著者
小林 信一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.39-59, 2018-03-31 (Released:2019-08-30)
参考文献数
31

This paper describes science and politics in the era of post-truth. The post-truth politics looks as if it ignores the scientific evidence. However, anti-scientific U.S. Republican has intended to put emphasis on the scientific evidence. Once Republican's war on science insisted on anti-science. Now, Republican emphasizes ‘sound science' providing an evidence with higher probative value than science. The post-truth politics tends to make full use of the scientific-evidence-like rhetoric to compete the evidence-based policy making. The anti-scientific ideology attacks the irreproducibility issues and dysfunction of quality assurance of science, while it attacks science with an immitated rhetoric of the incertitude of science and the science for policy-making in order to remove science's influence on policies. Weak points are attacked. It is difficult for science to counterattack, because science community is a root cause of the ‘crisis of science.' Science community ought to secure social trust and to reconstruct the governance of science.
著者
小林 信一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.247-260, 1992-10-15
被引用文献数
7

本論文は、若者の科学技術離れの問題の文化的、社会的背景を明らかにしようとするものである。オルテガは「科学技術文明が高度に発達すると、かえって科学技術を志向する若者が減る事態が発生する」と議論した。これが今日の我が国でも成立するか、成立するとすればそれはどのようなメカニズムによるのかを実証的に検討することが本論文の目的である。このために、まずオルテガの議論を、科学技術と文化・社会の連関モデルとして実証可能な形に定式化した。これを実証するために、世論調査や高校生を対象とする意識調査のデータをログリニア・モデルなどの統計的な連関分析手法で注意深く分析した。その結果、オルテガの仮説は今日の我が国でも概ね成立することが明らかになった。また、短期的な実証分析の結果を外挿的なシュミレーションによって超長期に展開する工夫を施し、その結果がオルテガの文明論的な議論と整合的であることを確認した。分析結果は、オルテガの指摘した逆説的事態は必然的に発生するものであることを示している。
著者
小林 信一
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.26-36, 2008-09-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
13

イノベーションを促進するために大学に対する研究資金を「選択と集中」の原則に基づいて配分すべきだという議論がある.本稿は「選択と集中」によるイノベーションという考え方の妥当性を,アメリカにおける科学技術政策の歴史的検討,実態分析を通じて検討するものである.分析結果は,「選択と集中」は,すべての経済主体のための研究基盤の強化を指向するイノベーション政策と相容れないことを示唆している.
著者
小林 信一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.247-260, 1992-10-15 (Released:2017-12-29)
被引用文献数
6

本論文は、若者の科学技術離れの問題の文化的、社会的背景を明らかにしようとするものである。オルテガは「科学技術文明が高度に発達すると、かえって科学技術を志向する若者が減る事態が発生する」と議論した。これが今日の我が国でも成立するか、成立するとすればそれはどのようなメカニズムによるのかを実証的に検討することが本論文の目的である。このために、まずオルテガの議論を、科学技術と文化・社会の連関モデルとして実証可能な形に定式化した。これを実証するために、世論調査や高校生を対象とする意識調査のデータをログリニア・モデルなどの統計的な連関分析手法で注意深く分析した。その結果、オルテガの仮説は今日の我が国でも概ね成立することが明らかになった。また、短期的な実証分析の結果を外挿的なシュミレーションによって超長期に展開する工夫を施し、その結果がオルテガの文明論的な議論と整合的であることを確認した。分析結果は、オルテガの指摘した逆説的事態は必然的に発生するものであることを示している。
著者
小林 信一 稲永 由紀 大来 雄二 玖野 峰也 齋藤 芳子
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.5_18-5_23, 2012 (Released:2012-09-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1

In 2002, the Franklin W. Olin College of Engineering was established as a small institution in a Boston suburb specified by undergraduate engineering education. The college set up its targets to motivate students to cultivate a lifelong learning, and illuminates them with engineering design, interdisciplinarity and teamworking. These were not brand-new concepts in reforming engineering education, but somewhat difficult to realize because of the interferences such as the traditions and customs. The notable features of its curriculum are summarized as follows ; the project-based learning (PBL) are introduced to a half of courses, the engineering design education is placed across the curriculum, and the Senior Capstone Program in Engineering (SCOPE, a year-long PBL program where students collaborate with industrial partners) was set as the culmination of learning.
著者
柴田 清 葛生 伸 黒田 光太郎 小林 志好 小林 信一 塚本 公秀 英 崇夫 原田 昭治
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.6_48-6_53, 2021 (Released:2021-12-05)
参考文献数
29

Liberal arts education is attracting great interest in term of source of innovation to comprehend social needs and acceptance of technologies. However, the engineering has not been sufficiently included in the conventional liberal arts education, despite of its significance in modern society. To incorporate engineering in the liberal arts education, the following approaches are discussed. Engineers should learn social science and humanities to understand social needs and to enhance communication skills, and acquire generic engineering principle which is common in all engineering field. General public should develop technological literacy to ascertain the possibilities and limits of technology. Public, including engineers, should know nature of engineering to communicate each other, and obtain ability to identify the risk and benefit of technology.
著者
小林 信一
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.131-154, 2009-05-23 (Released:2019-05-13)
参考文献数
12
被引用文献数
1

1990年代以降の研究活動の改革を含む大学改革は,3つの理念により先導されてきた.第1は1990年代前半からの「基礎研究シフト」や博士後期課程の拡大などによる拡大モデルである.これは,90年代半ばから徐々に,イノベーション・モデルとも呼ぶべき,科学技術と社会経済的価値との関連性を重視した改革モデルと,ニューパブリック・マネジメント・モデルとも呼ぶべき改革モデルに置き換えられていく.改革は,90年代には大学の研究活動を拡大する方向に働いたが,2000年代には改革の成果があがっているとは言いがたい.むしろ,大学間格差の拡大,ポスドクの増加などが顕在化し,「選択と集中」の方向性は妥当なのか,システムに矛盾はないのか,制度的な対応に偏りすぎていないか,などの問題に直面している.
著者
佐藤 運海 竹ノ内 敏一 田中 博志 若林 信一 佐藤 元太郎
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌論文集 (ISSN:13488724)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.1510-1515, 2004-12-05
被引用文献数
10 6 6

This paper describes the elucidation about influence of dilute NaCl electrolyzed water on character of Al-Mg alloy cutting surface. First, the immersing experiment was conducted for cutting sample of Al-Mg alloy A5056B on the electrolyzed reduced water and electrolyzed oxidized water of 0.10wt% NaCl. Next, checked whether discoloration had occurred on sample surface, and analyzed the element distribution and chemical bond state on cutting surface by ASE (Auger Electron Spectroscopy) and ESCA (Electron Spectroscopy for Chemical Analysis). As results of the study, following could be identified. (1) Dilute NaCl electrolyzed water can be applied to processes, such as machining and surface treatment of Al-Mg alloy. (2) The element distribution of the Al-Mg alloy on cutting surface is controllable by dilute NaCl electrolyzed water. (3) The chemical bond state of aluminum element on Al-Mg alloy cutting surface is controllable by dilute NaCl electrolyzed water.
著者
武田 幸子 仲俣 千由紀 渡辺 美代子 小林 信一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.117-130, 2015-09-15 (Released:2017-10-19)

Three women engineers discuss on issues: aims of diversity, globalization and diversity, getting the job, a role of a little older mentor, a healthy work-life balance, development of women leaders, women directors enhancing women managers, employment of women engineers and challenges of primary and secondary education.
著者
小林 信一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.100-107, 2023-05-08 (Released:2023-05-09)
参考文献数
11

本稿は,研究インテグリティ概念の成立について検討した上で,大学が社会に対して開かれることの意味を検討することを目的とする。研究インテグリティ概念は,日米ともに,曖昧な形で登場した。それまで,米中対立を背景とする地政学的環境の変化や技術流出問題と関連づけて議論されてきたことを,大学等の基礎研究分野に持ち込む中で概念化された。それは同時に,大学と社会の関係性の変化をもたらした。大学の研究活動のオープン化は,結果として,大学の研究活動は大学や学界に独占されるものではなく,社会全体が大学の研究能力を活用する時代の到来を意味する。それらはときに,特定のメディアや政治家が,伝統的な大学観や科学観を無視して,大学に対して研究の内容等に介入する形をとる。大学や学界は,こうした現実を十分に理解していない。一方で,大学の研究に介入しようとする人々は,大学の研究活動に過大な期待をしている。大学と社会のあいだには理解と誤解が交錯している。その上,研究インテグリティは,大学における経済安全保障問題の一部と捉えられることがあり,政治主導のさまざまな議論に波及している。研究インテグリティの問題は,究極的には,大学と社会の関係の変容の問題に帰結する。伝統的な大学論,学問論は,もはや現実を説明できない。我々は,新たな大学論,学問論,大学と社会の関係を追究していく責任がある。
著者
竹林 信一
出版者
富山大学
雑誌
富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.185-198, 1959-11
著者
汪 斐然 徐 美朗 黒崎 弘平 小泉 聖一 小林 信一
出版者
日本身体障害者補助犬学会
雑誌
日本補助犬科学研究 (ISSN:18818978)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.28-33, 2012

<p>盲導犬同伴者の社会的な受入れを促進するためには、一般市民の受入れについての認知を拡大・深化させることは重要である。日中両国における盲導犬同伴者の社会的受入れに関する賛否やその要因など、市民意識の日中における相違を比較検討することを通して、日中における盲導犬事業発展の展望と課題を明らかにするため、中国と日本において一般市民を対象として、盲導犬同伴者についての意識調査を実施した。 その結果、一般市民は盲導犬に対する認知度では、日中とも高く、受け入れに良い姿勢をとっているが、飲食店側では、受け入れも可とする割合は低かった。また、盲導犬に関連する法律の認知度や盲導犬に関する知識については両国とも低い値であった。盲導犬同伴者の社会的な受入れを促進するためには、盲導犬事業の拡充、受け入れの促進法のための法律の整備とともに、一般市民に対する普及教育活動の充実が必要であると考える。</p>
著者
小林 信一
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.132-145, 1989-04-30 (Released:2011-03-18)
被引用文献数
1
著者
山下 礼二 島田 学 植林 信一
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.45, pp.13-18, 1991
被引用文献数
1

大きさが0.5〜3μmの粒子を対象として,ダウンフロークリーンルーム内に置かれた物体への粒子沈着実験を行った.沈着に及ぼす静電気力の影響を調べるため,接地した平板と,正または負の電圧を印加した平板を沈着面として使用し,円管内を層流で流れる単分散エアロゾル粒子を室内気流と等速で吹き付けた.また,粒子の帯電量分布の測定も行った.平板表面に付着した粒子の個数から沈着速度を求めたところ,粒子に働く重力ならびにクーロン力の解析結果に基づいて得られた理論値との間に良い一致がみられた.本報の結果より,粒子沈着量の予測においては粒子の帯電状態および沈着面近傍の電場の把握が重要であることが示唆された.