著者
矢作 和也 金子 香里 松本 達彦 増田 淳 橋本 良明 松本 純一 荒井 泰道
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.215-217, 1993-12-01 (Released:2015-07-15)
参考文献数
6

症例は50歳女性。下血を主訴に来院し,即日行った大腸内視鏡検査にて,S状結腸深部に白色半透明の膜様の剥離粘膜に被われた血腫がポリープ状に認められた。また,塩酸チクロピジン服用によると思われる出血時間の延長を認めた。4日後,剥離粘膜に被われた血腫の排泄があり,その直後に行った注腸X線検査,内視鏡検査にてS状結腸深部に約10cmにわたる全周性の潰瘍を認めた。成分栄養療法などを行い,約10ヵ月後ほとんど狭窄を残さずに治癒した。大腸の全周性粘膜剥離はまれであり,その原因の1つとして虚血性腸炎があげられているが,本例は発症時に腹痛がなく,また剥離部に隣接した粘膜には炎症所見がみられなかったことなどより,虚血性腸炎の可能性は低い。むしろ,塩酸チクロピジンによる出血傾向との関連の可能性が考えられた。興味ある症例と思われたので,若干の文献的考察を加え報告した。
著者
松本 心 顔 玉玲 金城 寛 山本 哲彦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
機械材料・材料加工技術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2001, no.9, pp.355-356, 2001-11-02

In this paper, a diagnosis method for machine faults using a neural network based on autocorrelation coefficients of wavelet transformed signals is presented. It is important for factory engineers to accurately estimate machine faults. In conventional diagnosis methods, frequency analysis using the fast Fourier transform (FFT) has often been employed. Recently, wavelet transforms have been studied and applied to many signal-processing applications. Wavelet transforms are very useful because of characteristics of time-frequency analysis. In this paper, we propose an application of wavelet transforms to machine fault diagnosis. In order to apply wavelet transforms to machine fault diagnosis, we use autocorrelation coefficients of the wavelet transformed signal. In this research, it becomes clear that the autocorrelation coefficients, represent the different classes of machine states. For the automatic diagnosis, we trained a neural network to recognize three classes of machine states based on the autocorrelation coefficients of wavelet transformed signals. Simulation and experimental results show that the trained neural network could successfully estimate machine faults.
著者
松本 桂一 篠原 孝順 笠松 昭宏
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
防食技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.643-648, 1984-11-15 (Released:2009-10-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

As corrosion failures of 316L in urea synthesis solutions are due to either the active region dissolution or the corroison at the transition zone from the passive to the transpassive region, effects of process variables of the urea reactor on these two types of corrosion were electrochemically examined in order to advance the reliability of corrosion preventive methods. For making simple methods to evaluate resistance of 316L to the corrosion at the transition zone from the passive to the transpassive region, seven 316L specimens were immersed in an urea synthesis solution and the results were discussed by comparison with the results of Huey test and chemical compositions of the test specimens. The conclusions obtained are as followws.(1) 316L for the urea reactor required more amount of air to be injected for preventing active dissolution as the temperature of the reactor rose or the molar ratio of H2O/CO2 increased.(2) Sulfide, an impurity in CO2 gas, had a very detrimental effect on passivation of 316L. As it is not practical to compensate the harmfulness of sulfide by increase of the amount of air injection, the content of sulfide in CO2 gas should be lowered before feeding to the urea plant.(3) For reducing the corrosion at the transition zone from the passive to the transpassive region, higher molar ratio of NH3/CO2, lower ratio of H2O/CO2 and lower temperature were advantageous.(4) Sulfide was also harmful to this corrosion.(5) Annealed 316L was subject to weight loss owing to general corrosion and intergranular corrosion simultaneously at the transition zone from the passive to the transpassive region. Resistance of 316L to these two types of corrosion were correlated with Cr content in 316L and results of Huey test, respectively.
著者
岩本 健嗣 杉森 大輔 松本 三千人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.739-749, 2014-02-15

今日,ユビキタス技術の研究,開発が進み,様々な認識,推定技術に関する研究が行われている.本論文では,行動的特徴を用いた個人認識技術に着目する.人が行う動作には様々あるが,今回は人が日常的に行っている歩行動作を利用した歩行者推定手法を提案する.また,歩行動作を検知する手段として3軸加速度センサを搭載した携帯電話を用いる.携帯電話を用いた歩行者推定を行うためには,状態推定,携帯電話の所持位置推定,ユーザ推定をそれぞれ行う必要がある.本論文では,携帯電話を用いてユーザの移動データから特徴量を抽出し,歩行者を推定する実験とその評価を行い,提案する歩行者推定手法が有効であることを示した.
著者
萱島 信 松本 勉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1097-1104, 2008-03-15
被引用文献数
1

今日,インターネット技術を用いたネットワークでは,サービス不能(Denial of Service,DoS)攻撃対策が重要になりつつある.DoS 攻撃手法は,ホストの脆弱性を悪用する脆弱性攻撃タイプと,大量のIP パケットでホストやネットワークのリソースを使い尽くすFlood 攻撃タイプがある.特に後者は,分散サービス不能攻撃(Distributed DoS,DDoS)の出現で深刻化している.そこで本論文では,分散DoS 攻撃の影響を回避する方式を提案する.本提案方式は,アクティブ計測手法であるOne-Packet 方式とパケットペア/パケットトレイン方式の長所を組み合わせて実現した"パストラフィック推測機構" と,TCP プロキシを用いたオーバレイネットワークで実現した"代替パス構築機構" により構成される.本論文では,Flood 攻撃のシミュレーションにより,パストラフィック推測機構が従来の帯域推定手法より有効に機能することを示した.さらに,代替パスを構成する他の実現方法との比較により,代替パス構築機構の実用性を評価した.On Internet-based networks, defending networks against attacks, particularly denial-ofservice (DoS) attacks, is becoming important. DoS attack methods can be classified into two types: the first type uses a security hole in a target host, and the second type exhausts network bandwidth by sending a large number of data packets to a target. The second type is becoming more of a problem because distributed DoS attacks are now taking place. We have developed a method that reduces the severity of distributed DoS attacks. Our method uses two mechanisms: an "path traffic estimation mechanism", which works by combining onepacket and packet-pair models; and a "substitution path construction mechanism", which uses a tcp-proxy. We demonstrated that "path traffic estimation mechanisms" effectively reduced the severity of a simulated flood attack. And we demonstrated that "substitution path construction mechanism" is more practical than usual method.

1 0 0 0 藤崎講演

著者
松本亦太郎瀧精一口述
出版者
明治聖徳記念学会
巻号頁・発行日
1927
著者
松本 雅道 田金 秀一郎
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.355-360, 2006-11-30
参考文献数
44

絶滅危惧植物であるキスミレの自生地における緑化に際して,配慮すべき点を検討するために,阿蘇山での生育環境の特性と日本における自生地の土壌型を調査した。キスミレは春植物の生活環をもち,春先に充分な光が得られる環境を要求するため,野焼きによる草地の管理は必要である。キスミレの生育環境は土壌が深く,ススキの生育の良い,多様な種組成の群落が成立する環境である。斜面崩壊の発生して3 年経過したすべり面にはキスミレは生育していないが,14 年経過したすべり面の一部には生育を始めており,崩壊地でキスミレが群生する草地が回復するにはさらに時間がかかると推定された。日本におけるキスミレの自生地の土壌型は,草原性の環境において生成した黒ボク土の分布域に遺存することが多い。崩壊によって失われた黒ボク土を再生することにより,ススキ草原を再生することが,緑化に際して配慮すべき点と考えられる。
著者
本谷 匠 月僧 秀弥 西行 大志 松本 拓也 三好 雅也
出版者
福井大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.25-33, 2019-02-28

中学校理科気象分野の「気圧と風」に関して,生徒たちが実感を伴った理解をするための教材「3D天気図教材」を開発し,授業実践によってその教育効果を検証した.授業の中で,予め等圧線が書かれている透明パックを組み立てる活動を導入し,授業中の生徒の様子やアンケートから,本教材を導入した授業の教育効果を調べた.その結果,本教材を導入した授業は動機付けと内容理解に対して効果を有することが分かった.
著者
堀内 雅生 山口 隆子 松本 昭大
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>温暖な地域における風穴の研究事例は少ない。今回は,鹿児島の桜島において著者らが新たに確認した「黒神風穴」について報告する。風穴の気温は18.8℃で,外気温(23.8℃)と比べて5.0℃低温であった。風速は0.15ms-1であった。 清水・澤田(2015)の巻末資料より,全国の風穴情報をGIS上に取り込み,気象庁のメッシュ平年値(2010)より各風穴周辺の年平均気温を求めた。すると,黒神風穴は御蔵島の風穴(温風穴)と同率で,日本国内において現在確認されている風穴の中で最も周辺の年平均気温が高いことが分かった。</p>
著者
松本 健治
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.574-579, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
24

食物抗原特異的なIgE抗体の産生を阻止する一次予防のためには, 主要な感作経路である乳幼児期の湿疹 (アトピー性皮膚炎) の発症予防, 発症した場合には適切な治療を行うことが重要である. また, 経口免疫寛容の誘導のためには, 乳児期早期に離乳食での摂取を始めることが推奨される. 今後は, 具体的な離乳食の進め方 (どのような児に, いつから, どのような食材で, どれくらいの量で) や, すでに湿疹がある児 (感作が成立している可能性がある) に対する離乳食の安全な開始方法の開発が望まれる. また, 湿疹以外の経路による感作 (経胎盤感作, 経腸感作など) の機序の解明も重要な課題となろう.
著者
寺田 勝彦 藤田 修平 田端 洋貴 脇野 昌司 松本 美里 辻本 晴俊 菊池 啓
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1304, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】ヒトの直立二足立位・歩行を獲得するには,ヒト上科に属するチンパンジーなどの霊長類モデルとの機能形態比較や,central pattern generator(CPG)を考える必要がある.今回,それらの観点からの介入法により,歩行機能を再獲得した症例について報告する.【症例】37歳,女性.既往歴:34歳の時にTh11脊髄出血.PT介入により,自立歩行獲得.36歳の時に坐位姿勢不良,立位保持・歩行は不可能となる.介助した立位姿勢は,頭部を前方へ突き出し,躯幹上部を前屈させ,両肩甲帯挙上・後退,上肢外転,股・膝屈曲した霊長類の立位postural synergy(PS)を取る.本院の神経内科病棟に入院となるが,CT・MRIの画像診断,神経伝導速度,血液・生化学検査で異常は認められなかった.なお,本症例には公表する旨を伝え,同意を得た.【PT評価および介入】原始的立位PSと姿勢筋トーヌスおよび神経テンションテスト,神経・筋の触診から,副神経,肩甲背神経,長胸神経,胸背神経,肋間神経,腸骨下腹神経,閉鎖神経,坐骨神経,大腿神経,総腓骨神経,脛骨神経および橈骨神経,正中神経,尺骨神経の神経緊張の増大とmobilityの低下が認められた.また端坐位姿勢から,CPGが賦活されにくい脊髄動力学の異常が観察された.そのために,霊長類モデルのナックル姿勢・歩行,垂直木登りのPS・MSとの機能形態や神経・筋比較から,ヒトの歩行機能の獲得に必要な介入法を模索した.先ず神経モビライゼーションの導入と脊髄動力学の改善をヒトの正常発達の順序性に則した肢位と正座・胡坐で施行し,それらのPSを獲得し直立二足立位PSに繋げた.次にステップ肢位でのPSを獲得し,歩行のmovement synergy(MS)に繋げた.神経モビライゼーションの手技は,バトラーの手技で対応できる方法はそれに準じた.手技の無い体幹の神経である肋間神経,腸骨下腹神経は水平かつ後方に,副神経・長胸神経・胸背神経は中枢から末梢に向かって動かした.それらの神経との繋がりが強い神経系は,相互にテンションを高め走行に沿って上から圧を加えた.脊髄動力学の改善は,Louisの報告を基に行った.またステップ肢位は,前下肢を足関節背屈位とした.【結果】PT施行前は坐位・立位保持,独歩不可能であるが,施行後は安定した坐位・立位姿勢保持可,ロフストランド杖歩行20m可,独歩も5m程度であるが可能となる.【考察】原始的な立位PSが優位な症例では,ヒトの直立二足立位・歩行は獲得されない.今回の介入法により,原始的PSを誘発する神経系の緊張の軽減とmobilityの改善および脊髄動力学の改善を得ることで,腰椎前弯を呈した直立二足立位PSが可能となった.更にステップ肢位でのPS獲得により,flexion reflex afferents(FRA)からの求心性情報が,CPGを構成する介在ニューロン網の活動を高め,多シナプス性に左右下肢の屈筋と伸筋の律動的な活動を生み出し, ヒトの歩行MSが再獲得された.
著者
伊藤 英師 松本 陽一 松岡 敏生 木村 裕和 福嶋 一成
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
Journal of textile engineering (ISSN:13468235)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.15-21, 2008-02-15

In order to reduce the irregularities of sliver made from fine denier fibers, a method of pin-drafting utilizing a moving gill-faller bar was investigated. In the pin-drafting system, both the pin count and the pitch of the gill-faller bar are crucial in the control of staple fibers: the faller bar pitch affects the longitudinal direction of the sliver and the pin count affects it in terms of the width and thickness of the sliver. The effect of fiber control can be estimated by considering the number of fibers in/out of contact with the pins of gill-faller and the size of the group of moving fibers.<BR> The experimental result for fine denier fibers showed that it is necessary to decrease the number of fibers out of contact with the pins of gill-faller and/or the size of the group of moving fibers by controlling the fiber density of the sliver.
著者
松本 隆志
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.229-254, 2013-10-10

ウマイヤ朝後期のイラク総督ハーリドは,『歴史』と『征服』の二史料間で,質量ともに大きく描かれ方が異なっている。本稿はこのハーリドに関する叙述を二史料間で比較検討したものである。その結果として,ハーリドに関する言及の多い『歴史』では,その理由が南北アラブの部族間対立の文脈に求められ,ウマイヤ朝末期の第三次内乱においてハーリドおよび部族間対立が原因の一つとして機能していることがわかった。他方,ハーリドへの言及が少ない『征服』では,部族間対立の文脈は見られず,第三次内乱はウマイヤ家の内部抗争として描かれていることがわかった。本稿で明らかとなった叙述傾向の相違は,両史料の叙述全体についても反映している可能性があるものと考える。