (Bandura, 1977) predicts behavior and plays an important role in improving performance. However, there have been no reports of any practical trials for improving sports performance through the development of self-efficacy. The purpose of this study was to propose concrete application of the concept of self-efficacy to sports coaching, using base-running behavior in baseball as a theme. In Study 1, we examined the reliability (internal consistency and stability) of the Self-Efficacy Scale for Base-Running (SES-BR). In Study 2, we examined whether the intervention of the SES-BR could improve the self-efficacy and the performance of base-running as well as psychological competitive abilities such as "decisiveness," "predictive ability," and "judgment." In Study 1, three coaches from a college baseball team extracted 31 types of base-running behavior that are considered critical in baseball games. In order to examine the reliability of the scale, the self-efficacy scores of the fielders in the team (N =24) were measured twice: once on the first day of the season, and again, one week later. The results indicated Cronbach's a =.94 and a test-retest correlation coefficient r =.81 ( p <.001) for the SES-BR, thus verifying the scale's reliability. In Study 2, the college baseball players received cards on which the SES-BR was printed and were instructed to verify the 31 base-running behavioral items every five days. The results revealed a significant increase in the self-efficacy score during the intervention period ( p <.05). Moreover, the base-run errors—an index for base-running performance—decreased due to the intervention of the SES-BR: 8.30/game before the intervention, 6.77/game (-18%) in the first season, and 4.32/game in the second season (-48%). Furthermore, "decisiveness" and the comprehensive evaluation of psychological competitive ability, as evaluated by DIPCA (Tokunaga, 2001), showed significant improvement during the second intervention season ( p <.05 for both). Therefore, the intervention of the SES-BR, which was developed in this study and confirmed to be highly reliable, was suggested as a possible measure for improving self-efficacy and performance in base-running as well as "decisiveness" and overall psychological competitive ability.
著者
木内 敦詞 荒井 弘和 浦井 良太郎 中村 友浩
出版者
一般社団法人日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.329-341, 2008
被引用文献数
2

The purpose of this study was to investigate the effects of a physical education program based on behavioral science, which includes homework (project First-Year Physical Education: FYPE) on the health level and lifestyle of first-year college students. The study participants comprised 1,090 male college freshmen from an institute of technology in the Kinki area of Japan (intervention group, N=515; non-intervention group, N=575). The programs that were common to all the classes were as follows (the numbers correspond to the sequence of activities of the program). 1: guidance, 2–4: sports activity, 5: lecture (health science), 6–8: sports activity, 9: lecture (health science), 10–12: sports activity, and 13: summary of the class. Health behavior promotion programs were intended only for the intervention group. The programs comprised (1) education on behavioral change skills (self-monitoring, goal setting, self-reinforcement, and so on), and (2) out-of-class practical assignments such as physical education homework. We evaluated the health level and life habits of the students by using the Diagnostic Inventory of Health and Life Habit (DIHAL; Tokunaga, 2003) and evaluated their physical activity level using the Physical Activity Assessment Scale (PAAS; Wakui & Suzuki, 1997). As a result, significant intervention effects were observed with regard to the DIHAL scales for "Eating," "Resting," and the "Sum of lifestyle," and with regard to the subscales of "Level of physical health," "Eating regularly," "Relaxing," "Sleeping regularly," and the "Fulfillment level of sleep." The PAAS revealed a significant intervention effect with regard to "Daily activity," which indicates the relatively light physical activities in daily life; however, this was not observed with regard to the DIHAL scale of "Exercise." These results clearly indicate that physical education programs based on behavioral science and including homework can improve the overall lifestyle (namely, physical activity, eating, and resting) of first-year college students.
著者
木内 敦詞 荒井 弘和 中村 友浩 浦井 良太郎
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-9, 2005
被引用文献数
3

The purpose of this study was to investigate the effects of physical education [PE] homework on the amount of daily physical activity and the health-related fitness of university freshmen. Two hundred and eighty four Japanese university freshmen were allocated to either homework group (<i>N</i>=133) or control group (<i>N</i>=151). The tasks for homework group were daily life (out of class) self-monitoring of physical activity to promote daily physical activity, as well as fitness tests and sports activity during the class. The tasks for control group were health-related fitness tests and sports activity during the class. The Physical Activity Assessment Scale (PAAS; Wakui & Suzuki, 1997), which consists of three subscales, was used to evaluate physical activity patterns of the participants. The three subscales were 1) Exercise/Sports: measures exercise/sports-related physical activities with more than moderate intensity, 2) Time Management: measures the ability of time management in being occupied and having little time for exercise/sports participation, and 3) Daily Activity: measures relatively light physical activities in daily life. Health-related fitness (cardiovascular endurance, muscle strength/endurance, flexibility, and body fat) was also measured. As the result of ANOVA, PE homework in daily life was found to increase; 1) the amount of physical activity widely with light to moderate intensity, 2) some healthrelated fitness related to practical homework. These results suggest that PE homework can contribute to promoting daily physical activity required for fitness program emphasized today.
著者
木内 敦詞 橋本 公雄
出版者
社団法人全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.3-22, 2012-03-15

この総説の目的は,大学体育授業による健康づくり介入研究の意義と必要性を述べ,日本の大学体育教員の授業研究への動機づけを高めることであった.第1に,大学体育授業による健康づくり介入研究の教育的意義を指摘した.すなわち,健康づくりと友達づくりの場としての体育授業は,今日の大学における初年次教育の重要な要素である「学問的適応」と「社会的適応」の双方への貢献が期待されるものの,このような期待される教育効果の検証はこれまで十分になされていないことを述べた.第2に,大学体育授業による健康づくり介入研究の持つ公衆衛生的意義を指摘した.すなわち,座位行動蔓延と大学大衆化進行により,大学体育の公衆衛生的役割がいっそう高まっていることを述べた.第3に,大学体育授業による健康づくり介入研究の学術的意義を指摘した.すなわち,「大学生」の健康づくり介入研究,とりわけ,「身体活動」増強のための介入研究は国内外を含めてもまだ初期段階にあり,これまで大きな成果はあがっていないことを述べた.その後,以下のことについて討論した;大学生の生活習慣・健康度に関するこれまでの知見,わが国の健康づくり対策と学校体育の関係,わが国の大学体育の歴史と新たな動き,米国学校体育の転換,行動科学を活かした健康づくりの動向.最後に,大学生の健康づくり研究の今後の課題として,以下の4点を挙げた;1)大学体育のラーニング・アウトカムを提示すること,2)理論およびエビデンスに基づく介入研究を行うこと,3)介入効果の科学的評価が可能な研究をデザインすること,4)大学生対象の健康づくり(とりわけ,身体活動)介入研究を行うこと.
著者
木内 敦詞 荒井 弘和 中村 友浩 浦井 良太郎 橋本 公雄
出版者
社団法人全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.3-11, 2009-03-15

運動の意思決定バランス(運動実践の恩恵-負担)は,身体活動・運動の採択や継続に重要な役割を果たすとされている.本研究の目的は,体育実技終了時のセルフ・モニタリングが,運動の意思決定バランスと日常の身体活動量に及ぼす影響を検討することであった.対象者は日本の大学新入生男子(N=869)であった.介入群(N=398)は週1回の体育授業におけるスポーツ活動実施後にセルフ・モニタリングを行い,非介入群(N=471)はそれを行わなかった.セルフ・モニタリング・シートは,心理学的・社会学的・生理学的な側面からみたスポーツ活動中の自己評価項目から構成されていた.全授業の共通プログラムは以下のとおりであった(数字はプログラムの順序に対応する);1:ガイダンス,2:講義,3-5:実技,6:講義,7-9:実技,10:講義,11-13:実技,14:まとめ.3回の講義は,生活習慣と健康の関わりに関する内容であった.介入プログラムは,運動の意志決定バランスにおける統計的に有意ではない改善傾向と,運動実践の恩恵における有意な増加をもたらした.運動実践の負担および身体活動量においては,いずれの効果も認められなかった.本研究で示された介入効果は,体育実技の果たす健康教育としての役割を具体的に提案している.
著者
荒井 弘和 中村 友浩 木内 敦詞 浦井 良太郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.865-871, 2005-11-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

本研究の目的は, 男子大学生を対象として, 身体活動・運動と不安・抑うつとの関係を検討することであった.大学1年生の男子1,159名を対象に, HADS日本語版, 身体活動評価表, および運動行動の変容段階尺度を使用して, 横断的調査を行った.その結果, 運動・スポーツや日常活動性は, 不安とは関連していなかったが, 抑うつとの間に有意な負の相関関係が確認された.また, 運動行動の変容段階が無関心期の者と, それ以外の変容段階の者との間において, 抑うつ得点に有意な差が認められた.しかし, 抑うつに関する結果は, 1,000名を超すサンプル数に影響されている可能性があり, 抑うつに関する結果の解釈には注意が必要である.
著者
木内 敦詞 荒井 弘和
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.677-688, 2006 (Released:2008-01-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

It has been clarified that self-efficacy (Bandura, 1977) predicts behavior and plays an important role in improving performance. However, there have been no reports of any practical trials for improving sports performance through the development of self-efficacy. The purpose of this study was to propose concrete application of the concept of self-efficacy to sports coaching, using base-running behavior in baseball as a theme. In Study 1, we examined the reliability (internal consistency and stability) of the Self-Efficacy Scale for Base-Running (SES-BR). In Study 2, we examined whether the intervention of the SES-BR could improve the self-efficacy and the performance of base-running as well as psychological competitive abilities such as “decisiveness,” “predictive ability,” and “judgment.” In Study 1, three coaches from a college baseball team extracted 31 types of base-running behavior that are considered critical in baseball games. In order to examine the reliability of the scale, the self-efficacy scores of the fielders in the team (N =24) were measured twice: once on the first day of the season, and again, one week later. The results indicated Cronbach's a =.94 and a test-retest correlation coefficient r =.81 ( p <.001) for the SES-BR, thus verifying the scale's reliability. In Study 2, the college baseball players received cards on which the SES-BR was printed and were instructed to verify the 31 base-running behavioral items every five days. The results revealed a significant increase in the self-efficacy score during the intervention period ( p <.05). Moreover, the base-run errors—an index for base-running performance—decreased due to the intervention of the SES-BR: 8.30/game before the intervention, 6.77/game (-18%) in the first season, and 4.32/game in the second season (-48%). Furthermore, “decisiveness” and the comprehensive evaluation of psychological competitive ability, as evaluated by DIPCA (Tokunaga, 2001), showed significant improvement during the second intervention season ( p <.05 for both). Therefore, the intervention of the SES-BR, which was developed in this study and confirmed to be highly reliable, was suggested as a possible measure for improving self-efficacy and performance in base-running as well as “decisiveness” and overall psychological competitive ability.