著者
松原 崇 陳 鈺涵 谷口 隆晴
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.91, no.10, pp.629-633, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
10

近年,ニューラルネットワークなどの機械学習手法を物理現象のモデリング・シミュレーションに応用する研究が注目されている.このような研究は,支配方程式が未知の現象をモデル化する以外にも,物理シミュレーションを高速化・高精度化できる可能性があり,期待されている.本稿では,そのような研究のうち,代表的な研究であるハミルトニアンニューラルネットワークと,それを改良したニューラルシンプレクティック形式,DGNetについて説明する.
著者
柏原 悠 松原 崇
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.1F5GS1001, 2022 (Released:2022-07-11)

生成モデルによる異常検知は,正常画像のみで学習したモデルで,入力画像と再構成画像の差異により異常画像であるかどうかを判断する方法が一般的である.しかし,既存の生成モデルでは再構成画像が不鮮明であったり,元の画像から回転するなどの問題がありパッチベースのモデルや潜在変数空間を使用したモデルに比べて異常検知の性能が劣っている.工業用製品における欠陥品の検出など現実世界の異常検知では,検出対象の物体の向きが同一でないことや,再構成画像が不鮮明なことによる微小な傷の見逃しにより,既存の生成モデルでは異常の検出に失敗することがある. そこで,我々は鮮明な再構成が可能であるDenoising Diffusion Probabilistic Models(DDPM)をベースのモデルとして,異常検知で拡散過程を使用しない方法により,画像データの回転に対して頑健な異常検知を可能にした.本研究では工業用製品のデータセットであるMVTeC ADを使用しモデルの評価を行い,既存の生成モデルによる性能を大幅に上回る0.92のAUROCを達成した.
著者
安岡 愛理 佐藤 貴宣 青木 千帆子 松原 崇 秋風 千恵 Yasuoka Airi Sato Takanori Aoki Chihoko Matsubara Takashi Akikaze Chie ヤスオカ アイリ サトウ タカノリ アオキ チホコ マツバラ タカシ アキカゼ チエ
出版者
大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.30, pp.33-53, 2009

研究ノートDisability Studies(障害学)は、一九六〇年代後半から七〇年代中葉にかけて世界的規模で起こった、障害者による社会運動を背景として誕生した。九〇年代になって、日本にも学問として紹介されている。日本の障害学はイギリスの影響が強いことから、本稿ではイギリスの学術誌"Disability &Society"(以後DSとする)を対象として、国際的な障害学の動向を把握することを目的とする。一九八六年の創刊号から二〇〇八年二三巻四号までのDSに掲載された論文のうち、アブストラクトのある七八六件の論文を一次資料として採用し、各論文の主題を類型化しカテゴリーに分類して、そのトレンドを分析した。DSにおいて扱われる障害種別は次第に多様化する傾向にある。発刊当初から九〇年代半ばまでの間、障害を社会的文脈との関連において理論化していこうとする研究が盛んであった。それは障害学の核ともいうべき「障害の社会モデル」を精緻化するとともに、社会モデルの枠組みを用いて既存のさまざまな社会事象を分析する取り組みであった。しかし、それ以降は社会モデルを革新し、その射程範囲を広げていこうとする方向にある。また障害学の発展にともない、より多様な国と地域、より多様な障害種別がその論考の対象となってきている。したがって、今後は、エスニックマイノリティや女性障害者をも包摂し、多様化する障害種別にいかに対応していける理論を構築できるかが大きな課題となるだろう。Disability Studies have their roots in the social movement started by disabled people throughout the world from the late 1960s and until the 1970s. By 1990s Disability Studies was also introduced to Japan. The purpose of this paper is to find the trends of Disability Studies by reviewing the papers published in Disability & Society – a prominent British Journal of the field. We believe this review will be especially of interest in Japan, where Disability Studies are strongly influenced by research conducted in UK. As our primary source we have used the papers with abstracts published in "Disability&Society", starting from the inaugural issue of year 1986 and finishing with the volume 23 number 4 of year 2008. We have categorized the papers by subject and analyzed the tendencies. We have found that number of types of impairments appearing in "Disability&Society" grows increasingly year by year and that until the middle 90s many papers theorize disabilities through their connection with the social context. This tendency shows that during that period the Social Model of Disability – the key concept of Disability Studies – was increasingly used to produce more and more detailed understanding of the social phenomena of disabilities. From the second part of 90s the Social Model renews and starts to cover increasingly wider range of objects. Disability Studies gain more and more power, and papers on new types of impairments based on research in more and more countries and regions appear. We conclude that in future objects of inquiry should include disabled people from ethnic minorities and also disabled women, and that the ever growing number of types of impairments also needs theoretical innovations in the field.
著者
橋本 敦史 井上 中順 牛久 祥孝 濱屋 政志 松原 崇充 森 信介 VON・DRIGALSKI FELIX
出版者
オムロンサイニックエックス株式会社
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

生産年齢人口が減少する中,ロボットの産業活用は喫緊の課題である.ロボットによる作業代替を低コストで実現する方法として言語指示の活用が注目されている.しかし,「言語指示→ロボット制御」の従来型演算モデルは特定の作業に特化したものとなってしまっている.本研究では,多様な作業を対象とした汎用的な演算モデルを提案・検証する.言語・映像資源が豊富な調理を対象とし,サラダなどの比較的簡単な料理を言語指示に従って調理するロボットを最終年度までに実現することでコンセプト実証を目指す.
著者
立花 亮介 松原 崇 上原 邦昭
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

工業製品の製造現場において最も重要であることの一つは,製造された工業製品が期待される仕様を満たしていないときに,その製品を不良品であるとみなして取り除くことである.現状では異常な製品の発見や除去は人手で行うことが一般的であり,企業は異常製品の除去に対して高い人的コストを支払っている.そこで,異常検知の自動化によって製品の点検にかかるコストを削減することが求められている.最近では,画像から直接尤度を求めることが出来る深層生成モデルと呼ばれる確率モデルが提案されており,異常検知において一定の成果を達成している.しかし,工業製品はその構造が複雑かつ多様なため画像内における各部分の出現頻度が異なり,尤度が必ずしも異常度に対応せず,正しく評価できないという問題がある.そこで本論文では,深層生成モデルにおいて非正則化異常度を用いた異常検知を提案する.非正則化異常度はデータが潜在的に含有する複雑さに堅牢であり,画像内における各部分の出現頻度に依存せず評価を行える.提案手法の有効性を検証するために,工業製品の画像データに対して本手法を適用させ,異常検知性能においてその有効性を既存の手法と比較する.
著者
水川 徳之、松原 崇、上原 邦昭
雑誌
2015年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015-09-18

単純な再帰ニューラルネットワークは、長い時系列データの学習が遅い、離れたデータ同士の相関を得にくいなどの欠点があるが、これを解決するため に特化したLSTMを用いることなく、より汎用性を保ったまま改良する方法を検討する。
著者
丸山 淳一 松原 崇充 Joshua G. Hale 森本 淳
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.527-537, 2009 (Released:2011-11-15)
参考文献数
25
被引用文献数
3 3

This paper presents a method to learn stepping motions for fall avoidance by reinforcement learning. In order to overcome the curse of dimensionality associated with the large number of degrees of freedom with a humanoid robot, we consider learning on a reduced dimension state space based on a simplified inverted pendulum model. The proposed method is applied to a humanoid robot in numerical simulations, and simulation results demonstrate the feasibility of the proposed method as a mean to acquire appropriate stepping motions in order to avoid falling due to external perturbations.
著者
松原 崇
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.87-92, 2014-06-05 (Released:2014-07-31)
参考文献数
33

脳や神経系の活動を把握することは,その計算機構の解明に重要であり,様々な粒度で研究がなされてきた.脳の活動は酸素を消費し,血中酸素濃度を変化させる.fMRIは人体に磁場をかけその応答を取り出すことにより,血中酸素濃度に依存する信号(BOLD信号)を得ることが出来,脳の活動部位を調べることが出来る.非侵襲な脳活動の計測法として広く用いられているが,BOLD信号からは脳活動を間接的に知ることしか出来ないため,背後にある脳活動を明らかにする数理モデルが多数考案されてきた.本稿では単一の神経組織に関するBOLD信号の数理モデルと,それらのネットワークを対象とした数理モデルを紹介する.
著者
佐々木 智樹 松原 崇充 野崎 康 木戸出 正繼
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.1622-1630, 2011-10-01

本研究では,近年活発に研究が行われている"ロボットによる卓球タスク"において,打球の予測問題に焦点を当て,多様なスピン(回転速度と方向)を伴う打球について高精度な打球予測を実現することを目的とする.卓球の球は非常に軽く,スピンによる影響を受けやすいため,高精度な打球の予測のためには,スピンの状態を知る必要があると考えられる.しかしながら,卓球の球は通常無地の球形をしており,状態の変化を表す画像特徴が検出されないため,カメラなどによるスピンの計測は困難である.そこで,本研究では,プレイヤーのスイング動作に着目し,スイング動作に含まれるスピン関連情報を抽出し,打球予測に利用するアプローチを提案する.具体的には,各プレイヤーについて,モーションキャプチャによって計測されるスイング動作と,ステレオビジョンによって計測される打球の位置を多数取得し,これらのデータを用いて,スイング動作からスピン関連情報への特徴変換を求める.そして,多様なスピンを伴う打球について,カメラから得られる球の位置と,スイング動作の特徴変換により求まるスピン関連情報を用いることで,高精度な予測を実現する.
著者
立花 亮介、松原 崇、上原 邦昭
雑誌
2015年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015-09-18

膨大で整理されていないデータから情報を抽出するには、教師なし学習が有効である。本稿では、深層学習手法のうちオートエンコーダーやボルツマンマシンをはじめとする教師なし学習に注目し、識別性能を比較検討する。
著者
中作 勇介 松原 崇
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.2G4GS2f05, 2021 (Released:2021-06-14)

データごとに尤度を求めることができる深層生成モデルは,分布外検知の手法として多く用いられている.一方で深層生成モデルを分布外検知に利用する際,データによっては分布外データの尤度が分布内データの尤度より大きく推定されてしまうことがあるという問題が存在する.変分自己符号化器もこの問題を抱えた深層生成モデルの1つである.この問題を解決するために,本論文では変分自己符号化器において潜在変数の事前分布を変更することを提案する.通常の変分自己符号化器は潜在変数の事前分布を標準正規分布としている.これに対して提案手法では分布外データの潜在変数が原点付近に集まるという仮説を立て,原点付近の確率密度が低い事前分布を用いる.これによって分布外データに対する尤度が低くなり,結果として分布外検知の性能の向上が期待される.Fashion-MNISTとMNISTに対して実験を行い,既存の手法に比べて分布外検知における性能が向上することを示した.