著者
西村 智恵子 高野 久美子 Chieko NISHIMURA Kumiko TAKANO
出版者
創価大学教育学部・教職大学院
雑誌
教育学論集 (ISSN:03855031)
巻号頁・発行日
no.72, pp.163-177, 2020-03-31

The processes experienced by mothers of young children with Autism Spectrum Disorders(ASD) when dealing with difficulties were examined. Interviews were conducted withmothers (N= 8 ) of young children with ASD, and the results were qualitatively analyzedusing the Modified Grounded Theory Approach, which indicated the following process of theirexperience. ( 1 ) Mothers gradually come to understand their children by dealing withdifferent difficulties in child-rearing specific to children with ASD.( 2 ) Mothers experiencepsychological and behavioral changes, including feelings about the characteristics andbehavioral problems of their children, and measures to deal with these behavioral problems.( 3 ) Mothers expect support from specialists as an environmental factor that facilitating theabove process. Moreover, the results suggested that emotional support from surroundingpeople such as spouses, relatives, friends, parents’ association members, and someone to talkto, among others, was considered useful for the mothers.
著者
西村 智昭
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.29-46, 1994
被引用文献数
5 8

The population density of western lowland gorillas in the Nouabalé-Ndoki National Park, northern Congo, was estimated both by the "bed-census" method and the "counting" method based on bed-count and direct observation. The density was calculated as 1.92-2.56animals/km<sup>2</sup> and 2.29-2.61 animals/km<sup>2</sup> respectively. Because this was the first time to attempt the "bed-census" method in the Ndoki forest, direct comparison of population density was possible between western lowland gorilla populations at all study sites. It was concluded that the density of the Ndoki gorillas was highest. High population density of the Ndoki gorillas was considered to be possible because they have access to a wide repertoire of foods such as highly nutritious terrestrial herbaceous vegetation (THV) and various kinds of fruits and seeds, corresponding to the seasonal fluctuation of food availability. Although the feeding habits and habitat were different between western and eastern gorillas, they shared a basically one-male group composition, large group size, and unit groups that largely shared their home ranges with each other.
著者
西村 智 ニシムラ サトシ Nishimura Satoshi
出版者
中部大学全学共通教育部
雑誌
中部大学全学共通教育部紀要 (ISSN:21892547)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-6, 2017-03

It is no exaggeration to say that the pleasure of reading a narrative lies in anticipating an ending. Not only early structuralist narrative theories such as Gérard Genette's but recent ones, with the possible exception of what is known as <unnatural narratology,< more or less take it for granted that a narrative ends. This assumption dates at least as far back as Aristotle. If a narrative has to end, what remains is the problem of how it ends. This essay concerns the problem of narrative endings as it is addressed in narrative theory.
著者
前田 晴良 上田 直人 西村 智弘 田中 源吾 野村 真一 松岡 廣繁
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.11, pp.741-747, 2012-11-15 (Released:2013-04-04)
参考文献数
44
被引用文献数
1 2

高知県佐川地域に分布する七良谷層の模式層序周辺の泥質砂岩中から,最上部ジュラ系を示す2種類のアンモノイド化石を発見した.そのうちAspidoceras属は,テチス海地域の最上部ジュラ系から多産し,Hybonoticeras属は同地域のキンメリッジアン−チトニアン階境界付近を示準するタクサである.これらの化石の産出により,七良谷層は最上部ジュラ系(キンメリッジアン−チトニアン階)に対比される可能性が高い.この結論は放散虫化石層序とおおむね調和的である.これまで七良谷層は,上部ジュラ系−下部白亜系鳥巣層群の層序的下位にあたる地層と考えられてきた.しかし七良谷層から産出したアンモノイドの示す時代は,鳥巣層群産アンモノイドのレンジと明らかに重複し,アンモノイド化石からは両岩相層序ユニットの時代差は識別できない.したがって,今後,七良谷層と鳥巣層群の層序関係を再検討する必要がある.
著者
西村 智
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.25-37, 2016 (Released:2017-11-16)

本稿は,若者の恋愛離れの非経済的要因として,恋人探しを先送りする行動に着目した。行 動経済学にもとづくアンケート調査と実験結果から,目先の気楽な独身生活を優先させて恋人探しを先送りしている未婚者が少なからずいることがわかった。また,恋愛を先送りしており,かつ,現在偏重型の者は,先送りしていることを自覚させられることにより恋愛においてより積極的になるという結果が得られた。これらの結果は,恋愛の先送り行動に関するさらなる研究の必要性を示唆している。
著者
西村 智子 石川 剛 内藤 裕二
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.1236-1249, 2016 (Released:2016-07-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

超高齢化社会を迎え嚥下機能障害が大きな臨床課題である中,平成26年の診療報酬改定で胃瘻造設(PEG;Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)に関連して嚥下機能評価が保険算定されるようになり,消化器内視鏡医には嚥下内視鏡(VE;Videoendoscopic examination of swallowing)への関与が期待されている.本稿では喉頭内視鏡を用いた効果的なVEの実践的方法について述べる.消化器内視鏡医の役割を明確にし,手技習得のための研修体制の整備を進め,より多くの摂食嚥下機能障害症例をサポートできる充実した体制を確立する必要がある.
著者
寺崎 正治 綱島 啓司 西村 智代
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.43-48, 1999-06-25

本研究においては, 主観的幸福感の構造について検討した, 367人の大学生に対して, 人生に対する満足感質問紙と感情の特性尺度を実施した.その結果, 人生に対する満足感評価は, 「活動的快」感情と正に相関し, 「倦怠」感情とは負に相関した.満足と感情測度の因子分析の結果, 単一の幸福概念が成立することが確認された.主観的な幸福感は人生に対する満足感, 肯定的感情, 否定的感情の部分的には独立している3つの構成要素から成る単一次元であると結論した.
著者
西村 智貴
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

従来の薬物輸送システム(DDS)は、「薬」を運搬体に内包させ、がんなどの疾患部位へと送達する。しかし、運搬体からの薬の漏出に伴う副作用と薬効低下が問題となっており、安全かつ治療効果の高い、新しい医療戦略が求められている。このような背景のもと、本研究では、抗がん剤ざどの薬を必要とせず、がん局所で薬を合成する好中球類似のナノデバイスを創製し、従来型のDDSの課題を黒風した治療システムの構築を目的とした。本年度は、がん周囲のpHで親水化するポリマーの合成及び先行研究の糖鎖ポリマーとの混合により、がん局所でとう可能が更新するベシクルの構築を行った。先行研究で開発したベシクルは、イオン性親水性分子の透過が遅いため、酵素反応が遅い。そこで、がん周囲の環境でプロトン化し、親水化するポリマーを用いて透過性の亢進を試みた。そのために、弱酸性領域にpKaを持つDiisopropyle amineからなるポリマーを銅触媒リビングラジカル重合により合成し、糖鎖セグメントとのカップリングを行った。得られたポリマーは、弱酸性領域にpKaを持ち、そのpKa以下でポリマーの親水化することが判明した。このポリマーと先行研究で得られた糖鎖ポリマーを混合することにより、ハイブリッドベシクルを形成することを電子顕微鏡観察ならびに放射光小角散乱測定より確認した。
著者
河野 芳輝 石渡 明 大村 明雄 古本 宗充 守屋 以智雄 寒川 旭 向山 栄 西村 智博 中居 康洋 粟 真人
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.XXXI-XXXII, 1997 (Released:2010-12-14)
参考文献数
4

平成8年度科学技術庁交付金を受けて石川県が行っている森本断層調査事業の一環として, 同断層に沿う金沢市梅田町の梅田B遺跡 (主に弥生時代~古墳時代) でトレンチ調査が行われ, 活断層の露頭が出現した. 森本断層(三崎, 1980)は, 金沢市北方の海岸平野と丘陵を境する地形境界付近に推定されている, 長さ13kmの活断層である(第1図). 丘陵末端部の洪積層は海側へ40°~70°傾く撓曲構造をなしており(第2図), 1799年の寛政金沢地震がこの断層の活動によるとする指摘もある (寒川, 1986)が, 断層露頭は未発見だった. 新しい道路取り付けのため従来から行われていた遺跡の発掘調査で, 弥生時代の遺構面と水路が, 不自然に海側が高くなっているという指摘があり, 断層運動による撓曲の可能性を考えてトレンチ調査を行った. 長さ8m, 深さ6mの北西方向のトレンチの壁面に, 走向N38°E, 傾斜35°NW, 鉛直落差約1.Om の低角衝上断層の露頭が出現した (第3, 4, 5図). この露頭では, 下部の, よく固結した洪積層 (卯辰山層) がほぼ断層と同じ走向で海側へ40°傾斜し, 露頭上部の水平な未固結の沖積層 (厚さ4m程度) がそれを傾斜不整合で覆っている. 断層運動によって, 洪積層は剛体的に破断して断層に沿って変位しているが, 沖積層は流動変形して下部では押し被せ褶曲をなし, 上へ向かって次第に緩やかな撓曲へ移り変わっている. これらの構造は1回の断層運動で生じたもので, 変位の累積性はなく, 水平変位もほとんど見られない. この断層は海側が上昇した逆断層であり, 丘陵を隆起させてきた森本断層本体の運動とは逆センスなので, 主断層の活動に伴った層面すべり断層(吉岡, 1989)と思われる.トレンチの南北両面に見られる沖積層最上部のシルト層(炭質物の14C年代は2740±50YB. P. )はこの撓曲に参加して南東へ傾き, トレンチ北面では更に上位の弥生時代の腐植土層(同前, 2060±70Y. B, P. )もこの撓曲に参加しているように見える(第6図).上述のように, 断層を横切るトレンチ外の弥生時代の溝の遺構は変位しているが, トレンチの東半部に断面が現れているそれより新しい弥生時代の溝の遺構(同前, 1930±60Y. B. P. )は, 断層運動によって形成された擁曲崖の麓に沿って掘られた可能性がある. また, トレンチ西半部に断面が現れている古墳時代の溝の遺構(同前, 1410±50Y. B. P. )には変位が認められないことから, この断層運動(M6. 7以上の地震に相当)は約2000年前(±500年程度の不確実性があり得る)に発生した可能性が高い. 沖積層基底の炭質物の14年代は4430±60Y.B.P. なので, この断層はそれから現在までの間に1回だけ動いたことになる.周辺地域での従来の地質踏査, ボーリング調査および弾性波探査によると, 卯辰山層基底の高度は森本断層の両側で600mほど食い違っている. この変位が最近80万年間で起きたと仮定すると, 森本断層の平均変位速度はおよそ0.75m/1000年となる. 上述のように, 今回発見されたのは副次的な層面すべり断層と考えられ, 主断層のずれの量はもっと大きかった可能性が高い. 主断層が1mを越す変位を生じたとすると, 森本断層だけではなく, 南方延長の野町断層や富樫断層なども同時に動いた可能性があり, 今後の研究課題である.森本断層は, これまで確実度II(推定), 活動度B(0.1-1m/1000年)とされていた(活断層研究会, 1991)が, 今回の発見によって活断層であることが確実になり, 約2000年前にかなりの規模の地震を起こしたことがはっきりした. また, 今回発見された露頭は, 堆積物の固結の程度によって変形の様子が全く異なることを如実に示しており, 平坦な沖積平野の地下数mにも, このような活断層が隠れていることを証明した点で意義深い.