著者
多田 敦子 杉本 直樹 古庄 紀子 石附 京子 佐藤 恭子 山崎 壮 棚元 憲一
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.92-96, 2009-08-24 (Released:2017-01-27)
参考文献数
8

Ozokerite, a natural gum base used as a food additive, is described as a purified wax substance found in veins of wax shale and is composed mainly of C29-C53 hydrocarbons, in the Notice (1996) relating to existing food additives in Japan. In order to evaluate the quality of commercially available ozokerite, we have analyzed the constituents. GC/MS analysis of ozokerite showed that the main components were saturated C22-C38 hydrocarbons, while the minor components were saturated C39-C58 hydrocarbons. The range of carbon numbers observed in the main saturated hydrocarbons was lower than those referred to in the Notice. The total concentration of the main saturated C22-C38 hydrocarbons was found, by GC/FID analysis, to be 81%.
著者
増本 直子 西﨑 雄三 中島 馨 杉本 直樹 佐藤 恭子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.73-78, 2021-06-25 (Released:2021-07-02)
参考文献数
22
被引用文献数
3

既存添加物であるカラシ抽出物およびセイヨウワサビ抽出物の品質確認試験として,市販のイソチオシアン酸アリル(AITC)試薬を標品とするGC-FID法が公定法としてあるが,AITC標品に不純物の存在が確認されていた.そこで,AITCとは別の高純度なシングルリファレンス(SR)を標品とし,より正確にAITCを定量するGC-FID法およびLC-RID(示差屈折率検出器)法を検討した.それぞれのクロマトグラフィー条件下におけるAITC/SRの相対モル感度(RMS)を,定量1H-NMR(qNMR)を用いて正確に決定した.このRMSを用いたSR GC-FID法およびSR LC-RID法から算出された製品中のAITC含量は,製品に対して直接qNMR法で算出されたAITC含量と2%以内で一致した.SR法は,従来法よりも正確なAITC含量の算出が可能である.
著者
小森 桂子 友井 理恵子 望月 千枝 丁 元鎭 桝 喜惠 杉本 直俊
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.713-720, 2011 (Released:2012-12-10)
参考文献数
28

Chemotherapy induced nausea and vomiting (CINV) is one of the most frequent adverse events in cancer patients receiving chemotherapy. Thus, preventing CINV is the key to maintaining the QOL of patients. As aprepitant, a powerful oral prophylactic for CINV, has been recommended for this purpose since it came on to the market, we retrospectively examined the adverse events induced by this drug in 36 patients (Control group 20, aprepitant group 16) with gastric cancer who received combination chemotherapy with S-1 and CDDP between November 2009 and October 2010 at Osaka Medical Center for Cancer and cardiovascular Diseases.We examined the different types of adverse events, including emesis and hiccups, all of which were presumably induced by chemotherapy, and evaluated each of them using CTCAE v3.0 JCOG/JSCO. This confirmed the effectiveness of aprepitant against CINV both in the acute phase and delayed phase. Our results suggested that QOL was mostly improved by it, though the incidence of hiccups was higher than before. Therefore when aprepitant is given with CDDP and DEX, measures such as administering metoclopramide should be taken against hiccups.
著者
杉本 直己
出版者
錯体化学会
雑誌
Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry (ISSN:18826954)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.23-29, 2015-05-31 (Released:2015-09-11)
参考文献数
15

Nucleic acids can adopt many types of noncanonical structures such as a triple helix and a quadruplex depending on the sequence and solution conditions. Recently, we developed a molecular crowding system which is the cell mimicking system to investigate thermodynamic behaviors of nucleic acids in cell. As results of our researches, the molecular crowding stabilizes the quadruplex with Hoogsteen base pairs, while it destabilizes the duplex with Watson-Crick base pairs which is the canonical structure. In this review, based on the thermodynamic results of DNA and RNA under the crowding condition, regulation of transcription and translation by the quadruplex structure of nucleic acids and its stabilizers is described. It is possible that the polymerase and ribosome bound to the template DNA and RNA, respectively, may mimic the crowded conditions in which we have shown to stabilize the quadruplex. Our results presented in this review indicate that stable noncanonical structures regulate transcription and translation. The results further our understanding of the transcription and translation processes involving the noncanonical structures and may guide the design of transcription and translation regulating drugs.
著者
水本 俊行 中野 扶佐子 西﨑 雄三 増本 直子 杉本 直樹
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.134-143, 2019-10-25 (Released:2020-01-17)
参考文献数
25
被引用文献数
5

われわれは1H核定量NMR(1H-qNMR)で純度決定された化合物のHPLCピーク強度に基づく相対モル感度(RMS)を利用したヒハツ抽出物(LPE)中のpiperine類の定量法を考案した.Piperineを単一基準物質とした場合のpiperanine,chavicine,isopiperine,isochavicineのRMSは0.3693,1.138,0.9164,1.277であった.RMSを利用したHPLC/UV(RMS法)によるLPE中のpiperine類の定量値と,1H-qNMRや絶対検量線法との定量値の相対誤差は2.01%以下であった. RMS法を用い,piperine異性体の合計定量値を光異性化前後で比較した相対誤差は2.84%であった.RMS法によるLPE錠剤中のpiperine類の定量値は606 μg/gで,各成分の2施設間差は0.600~4.00 μg/gであった.
著者
多田 敦子 増田 愛乃 杉本 直樹 山形 一雄 山崎 壮 棚元 憲一
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.179-185, 2007
被引用文献数
9

天然由来のエステル系ガムベース10品目(ウルシロウ,カルナウバロウ,カンデリラロウ,コメヌカロウ,シェラックロウ,ホホバロウ,ミツロウ,モクロウ,モンタンロウおよびラノリン)の成分分析を行い,含有成分組成の差異を比較検討した.TLC分析の結果,含有脂質成分組成の概要が把握でき,いくつかの品目では,その特徴的なTLCパターンにより,他品目との区別が可能であった.しかし,TLCパターンの類似した品目間では相互の区別ができなかったため,さらに,GC/MSにより構成脂肪酸およびアルコールを分析した.その結果,構成脂肪酸およびアルコールの種類やピーク強度比が品目ごとに特徴的であり,TLCパターンが似ている品目同士も,脂肪酸組成分析とアルコール組成分析を組み合わせることで,相互に区別できることが示唆された.今回得られた結果は,エステル系ガムベース製品の種類の推定・判別を行う上で有用な情報であると考えられる.
著者
杉本 直樹
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.137, no.6, pp.232-236, 2011 (Released:2011-06-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

従来の手法では,有機化合物の絶対純度を簡単に測定することが困難であった.定量核磁気共鳴法(定量NMR: quantitative NMR(qNMR))は計量学的に信頼性の高い定量値または純度値を求めることができる強力なツールとして注目を集め始めている.1H-NMRは,特に有機化合物の構造決定のための代表的な定性分析法の1つであり,これは官能基上の水素の数と信号強度が比例することを利用しているが,1H-NMRスペクトル上に観察される水素の数を示す信号強度は10%を超えるばらつきがあり,有機化合物の精密な定量分析には不向きであるとされていた.しかし,近年,定性的なNMR測定条件を全面的に定量用に最適化することで,1H-NMRスペクトル上の化合物の水素の信号強度は結合状態に依存せず分子構造が異なっても等モル量であれば等しく観察されることが見出された.この定量的なNMR現象を利用することによって,qNMRは他の定量分析法に匹敵する不確かさ約1%以内の定量精度を実現した.さらに,これまでの定量分析技術の常識を覆し,たった1つの純度既知の基準物質を上位標準とするだけで無限の有機化合物の絶対量や絶対純度が国際単位系(SI)にトレーサブルに求められるようになった.今後,qNMRは多分野の研究に関連する有機化合物の絶対純度決定法として応用がはじまり,得られた分析値や評価値の信頼性を間接的に裏付けるための必須の分析技術となると考えられる.本稿では,有機化合物の純度に関するSIトレーサビリティの重要性,qNMRの原理,市販標準品や試薬の絶対純度測定への応用例などを紹介する.
著者
杉本 直樹 黒柳 正典 加藤 貴史 佐藤 恭子 多田 敦子 山崎 壮 棚元 憲一
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.76-79, 2006-04-25 (Released:2008-08-04)
参考文献数
12
被引用文献数
4 17

天然ガムベースとして使用されるサンダラック樹脂は,既存添加物名簿収載品目リストに「ヒノキ科サンダラック(Tetraclinis articulata (VAHL.) MAST.)の分泌液からエタノール抽出により得られたもので,主成分はサンダラコピマール酸である.」と記載されているが,成分組成について十分に検討されていない.そこで,サンダラック樹脂中の主要成分について検討し化合物1, 2, 3を単離し,スペクトルデータよりそれぞれサンダラコピマール酸,サンダラコピマリノール,4-エピデヒドロアビエチン酸と同定した.また,サンダラック樹脂製品中のサンダラコピマール酸をHPLCにより定量した結果,含有量は11.6%であった.
著者
高橋 信 奥田 健太 杉本 直哉 狩川 大輔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.26, pp.143-148, 2008-05-05

This paper describes the two experimental studies on the cognitive issues concerning air traffic control (ATC). In the first experiment, the effectiveness of the communication style adopted in ATC has been confirmed through the communication experiments. In the second experiment, the possibility of controlling the cognitive control modes proposed by Hollnagel has been investigated based on the ATC simulation.
著者
荻野 裕也 杉本 直也 片桐 滋 大崎 美穂
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.13, pp.1-8, 2014-01-16

遠隔地間の利用者同士に同室感を与え共同作業を支援することを目的とした 「t-Room」 では,Windows 特有のメディア処理遅延の大きさを軽減させるために新たに Linux を OS とするミドルウェアの開発が進められている.新ミドルウェアによって制御される Linux 版 t-Room では,先行研究により開発済みの映像伝送システムと音響サーバをカメラなどのデバイスを制御するデバイスサーバとして使用するが,現状ではそれぞれ独立しており t-Room として機能させることはできない.t-Room として動作させるために,これらのデバイスサーバを制御するデバイス制御システムが必要であり,本研究にてその設計と実装を行った.本稿では,デバイス制御システムの設計と実装,3 地点間通信などの実際に想定される状況における動作確認の結果について報告する.To alleviate the processing delay of a remote collaboration support system called "t-Room" on Windows, we develop a new middleware on the Linux operating system. In previous research, video transmission system and acoustic server are developed on Linux and these work as device servers for video and sound transmission within the new middleware framework. To control these device servers as t-Room, we develop a device control system. In this paper, report its design and implementation result, and show its validation in various environment, like 3 points connection.
著者
杉本 直樹 多田 敦子 末松 孝子 有福 和紀 齋藤 剛 井原 俊英 吉田 雄一 久保田 領志 田原 麻衣子 清水 久美子 伊藤 澄夫 山崎 壮 河村 葉子 西村 哲治
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.19-27, 2010
被引用文献数
8 21

天然着色剤として広く用いられているコチニール色素の主成分であるカルミン酸の絶対定量に定量NMR(qNMR)を応用した.各社より試薬カルミン酸が販売されているが,その純度が正確に値付けられていないため,この市販試薬を定量用標準品の代用品としてHPLCにより定量した場合,信頼性の高い分析値は得られない.そこで,我々は国際単位系(SI)にトレーサブルな絶対定量法の1つとして,NMRスペクトル上に観察されるシグナル強度がその核のモル量に正比例することを原理としたqNMRを開発している.qNMRによるカルミン酸の絶対定量を以下のように行った.認証標準物質フタル酸水素カリウムを用い,qNMR標準液中の基準物質2-ジメチル-2-シラペンタン-5-スルフォン酸-<i>d</i><sub>6</sub>ナトリウム塩(DSS-<i>d</i><sub>6</sub>)の濃度校正し,カルミン酸のフェニルプロトンとDSS-<i>d</i><sub>6</sub>のメチル基に由来する9つのプロトンとのシグナル強度比より,コチニール色素製品および試薬製品中のカルミン酸の含量(純度)をカルミン酸カリウム塩3水和物として絶対定量した.その結果,コチニール色素製品および市販試薬中に4.6~30.5%および25.3~92.9%含有されていることを明らかとした.qNMRによる絶対定量は,1測定当たりの所要時間が約10分と極めて迅速であり,測定対象の化合物と同一の定量用標準品を必要としないだけでなく,SIにトレーサブルな分析値を導く点が優れている.また,qNMRは,あらゆる有機化合物の絶対定量にも応用可能であり,分析値の信頼性向上のための重要な1つのツールとしてなりうるものと思われる.
著者
関口 博之 杉本 直三 英保 茂 花川 隆 浦山 慎一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.126-133, 2004-01-01
被引用文献数
13

MRAにおける血管領域の信号強度は血流量を反映するため,細い血管ほど輝度が低くなる.また細い血管ほどパーシャルボリュームの影響を強く受け,その輝度は更に低下する.このためMRAの血管輝度は広い範囲にわたり,単純なしきい値処理ですべての血管を抽出することは不可能である.血管輝度のレンジの広さはリージョングローイングによる抽出手法においても大きな問題となり,拡張条件を血管の位置や輝度に応じて動的に変更するといった対処法が必要になる.しかし一般的なリージョングローイングでは複数の血管内で拡張が同時に進行するため,各拡張点に異なる拡張条件を適用することは難しい.これを解決するために,血管を各枝単位に抽出する,枝単位リージョングローイングを提案する.枝単位リージョングローイングでは拡張条件の局所的な最適化だけでなく,拡張の途切れ先への再接続も容易に行えるため,抽出精度の更なる向上が期待できる.本手法を頭部MRAデータ5例に適用したところ,すべての例について抽出誤差が従来手法に比べて減少することを確認した.本論文では上記の抽出手法,並びに,客観的評価を行うために今回開発した,投影像を利用した数値評価法について述べる.
著者
石津 浩一 杉本 直三 山田 亮 池田 昭夫 中本 裕士 大石 直也 酒井 晃二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

FDG-PET画像による認知症の診断支援システム構築の基礎的検討を目的とした。健常者とMCI(早期認知症)の鑑別を、日本人の健常者23名、MCI患者58名で検討した。FDG-PET画像上に自動処理で116個の関心領域を設定し、各領域の全脳に対するFDG集積率を用いた。クラス判別にはSVMと研究代表者が独自に開発したk-index法を用いた結果、ROC解析のカーブ下面積はそれぞれ74.3%と71.1%であった。MCIの臨床診断の精度の低さを考慮すると画像のみでの判別として良好な結果と思われた。また多数の癌患者の脳FDG-PET画像では患者体重と大脳皮質のFDG集積に逆相関が見られた。