著者
牧野 亜友美 森本 淳子 柴田 昌三 大澤 直哉 中西 麻美
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.286-289, 2002-08-31
参考文献数
10
被引用文献数
2 6 3

京都市近郊のヒノキ二次林において合計0.21 haの施業区を設置し, 生物多様性を回復させることを目的として針葉樹11本と落葉広葉樹26本を残しすべての植生を伐採した。伐採後の木本植生の多様性の変化を, 萠芽更新と実生更新に着目して調査を行った結果, どの斜面位置においても伐採前に比べて伐採後に種数が増加した。新たに出現した種は28種であり, それらは主に鳥類によって散布された種子と埋土種子からの発芽であると考えられた。保残木施業による天然更新を促す手法を用いた小面積伐採は, 木本植生の多様性を回復させるのに一定の効果があることが示された。また, 遷移が進行した都市近郊二次林では, 林相の種組成が単純であるため周囲からの新しい種の供給は小さく, 新しい種の供給源として埋土種子の役割が重要であると考えられた。
著者
坂巻 康司 寺本 成彦 森本 淳生 大出 敦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究において、近代日本文学におけるフランス象徴主義の影響について私たちは精査した。その結果、日本文学の歴史のなかで、この影響はあまりにも強大であったため、明治から昭和後期に到る100年以上のあいだ決して消滅することがなかった、ということが分かった。この事実は、近代日本におけるフランス文化の位置・状況とその意味を考えようと望むあらゆる者にとって非常に重要である。
著者
森本 淳 銅谷 賢治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.2118-2131, 1999-11-25
被引用文献数
42

人間のように多自由度の身体をもつロボットが,試行錯誤的に目的とする運動を獲得することは,ロボット学習の分野において大きな課題である.本論文では強化学習を用いて,ロボットが高次元状態空間中における運動学習を行うための手法,主に評価関数の近似方法についての考察を行う.制御タスクとしては,人間の身体の形を単純化した3リンク2関節ロボットの起き上がり運動を扱う.強化学習の一手法である,連続時間,連続状態のTemporal Difference学習則を,正規化ガウス関数を必要に応じて逐次配置する関数近似手法と組み合わせ,高次元連続状態空間中での起き上がり運動学習を行った.その結果,シミュレーション上で約2400回の試行後に起き上がり運動が獲得された.
著者
畔柳 晶仁 森本 淳子 志田 祐一郎 新庄 久尚 矢部 和夫 中村 太士
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.45-50, 2019-08-31 (Released:2019-12-27)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

湿地の減少に伴い衰退する湿地性植物種や植物群落の代替生育地としての機能を遊水地が果たしうるか検討した。舞鶴遊水地(北海道石狩川水系千歳川流域)で,植物,掘削履歴,環境を調査した。在来種を主体とした湿地性植物種が再生すること,植物群落の生育立地環境を特徴づける要因は,掘削からの経過年数,水深,pH,EC であることが示された。昭和初期まで石狩川流域の湿地には高層湿原を構成する希少種主体の植物群落が存在していたが,農地・都市開発に伴い衰退し,平成初期の湿地は低層湿原を構成する普通種主体の植物群落になった。舞鶴遊水地は低層湿原が成立する条件下にあり,平成初期の湿地に類似した植物群落が成立したことが明らかになった。
著者
森本 淳生
出版者
日本メルロ=ポンティ・サークル
雑誌
メルロ=ポンティ研究 (ISSN:18845479)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.67-81, 2020-01-31 (Released:2020-02-04)
参考文献数
15

Les Recherches sur l’usage littéraire du langage, le cours donné par Merleau- Ponty au Collège de France en 1953, offre diverses notes détaillées de lecture qui nous montrent clairement un intérêt réel et profond du philosophe pour Paul Valéry. Il s’y trouve pourtant un certain manque assez surprenant parce qu’il s’agit d’une œuvre dont l’importance est capitale si l’on veut examiner l’itinéraire du poète de manière précise. Cet itinéraire est décrit suivant trois étapes : l’abandon de la poésie, d’abord, après cette célèbre « Nuit de Gênes » en 1892 ; puis, le retour aux milieux littéraires après la Première Guerre Mondiale, retour qui ne résulte que d’une certaine « faiblesse » et non pas de ce que Valéry a surmonté son scepticisme de jeunesse ; c’est avec le concept de l’Implexe et la pièce telle que « La Pythie » que le poète aurait enfin atteint une certaine maturité où il écrivait selon la spontanéité du corps et l’activité langagière qui en résultait. Après une remarque sur une difficulté au niveau chronologique qui se trouve dans l’argumentation merleau-pontienne, notre article essaie de montrer que, malgré l’absence presque totale de mention, La Jeune Parque (1917) a joué en fait un rôle central dans ce développement littéraire décrit par le philosophe lui-même : il s’agit du moment décisif où se sont réalisés tout en même temps le sujet, l’œuvre et la théorie de la poésie, en d’autres termes, le poète, le poème et la poïétique. Mais malgré cela, la réflexion du philosophe, d’ailleurs très perspicace, réussit à saisir le noyau essentiel de Valéry et, comme un fragment de novembre 1959 du Visible et l’invisible qui parle du « corps de l’esprit » semble le montrer, il se peut que Merleau-Ponty ait lu un fragment du tome VIII des Cahiers de l’édition fac-similé, publié l’année précédente, dans lequel Valéry précise ce que signifie cette expression. Bien que le philosophe remarque un peu à la hâte la limite de Valéry dans son cours, le poète-penseur reste pour lui une des sources essentielles de la réflexion jusqu’à la fin de sa vie.
著者
丸山 淳一 松原 崇充 Joshua G. Hale 森本 淳
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.527-537, 2009 (Released:2011-11-15)
参考文献数
25
被引用文献数
3 3

This paper presents a method to learn stepping motions for fall avoidance by reinforcement learning. In order to overcome the curse of dimensionality associated with the large number of degrees of freedom with a humanoid robot, we consider learning on a reduced dimension state space based on a simplified inverted pendulum model. The proposed method is applied to a humanoid robot in numerical simulations, and simulation results demonstrate the feasibility of the proposed method as a mean to acquire appropriate stepping motions in order to avoid falling due to external perturbations.
著者
森本 淳子 柴田 昌三 長谷川 秀三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.360-366, 2003 (Released:2005-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

京都市近郊林産のコバノミツバツツジとモチツツジの地域性種苗の生産に必要な技術,すなわち種子の貯蔵,播種,苗の育成に関して,適切な方法を明らかにすることを目的に実験を行った。その結果,1)当年結実した果実を採取後,乾燥させ取り出した種子を殺菌処理し冷蔵乾燥貯蔵すると,種子の発芽力は低下しにくい,2)この条件で貯蔵すると,コバノミツバツツジは少なくとも2 年8 カ月間,モチツツジは1 年8 カ月間,高い発芽力が維持される,3)結実の翌年,気象をコントロールしないガラス室で5 月頃に播種すると発芽率は最も高くなる,4)施肥を行わない場合,コバノミツバツツジは水苔に播種し翌年早春に6 cmポットに床替え,モチツツジは水苔に播種し翌年早春に9 cmポットに床替えすると,もっとも生存率が高く,成長量の大きい2年生苗になることが明らかになった。
著者
坂本 洋子 森本 淳子 藤野 ユリ子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
no.4, pp.160-170, 2005

集中内観法の有効性に関する事例研究は多く見られるが、集団的に調査をした研究は非常に少なく思われる。そこで15ケ月間にM内観研修所を訪れた内観研修参加者のうち研究協力に同意の得られた265名を対象に調査研究を行った。研究の主たる目的は、参加者の参加動機、内観法実施の前後における感情や意識の変化の状況、内観過程中の辛かった時期やその時の感情や意識、気持の変化が現れたときの状況などを検討し、自己変容の心理的要因を明らかにすることにある。結果として、内観参加者は男女ほぼ同率、各年代による参加に大差はないが、やや20代女性が多く、60歳以上の参加は非常に少なかった。内観過程おいて、心理的身体的苦痛は90.2%の人にあり、2日目頃から起こり3日目がそのピークとなる。苦痛は、雑念が浮かんで内観の深まらない辛さが最も多く、他に内観実施に対する疑問、抵抗,被拘禁感、逃げ出したい気持、内観の進展に伴って起こる自分の醜さ、情けなさを知る辛さ等があった。しかし耐えて続けて実施することにより、後期には84.2%の人に心の変化が現れている。気持の安らぎ、自己覚知と他者理解、ものの見方、見え方の変化が現れ、終了後多くが、達成・成就感、清明感、自己肯定を得ることができていた。
著者
坂本 洋子 藤野 ユリ子 大塚 邦子 石橋 通江 森本 淳子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-9, 2006-12-22

人間関係論演習の一環として看護大学2 年生の希望者を対象に、構成的グループ・エンカウンターを4年間実施した。その結果、参加前後の気持ちや自己イメージの変化は、いずれも肯定的に変化していた。またオープナー・スケールも肯定的に有意に変化していたため、相手をリラックスさせ自己開示を促す能力が向上していることが示唆された。また、実施後3 ヶ月、1 年後にフォローアップ・アンケートを実施した結果、自己理解や他者理解の深まり、新しい人間関係の形成、自己課題の発見など実施直後と同様の結果が得られ効果の持続が示唆された。また、グループ体験が臨地実習やグループワークに活かされているという結果も得られた。今後の課題として、対象が多くなった場合、抵抗を感じる学生やエクササイズを消化すればよいと感じる学生が出てくることが考えられるため、エクササイズの工夫や適正なファシリテーターの指導方法の検討が必要である。
著者
森本 淳
出版者
白東史学会
雑誌
中央大学アジア史研究 (ISSN:0389097X)
巻号頁・発行日
no.32, pp.111-132, 2008-03
著者
森本 淳平
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

申請者は、生体の翻訳の機能で炭素-炭素結合を形成させることで、多様な構造を有するライブラリの構築およびスクリーニングをmRNAディスプレイ法によって可能とすることを目指した。初年度の前半でこの研究を追求したが達成には至らなかったため、側鎖に特殊な構造を有するアミノ酸が導入されたペプチドライブラリを構築・スクリーニングする、という研究へと方向転換し、初年度の後半および第2年度の研究を通してこれを達成した。本年度は、前年度の研究で得られたヒト脱アセチル化酵素SIRT2の阻害ペプチドをさらに深く評価する研究を行った。まず、SIRT2阻害ペプチドS2iL8およびS2iD7のいくつかの変異型を合成してSIRT2への結合能および阻害能を評価することで、これらペプチドの強力な結合能の構造的基盤を明らかとした。この結果は学術誌へ論文投稿し掲載された。また、本研究の基盤技術となるフレキシザイムというリボザイムについての総説も学術誌に掲載された。また、阻害ペプチドの分子構造の徹底的な改造を行なうことによって、IK^<Tac>TY(K^<Tac>=チオアセチルリシン)というペプチドを創出し、10μMで細胞内のSIRT1を阻害し、p53のアセチル化レベルを亢進させることに成功した。この成果は現在論文投稿準備中である。さらに、東京大学の濡木研究室との共同研究を通してSIRT2阻害ペプチS2iL5とSIRT2との共結晶構造の解明にも成功した。この結果から、in vitroでの活性評価の結果を裏付けるデータだけでなく、SIRT2の基質特異性に関わるような新たな知見も得られた。これら結晶構造解析の成果についても、現在論文投稿準備中である。このように、本年度の研究を通して、一報の論文掲載とさらに二報分の論文の研究成果をあげた。三年間の研究を通じて、当初の目的であった炭素-炭素結合を形成することはできなかったものの、特殊なペプチドライブラリの構築およびスクリーニング技術の発展に貢献し、興味深い構造を有する強力な阻害剤の獲得に成功した。
著者
森本 淳子 丸山 宏 柴田 昌三
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.485-488, 1997-03-28
参考文献数
10
被引用文献数
6 5

美しい花を咲かせる木本植物の観賞を目的とした二次林管理として,光環境の調整による花芽率のコントロールが提唱されている。しかし,花芽率の予測には,植物の生態学的特性を考慮した評価が必要である。そこで,関西地方の二次林に多く自生するコバノミツバツツジの開花のメカニズムを解明することを目的に,連続的に日射量を測定し,花芽率・当年枝の構成・枝の動態を調べた。そ結果,5月〜8月の日射量が410MJ・m^<-2>・month^<-1>以下の生育場所では花芽分化は確認されず,明るいほど当年枝にしめる繁殖枝の割合が高くなること,繁殖枝の腋芽から伸長する栄養枝の数は光環境の影響を受けにくいことなどが明らかになった。
著者
中村 太士 森本 幸裕 夏原 由博 鎌田 磨人 小林 達明 柴田 昌三 遊磨 正秀 庄子 康 森本 淳子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

森林、河川、農地生態系について、物理環境を基盤とした生息場評価手法を確立した。また、それぞれの生態系において、生息場の連結性や歴史的変化、倒木などの生物的遺産を考慮する新たな復元手法を開発し、実験的に成果を得た。また、魚類、昆虫、植物、両生類、鳥類、貝類、哺乳類など様々な指標生物を設定し、モニタリングや実験結果によりその成否を評価する手法を確立した。環境経済学や社会学的立場から、再生事業や利用調整地区の導入に対する地域住民、利用者の考え方を解析し、将来に対する課題を整理した。