著者
神田 賢 北村 拓也 金子 千恵 井出 愛実 古西 勇 渡辺 慶 佐藤 成登志
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.407-416, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
49

【目的】地域在住高齢者女性の本態性慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子を比較した。【方法】地域在住高齢者女性33 名(有訴群22 名,無有訴群11 名,平均年齢71.1 ± 4.4 歳)を対象に,頭部突出角度(以下,FHA),上位胸椎前傾角度,頸部屈筋群持久力,頸部機能不全度(NDI)を評価した。【結果】肩こり有訴の有無におけるFHA,上位胸椎前傾角度では,有意な差を認めなかったが,頸部屈筋群持久力では,有訴群が無有訴群と比較して有意に低い値を示し,頸部機能不全度では,有訴群が無有訴群と比較して有意に高い値を示した。また,筋持久力においては,肩こり有訴群のオッズ比が有意に高い値を示した。【結論】地域在住高齢者女性においては,頸部屈筋群持久力は本態性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子となることが示唆された。また,本態性の慢性肩こり有訴は,頸部機能にも影響を与える要因となることが示唆された。
著者
渡辺 千香子 本郷 一美
出版者
大阪学院大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

従来、古代西アジアのライオンは「インドライオン」と考えられてきた。しかし新アッシリア時代のライオン狩り浮彫には、異なる2種類のライオンが描き分けられ、ライオンの身体的特徴と連動して身体のサイズが異なることから、両者の違いは個体差ではなく、異なる亜種か品種であった可能性が浮上する。古代の文献には「平原生まれ」と「山生まれ」のライオンが登場し、ライオンを意味するシュメール語とアッカド語には2種類ずつの語彙がある。ここからこの地域のライオンが必ずしも単一種ではなく、未知のライオンが生息していた可能性が浮上する。本研究は古代西アジアのライオンの実態を、図像・文献・動物考古学の学際的視角から探究する。
著者
渡辺 匠 太田 紘史 唐沢 かおり
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.56-69, 2015

Social psychologists have recently begun to explore the problem of free-will beliefs. Philosophers have been working on the problem of free will over the ages, and studies of social psychologists on free-will beliefs are based on past philosophical theories. Meanwhile, philosophers not only argue over the theoretical issue of free will but also engage with the research program of experimental philosophy. This program shares the methodology of social psychology, and experimental investigation of belief in free will is proceeding at a rapid pace. In consideration of the above arguments, it seems obvious that social psychologists need to collaborate with philosophers on the problem of free-will beliefs. The authors therefore review the findings of each discipline and construct a model of people's free-will beliefs. In this model, we consider free-will beliefs as composed by alternative possibility and agency, and these components function to promote attribution of moral responsibility, self-control, and social fit.
著者
渡辺 理仁
出版者
一橋大学大学院法学研究科
雑誌
一橋法学 (ISSN:13470388)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.299-333, 2021-07-10

In the Byzantine Empire, Roman law had been applied prior to its rediscovery in the twelfth century. However, it is sometimes pointed out that Byzantine law deviate from Corpus Iuris Civilis. The eighth century small code Ecloga is a typical example of that. This begs the question of whether it is appropriate to position Byzantine law definitely in terms of continuity with Roman law or not. In this paper, I provide an overview of Ecloga and examine its divergence from the Principles in Roman Law that have been identified in previous studies. I then translate the related materials and compare the provisions in the Corpus Iuris Civilis and Ecloga, examining the differences between them and presenting some conclusions.
著者
忽那 龍雄 渡辺 英夫
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.215-219, 1984-07-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
6
被引用文献数
3 1

健康成人,男性946名,女性842名の両下肢の下肢伸展挙上角度(SLR角度)を調査し,SLRテストを評価する上に参考となる事項について述べた.即ち,1.日本人成人におけるSLR角度の正常値は,男性が右下肢78.7度±9.70度,左下肢79.0度±9.94度であり,女性が右下肢85.7度±8.48度,左下肢87.3度±8.38度であった.これらSLR角度の臨界値は男性65度,女性75度と考えられた.2.SLRテストを評価するにあたっては,正常者のSLR角度には男女差があり女性の角度が大きいこと,並びに左右差はなく左下肢と右下肢との間に高い相関があることに配慮する必要がある.3.また正常者におけるtight hamstringsの頻度は,男性が12.5%,女性が13.2%であった.
著者
松宮 由太佳 渡辺 勝敏 井口 恵一朗 岩田 祐士 山本 軍次 西田 睦
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.93-107, 2001-11-26 (Released:2010-06-28)
参考文献数
37
被引用文献数
3

Freshwater-fish fauna of the Minami River system, Reinan Region, Fukui Prefecture, Japan, was investigated in 1998. Forty-five species in 14 families (including those newly recorded, such as Rhinogobius flumineus) were identified in the present research. Combined with data previously reported, a total of 55 species in 16 families, which included 36 primary and diadromous freshwater species (11 families), composed the fish fauna that could be considered naturally distributed in this river system. Compared to the richer fish fauna in western Japan regions, that of the Minami River system, representative of the Reinan Region, is poorer, and composed of peripheral fish fauna. The construction of many weirs and dams along the river system have prevented fish migration, causing more or less distinct fish assemblages to form in each of the upper, middle and lower reaches. Also, a number of species which inhabit small tributaries and/or irrigation channels in the Minami River System, such as Tanakia limbata, Acheilognatus tabira subsp.1 (sensu Hosoya, 1993), Lefua echigonia, Oryzias latipes, and the `nagare-hotokedojo'L. sp.(sensu Hosoya, 1993), have been threatened with extinction.
著者
渡辺 滋
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.14, pp.21-39, 2021-03-31

陸軍大臣・朝鮮総督・首相などを歴任した寺内正毅は、「寺内文庫」と呼ばれる蔵書コレクションを残している。後世、このコレクションをめぐって、不正に入手された財宝や美術品が大量に含まれているというデマが広まり、最終的には国家間の交渉や学術書における関連叙述にまで大きな影響を及ぼす事態となった。本稿では、こうしたデマの拡大過程を具体的に検討したうえで、その発生経緯や背景を解明していく。
著者
渡辺 俊哉
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 = Kunitachi College of Music journal (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.245-251, 2021-03-31

初の作品集のCD作成にあたり、まずコンサートのライヴ録音とCD録音との違いを考察して、それぞれの特長を述べる。そしてそこから導き出された考察の結果、全曲新しく録音するという結論に至った経緯と、今回の収録にあたって作曲した新曲について、更に他の収録曲について述べる。日本語の詩を用いた新曲に関しては、その中で試みたことや、詩の選択に関して考えたこと、その狙い、また器楽曲の作曲との違いなどを述べる。最後にCD発売後の反響や、石川星太郎(指揮)、星谷丈生(作曲)、筆者によって結成された「庭園想楽」の第1回オンライン・レクチャー、「渡辺俊哉自作を語る」の講演において新曲について触れた際に、石川星太郎より指摘された箇所の考察を通して、作曲家側と演奏家側の視点の違いを紹介する。
著者
渡辺 力夫 冨田 信之 竹前 俊昭
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.51, no.593, pp.314-320, 2003 (Released:2003-09-26)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

The propulsive characteristics of water rockets are analyzed theoretically and experimentally. The unsteady thrust force acting on a PET bottle and the air pressure inside the bottle are measured simultaneously by the thrust test stand we have developed. The semi-empirical thrust history is obtained utilizing the air pressure history and it is compared with the measured thrust history. The results show qualitative agreement. The observation of the flow inside bottle by a high-speed video camera shows that the air precedes water when it is about to be discharged entirely. We have developed a flow regulator attached to the nozzle cap to reduce the precursor air discharge that is considered as a result of the swirling flow inside the bottle. The experimental results show that the air discharge and the body vibration are suppressed effectively.
著者
福島 正也 砂川 正隆 片平 治人 渡辺 大士 草柳 肇 小林 喜之 樋口 毅史 久光 直子 久光 正
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.312-319, 2015 (Released:2015-11-21)
参考文献数
30
被引用文献数
2

円皮鍼は鍼治療に用いられる鍼の一種で,1mm前後の極めて短い鍼を絆創膏で皮膚に留置することによって,種々の生体の反応を引き出す.本研究では,ラット社会的孤立ストレスモデルを用い,ストレスに対する円皮鍼の効果を調べ,作用機序の検討としてオレキシン神経系の関与を検討した.8週齢Wistar系雄性ラットを使用し,コントロール群(Con群),ストレスモデルにシャム鍼を貼付した群(Sham群),ストレスモデルに円皮鍼を貼付した群(PTN群)の3群に分けた.社会的孤立ストレスモデルは8日間単独で飼育することで作製した.Con群は1ケージに3~4匹で飼育した.ストレス負荷7日目,PTN群とSham群には百会穴相当部への円皮鍼(パイオネックス®,セイリン社製)またはシャム鍼を貼付した.ストレス評価として,噛みつき行動時間の測定(7日目と8日目)と,EIA法にて血漿コルチコステロンの測定を行った.また,オレキシン神経系の関与を検討するために,EIA法にて血漿オレキシンA濃度を測定し,外側視床下部におけるオレキシンニューロンの変化を組織学的に検討した.ストレス負荷8日目,10分間の噛みつき行動時間は,Sham群(460.2±24.2秒)に対し,PTN群(263.3±53.7秒)で有意に抑制された(p<0.01).血漿コルチコステロン濃度は,Con群(44.0±8.2ng/ml)に対しSham群(128.6±26.4ng/ml)では有意に増加したが,PTN群(73.5±8.9ng/ml)ではその増加が有意に抑制された(P<0.05).血漿オレキシンA濃度は,Con群(0.17±0.01ng/ml)に対しSham群(0.36±0.04ng/ml)では有意に増加したが,PTN群(0.23±0.03ng/ml)ではその増加が有意に抑制された(P<0.05).外側視床下部におけるオレキシンAの発現もCon群(26.88±3.03 Optical Density:OD)に対しSham群(80.89±6.03 OD)では有意に上昇したが,PTN群(49.87±1.84 OD)ではその上昇が有意に抑制された.百会穴への円皮鍼治療は,ラット社会的孤立ストレスモデルにおけるストレス反応を抑制し,視床下部オレキシンニューロンの活性を抑制した.ストレスによる交感神経系や内分泌系の興奮に視床下部オレキシン神経系が関与することが報告されている.円皮鍼治療はオレキシン神経系を抑制することにより,ストレス反応を抑制したと考えられる.
著者
渡辺 真由子
出版者
法政大学図書館司書課程
雑誌
メディア情報リテラシー研究 = The Journal of Media and Information Literacy (ISSN:24350338)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.39-50, 2020-03

ネット時代のいま、性教育は、既存の内容だけでは現実に追い付けなくなっている。子ども達の性意識や性行動が、ネット上に氾濫する性情報から大きな影響を受けていることを踏まえれば、性情報リテラシー教育にデジタル・シティズンシップ教育を盛り込む取り組みは急務といえる。本稿は、性教育をめぐる国際及び国内のガイドラインを参照し、性情報リテラシーとデジタル・シティズンシップに関する記述を検討した。また日本において、性情報リテラシー教育とデジタル・シティズンシップ教育を融合させる実践例を報告した。
著者
渡辺 大士 砂川 正隆 片平 治人 金田 祥明 藤原 亜季 山﨑 永理 髙島 将 石野 尚吾 久光 正
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.146-155, 2017 (Released:2017-10-03)
参考文献数
34

加味逍遥散は,柴胡,芍薬,蒼朮,当帰,茯苓,山梔子,牡丹皮,甘草,生姜,薄荷の10種の生薬から構成される漢方薬であり,比較的体力の低下した,精神不安やイライラなどの精神神経症状を有する人の全身倦怠感,のぼせ,寒気,種々の身体痛,食欲不振,好褥的傾向などの症状に用いられている.近年,オレキシンがストレス反応の制御に関与することが明らかになってきた.オレキシンは神経ペプチドの一種で,オレキシン産生神経は主に視床下部外側野および脳弓周囲に存在するが,その軸索は小脳を除く中枢神経系全域に分布し,摂食行動や覚醒反応ほかさまざまな生理活性の制御に関与している.本研究では,ラット社会的孤立ストレスモデルを用い,加味逍遥散の抗ストレス作用,ならび作用機序の検討としてオレキシン神経系の関与を検討した.初めに,加味逍遥散がオレキシンの分泌に影響するのかを調べた.Wistar系雄性ラットに,100mg/kg/day,400mg/kg/day,1,000mg/kg/dayの3種類の用量の加味逍遥散を7日間連続で経口投与し,血漿オレキシンA濃度を測定した.Control群と比較し,100mg/kgならび400mg/kgの投与で有意な低下が認められたが,1,000mg/kgでは有意な変化は認められなかった.次に,ラットをグループ飼育群(Control群),孤立ストレス群(Stress群),ストレス+加味逍遥散(400mg/kg)投与群(Stress+KSS群)に分け,7日間の飼育後,攻撃性試験ならび血漿コルチコステロンならびオレキシンA濃度の測定を行った.Stress群ではControl群と比較し,攻撃行動を示す時間が有意に延長し,血漿コルチコステロンならびオレキシンA濃度も有意に上昇したが,Stress+KSS群ではこれらの変化は有意に抑制された.更には, いずれの生薬が主として作用しているのかを検討した.本研究では柴胡に注目し,柴胡単独投与で検証した.ラットをControl群,Stress群,ストレス+柴胡投与群(Stress+saiko)の3群に分け,血漿コルチコステロンならびオレキシンA濃度の測定を行った.Stress+saiko群では,これらの濃度の上昇が有意に抑制された.ストレス負荷によって,攻撃性が高まり,血漿コルチコステロンならびオレキシン濃度が上昇したが,これらの変化は加味逍遥散の投与によって抑制された.オレキシンが本モデル動物のストレス反応の発現に関与していることから,加味逍遥散の効果は,オレキシン分泌の制御を介した作用であり,柴胡が重要な働きをしていると考えられる.加味逍遥散は抗ストレス作用を有し,作用機序として,オレキシン分泌の制御が関与することが示唆された.
著者
縣 公一郎 牧原 出 出雲 明子 松田 憲忠 大山 耕輔 伊藤 正次 山谷 清志 大西 裕 稲継 裕昭 渡辺 有希乃
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の成果は、大別して2つとなる。まず、国内行政学先達10名の方々による行政学説オーラルヒストリー集成である。16年度から18年度に行ったヒヤリングの結果、10本の原稿が結稿し、特定出版社との公刊内諾を得、19年度中にその出版実現の予定である。加えて、英国特定出版社からの勧誘を受け、既にオーラルヒストリーとして結稿している韓豪独英四国に関する行政学説史四稿に加え、現在執筆中である個別論文数本を、むしろ当初から英文として執筆して、二部構成の書籍として出版してはどうか、との構想が進んでいる。その前段階として、2019年6月21日に、国際行政学会(IIAS)年次大会にて、3本の英語報告を実施する。
著者
林 誠二 村上 正吾 徐 開欽 渡辺 正孝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地球環境シンポジウム講演論文集 (ISSN:18848419)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.79-86, 2004-08-02 (Released:2011-06-27)
参考文献数
9

To evaluate the protection effect of the Three Gorges Dam Project (TGP) on the flood in the middle region of the Changjiang River basin, we applied the integrated watershed hydrological model using gauged daily precipitation data of 1998 when the second largest flood occurred in the basin in the last century. From the results simulated by applying the discharge volume controlled by each upper limitation value from 40, 000 m3/s to 60, 000 m3/s, we could not find the clear effect on the reduction of the water level during flood period not only in the Dongting Lake but also in the Changjiang mainstream in the cases that the upper limitation discharge value were over 50, 000 m3/s. In the case that the upper limitation value was 40, 000m3/s, although the flood protection effect was clearly exerted in both the mainstream and the lake, the simulated storage volume of TGP remarkably exceeded the total flood control volume (221.5×108 m3) at the peak of inflow to TGP. These results suggested that TGP flood control ability does not efficiently work for the decrease of flood damage in the middle region of the Changjiang basin in case of the occurrence of 1998 type flood phenomena.
著者
渡辺 滋
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-15, 2020-03-31

本稿では、周防国(現在の山口県の東半分)の古代地名について、とくに吉敷郡(現在の山口市+宇部市の一部)の事例を中心に、想定所在地や名称の由来などについて検討する。近世以来の先行研究のなかには、論点が十分に突き詰められていないものや、結論に再検討を要するものも少なくない現状を踏まえ、関連分野における最新の研究成果に依拠した分析を進めていく。