著者
北田 悠一郎 藤原 大樹 小野 秀高 馬場 裕之 阿部 哲夫 杉田 光隆
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.1753-1757, 2018 (Released:2019-02-28)
参考文献数
11

症例は87歳,女性.肝細胞癌に対して計2回の肝動脈化学塞栓術(transcatheter hepatic arterial chemo embolization: 以下TACE)を施行し経過良好であった.しかし,3回目のTACEにてリピオドール(一般名: ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル)を用いて動脈塞栓を施行したところ,胆嚢へのリピオドール沈着が疑われ,直後に心窩部痛を認めた.翌日施行した腹部単純CTにて,胆嚢壁へのリピオドール残存を示唆する高吸収域,胆嚢周囲脂肪織濃度上昇,腹水を認めた.リピオドールによる胆嚢動脈塞栓に伴う急性胆嚢炎と判断し,開腹胆嚢摘出術を施行した.病理所見にて全層性の壊死を認め,壊疽性胆嚢炎と診断した.術後経過良好で術後12日目に退院した.リピオドール使用後の壊疽性胆嚢炎の報告は少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
藤原 大
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.939-943, 2016 (Released:2016-08-20)
参考文献数
20

リハビリテーション栄養とは、栄養状態も含めて国際生活機能分類 (ICF) で評価を行ったうえで、障害者や高齢者の機能、活動、参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うことである。これまでも臨床的な重要性は感じられながら、実質的な取り組みは広まっていなかった。リハビリテーションの対象者には低栄養が多く、低栄養ほど ADLや QOLの回復が得られにくいことが徐々に明らかになり、リハビリテーション栄養管理による効果の向上が期待される。しかしリハビリテーション介入と栄養サポートの併用効果についてはまだエビデンスが不足しており、今後の課題である。リハビリテーション栄養の取り組みは、地域包括ケア時代を迎えた日本の医療・介護をつなぐ key wordになりえる。リハビリテーション栄養チームマネジメントのできる人材育成が重要である。そして世界一の超高齢社会を迎える日本における多くのリハビリテーション栄養管理の実践と研究が、世界へ発信され応用されるべきものになる。
著者
藤原 大輔 浅田 健嗣
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.97-119, 1981-04-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
104

その物理学における意義をさておくと,Feynman経路積分とは,数学的にはSchrodinger方程式の基本解の構成法であるとも考えられる.この小論では,そのような立場にたって,Feynman経路積分の定式化に際し,どのような困難があるかを説明し,いくつかの定式化の方法を紹介したい.

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著者
荒木 不二洋 杉浦 光夫 藤原 大輔 加藤 順二 一松 信
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.183-191, 1968-08-20 (Released:2008-12-25)
参考文献数
3
著者
藤原 大介
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.75-80, 2014-07-05 (Released:2015-07-03)
参考文献数
7

ウイルス感染防御機能を制御する免疫系の司令塔的な役割を果たす細胞としてプラズマサイトイド樹状細胞が注目を集めている。本研究では、プラズマサイトイド樹状細胞活性化効果を有する乳酸菌株を探索した。マウス骨髄細胞由来プラズマサイトイド樹状細胞を用いたスクリーニングにより、Lactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805 がこの効果を有することを見出し、作用機序として本菌株がプラズマサイトイド樹状細胞に認識され、活性本体であるDNA がTLR9 依存性の活性化反応を引き起こすことが示唆された。また、本乳酸菌を用いたヒトにおけるpDC に対する作用についても紹介する。
著者
宮本 一平 清水 哲男 日鼻 涼 神野 優介 藤原 大士 淺井 康夫 權 寧博
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.387-391, 2022-09-25 (Released:2022-10-08)
参考文献数
10

背景.気管支動脈蔓状血管腫は気管支動脈の拡張・蛇行を特徴とした血管の形態異常であり,喀血の鑑別疾患に挙げられる稀な疾患である.喀血をきたす肺疾患として,肺結核症や気管支拡張症,肺癌などは頻度の高い疾患であるがその原因が明らかでない場合,特発性肺出血と診断されることが多い.症例.59歳男性が喀血を主訴に来院した.胸部CTで右肺にすりガラス陰影を認め,気管支鏡検査では右B3入口部に凝血塊を認めた.気管支動脈造影(bronchial arteriography:BAG)で右気管支動脈上枝に血管異常を認め,気管支動脈蔓状血管腫と診断し気管支動脈塞栓術(bronchial artery embolization:BAE)を施行した.その後血痰は消失し現在まで再発なく経過している.本症例は今回の発症の19年前に左気管支動脈蔓状血管腫に対しBAEを行っていた.前回のBAGでは右気管支動脈に異常血管は認めず,二次性気管支動脈蔓状血管腫と診断した.二次性の原因としては炎症や腫瘤は認めず,喫煙が蔓状血管腫の成因に関係している可能性がある.結論.重喫煙者の特発性喀血症では,二次性気管支動脈蔓状血管腫の発症も鑑別に挙げ,BAGの施行を検討すべきである.禁煙管理で喀血再発の有無をフォローアップすることが今後の外来診療において重要となる.
著者
髙石 吉將 荒井 篤 岡田 真幸 藤原 大悟 鵜山 淳 近藤 威
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.179-183, 2019 (Released:2019-09-10)
参考文献数
16

Various complications are found in ventriculo-peritoneal shunts (V-P shunts) used in hydrocephalus. Overdrainage can be the source of some of these complications and is the primary cause of orthostatic headache, nausea, and vomiting. Here, we report a case of overshunting-associated myelopathy with progressive tetraparesis. A 56 year-old female had undergone placement of a V-P shunt four years prior to presentation in our clinic. She presented with progressive spastic tetraparesis and dysarthria but had no headache. In a brain magnetic resonance image (MRI), enlargement of the bilateral subdural space was noted. Gadolinium enhanced MRI showed dural enhancement. The presence of intracranial hypotension was suspected. Engorgement of the epidural vein at the C2 level in the cervical epidural space was also observed in the gadolinium enhanced cervical MRI. Since overdrainage of the V-P shunt was obviously present, a programmable valve was placed, and the flow of cerebrospinal fluid was controlled. The symptoms improved, and the epidural enhanced lesion diminished in subsequent MRIs. Here, we report a case of overshunting-associated myelopathy after placement of a V-P shunt and a review of the currently available literature.
著者
根岸 友恵 鈴木 利典 濱武 有子 藤原 大
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

痛風の原因物質として知られている尿酸であるが、抗酸化物質として重要な働きをしている。尿酸がどのような酸化ストレスに対して防御作用を示すかを調べ、生物における尿酸の存在意義とその利用価値を示すことを目的とした。ショウジョウバエの尿酸欠損株はタバコ副流煙曝露に感受性が高い。副流煙曝露時の尿酸含量を測定した結果、野生株では尿酸が、尿酸欠損株では前駆体含量は増加した。このことは酸化傷害に対する防御機構として尿酸合成が亢進している可能性を示唆するものである。
著者
藤井 郁雄 藤原 大佑 道上 雅孝
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.212-221, 2020-07-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
16

近年、低分子化抗体がポスト抗体医薬として注目されている。筆者らは、抗体様活性をもつ中分子の創薬モダリティーとして、ヘリックス・ループ・ヘリックス構造をもつ分子標的HLHペプチド(分子量:約4k)の開発を進めている。ファージ表層や酵母表層提示ライブラリーを構築し、進化分子工学的手法により、さまざまな疾患関連タンパク質に対する分子標的ペプチドを開発している。このペプチドは、強固な立体構造をもつため生体内の酵素分解に対しても安定であり、抗体と同等の高い特異性と強い結合活性をもつ。本稿では、分子標的HLHペプチドの設計およびその生物機能について紹介する。
著者
朱 祐珍 小尾口 邦彦 福井 道彦 新里 泰一 阪口 雅洋 板垣 成彦 稲見 直子 藤原 大輔
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.47-50, 2013-01-01 (Released:2013-04-23)
参考文献数
11

症例は66歳,女性。2型糖尿病でメトホルミン内服中であった。酒石酸ゾルピデムの大量内服後に乳酸アシドーシスを発症しICU入室となった。入室後,輸液などによるアシドーシス補正中に胸痛を訴えた。超音波検査で心尖部の収縮低下を認め,たこつぼ心筋症が疑われた。第4病日には壁運動異常は著明に改善し,たこつぼ心筋症と診断した。経過良好で第9病日にICU退室となった。メトホルミンによる乳酸アシドーシスは,稀だが致死的な合併症である。本症例においては酒石酸ゾルピデムの大量内服による低酸素状態がメトホルミンによる乳酸アシドーシスを発症する契機の一つとなった可能性が考えられた。また,アシドーシスによる身体的ストレスや自殺企図にまで至った精神的ストレスによって,たこつぼ心筋症を続発したと考えられる。
著者
小野 健一 藤原 大輔 川上 孝行 金山 祐里
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.210-216, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
18

認知症の人とその家族介護者への支援は,両者の在宅生活を維持するために重要である.今回,訪問作業療法場面で,認知症高齢者と家族介護者2組に対し,共作業支援尺度を用いた共作業支援プログラムを実施した.共作業支援尺度から提案された改善したい共作業への作業療法介入を行った結果,認知症高齢者のBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia(以下,BPSD)の重症度と,家族介護者のBPSDから生じる介護負担感,共作業継続意志得点の改善が,2組共に見られた.両者の行う共作業への介入により,家族介護者の共作業の遂行能力が改善し,結果として両者にとって,より満足のいく在宅生活につなげられる可能性が示唆された.
著者
藤原 大樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 39 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.101-104, 2015 (Released:2018-08-03)
参考文献数
6

本研究では,中学校関数領域に着目し,数学的モデリングを通して生徒が新たな数学を生み出すための指導について検討した。第3 学年の「関数y=ax2」単元で教材「リレーのバトンパス」を扱い,グラフ描画ソフトを活用した協働的な解決,及び多様な解決方法の比較・検討を重視して実践した結果,生徒は既習の関数のグラフを用いた視覚的,近似的な解決を端緒に,簡潔さや正確さを志向して,未習である二次方程式の重解条件を自ら生み出した。新たな数学を生み出すことに向けて,数学的モデルをつくったり解釈したりして考える授業を意図的に複数位置付けた単元計画とその実践・検証が課題である。
著者
藤原 大輔 高瀬 暁央 梅村 恭司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.76, pp.145-149, 2007-07-25
参考文献数
6

文書の雛形をテンプレートと呼ぶが、あるテンプレート内で使用される単語をテンプレートの形を知ることなく抽出するという問題を扱う。単語の分布として良く知られているものに、Katz K mixture モデルがある。この Katz K mixture モデルは、単語が文書中で繰り返し出現する条件付確率は減衰係数によって決められると仮定している。本研究では、この Katz K mixture モデルに従わない固有名詞が持つ特徴とテンプレートの関係について分析し、その結果、モデルに合致しないものがテンプレート内で使用される単語の候補となり得ることが分かった。A template is a fixed format of certain documents. We deal here with the problem of extraction words used in templates without knowing form of the templates. The Katz K mixture model is well known as a distribution model of keywords. In this model, basic assumption is that the conditional probabilities of repeats for a given word are determined by a decay factor. In this study, we analyze relations of a template and proper nouns which do not obey the Katz K mixture model. As a result, we have found that the Katz model is useful to detect nouns that consitute templates.
著者
藤原 大輔
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.89-90, 1990-02-09 (Released:2008-12-25)
参考文献数
9
著者
藤原 大悟 塩川 貴之
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.854, pp.17-00087-17-00087, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
12

Aiming at the realization of agile autonomous flight for the extension of the flying range of single-rotor helicopters in the limited flight time, the flight control system design and the control performance verification for the high-speed turn flight are conducted. To achieve the reference following control for large attitude angles and the rotor thrust, the control system is composed of the main-rotor thrust and body torque centralized controller based on the MIMO (Multiple-Input, Multiple-Output) helicopter model including the blade motion dynamics, rotor speed proportional-integral controller, the attitude controller designed via the backstepping method based on the quaternion attitude model, and the guidance controller based on translational motion model. Simulation results show that the hovering and 10-m/s straight cruise flight followed by over 45-degree bank turn is feasible by using the proposed control system. In addition, flight tests have been conducted using the experimental small unmanned electric helicopter equipped with the flight control computer, and the high speed turn agile autonomous flight was successful in the real environment.
著者
磯村 直道 藤原 大悟
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.854, pp.17-00013-17-00013, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
9

Flight control system with position compensation applicable to trajectory tracking of agile maneuvers that require an attitude rotation and a reverse of main rotor thrust of single-rotor helicopters is proposed. The outer loop position compensator calculates the desired attitude and rotor thrust which reduce position tracking error by utilizing a kinematics equation established near the reference trajectory. The desired attitude is set using the magnitude of the rotor thrust in the reference trajectory, which enables continuous position feedback compensation based on the fact that the relationship between rotational and translational motion becomes independent as the rotor thrust decrease. To achieve high-bandwidth control of lateral-longitudinal angular rates in the inner loop, two-degree-of-freedom servo system is designed using a linear model with blade flapping motion dynamics. The control system is applied to autonomous control of flip maneuvers which include transition between upright and inverted hovering. The reference trajectory of a flip maneuver is generated as a parameterized simple equation which can be adjusted to the helicopter ability. Simulation and outdoor flight tests of the autonomous flip maneuvers demonstrated the capability of position feedback compensation that reduces position tracking error during out-of-trimmed flight state. This control technique can be extended to various agile flights for quick execution of flight tasks or recovery maneuvers from dangerous state.