著者
岡久 雄二 小西 広視 高木 憲太郎 森本 元
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.12-18, 2011 (Released:2012-11-25)
参考文献数
11

キビタキFicedula narcissinaの雄について,外部形態に基づく齢査定の方法を検討した.第1回夏羽の個体は第2回夏羽以降の個体よりも自然翼長,尾長とも短かったが計測値は重複が大きかった.また,脛羽の色は第1回夏羽,第2回夏羽,それ以降の第3回夏羽以降の3群でそれぞれ異なっており,第1回夏羽では淡褐色,第2回夏羽では灰黒色の羽が疎らに生え,それ以降の第3回夏羽以降では純黒色の羽が密に生えていた.さらに,虹彩の色は第1回夏羽では灰褐色,第2回夏羽では褐色であり,第3回夏羽以降の個体の多くは赤褐色であった.これらより,キビタキの雄の齢は脛羽と虹彩の色によって第1回夏羽,第2回夏羽,第3回夏羽以降の3群に識別することができると考えられた.
著者
田中 周平 高見 航 田淵 智弥 大西 広華 辻 直亨 松岡 知宏 西川 博章 藤井 滋穂
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.9-15, 2020 (Released:2020-01-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

2015年に琵琶湖岸の132の抽水植物群落を対象に, 単独測位携帯型GPSを用いたオオバナミズキンバイの植生分布調査を実施した。琵琶湖岸12か所の観測所における風速, 風向および有効吹送距離を元に群落ごとの有義波高を算出し, オオバナミズキンバイの生育地盤高との関係を検討した。その結果, 1) 有義波高18 cm以上の群落ではオオバナミズキンバイは確認されなかった。2) オオバナミズキンバイは55群落で確認され, 地盤高別の生育分布を整理すると, 琵琶湖標準水位B.S.L. -150 cm~-50 cmに分布する群落 (沖型) , B.S.L. -90 cm~-30 cmに概ね均等に生育する群落 (準沖型) , B.S.L. -50 cm~-30 cmに集中して生育する群落 (準陸型) , B.S.L. -30 cm~-10 cmに集中して生育する群落 (陸型) の4タイプに分類することができた。3) 平均有義波高は沖型, 準沖型, 準陸型の順に5.5 cm, 9.4 cm, 13.2 cmであり, 有義波高によりオオバナミズキンバイの生育地盤高をある程度説明することができた。
著者
大西 広
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.439-452, 2014-01

経済学会シンポジウム : 経済学のフロンティア近代経済学には「希少資源の最適配分の理論」という定義がある一方で, 「マルクス経済学(科学的社会主義)」にはエンゲルスが『空想から科学へ』で示した「社会主義は史的唯物論と剰余価値学説の発見によって科学となった」との「定義」がある。この両定義は互いに矛盾するものでないから, その重複領域は成立しうる。「近代経済学でもマルクス経済学でもある領域」となる。ここではその試みとして筆者を中心とする研究グループが開拓した「マルクス派最適成長論」を紹介する。Although modern economics holds definitions such as a "theory of optimal allocation of scarce resources," Marxian economics (scientific socialism) holds a definition described as "socialism has become a science through the discovery of historical materialism and the theory of surplus value," highlighted by Engels in his book "The Development of Socialism from Utopia to Science." Since both definitions do not contradict each other, there should be an overlapping area. This area is both modern economics and Marxian economics. This study introduces, as an attempt to define the mentioned area, the "Marxian Optimal Growth Model," developed by a research group led by the author of this study.
著者
岡久 雄二 小西 広視 高木 憲太郎 森本 元
出版者
The Japanese Bird Banding Association
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.12-18, 2011

キビタキ<i>Ficedula narcissina</i>の雄について,外部形態に基づく齢査定の方法を検討した.第1回夏羽の個体は第2回夏羽以降の個体よりも自然翼長,尾長とも短かったが計測値は重複が大きかった.また,脛羽の色は第1回夏羽,第2回夏羽,それ以降の第3回夏羽以降の3群でそれぞれ異なっており,第1回夏羽では淡褐色,第2回夏羽では灰黒色の羽が疎らに生え,それ以降の第3回夏羽以降では純黒色の羽が密に生えていた.さらに,虹彩の色は第1回夏羽では灰褐色,第2回夏羽では褐色であり,第3回夏羽以降の個体の多くは赤褐色であった.これらより,キビタキの雄の齢は脛羽と虹彩の色によって第1回夏羽,第2回夏羽,第3回夏羽以降の3群に識別することができると考えられた.
著者
中西 広樹
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.329-335, 2021 (Released:2021-08-07)
参考文献数
3

脂質は,私たちヒトの主要成分であり,生命を維持するうえで欠かすことのできない多彩な役割を担っている。地球上に存在する全生物がもつ脂質の数は十万種とも百万種とも言われ,明確な数,機能は明らかにされていない。これは,脂質が水に溶けにくい性質をもち,かつ,化学構造も多様であるがためである。リピドミクスは,細胞/組織/器官/生物のリピドームを体系的に研究する分野である。脂質の分析は,古くから種々のクロマトグラフィー技術や質量分析法、酵素法,蛍光標識,蛋白質プローブなどにより,定量的・定性的に行われてきた。そのなかにおいて,質量分析法は,優れた検出感度と多くの脂質分子を一斉分析する能力が高いため,近年の脂質研究においては欠かせないものとなった。しかしながら,脂質は代謝的・科学的に不安定であるため,正しい知識や技術をもって実験しないとデータに誤りやアーチファクトが生ずる。本稿では質量分析技術を基盤としたリピドミクスの作業プロセスの重要点とその実例について紹介したい。
著者
小玉 健吉 京野 忠司 市川 邦介 長西 広輔
出版者
日本醗酵工学会
雑誌
醗酵工学雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, 1962-11

This paper deals with two yeast cultures which were isolated from a mushroom (Russula spec.) sent from Germany. Judging from the morphology of the ascospores with warty surface walls, these cultures should be classified in the genus Debaryomyces.These isolated agree well with debaryomyces cantarellii Capriotti not only in the morphological properties (ie. large long oval cells in malt extract, pellicle formation in malt extract, etc.) but also in the physiological ones (ie. fermentation of sugars, assimilation of carbon compounds, no vitamin required for growth).This species should be considered as one of the unique and significant species in discussing the diagnosis of genus Debaryomyces, because of both of its strong fermentative ability of sugars and oxidative dissimilation, as well as the cell morphology. A culture of the isolates (L.K.B.D-2) has been deposited in the Centraalbureau voor Schimmelcultures (Delft. Holland).
著者
小玉 健吉 京野 忠司 市川 邦介 長西 広輔
出版者
日本醗酵工学会
雑誌
醗酵工学雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, 1962-09

This paper deals with 5 yeast cultures isolated from soils sent from abroad, which should be classified in the genus Debaryomyces Klocker judging from their ascospores with distinct warty surface walls formed after hetro or isogamic conjugation. These isolates are similiar to Debaryomyces globosus Klocker in many of their properties, as follows : 1. Fermentation of glucose, saccharose and raffinose2. Assimilation of glucose, saccharose3. No pellicle formation on malt or "koji" extract4. A rather higher maximum temperature for the growth (ie 40-41℃).Whereas, in 1952,Lodder et van Rij changed Debaryomyces globosus to Saccharomyces rosei (Guilliermond) Lodder et van Rji, based predominantly on its strongly fermentative activity. In the author's opinion, however, it seems to be noteworthy that, as in most species belonging to genus Debaryomyces Klocker hitherto reported (except for a very few species such as D. vini etc.) a distinct warty wall of ascospores can be clearly observed in all strains under discussion and therefore this characteristic of ascospores should be considered as one of the most important properties to define the genus Debaryomyces as Klocker originally proposed.Eventually, taking the above mentioned into consideration, the authors wish to identify our isolates not as Saccharomyces rosei but as Debaryomyces globosus which should be regarded as a species of different genus from the former in the morphology of ascospores. A type culture of the isolates (D-1) has been deposited in Centraalbureau voor Schimmelcultures (Delft. Holland).
著者
大西 広倫 美崎 定也 川崎 卓也 末永 達也 山本 尚史 木原 由希恵
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1552, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】 人は加齢により著しく平衡機能の低下が見られる。また,外乱刺激に対する反応の低下により高齢者は転倒しやすい傾向にある。臨床で腹腔内圧(腹圧)を高める事で,しばしばバランスの向上が見られる事がある。腹圧の維持・向上は体幹・腰部の安定性のみならず,四肢の運動機能に重要である。今回,高齢者を対象に簡便な方法として,腹圧へのアプローチが身体制御,平衡機能においてどのように影響を及ぼすのか,検討する事を目的とした。【方法】 対象は本研究に同意した当院関連施設デイサービスを利用している高齢者26名(年齢69.7±6.8歳)とした。今回,介護度としては要支援1から要介護2の方々を対象に男性19名,女性7名で脳血管障害20名,下肢整形外科疾患2名,その他4名であった。除外基準としては立位が著しく不安定、また10m以上の歩行が困難な者とした。検討項目としてはFunctional reach test(FRT),Timed up and go test(TUG)を用い,同一対象者で腹部ベルト装着あり・なしの条件下で測定しその差を検討した。腹部ベルト装着あり・なしの条件下で,Functional reach test(FRT),Timed up and go test(TUG)を測定しその差を検討した。FRTは,Duncanらの方法をもとに施行した。またTUGは,Podsiadloらの方法をもとに施行した。ベルトの装着位置においては,関らの方法を一部改定し,Jacob線直上の水平面上で,立位にて測定し,腹囲より5cm短い長さでベルトを装着した。ベルトは市販の4cm幅の物で,1cm間隔で目盛りを付けた。なお,測定はそれぞれ一回づつ,ランダムにて行った。統計解析はWilcoxonの符号付き順位検定を用い,有意水準5%とした。【結果】 両検査の測定値をベルト装着あり・なしの二条件間で比較した結果,FRTにおいては,ベルト装着ありで中央値(四分位範囲)22.1(17.3~30),装着なしで21.5(14~24.8)でありベルト装着の方が有意に大きかった(P<0.05)。TUGにおいては,ベルト装着ありで14.6(12.2~21.4),装着なしで16.3(12.1~25.7)であり,ベルト装着ありの方が,装着なしに比べ,有意に短かった(P<0.05)。【考察とまとめ】 今回,高齢者の腹部にベルトを装着する事で静的・動的バランス機能の向上が認められた。ベルトを使用する事で腹圧を高める,腹圧の上昇が腰椎を安定化させる事,また下部体幹の固定性が増す事が言われている。今回,静的・動的バランス機能の向上においては,腹腔内圧の上昇により,四肢の運動機能が高まった事が考えられる。腹圧を高め,バランス機能の向上を図る事は,ベルトを使う事で簡便にできる有用な手段の一つである。
著者
宮川 愛由 西 広樹 小池 淳司 福田 崚 佐藤 啓輔 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_393-I_405, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
28
被引用文献数
3

地方創生が叫ばれる現在,大型店舗が地域に与える影響に関する知見が重要となっている.しかし,筆者らが知る限り,消費者の大型店舗での買い物が,地域経済に与える影響に関して,国内においては実証的な知見が見当たらない.そこで,本研究では,消費者の買い物店舗の選択が地域経済に及ぼす影響の検証を目的として,京都市内の様々な経営形態の食料品小売店舗を対象に調査を行い,消費者の買い物支出の帰着先を分析した.分析の結果,買い物支出のうち京都市に帰着する割合が,大型店舗では地場スーパーや地元商店の半分程度であることが示された.本研究成果は,地域活性化に向けた望ましい消費者行動とは如何なるものかについての示唆を与えると同時に,大型店舗の進出による地域活性化への期待に疑義を唱えるものといえよう.
著者
大西 広
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.99(3)-111(15), 2017-07

「マルクス派最適成長論」は, 労働価値説を基礎にマルクス史的唯物論の基本命題を導くために開発されたものであるが, 個別経済主体の最適化行動を基礎としたモデルを基本としているために近代経済学上の諸概念とも接続可能な論理構成を持っている。また, ここでは価値と価格の関係も明示されているので, 『資本論』の最も原理的な問題領域を論じる特集の基調論文として「マルクス派最適成長論」とその周辺の諸問題をまとめた。具体的には, 限界原理と労働価値説との関係, 「地代」を論じる次元の特定化, 新解釈学派と単一体系学派の問題, 「価格」レベルにおける利子取得を価値レベルでどう捉えるかといった問題である。Marxian optimal growth theory was developed to provide direction to the basic proposition of Marxian historical materialism on the basis of the labor theory of value and is also based on the optimization theory of individual agents so as to connect to modern economic theory. The relationship between value and price is also specified in Marxian optimal growth theory. Thus, I introduce this model in this paper as a keynote article discussing the most fundamental issues of Marx's Capital. In particular, the relationship between the marginal principle and the labor theory of value, special theoretical dimension of "rent," problems of the newinterpretation and single-system schools, and two dimensions of the category of "interest" are discussed in this paper.特集 : 『資本論』数理化研究の最先端
著者
大西 広 田上 孝一 瀬戸 宏 松井 暁
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の多くの部分は研究代表者・分担者が所属する社会主義理論学会の協力を得た。特に中国の研究者との交流を重視し、2013年12月に12名の中国人研究者を招き、「中国特色社会主義の行方と理論問題」の主題で第四回日中社会主義フォーラムを開催した。2015年4月には中国人研究者1名を招き講演会「『さあ「資本論」を読んでみよう』について」を開催した。2016年3月には四名の中国人研究者を招き、「中国社会主義の多様性」を主題に第五回日中社会主義フォーラムを開催した。いずれも社会主義理論学会と当科研費プロジェクトの共催である。参加者・集会報告などはいずれも社会主義理論学会HPに掲載されている。