著者
渡辺 俊明 田中 正彦 渡邉 和俊 高松 康雄 戸部 昭広
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.3, pp.99-111, 2004-03-01 (Released:2004-02-25)
参考文献数
51
被引用文献数
84 86

Increasing data suggest that oxygen free radical species play detrimental roles in ischemic diseases. A free radical scavenger capable of inhibiting oxidative injury is expected to become a new drug for the treatment of ischemic diseases such as cerebral ischemia. Edaravon (3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one), which has been developed as an neuroprotective agent for more than 15 years since its discovery, is approved for the treatment of acute cerebral infarction. In this paper, the pharmacologic characteristics and clinical effects of edaravone are reviewed. In early stage of investigation, edaravone was found to have promising activities as an antioxidative radical scavenger, quenching hydroxyl radical (•OH) and inhibiting both •OH-dependent and •OH-independent lipid peroxidation. Edaravone showed inhibitory effects on both water-soluble and lipid-soluble peroxyl radical-induced peroxidation systems, which are different from the inhibitory effects of vitamins C and E in each system, respectively. Oxidative injury to cultured endothelial cells caused by arachidonate (AA) peroxides is prevented in the existence of edaravone. To clarify the characteristics of this free radical scavenger, further investigation was carried out. Edaravone ameliorated exacerbation of cortical edema induced by a focal ischemia-reperfusion model in rats, suggesting inhibitory effects on oxidative injury to the blood-brain barrier (BBB). Additionally, edaravone also prevented rat cortical edema caused by intracortical AA infusion in which free radical production and subsequent oxidative injury to the BBB are involved. With advances in in vivo measurement technology of oxygen radicals, edaravone was shown to inhibit postischemic increases in •OH production and tissue injury in the penumbral or recirculated area in rat cerebral ischemia models. In clinical studies, edaravone improved the core neurologic deficits, activities of daily living, and functional outcome of stroke patients. Furthermore, a study using proton magnetic resonance spectroscopic techniques showed that edaravone preserved N-acetyl-aspartate in stroke patients, a promising neuronal marker in the brain. Further investigation is essential for a better understanding of free radical-mediated cerebral injury during ischemia followed by recirculation. We hope that edaravone represents a promising neuroprotectant for drug therapy in acute cerebral ischemia.
著者
渡辺 登喜子 河岡 義裕
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.155-162, 2016-12-25 (Released:2017-10-27)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

地球上には膨大な数のウイルスが存在しており,多くのウイルスが宿主において病気を起こすことなく共存している.これまで宿主にとって「害」であると見なされてきたウイルスの感染が,宿主のゲノム進化や生体機能に有利に働くことを示唆する最近の研究結果は,ウイルス学の既成概念を大きく覆そうとしている.これまでのウイルス学では,病原微生物であるウイルスを対象とした研究に偏重しており,自然界でのウイルスの存在意義を解明する自然科学的な研究はあまり行われてこなかった.新学術領域「ネオウイルス学」では,ウイルスを地球生態系の構成要素の一つとして捉え,生態系におけるウイルスのレゾンデーテル(存在意義)を探ることを目指す.
著者
山本 憲一 松本 隆 渡辺 隆之 日向 崇教 大島 望 庄田 幹
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.424-429, 2011 (Released:2011-07-27)
参考文献数
18

外側後脈絡叢動脈(LPChA)の動脈瘤は非常に稀でこれまでの報告例のほとんどがもやもや病に伴うものである.今回我々は,脳室内出血で発症した特発性と考えられるLPChA動脈瘤の1例を経験した.症例は60歳男性で,意識障害(JCS III-100)で発症し救急搬送された.頭部CTでは右側優位の側脳室から第四脳室に及ぶ鋳型状の脳室内出血を認め,緊急で内視鏡下脳室内血腫除去術を施行した.第17病日に施行した脳血管撮影で5 mm大の右LPChA動脈瘤を認めたため,第26病日にナビゲーションガイド下に動脈瘤切除術を施行した.本来高血圧性脳内出血の原因の一つとされるmicroaneurysmがLPChAに生じ,脳室内という周囲に接する構造物がない環境のため増大し出血をきたしたのではないかと推察した.
著者
渡辺 健策
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.2-24, 2023-04-01 (Released:2023-04-20)

SNSの普及など社会のデジタル化とともに深刻になっているインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷の被害対策として、他人の権利を侵害する投稿をした者の氏名などを明らかにする「発信者情報開示」の手続きが、2022年10月から簡易・迅速化された。繰り返されるネット被害に対し、新たな制度はどこまで力を発揮できるのか、効果と課題を整理する。一方、匿名を前提に投稿した発信者の身元情報を強制的に明らかにすることは、表現の自由の保障の観点から、慎重な判断が求められ、双方の利益のバランスの確保が重要となる。また、誹謗中傷の原因にもなり得るネット上の膨大な誤情報・偽情報による、いわゆる「デジタル情報空間の汚染」に、マスメディアはどう向きあうべきなのか。誤情報・偽情報が拡散する程度は、情報の受け手にとっての「重要さ」と「あいまいさ」に左右されるという流言研究の分析手法を手がかりに、最近の誹謗中傷事例を詳しく見ていくと、マスメディア側の伝え方に工夫の余地があること、誤った情報をマスメディアが打ち消す報道を行うことで拡散を抑制できることがうかがえる。さらに、ネット上の情報が事実かどうか検証するファクトチェックをマスメディアがより積極的に行うことも、社会の急速なデジタル化に伴って期待されるようになっている。ネット社会の匿名表現の自由の“可能性”と“危険性”にどう向き合うかを考える。
著者
渡辺 良夫
出版者
明治大學商學研究所
雑誌
明大商學論叢 (ISSN:03895955)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3-4, pp.361-379, 1998-02-25
著者
渡辺敏 著
出版者
普及舎
巻号頁・発行日
1892
著者
渡辺 寧
出版者
資源地質学会
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.27-34, 2016 (Released:2018-08-15)
参考文献数
27

A future perspective of the supply of mineral resources is discussed on the basis of the example of rare earth elements (REE). Rare earth elements have been produced from monazite, bastnäsite, and ionic clay ores mostly in China during the last two decades. However, Chinese resource nationalism over the production and export has made the supply of REE unstable in terms of price and quantity. A possible alternative REE source is phosphate ores, which contain a few amount of REE as impurities with some toxic and radioactive elements. Despite low in REE concentration in phosphate ores, more than 300,000 tons of REE (as oxides), which correspond to more than two times of present-day REE demand in the world, are included in the ores annually produced from the mines for fertilizer production. The recovery of REE with other impurities from phosphate ores is beneficial not only to produce REE but also to avoid pollution in farming lands. While our society shifts from the plundering one to the sustainable one, in which mineral resources would be completely recycled, it is desired to recover all the by-product elements from the major ores in order to decrease the impacts on the environment and trigger innovations in the manufacturing industry.
著者
佐藤 宏志 渡辺 仁 品部 耕二郎 小泉 淳
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.756, pp.21-31, 2004-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
11

ダクタイルセグメントは使用期間が最も長いものでは約37年あまりが経過したが, 二次覆工が行われない場合も多いため, その耐食性, 耐久性が問題になると考えられるが, その実態は従来ほとんど明らかにされていなかった. 本論文は, 供用中のダクタイルセグメントの腐食に関する継続的な調査結果を分析し, ダクタイルセグメントの耐久性を考察するものである. まず, セグメントの肉厚測定の方法およびその信頼性について述べ, 次に調査の内容およびその結果を述べる. この調査結果から, ダクタイルセグメントの主要肉厚は少なくとも24年間においてほとんど減少していないことがわかり, ダクタイルセグメントは現在のところ健全性を維持しており, 今後も長期間使用できると考えられる.
著者
渡辺 宗孝 岩田 清二
出版者
The Japanese Society for Animal Psychology
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.75-82, 1956-04-25 (Released:2009-10-14)
参考文献数
10
被引用文献数
17 15

(1) ダンゴムシにおいては交替性転向反応が明らかに認められる。(2) 予め撰択的に転向させた場合と強制的に転向させた場合とでは, その後の撰択反応に差が認められない。(3) 撰択反応に先んじて, 同じ方向に強制的に2回転向せしめた場合には, 1回だけ転向せしめた場合に比較して, 交替性が更に高率に現われる。(4) 先行転向1回の場合には, 撰択点と先行転向点との間の距離が増すに従つて交替性が減少し, 距離を16cmにすると対照との問に有意の差が認められなくなる。(5) 先行転向2回の場合には, 撰択点とその直前の転向点との間の距離を増大せしめたときのみならず, 両先行転向点間の距離を増大せしめても交替性が減少する。しかしこれらの場合直線路を16cmとしても, 猶その前の転向の影響が見られる。(6) 以上の結果はいづれもHULLの反応性制止の原則を是認すれば, それから期待されることである。

5 0 0 0 OA 製法新書

著者
渡辺遂 編
出版者
二神寛治
巻号頁・発行日
1885

5 0 0 0 OA 欧米の仏教

著者
渡辺海旭 著
出版者
丙午出版社
巻号頁・発行日
1918
著者
吉本 洋子 渡辺 誠
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.27-85, 1994-11-01 (Released:2009-02-16)
参考文献数
280

従来人面把手とよばれていたものは,実際には把手としては機能せず,宗教的機能をもった装飾と考えられる。本稿は,その宗教的機能を解明するための基礎的研究として,それらの時期的・地理的分布を明らかにすることを目的にしている。そのために機能の違いを想定して煮沸用の深鉢形土器に限定し,他の器種と区別した。その分布は北海道から岐阜県にかけての東日本に集中し,293遺跡より443例出土していることが判明した。人面装飾付土器が主体で94%を占め,土偶装飾付土器は少ない。人面装飾付土器は形態上4類に分類される。I類は胴部に,II類は口縁部に,III類は口縁部上に人面装飾がみられる。そしてIV類はIII類がさらに発達して大型化・立体化したもので,顕著に把手状を呈するようになる。それらのうち始めに出現したのはII類で,縄文時代前期前葉である。中期初頭にはIII類の発達が著しく,中期前半にはIV類が発達し,併せてI類や土偶装飾付土器もみられるようになる。しかし中期後半には急速にIV類などが減少し,もとのII・III類のみになる。地域的にみても,IV類は主に長野県・山梨県・東京都に集中している。時期的にも地理的にも勝坂式文化圏に相当し,同文化圏の代表的な遺物である。IV類の特徴である大型化などについて,それを客観的に理解できるように顔面サイズの測定を行った。その結果I~III類とIV類との大小2群に分かれることが判明した。しかし正確にはIV類にも大小2群が含まれていて,共存している。そのサイズは,高さ・幅とも13cmが目安である。その顔が成人女性であることは,耳飾りをつけていることから明らかである。そのうえ出産を表現した例さえある。また頭上や向かいあって男性を示すマムシとセットをなすことがあり,性的結合によって生じる新しい命としての食べ物を,神と共に食べた宗教的な行事を示唆している。そのうえその直後に,けがれを恐れて底を抜いたことを証明するような埋設例もみられるのである。時期的・地理的分布状態の正確な把握を基礎として,原日本文化である縄文文化の精神世界を実証的に明らかにしていきたい。
著者
渡辺 正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.616-619, 2017-12-20 (Released:2018-06-01)
参考文献数
4

中学・高校の理科教科書の電気化学関連箇所は,戦後70年以上も「非科学」から脱していない。その根源は,「異種電荷の引き合いが電気分解を起こす」という途方もない誤解だろう。また,複雑な現象あれこれを伴う「ボルタ電池」は,中学校理科の導入素材として適切ではなく,ダニエル電池だけ扱えばよい。