著者
豊島 尊 土屋 欣也 佐藤 史明 橘 秀樹
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.388-394, 2004-08-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
26
被引用文献数
5 4

フライ調理食品やスナック菓子等の多孔性食品はそれぞれに独特のテクスチャーを持ち,そのテクスチャーが食品のおいしさを決定する重要な因子ともなっている.客観的なテクスチャー評価方法の確立を目的として,音響解析技術及び咀嚼圧力測定技術を用いた評価法の検討を行い,次の結果を得た.(1) フライ調理食品の破砕音及び咀嚼骨導音の測定方法を開発し,咀嚼圧力の測定方法を検証した.(2) 代表的なフライ調理食品のコロッケに関して,サクサク感における音刺激の重要性を示し,破砕音,咀嚼骨導音の音響解析データから,サクサク感と相関の高い数値指標を導出した.(3) コロッケの冷凍保存日数によるテクスチャーの違いやフライ油脂の種類によるテクスチャー劣化の差異を音響解析指標及び咀嚼圧力で説明した.以上,フライ調理食品のテクスチャーが「音」と「咀嚼圧力」により評価可能である事が示された.
著者
押野 康夫 筑井 啓介 橘 秀樹
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.205-214, 1994-03-01
被引用文献数
28

市街地における道路交通騒音の予測では、特に信号交差点付近における自動車の過渡的な走行状態によるパワーレベルの変化が重要である。そこで本報(その1)では、一般道路における自動車の走行パターンを考慮したパワーレベルの推定方法について検討した。まず、テストコースにおける走行実験によってエンジン・排気系騒音とタイヤ騒音のパワーレベルを個別に推定するための実験式を作成した。その結果、エンジン・排気系騒音はエンジン回転数とアクセル開度から、またタイヤ騒音は速度から推定できることが分かった。次に一般道路における走行実験によって、速度、エンジン回転数、アクセル開度などの変動パターンを調査し、それらのモデル化について検討した。その結果、信号交差点付近における加減速時の速度パターンは、いずれの車種の場合も3次の多項式によってモデル化できることが分かった。更にエンジン回転数やアクセル開度は、車両の運動方程式を考慮することによって、速度のパターンから推定できることが分かった。最後に、推定したエンジン・排気系騒音とタイヤ騒音のパワーレベルを合成することによって、発進加速時の発生騒音が高い精度で予測できることを示した。なお、本報における検討結果をもとにして、新たな道路交通騒音の予測モデルを作成したが、これについては続報(その2)で述べる予定である。
著者
中島 章博 上野 佳奈子 坂本 慎一 橘 秀樹
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.73, no.626, pp.415-422, 2008-04-30 (Released:2008-08-20)
参考文献数
13

In Japan, “open-plan” type classroom is becoming popular in elementary schools. Although this planning has various merits for educational activities, sound propagation between adjacent classrooms tends to be a serious acoustical problem. In this study,therefore, the sound propagation between closely located two classrooms connected by an open-space was investigated by numerical simulation using FDTD method. In the simulation, two classrooms and the open-space connecting them were modeled and the configuration of the rooms and sound absorption treatment on the room boundaries were examined. As a result, it has been found that sound absorption treatment on the ceiling and architectural/acoustic treatment for the wall of the open-space which makes mirror-reflection are effective to mitigate the sound propagation between the classrooms.
著者
西 耕一 水口 雅之 橘 秀樹 大家 他喜雄 藤村 政樹 松田 保
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.350-354, 1996

トロンボキサン合成酵素阻害薬が著効を示したと考えられる慢性持続性咳嗽患者を経験したので報告する. 症例は25歳の女性で, 8週間以上継続する乾性咳嗽を主訴として受診した. 乾性咳嗽のエピソードは今回が2回目であり, 前回は気管支拡張薬が無効であり, 塩基性抗アレルギー薬 (塩酸アゼラスチン)が有効であった. しかし, 今回の咳嗽は, 塩基性抗アレルギー薬や吸入ステロイド薬は十分効果的ではなく, トロンボキサン合成酵素阻害薬 (塩酸オザグレル) が著効を示した. さらに, カプサイシンに対する咳の感受性も同薬物の投与にて改善した. トロンボキサンA<sub>2</sub>, 咳嗽, およびカプサイシンに対する咳感受性の3者の関係に関する報告は今までのところ少なく, 詳細は不明であるが, 本症例のようにトロンボキサン合成酵素阻害薬が効果的な咳嗽患者が存在することは, 臨床的に重要な知見と考えられたため報告した.
著者
横田 考俊 坂本 慎一 橘 秀樹 石井 聖光
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.73, no.629, pp.849-856, 2008-07-30 (Released:2009-09-30)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

The “Honji-Do” temple located in the “Nikko Toshogu” area, in Nikko City, Japan, is famous for its strange acoustic phenomenon called “Roaring Dragon”. A dragon is painted on the ceiling of this building and we can hear a strange fluttering echo when making a handclap under the head of the dragon. The temple was unfortunately destroyed by an accidental fire in 1961 and was rebuilt in 1969. In the reconstruction work, reproduction of the “Roaring Dragon” was one of the most important items and a 1/4 acoustic scale model experiment was performed to study the reason of the acoustic phenomenon and the way of its reconstruction. In this study, numerical analyses using the finite difference time domain (FDTD) method have been performed to examine the “Roaring Dragon” phenomenon by referring the results of the scale model experiment. Furthermore, the acoustic phenomenon has been simulated in an anechoic room by applying a 3-D sound field simulation technique.
著者
櫻井 一正 中田 翔貴 豊増 明博 橘 秀樹
出版者
近畿大学先端技術総合研究所
雑誌
近畿大学先端技術総合研究所紀要 = Memoirs of Institute of Advanced Technology, Kinki University (ISSN:13468693)
巻号頁・発行日
no.20, pp.31-41, 2015-03

[Abstract] Oligomeric state of the actin interacting protein 2/D-lactate dehydrogenase protein 2( Aip2p/Dld2p)isolated from Saccharomyces cerevisiae was shown to be able to unfold the conformation of pathogenic highly aggregated polypeptides, and has been supposed to be a novel chaperone protein. However, the mechanism of the unfolding activity is little understood. Since experiments for the structure–function relationships of a protein require an efficient expression system, we attempted to use the methylotrophic yeast Pichia pastoris because of its ability of very high expression yield. Changing the vector/protein construct combinations, we examined the secretion expression system of P. pastoris with several Aip2p/Dld2p constructs as well as the intracellular expression system. We did not observe significant expression yields in any construct combinations. RT-PCR analyses revealed that mRNA coding Aip2p/Dld2p was successfully synthesized, suggesting that the structure of Aip2p/Dld2p is inherently unstable and susceptible to proteolysis of the cellular quality control system. [抄録]出芽酵母Saccharomyces cerevisiae から単離されたオリゴメリック蛋白質Aip2p/Dld2p は病原性の蛋白質異常凝集体を解きほぐす活性を持ち, 新規のシャペロン蛋白質であることが示唆されている. しかしながら, その解きほぐし活性の物理化学的メカニズムについてはほとんど調べられていない. 蛋白質の物理化学的解析や構造解析には数十ミリグラム程度の試料が必要であり, そのためには高効率の蛋白質発現系を要する. そこで今回, 我々は他の蛋白質で高収量が報告されているメタノール資化酵母Pichia pastorisによる大量発現を試みた. 種々のAip2p/Dld2p コンストラクト(全長体、N 末端欠損体, システイン→アラニン置換体)とベクター(細胞内発現系、分泌発現系)の組み合わせを試したところ, Aip2p/Dld2p をコードするmRNA の合成は見られたが, 蛋白質の発現は細胞内発現系でも分泌発現系でも見られず, さらに分泌発現系の場合の細胞内にも見られなかった. Aip2p/Dld2p の天然構造は非常に不安定で, ヘテロロガスな発現の場合, 翻訳直後に細胞内の品質管理機構によって加水分解を受けているのではないかと考えられる.近畿大学先端技術総合研究所紀要編集委員会
著者
上野 佳奈子 橘 秀樹
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.519-529, 2003-09-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
15
被引用文献数
2

ホール音響における重要な課題の一つとして,ホールに対する演奏家の意識を理解することが挙げられる。そこで本研究では,ホールの音響効果に関する演奏家の言語構造について考察した。まずインタービューを通して得られた演奏家のコメントをもとに,演奏活動中の演奏家の知覚に並びに演奏家の言語構造の抽出の過程について,暗黙知理論並びに記号論の概念を用いて考察した。次にこの考察に基づいて,無響室内に構築したシミュレーション音場を利用した実験的検討を行った。その結果,演奏中の演奏家の意識に関して三つの軸を想定することによって演奏家の言語表現が整理され,また演奏家集団に共通な言語構造がモデル化できることが見出された。
著者
石橋 睦美 上野 佳奈子 橘 秀樹 渡辺 充敏
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.70, no.593, pp.9-16, 2005
参考文献数
20
被引用文献数
5

In order to investigate the subjective impression caused by various kinds of environmental sounds in residential buildings, a series of subjective tests were performed by laboratory experiment using a multi-channel recording/reproduction system. As the test sounds, road traffic noise, railway noise, air-conditioning system noise, rock music transmitted through a wall, structure-borne pump noise and floor impact sound were presented by single sound or by mixing two sounds to investigate the effect of the noises. As a result, it has been found that rock music and pump noise are much annoying/disturbing than road traffic noise and air-conditioning system noise even if they have the same A-weighted sound pressure level. Regarding the effect of complex noises, rock music and pump noise can be masked psycho-acoustically by air-conditioning system noise but railway noise and floor impact sound can not be masked by road traffic noise.
著者
上野 佳奈子 橘 秀樹
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.519-529, 2003-09-01
参考文献数
15
被引用文献数
5

ホール音響における重要な課題の一つとして,ホールに対する演奏家の意識を理解することが挙げられる。そこで本研究では,ホールの音響効果に関する演奏家の言語構造について考察した。まずインタービューを通して得られた演奏家のコメントをもとに,演奏活動中の演奏家の知覚に並びに演奏家の言語構造の抽出の過程について,暗黙知理論並びに記号論の概念を用いて考察した。次にこの考察に基づいて,無響室内に構築したシミュレーション音場を利用した実験的検討を行った。その結果,演奏中の演奏家の意識に関して三つの軸を想定することによって演奏家の言語表現が整理され,また演奏家集団に共通な言語構造がモデル化できることが見出された。
著者
松田 由利 橘 秀樹 石井 聖光
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.609-615, 1979-11-01
被引用文献数
33

The propagation characteristics of solid-borne sound in building structures are studied by field measurements on three standing buildings and scale model experiments using a simplified building structure. Both in the field measurements and the scale model experiments, vibration acceleration levels(V. A. L. )at a number of widely distributed points in the structures are measured as one point of the structure is excited. From the results of the scale model experiments, it is revealed that the relative V. A. L. at any point is determined by its distance(r)from the excitation point via the shortest route in the structure, regardless of the propagating direction. It is assumed that the variation of V. A. L. (L_r)in buildings can be expressed as, L_r=P_0-Nlog r-Mr(P_0 depends on the strength of excitation)and the value N and M are examined from the results of measurements. From the results of the scale model experiments, the value of N is determined to be 20, regardless of frequency. Using this value, the M value in each octave band is determined from the results of the measurements taken on the standing buildings. The result shows that the M value is approximately proportional to the square root of the frequency.
著者
橘 秀樹 押野 康夫 山本 貢平 桑原 雅夫 上野 佳奈子 坂本 慎一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成10年に改正された「騒音に係る環境基準」では、環境騒音の状況に関して従来の点的把握から面的把握に変更され、評価指標としても騒音レベルの中央値(L50)から国際的に広く用いられている等価騒音レベル(LAeq)に変更された.また「環境影響評価法」でも大規模開発の際には環境の変化を正確に把握することが必須となった.このような背景の下に、本研究では、騒音のエネルギー的平均値を意味する等価騒音レベル(LAeq)によって環境騒音の状況を正確に把握あるいは予測し、その結果を客観的な形で表示する手法を確立することを目的として、以下の研究を行った。(1)道路交通騒音の予測・モニタリングに関する検討わが国における統一的な道路交通騒音予測モデルであるASJ RTN-Model 1998の内容をさらに充実するための基礎的研究として、大型車の影響や都市部における垂直方向の騒音分布に関する実測調査や、掘割・半地下道路からの騒音伝搬の計算手法の簡易化、きわめて複雑な特性を有する交差点周辺の騒音予測手法の開発などを行った。また、騒音対策として多用されている遮音壁の挿入損失の数値解析手法の検討や建物群による騒音低減効果などについても、検討を行った。(2)騒音伝搬特性の測定法に関する検討屋外では、騒音の伝搬に対して風などの気象条件による影響が大きく、またそれによって伝搬特性が時間的に変化する問題(時変性)が大きな問題となる。このような環境下において騒音の伝搬特性を精度よく測定する方法について、時間伸張(TSP)信号を用いる手法などについて、理論的・実験的検討を行った。(3)建設工事騒音の予測に関する検討最近では、各種の建設工事に伴って発生される騒音についても、環境アセスメントの対象となってきており、この種の騒音の予測手法を開発する必要がある。そこでそのための基礎的検討として、時間変動特性がきわめて多様である建設工事用機械類を対象とした騒音源データの測定・表示方法、LAeqを基本評価量とする騒音予測計算法の基本スキームについて検討を行った。