著者
藤村 茂 渡辺 彰
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.3533-3541, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
9

抗菌薬適正使用は,副作用の軽減と最良の臨床効果を得るだけでなく,薬剤耐性菌の出現抑制や医療経済効果にも寄与するが,適正使用の実施にはPK-PD理論の活用が不可欠となる.また細菌感染症の治療では,多数の抗菌薬を効果的に使い分けることが求められることから,各薬剤の特徴や抗菌力,アンチバイオグラムによる状況把握,さらには当該薬剤の耐性化について知ることが,適正使用の実践につながる.
著者
渡辺 ともみ
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.108-115, 2005-01-01 (Released:2010-01-18)
参考文献数
41

The traditional steel manufacturing (Tatara) of Japan which developed in the early modern times fell into the decline in the Meiji Period. On the other hand, because it is being made by reducing iron sand with charcoal, the amount of phosphorus and sulfur of Tatara iron is low. Therefore it was adopted as a raw material of the alloy steel at Naval Arsenal of the Meiji latter period. The purpose of the main subject is to explain that process.The quality which the navy demanded was limited to the speck of the low phosphorus. Then, the navy never tried to admit the cost which corresponded with that quality. The makers of Tatara iron had efforts to cope with a naval requirement. But, they had to give up their Tatara business suddenly. That was because naval warship manufacture stopped observing Washington disarmament treaty. They advanced all together to charcoal industry after that.
著者
渡辺 伸一 藤川 賢
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

カドミウムによる環境汚染がもたらす健康被害、すなわち慢性カドミウム中毒は、その重篤例が、イタイイタイ病であり、非重篤例がカドミウム腎症(近位尿細管障害)という腎障害である。しかるに、環境省と環境省が組織化した医学研究班は、この腎障害を公害病とは認めていない。カドミウム中毒問題は水俣病問題と並ぶわが国を代表する公害問題であるが、両公害問題がたどった歴史的過程には、(1)複数の汚染地域のうち一部の地域しか公害病指定されず、しかも、(2)非重篤例など多くの被害者が被害者と認められてこなかった、という共通点を見て取ることができる。このカドミウム中毒問題において、われわれは、既に、富山県神通川流域、長崎県対馬、群馬県安中の事例と、それにかかわる全国的状況について、報告書としてまとめている。本報告書は、そこで得られた知見を踏まえ、兵庫県生野(市川流域)と石川県梯川流域の事例、そして、カドミウム腎症の公害病未指定問題の探求をとおして、上記の研究課題に迫ろうという意図のもとに執筆されている。第1章では、わが国のカドミウム問題の全体像を紹介し、生野、梯川の事例の位置づけを提示した。公害問題における被害・加害構造を解明しようとするとき、国や加害企業の対応とともに重要なのが、被害者に最も身近に接する地元行政の対策に関する考察である。それについて、第2章では、生野について、第3章では、梯川について考察した。その結果、(1)「被害者の発見」「補償の獲得」「健康管理」のあり方は、国の姿勢や判断等によって、全て規定されるわけではなく、各県レベルにおける、行政、地元大学研究者、住民運動の三者、特には県行政の対応の積極度によって、大きな違いが存在したこと、そして、(2)この違いは、各地の被害者が置かれた状況(派生的被害のレベル、健康管理の有無等)を大きく左右したこと、等を明らかにした。梯川の場合、さらに注目されるのは、世界をリードするほどの医学研究の成果である。この地での、腎障害に関する研究成果は、WHOのCriteriaにも、コーデックスの初期の米中カドミウム濃度基準0.2ppm以下という提案にも反映されている。つまり、世界の人々の健康管理に生かされているのである。しかし、わが国政府は、梯川をはじめ各地のカドミウム腎症の多発をカドミウムによるものと認めていない。世界で評価されているわが国の研究を、なぜわが国政府は評価しないのか。第4章では、この問いを、環境省とその医学研究班に対する社会学的検討を通して探求した。
著者
渡辺 謙仁
出版者
天文教育普及研究会
雑誌
天文教育 (ISSN:1346616X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.39-42, 2019-03

日本のアニメなどは国内のみならず海外からも注目され、アニメキャラクターなどに扮するコスプレもまた、オタク趣味やハロウィンの一般化に伴って、若い世代を中心に普通の行為になってきている。発表者は、近年の参加者数が5 万人を超えるTOYAKO マンガ・アニメフェスタ(以下、TMAF)において、過去6 回にわたりアニメファンやコスプレイヤーに向けた観望会などの天文イベントを実施してきた。他方、アウトドア市場の中でも特にキャンプが好調という社会的背景も存在する。外岡は次のように報告している。2016 年の国内アウトドア市場規模は4,274 億3000 万円と推計されることが、矢野経済研究所の調査より明らかになった。キャンプやハイキング、釣りなど自然環境と関わる「ライトアウトドア分野」が市場全体の半分以上を占めている。(中略)キャンプは、メディア露出の増加やキャンプ場設備の整備、用品の改良などによりハードルが低下し、若年層からファミリー、シニア層まで幅広い世代で関心が高まっている。加えて、天体観望はキャンプにおけるアクティビティとして人気がある。このような社会的背景から、発表者は2018 年のTMAF において、キャンプ気分を味わいながら天体観望などができる天文イベントを実施することにした。本発表では、この天文イベントについて報告する。
著者
齊藤 幹央 宇野 勝次 本田 吉穂 渡辺 徹
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-32, 2001-02-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
21
被引用文献数
4 6

The clinical efficacy of therapy for intractable hiccups using Shitei-to, a folk medicines, was evaluated in 21 patients. Clinical effectiveness was observed in 11 cases, thus resulting in an efficacy rate of 52.4%.Particularly, the hiccups were relieved within two days by the treatment of only Shitei-to in 6 cases, and by the administration of Shitei-to in 2 cases that had been unsuccessfully treated by other drugs for hiccups. In addition, the efficacy rate was 66.7% for centric hiccups and 16.7% for peripheral hiccups. Accordingly, the clinical efficacy of Shitei-to was observed to be significantly higher for centric hiccups than for peripheral hiccups (p< 0.05 Wilcoxon ranksum test).Our findings showed Shitei-to to be very effective for treating patients with intractable hiccups. Furthermore, the clinical efficacy of this herbal medicine was higher for centric hiccups caused by cerebropathy than for peripheral hiccups caused by internal disease.
著者
渡辺 京子 谷口 裕子 西岡 清 丸山 隆児 加藤 卓朗
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.183-186, 2000-07-30 (Released:2009-12-18)
参考文献数
12
被引用文献数
7 7

銭湯や温泉,プールなど裸足となる環境では,足白癬患者によって散布された皮膚糸状菌(以下,菌)が健常人の足底に付着し,足白癬感染のきっかけとなる.そこで,菌は靴下をはいた状態でも足底に付着するのか,それとも予防できるのかをFoot-press培養法を用いて実験的に検討した.足白癬に罹患していない被験者は,右足に綿靴下,ナイロンストッキング,毛靴下,足袋をはき,先に足白癬患者によって菌が散布されているバスマットを踏んだ後にFoot-press培養法を行い,靴下をぬいだ直後に,再度Foot-press培養法を行った.その結果,すべての靴下には菌が付着していたが,ナイロンストッキングの場合には,靴下より脱いだ足底に多数の菌が付着しており,綿靴下でも菌の一部が靴下を通過し,足底に付着した.毛靴下,足袋の場合は足底にほとんど菌が付着しなかった.各靴下を顕微鏡で観察すると,綿靴下やナイロンストッキングは,繊維の編み目が菌よりも大きく,菌を容易に通過させると考えられた.毛靴下や足袋は,編み目が密である上に,繊維の毛羽立ち,伸縮性の少なさによって菌を通過させないものと考えられた.ナイロンストッキングでは菌の付着の予防にはならず,綿靴下でも十分ではないことを示した.
著者
福田 亨 河谷 和弘 渡辺 幸 石川 純
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.17-23, 1972-02-29 (Released:2010-07-16)
参考文献数
15

To induce artificial mouth breathing on experimental animals has extremely been difficult because of its immediate death following nasal sealing treatment, and we could find only an imitating experiment reported by Butcher et al (J. Periodont. 32: 38, 1961). The purpose of this study is to induce absolute mouth breathing in rats and to investigate histopathological changes of their gingival tissues. Thirty six of Wister strain rats were equally divided into control and experimental groups. To induce absolute mouth breathing artificially, the nose of all experimental animals were sutured using thin wire and metallic buttones. After two weeks of experimental period, animals were sacrificed and materials were obtained.Consequently, we could find much more remarkable hyperkeratinization of epithelial layers in the experimental animals than the control. Inf lammatoric changes, however, were found in both groups of animals, but less in control. As the conclusion of this investigation, absolute mouth breathing may induce hyperkeratinization of the epithelial tissues, but does not initiate gingival inflammation following two weeks of experiment.