著者
浜田 壽美男 無藤 隆 瀬渡 章子 西村 拓生 本山 方子 天ヶ瀬 正博 鈴木 康史 麻生 武 酒井 敦 掘越 紀香 東村 知子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

園庭には、一方には、教育設備としての園庭があり、他方には、社会資本としての園庭がある。園庭は、子どもの活動の生態系において多様な機能をもち、重層的な意味を有し、生活と学校教育に連続性をつくる機会を提供している。本研究では、園庭の歴史的変遷や園庭デザインの今日的特性、園庭利用の実際と子どもの活動の実態を調査、検討し、園庭の環境デザインの在り方と教育的意義について明らかにした。
著者
角谷 詩織 無藤 隆
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.3, pp.75-87, 2006

不安な気持ちの現れや社会的ルール違反傾向を指標とし、テレビを中心とするメディア接触が青少年の意識や行動に及ぼす影響を検討した。首都圏40km圏内から無作為抽出された小学5年生(第1回調査)とその保護者1500組に対して、2001年2月より、毎年1回4年間の追跡調査を行った。第1回調査時での中学2年生、第4回調査時での小学5年生と保護者それぞれ350組ずつも調査対象とした。思春期の発達的変化がみられるとともに、子どもの社会的ルール違反傾向や不安な気持ちを高める要因は多様であること、その中で、テレビを中心とするメディアの要因も含まれることが示された。
著者
角谷 詩織 無藤 隆
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.97-105, 2004
被引用文献数
1

本研究の目的は、児童・生徒の理科に対する意識を、他の教科および諸活動に対する意識との比較によって捉えることである。首都圏および地方の小学5年生から中学3年生4,127名を対象とし、国語、社会、算数(数学)、音楽、体育、家庭科、技術、図工(美術)、英語、総合的学習、給食、休み時間、部活動の13の教科・活動に対する意識を調査した。分析の結果、理科は、中学2、3年生で好事きな教科としてあげる生徒が少ないことが示された。しかし、技術を除く他の12の活動についても同様に、学年とともに、特に中学2、3年生で、好きな教科・活動としてあげる生徒は他の学年よりも少ないことも示された。特に、中学3年生の女子では、他の教科と比較したときにも理科を好きな教科としてあげる生徒が少なかった。一方、男子の全学年、女子の小学5年生から中学2年生まで、他の教科よりも理科が好きな児童・生徒が多いとが示された。「理科嫌い」という問題が女子において顕著であること、同時に、思春期を迎える子どもを囲む学校全般で、教科・諸活動に対するポジティブな意識を高める実践の必要性が考察された。
著者
金丸 智美 無藤 隆
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.219-229, 2006-12-20
被引用文献数
4

本研究の第1の目的は,不快場面に置かれた3歳児を対象に,快,不快情動の変化から捉えた情動調整プロセスの個人差を明らかにすることである。第2に,同一の子どもについて2歳時点から3歳時点への情動調整プロセスの個人差の変化を示す。第3に,不快場面での情動調整行動を検討し,3歳児の情動調整の自律性を明らかにする。2歳前半に実験的観察を実施した母子41組の中で,3歳後半の時点で32組の母子を対象に実験的観察を実施した。その結果,情動調整プロセスの個人差について,不快情動から捉えた情動調整プロセスタイプの中に,快情動変化から捉えた個人差が存在することが明らかになった。情動調整プロセスの個人差の変化については,2歳時に不快情動を表出した多くの子どもが,3歳時には不快情動を表出しなくなることや,2歳時に快情動を表出しなかった子どもの多くは,3歳時には快情動を表出したことを示した。また,情動調整行動に関しては,他の活動を積極的に行ったり,気紛らわし的行動が増え,より自律的な行動が増えることを示した。以上より,3歳児は2歳児と比較して,より自律的で適応的な情動調整が可能となることを明らかにした。
著者
駒谷 真美 無藤 隆
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.67, pp.156-173, 2005-07-31

This study explored the developmental model of Japanese children's understanding of TV commercials, compared with the Western model of children's consumer behavior in two phases. A questionnaire was administered to 344 children in grades one, three and five. In addition, interviews were conducted with 18 children. The results reveal the lower-grades didn't understand the meaning, purpose and intention of commercials, the middle-grades was confused about them, and the higher-grades gradually considered them and had skepticism. The results suggest that the Japanese developmental model occurred in the above three phases, adapted to reflect the media literacy abilities of each target group.
著者
北村 琴美 無藤 隆
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.46-57, 2001-04-20
被引用文献数
4

本研究では,母娘関係が成人の娘の適応状態を規定する度合いを検証するとともに,娘の結婚や出産といったライフイベントによって母娘関係がどのような発達的移行を経るのかを探索的に調べるために,成人女性415名を対象とした横断的データに基づいて,独身女性,既婚で子どもがいない女性,既婚で子どもがいる女性間での比較検討を行った。その結果,母親との親密性は独身の娘の心理的適応と関連していると同時に,既婚で無職の娘の心理的適応に対してもある程度の効果を持つという結果が得られた。一方,母親への過剰な依存・接触は,職業の有無に関わらず,既婚で子どもがいない女性の心理的適応と負の関連を示していた。また,ライフイベントによる成人期の母娘関係の発達的移行に関しては,独身あるいは有職の娘と比較して,既婚で無職の娘は,母親との親密性が高く,サポートを求める気持ちが強いことが見出された。
著者
岡本 拡子 無藤 隆 新開 よしみ 松嵜 洋子 吉永 早苗
出版者
高崎健康福祉大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,子どもと音との素朴なかかわりや音楽的表現の芽生えに着目し,保育における音環境のあり方と,意識的な音環境づくりがどのように子どもの表現教育へと繋がるかについて検討した。音環境に関する物理的調査(環境機械論)とサウンドスケープの思想(環境意味論)に基づき,(1)音圧測定による園の音環境の実態調査,(2)保育者の意図的な音環境づくりと子どもの活動との関連に関する調査,(3)これらの調査結果に基づいた,「望ましい音環境」のあり方とそれらをいかした保育に関するチェックリストの作成を行った。また,保育者を対象に,チェックリストを用いた予備調査を実施し,今後のチェックリスト改良のための検討すべき課題を明らかにした。
著者
小保方 晶子 無藤 隆
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.75-84, 2004

中学生2397名を対象に質問紙調査を行い、非行傾向行為の経験がある子どもの特徴について、逸脱した友人の存在があるかどうか分類し、家族関係、友人関係、セルフコントロール、抑うつ傾向について検討を行った。まず、非行傾向行為の経験のある子どもは、セルフコントロールが低く、親子関係が親密でなく、抑うつ傾向が高いことが示された。非行傾向行為について、逸脱した友人の存在の有無によって検討した結果、行動上は同じ非行傾向行為という様相を見せていても、特に友人との関係や友人関係の持ち方や、抑うつ傾向に関して特徴が異なることが示された。親しい友人も自分も非行傾向行為の経験のある子どもの特徴として、親子関係は親密でないが、友人との関係は成立しており、その付き合い方は同調行動が示された。親しい友人に非行傾向行為をしている子どもはいないが単独で非行傾向行為の経験のある子どもの特徴として、特に男子では、親との関係が親密でないだけでなく、友人との関係も親密ではないことが示された。そして、抑うつ傾向が最も高いことが示された。中学生の非行傾向行為に関して、逸脱した友人の存在を考慮して検討することの重要性が示された。
著者
小保方 晶子 無藤 隆
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-73, 2006

本研究は、中学生2743名に質問紙調査を行い、中学生の非行傾向行為と抑うつとの関連について、ストレッサーとコーピングから検討を行なった。日常生活のストレッサーは、非行と抑うつの両方と関連していたが、非行があり抑うつが高い子どもは、非行があり抑うつが低い子どもより、「先生ストレッサー」「親ストレッサー」が高かった。「学業ストレッサー」は差がみられなかった。コーピングは、「積極的対処」「サポート希求」が低く、「逃避・回避的対処」が高いことが明らかになった。次に、ストレッサーが非行と抑うつの各々に対して、どの程度影響を与えているのか、共分散構造分析を用いて、直接比較を行った。その結果、日常生活のストレッサーは、「非行傾向行為」より「抑うつ」に対しての方が影響力が強いことが明らかになった。また、「ストレッサー」から「抑うつ」に対する影響力は、男子と比較し女子の方が強かった。さらに「ストレッサー」から「非行傾向行為」の影響力は、1年生男子と3年生女子が、他の集団と比較し弱いことが明らかになった。