著者
加藤 弘通 太田 正義 水野 君平
出版者
北海道大学教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-12, 2016

本研究の目的は、通常学級と特別支援学級に分け、いじめ被害の実態と被害者が援助要請行動を生起させる要因を教師の指導と生徒との関係性から検討することであった。公立小中学校41,089名を対象に質問紙調査を行った結果、以下のことが明らかとなった。1つは、過去3ヶ月のいじめ被害の実態は、通常学級の小学校で42.7%、中学校で31.5%、特別支援学級の小学校で45.5%、中学校で30.9%であった。2つは、いじめ被害にあった者のうちで「先生に知らせた」とする者の全体の児童生徒に占める割合を算出したところ、通常学級では小学校で約25%、中学校で約15%であり、特別支援学級では小学校で約50%、中学校で約42%であった。3つは、いじめ被害者の教師への援助要請行動を生起する要因としては、学校種、および通常学級と困難学級では異なる結果が得られた。以上をふまえ、学校種・学級種に応じた対応の必要性を論じた。
著者
入澤 千晶 加藤 弘彰
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.1477-1482, 1985-08

We have experienced 6 cases of fracture of the penis between 1974 and 1984 at our department. The patients were between 19 and 36 years old. The penis was swollen and distorted by a subcutaneous hematoma but no complications, such as urethral bleeding, pain of miction and urinary retention, were seen in any case. Operation was performed on all patients and no sequelae were seen after treatment. We reviewed 282 cases of fracture of the penis reported in the Japanese literature between 1934 and 1984. A brief review on cause, age, symptoms, complications and sequelae were discussed.
著者
上田 皐介 稲垣 勉 山形 伸二 加藤 弘通
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.57-68, 2023-07-18 (Released:2023-07-18)
参考文献数
16

本研究は,外向性・内向性を印象づける自己呈示の前後で呈示者の顕在的・潜在的外向性に変化が生じるか,および公的状況(隣室に他者がいて,その人に個人情報を伝えたうえで自己呈示する)と私的状況(録音のみで個人情報も明かさずに自己呈示する)でその変化の大きさが異なるかを検討した。62名の参加者を2(呈示特性:外向性・内向性)×2(状況:公的・私的)の4条件に無作為に割り当てた。顕在的・潜在的外向性のそれぞれについて,測定時点(自己呈示前・後)を個人内要因とする3要因の分散分析を行った。その結果,潜在的外向性についての測定時点の主効果のみが有意であり,自己呈示は呈示特性,状況にかかわらず潜在的外向性を高める一方,顕在的外向性には影響しないことが示された。潜在的外向性に変化が生じたメカニズムや先行研究との結果の不一致が生じた理由,特に直前の測定が顕在的外向性の変化を抑制した可能性について考察した。
著者
加藤 弘之 胡 振江 日高 宗一郎 松田 一孝
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_44-2_56, 2014-04-24 (Released:2014-06-24)

双方向変換とは,ソースデータをターゲットデータに変換した後,ターゲットデータ上の更新をソースデータに反映させることが可能な計算の枠組みのことである.双方向変換の考え方は,古くはデータベース分野におけるビュー更新問題として扱われてきたが,近年は新しいプログラミングモデルと進化的ソフトウエア開発の手法として注目を浴び,プログラミング言語の観点から様々な双方向変換言語が提案されてきた.この解説論文は,会話の形で,プログラミング言語,ソフトウェア工学,データベースの視点から,双方向変換の歴史,基本原理,実践,応用,そして今後の課題について概説する.
著者
侯 月江 太田 正義 加藤 弘通
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.134, pp.1-15, 2019-06-27

不登校児童生徒の割合は,とりわけ中学校1年生と中学校2年生において顕著に増加する。本研究はこの問題を受けて,学年移行期における欠席行動の説明要因を明らかにすることを主たる目的とする。具体的には,学校適応状態の指標である学校享受感を移行前後で測定し,そのレベルと変化が移行後の欠席行動と関連するのかを,短期縦断調査によって検討した。1年生に進級した484名,2年生に進級した543名を対象に調査を行った結果,(1)1年生,2年生への移行前後において,学校享受感のレベルと変化には個人差があることが示された。(2)学年移行後の欠席日数はゼロ過剰ポアソン分布に従う可能性が示された。(3)欠席行動の有無には,学校享受感のレベルと変化の両方が影響していることが確認された。これらの結果を受けて,学年移行期における不登校の予防に向けて,学校享受感の視点から支援方策について考察した。
著者
入澤 千晶 鈴木 謙一 中川 晴夫 菅野 理 加藤 弘彰 阿部 寛 石郷岡 学 石井 延久
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.267-271, 1991-03

A 62-year-old male visited our department complaining of left flank pain and urinary retention on November 6, 1989. Intravenous pyelography showed small stone shadows in bilateral ureters and lower calyx of kidney and the left kidney was not visualized. Endoscopically, calculi were seen in bilateral ureteral orifice. An ureteral catheter could not be passed up from there bilaterally. On November 13, 1989, January 24 and 26, 1990, calculi were passed out spontaneously. Analysis of the stones revealed silica calculus. The patient had a past history of duodenal ulcers. He was administered magnesium silicate and magnesium alminometasilicate as an anti-acid drug for ten years. Sixteen cases of silica calculus in Japan are reviewed.

5 0 0 0 OA 立憲政体略

著者
加藤弘蔵 著
出版者
谷山楼
巻号頁・発行日
1868
著者
加藤弘之 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1907
著者
佐藤 奈月 加藤 弘通
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.19-26, 2020 (Released:2021-10-15)
参考文献数
12

本研究の目的は,高校生がインターネット上で新しい知り合いをつくるきっかけについて男女差の観点をまじえて明らかにすることで,先行研究で女性に調査されてきたつながりのきっかけが女性特有のものであるのかを再検討することにあった.そのために,高校6校の1129名を対象とした質問紙調査の自由記述データを分析した.その結果,男女ともに共通の趣味が知り合うきっかけになっていたが,男性はゲームが出会いのきっかけになっており,女性は同じ学校の者と知り合う者がいることが明らかになった.以上を踏まえた実践的示唆として,インターネットが現実の人間関係の補完になっている可能性があるなど,インターネットで他者と出会うことの積極的意義を検討する必要性について議論した.
著者
加藤 弘通 太田 正義 松下 真実子 三井 由里
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.25-40, 2018-08-31 (Released:2018-09-19)
参考文献数
42
被引用文献数
4

The aim of this study is to address the decline of self-esteem in puberty from a viewpoint of development of thinking, especially critical thinking disposition. The sample consists of 633 junior high school students from four schools. We conducted nine separate questionnaires. We first estimated the mean pattern of self-esteem. It showed that self-esteem declines until Time 5 (Grade 7) after that it increased; however, there was more variation after Time 5. Then we examined self-esteem across five different time points to address the decline by using a latent growth curve model. The model showed an acceptable fit to the data. The change of Individual differences of self-esteem were shown to be related to critical thinking disposition (Time 1). The results revealed that the development of critical thinking in puberty had a negative effect on the change of self-esteem: if students have a higher level of development critical thinking disposition, it predicts that their self-esteem will decline. Thus, it appears that the development of thinking would be related to the decline of self-esteem in puberty.
著者
加藤 弘通 太田 正義 松下 真実子 三井 由里
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-30, 2014-03-25

本研究の目的は、思春期における思考の発達過程を明らかにすることと、こうした思考の発達が、自尊心の低下や大人への反抗といったこの時期の諸問題とどのように関係するのかを明らかにすることである。そのために中学生468名を対象に、批判的思考態度、自尊心、親との関係、教師との関係を含む質問紙を用いて、2年間で5回の縦断調査を行った。その結果、思考の発達を示す批判的思考態度は、2年生の後半あたりから上昇する傾向にあることが分かった。また批判的思考態度の発達の状況により生徒タイプを分類し、その後の自尊心などの発達的推移を検討した結果、中学入学時の段階で思考の発達がより進んでいる者ほど、より早く自尊心の低下や大人との関係の良さの低下が生じることが示された。
著者
松井 俊樹 加藤 弘幸 湯浅 浩行
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.896-902, 2015 (Released:2016-10-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

症例は78歳男性.腹部の手術歴はなし.入院3日前に干し柿を食べ,その後より頻回の嘔吐をきたすようになり,近医を受診した.腹部レントゲン検査にてniveau形成を認め,イレウスを疑われ,当院に紹介となった.当院でのCTにて回腸にbubbly mass and impactionを認め,それより口側の腸管が著明に拡張していたことから,食餌性イレウス疑い,同日緊急手術を行った.臍部を3cm切開し,腹腔鏡で腹腔内を観察すると,回腸末端から約50cmの部位に硬い食物の嵌頓を認め,食餌性イレウスと診断した.腸管を創外に引き出し,milkingを試みたが困難で,やむなく腸管を3cm程度切開し,嵌頓した食餌を摘出した.腸管を縫合閉鎖し,手術を終了した.嵌頓していた食餌は干し柿であった.術後経過は良好で,第7病日に退院となった.詳細な問診を行うとともに,食餌性イレウスの特徴的なCT画像所見を認識し,術前診断することができれば,低侵襲な術式を選択することも可能となると思われた.

2 0 0 0 OA 人権新説

著者
加藤弘之 著
出版者
谷山楼
巻号頁・発行日
1882
著者
加藤 弘通 大久保 智生
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.34-44, 2006-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
38
被引用文献数
8 4

本研究は, 学級の荒れと学級の雰囲気の関係を検討することを目的として行われた。公立中学校8校の37学級の中学生1~3年生 (男子544名, 女子587名, 計1, 131名) を対象に,(1) 向学校感情,(2) 問題行動の経験,(3) 学級の荒れ,(4) 不良少年のイメージをたずねる質問紙を実施した。(2) の問題行動の経験尺度から, 生徒を問題生徒, 一般生徒に分け,(3) の学級の荒れ尺度から, 学級を通常学級と困難学級に分けた。そして, 一般学級と困難学級において, 生徒がもつ問題行動や学校生活に対する意識=学級の雰囲気にどのような違いがあるのかを検討した。その結果, 全体として, 通常学級に比べ困難学級の生徒のほうが, 不良少年がやっていることをより肯定的に評価し, 彼らに対する否定感情および関係を回避する傾向が低く, 学校生活にもより否定的な感情を抱いていた。この結果から, 学級が荒れることには, 問題生徒だけでなく, 一般生徒の不良少年や学校生活に対する意識の違いが関係していると考えられた。したがって, 問題行動の防止・解決には, 問題行動をする生徒だけでなく, 問題行動をしない一般生徒に対しても関わる必要性があることが示唆された。
著者
岩本 頌平 兒玉 学 原田 祥宏 加藤 弘一 門永 雅史 伏信 一慶 平井 秀一郎
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.98-104, 2022-04-10 (Released:2022-04-10)
参考文献数
10

インクジェットプリンティングにおけるインクの浸透は画質ならびに乾燥効率に関与することから,浸透挙動の把握は重要である.本研究では,コート層の構造 (コート層の有無と層数と厚さ) による液滴の浸透挙動の解明を目的として,コート層のない紙1種とコート層のある紙3種に対して,X線CT (computed tomography) による非破壊浸透域計測,SEM (scanning electron microscope) 断面観察による紙構造計測,浸透の準2次元数値解析を実施した.臭化カリウムを溶質とする水性インクを用いることで,液滴の浸透域のX線CT測定を可能とし,得られた液滴浸透域と断面SEMにより計測された紙構造を比較した.その結果,コート層の有無,コート層の層数・空隙径・厚さが浸透に影響することが明らかとなり,特にコート層が2層構造をなす場合,表側コート層にのみ液滴が浸透することが明らかとなった.また数値解析の結果,この表側コート層への浸透は,表側コート層の細孔径が裏側コート層の細孔径よりも小さいことが原因であることが示された.