著者
山下 裕司 下郡 博明 菅原 一真 広瀬 敬信
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,生活習慣病であるメタボリック症候群が聴覚に及ぼす影響について明らかにし,その予防方法を開発,将来の臨床応用に発展させることである。そのためにモデルマウスTSODを用いて研究を行った。結果としてメタボリック症候群モデル動物は,加齢に伴い出現する難聴が対照動物に比べてより早期に出現することが明らかになった。組織学的検討からは内耳の血管に動脈硬化が生じ,内耳の血流が減少することが原因のひとつであると考えられた。また,発現遺伝子の検討からは,多くの種類の成長因子が減少していることが明らかになった。これらの結果は新しい難聴予防の方法の開発につながると考える。
著者
菅原 一秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.337-340, 2001-05-01
参考文献数
5

視覚障害者が独力で印刷文書を読むことができるシステムを紹介する.従来のこのようなシステムは印刷された文章の音声への置換え機能を提供するだけなので,先頭から順に音声を聞くことしかできず,ユーザが読みたいところに素早くアクセスすることができなかった.この問題は見出しや段落など文書の論理的な構造を利用することにより解決できる.ユーザインタフェースとしては論理構造-この場合はツリー構造-を渡り歩くためのコマンドが必要となる.我々はこの方式を雑誌を読む課題に適用した.表紙による雑誌の判別や,目次構造の利用,ページ番号の取得,構造化された文書の管理などの機能も含め,雑誌からの総合的な情報取得のためのシステムを作り上げた.
著者
菅原 一秀
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.371-372, 1995-09-20

視覚障害者が日常的な印刷情報に簡単にアクセスできるためのシステムの研究開発を行なっている。出力は音声又は点字によるので不要な情報は飛ばして、必要な情報に効率的にアクセスできることが特に重要である。そのためにスキャナから入力された文書画像のレイアウト解析を行ない、論理構造を抽出して利用する。本稿では雑誌を読む場合及び請求書を読む場合の手順を想定し、効率的なアクセスのために必要な技術を検討する。また、レイアウト解析から得られる情報と、文字認識の内容から得られる情報を組み合わせて文字列をグループ化し、文書の論理構造を抽出する手法を提案する。文書画像から論理構造を抽出する研究は文書処理の効率化を目指して行なわれてきた。これらの論文ではいずれも対象を技術論文や、特許公報などの専門的文書に限っており日常的な、雑誌、請求書などの文書についてはこれまで対象外であった。
著者
吉田 昌弘 菅原 一博 吉田 真 谷口 圭吾 片寄 正樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.499-503, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

〔目的〕超音波画像診断装置を用いて安静時と足関節前方引き出しテスト(ADT)時における前距腓靱帯(ATFL)の伸張距離の計測を行い,検者内および検者間の再現性を調べること。〔対象〕過去1年以内に足関節捻挫の既往がある大学生8名10足。〔方法〕8 MHzのリニアプローブを足関節前外側部にあて,安静時およびADT時における超音波画像撮影を行った。PC上にて距骨-外果の骨間距離をATFL伸張距離として計測し,検者内および検者間の再現性について級内相関係数(ICC)を用いて調べた。また,安静時およびADT時の距骨-外果距離を対応のあるt検定で比較した。〔結果〕安静時,ADT時ともに検者内および検者間において高い再現性が得られた。安静時の外果-距骨間距離は16.5±3.9 mm,ADT時では20.0±4.9 mmであり,両者に有意な差を認めた。〔結語〕安全性および高い再現性から,足関節捻挫群に対するADTに超音波画像を併用する定量評価の有用性が確認された。
著者
菅原 一真 山下 裕司 廣瀬 敬信
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

糖尿病は比較的頻度の多い疾患であるが,難聴の進行は患者のQOLを大きく低下させる。糖尿病に伴う難聴については以前からの詳細な形態学的研究が行われているが,難聴を予防する方法は明かでない。本研究では糖化ストレスに曝露された内耳において生成される終末糖化産物(AGEs)に着目して,研究を計画している。2020年度までに,糖尿病モデル動物を用いて,内耳においてAGEsが生成される時期や部位,その条件について検討した。その結果,聴覚障害を生じる前より内耳血管条へのAGEsの生成が観察された。さらに,AGEsの生成と炎症性サイトカイン,酸化ストレスと内耳微小血管の動脈硬化の関係についても検討を行った。AGEsの生成後に組織学的に血管障害が明らかになってきていることから,血管障害の原因としてAGEsの関与が疑われた。更にAGEs阻害物質メトホルミンを用いて,糖尿病に伴う難聴の予防が可能かどうか検討した。2021年度は,メトホルミンの内耳におけるAGEs産生を抑制する機序を明らかにする目的で,in vitroモデルを用いて実験を追加する予定である。
著者
菅原 一秀
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.137-138, 1996-09-04
被引用文献数
1

視覚障害者が簡単に操作でき、日常的な印刷情報にアクセスすることのできる文字認識システムの開発を行なっている。出力は合成音声によるので、文書の内容に素早くアクセスするには文書の論理構造に基づいた構造化が必要となる。また、表題や、ページ番号などは本文と独立にヘッダ、フッタなどに記載されているのでこれらの主に物理的配置に基づいた構造の抽出及びそれへのアクセスが問題となる。本稿では再帰的X-Yカットを用いた文字列の物理的配置の解析手法によるヘッダ、フッタなどの物理的情報の抽出、及び行の端点の並びからのパラグラフ、見出しなどの論理構造の抽出について報告する。
著者
菅原 一秀
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1531-1532, 1986-10-01

テンプレートを用いる音声認識ではその良否が直接認識結果に反映される。テンプレートの最も簡単な作成法は、ある一つの発声をもってテンプレートとする方法である。しかしこの方法は一つの発声のみに頼るので偏りが避けられないし、発声の変動が大きくなったり、テンプレートを適応化させようとした時にはうまくいかない。これらの問題点を解決するためにテンプレートを複数個使う方式(マルチ・テンプレート法)があるが、与えられた学習用発声全部をそのままテンプレートとして持つのでは記憶域及び計算量が大きくなってしまい、得策ではない。そこで、与えられたテンプレートから一つあるいは少数のテンプレートを作りだす方法が要求される。本稿ではその方法の一つとして、「重み付きDPマッチング」を利用した新しいテンプレート作成法(AWDP法:Average by Weighted DP)を示す。
著者
菅原 一秀
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.284-285, 1998-10-05
被引用文献数
1
著者
小谷内 範穗 皿田 滋 菅原 一宏
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.514-521, 2008-09-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8
被引用文献数
4 4

Authors have been conducting the research on the unmanned pile loading operation by an automated wheel loader, “Yamazumi-4.”The system is a fully self-contained autonomous system. The unmanned wheel loader has various sensors to measure the self-position, the position of pile, and the position of the dump truck to be loaded. After path planning according to the positions of the pile, the truck, and loader itself, the path following control guarantees the total task completion consists of targeting the pile, scooping the pile, carrying a bucket of pile to the truck, loading the pile to the truck, and re-going to the pile. For the accurate positioning control, RTK GPS and Moving Base GPS systems are combined to the dead reckoning based on the virtual dual wheel vehicle model. The dead reckoning calculated by the wheel velocity and steering angles can not avoid accumulating the positioning errors. Although lower rate Moving Base RTK GPS system supplies more accurate global position and heading direction data, they contain time delay. Authors developed the algorithm to detect the time delay of the GPS data by comparing to the recent dead reckoning data and to re-calculate the current position and direction from GPS data. The path following feedback system is developed to follow the line part and the curve part in the planned path. The planned curve part consists of a pair of the symmetric psuedo clothoid curves. For the sure loading task, the path following control is switched to the bucket tip position control helped by the laser range finders. In the scooping task, bucket control is switched by the reaction force measured by the hydraulic pressure sensor. Totally the whole tasks were well controlled and completed.
著者
関口 久美 菅原 一夫
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集 (ISSN:00290270)
巻号頁・発行日
vol.28, no.194, pp.1240-1244, 1962-10-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
2

Experimentally, a rubber cord seems to have characteristics of a string on one hand, and of a beam on the other. Equation of motion with a term of damping was introduced as for a rubber cord. Then the solution was compared with the results of experiments, and the dynamical characteristics of rubber obtained as rubber vibration isolators were taken into account. 1) Vibration of rubber cord with a concentrated mass. Linear vibration with one degree of freedom was assumed. Elastic modulus E calculated from this experiment was compared with static modulus. Values of E are thought to be adequate when the ratio between dynamic and static moduli is taken into consideration. 2) Torsional vibration of rubber cord. Shear modulus G^- calculated in the same way was compared with the static shear modulus. 3) Free damped vibration of rubber cord. A term of damping was added to an ordinary equation of string. Results of experiments could be explained by an equation ∂2y/∂t2=a2(∂2y/∂x2)-2c(∂/∂t)(∂2y/∂x2), when an effective value of tension was taken into account.
著者
伊藤 昌毅 川村 尚生 菅原 一孔
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.10, pp.2327-2339, 2013-10-01

本論文では,走行中の路線バスの位置情報を取得するバスロケーションシステムの開発について述べる.バスロケーションシステムは,バス停においてバスの到着を知らせるなど公共交通の利便性を高めるために用いられているが,運用コストの問題で小規模な都市での実現は困難である.本論文では,スマートフォンを車載器として利用することで,導入や運用コストを抑えたバスロケーションシステムを実現した.開発システムは,バスの位置情報をユーザに提供するだけでなく,既に運用中のバスや鉄道の経路案内サービス「バスネット」と連携することで,バスの遅れを考慮した経路探索を実現するなど,公共交通の利便性を高める情報基盤として機能している.開発したバスロケーションシステムは,鳥取県のバスを対象に運用を続けており,アクセス数などの運用状況やそこから得られた知見についても紹介する.
著者
李 咏梅 菅原 一孔 尾崎 知幸 小西 亮介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.167, pp.37-42, 2002-06-20

指数減衰信号の周波数推定手法としてR.Kumaresan及びW.Tufts(KT)によって提案されたKT手法がよく知られている.KT手法では線形後ろ向き予測法と特異値分解が重要な役割を果たしている。しかし,信号の中で雑音が増加した場合,KT手法では周波数の推定は困難である.本論文では、雑音が増加した場合においても,良好な周波数推定を行うための手法を提案する.提案手法では、前向きと後ろ向き線形予測法に基づいて,異なった時間信号区間を用いて信号に対する零点グループを抽出ことにより,信号に含まれる周波数を推定する.シミュレーション結果により,提案手法はKT法に比べ良好な推定結果が得られることを示した.
著者
菅原 一幸 北川 裕之 山田 修平 三上 雅久 浅野 雅秀 BAO Xingfeng LI Fuchuan
出版者
神戸薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)ヒトの先天性脊椎・骨端異形成症(spondyloepiphyseal dysplasia, SED)がコンドロイチン6-O硫酸基転移酵素-1(C6ST-1)の変異によって発症することを証明した。(2)コンドロイチンの基本骨格の生合成に関わるコンドロイチン重合化酵素(ChPF)の線虫のオルソログPAR2.4をクローニングし、その機能低下により、線虫の胚発生初期の細胞質分裂が異常になることが分かった。(3)サメ皮膚のCS/デルマタン硫酸(DS)ハイブリッド糖鎖の種々の生物活性を証明し、治療薬への応用の可能性を示した。(4)ブタ胎児脳のCS/DS鎖の神経突起伸長促進作用が増殖因子プレイオトロフィンとの結合を介することを証明し、さらに機能ドメインである硫酸化十糖を単離し、配列を決定した。(5)海産ホヤの果肉から海馬ニューロンの突起伸長促進活性をもつ高硫酸化デルマタン硫酸を精製し、これでマウスを免疫し、抗デルマタン硫酸単クローン抗体を調製した。この抗体は海馬ニューロンを染色し、免疫源であるデルマタン硫酸の神経突起伸長促進活性を阻害した。(6)ヘルペス単純ウイルス(HSV-1、HSV-2)は細胞表面のヘパラン硫酸への結合を介して感染するとされてきたが、今回我々は、感染細胞のコンドロイチン硫酸のE構造を認識して感染しうることを証明した。