著者
鈴木 敬子 石川 剛
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

数値標高モデル(DEM)から作成した陰影起伏図は,地形の視認性に優れ,地図の背景にも適した地形表現の一種である.しかし,陰影は光源設定や標高値の強調率に依存し,微地形や複雑な地形を正確に描くことは不可能であった.本研究では,陰影起伏図において光源が与える影響と,斜面方位に応じた陰影の濃度分布に着目し,起伏の規模に関わらず総ての地形が表され,かつ,地図の背景として適した陰影起伏表現の作成を試みた.まず,地形に複数の光源を設定し,最適な光源分布を検討した.複数光源では,全ての斜面に光量と濃度が異なる陰影が与えられ,方向依存性を軽減できるものの,極めて小さな起伏の表現が難しい.そこで,新たに陰影の不足箇所の抽出と補間方法を検討した.その結果,水平方向からの適切な光量と,それらと直交する方向のうち第3,4象限における方位クラスタリング処理から濃度を動的に変化させた陰影を合成することで,従来は表現不可能であった大小の地形が明瞭に描かれることを確認した.本手法による地形の陰影表現は適度な過高感を持ち,任意の色調の段彩と合成しても違和感が少なく,背景図としても利用可能であると考えられる.
著者
河本 和朗 石川 剛志 松多 範子 廣野 哲朗
出版者
飯田市美術博物館
雑誌
伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-17, 2013-03-31 (Released:2019-06-05)

中央構造線は8000万年以上の活動史を持つ.現在の地表で見られる剪断帯の岩石は,深部から上昇を繰り返しながら,異なる深度で繰り返し剪断変形と変質を受けてきた.それらの断層岩の原岩と剪断変形・変質の履歴は活動史の解明の基礎的な情報になる.しかし剪断変形・変質した岩石は原岩と見かけが大きく異なり,薄片の偏光顕微鏡観察によっても原岩の判定が困難なものがある.今回,安康露頭内で見かけが類似する領域ごとに試料を採取して全岩化学分析を行った.薄片観察の結果と化学分析の結果を対比したところ,薄片観察で原岩を推定できた領域については両者の結果はよく一致した.また,強く変質して薄片観察では原岩を特定できなかった淡緑色の変質部は,全岩化学分析で領家帯の斑れい岩質組成であることが明らかになった.ただし薄片観察で淡緑色変質部東縁付近に三波川変成帯の石英片岩が確認され,その東側には断層を介して領家花崗岩類由来のマイロナイトが確認された.さらに東側には別の断層を介して三波川変成帯の泥質片岩が接している.ただしマイロナイトを含むブロックの両側の断層は露頭下部で収れんし,下部では緑色変質部と泥質片岩が接している.そこで緑色変質部東縁でスポット的に見つかった三波川石英片岩の分布と,化学分析で明らかになった領家斑れい岩質組成の部分との境界を明らかにすることが今後の課題である.
著者
石川 剛生
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.356-362, 2009-07-01

研究活動を取り巻く環境の複雑化に伴い,国,大学の規模を問わず,各大学では,今後の研究活動のあり方を巡り,大学の学長,理事の方々は日々頭を悩ませている。「今後どの研究分野を強化すべきか」「どの分野に資源を注力すべきか」等。日本,アジアのみならず,世界的な傾向として見られる。エルゼビア社では,これらの悩みの解消を多少でも支援すべく,新たなツール:SciVal Spotlight(サイバル・スポットライト)を開発した。SciVal Spotlightの主な特徴は何か。どのような機能があるのか。Scopus(スコーパス)との違いは何か。本稿では,具体例を挙げながら,SciVal Spotlightの特徴を紹介する。
著者
杉山 大樹 圓尾 拓也 信田 卓男 石川 剛司 金久保 佳代 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
一般社団法人日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.8-13, 2010 (Released:2010-02-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

肺指症候群と考えられた猫5例の臨床所見について検討を行った。肺原発巣に伴う呼吸器徴候は5例中1例のみで見られ、ほかの4例では呼吸器症状は全くみられなかった。播種転移部位は、主に、指、体表部筋肉、皮膚であった。5例の中央生存期間は60日(12~125)であり、呼吸器徴候を伴い死亡したものは1例のみであった。これらの臨床所見から、本病態における治療として、肺葉切除は意義が低いことが示唆された。また、転移病変は全身に存在することから、断指をはじめとする外科的治療は残存する指や肢の負重増加により動物の生活の質をさらに低下させる可能性が示唆された。
著者
宮代 彰一 林 周吾 安村 健 石川 剛 平尾 敏博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.866-879, 1997
被引用文献数
1 1

文献が何年くらい引用されるかで,その実効寿命を定義する。この値により,その分野の研究開発の動向が推察でき,かつ遡及調査での指針がえられる。本論文では,まず電子デバイス分野につき,IEEEの論文誌,Trans. on Electron Devicesでこれを調べた。最近(1995)では5.3年さかのぼれば,結果的にみて必要な論文の50%を調べたことになる。過去30余年にわたってみると,この値は年を追って長くなる。寿命の短いことは研究開発の始まりやその速さを示し,長いことはその積み重ねや成熟を示すであろう。次に他の分野,すなわち理工学,医学での多数の学会誌(1995)について調べた。いろいろな長さの寿命値をえたが,各分野の性格を表すものと推測した。
著者
西村 智子 石川 剛 内藤 裕二
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.1236-1249, 2016 (Released:2016-07-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

超高齢化社会を迎え嚥下機能障害が大きな臨床課題である中,平成26年の診療報酬改定で胃瘻造設(PEG;Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)に関連して嚥下機能評価が保険算定されるようになり,消化器内視鏡医には嚥下内視鏡(VE;Videoendoscopic examination of swallowing)への関与が期待されている.本稿では喉頭内視鏡を用いた効果的なVEの実践的方法について述べる.消化器内視鏡医の役割を明確にし,手技習得のための研修体制の整備を進め,より多くの摂食嚥下機能障害症例をサポートできる充実した体制を確立する必要がある.
著者
若木 重行 川合 達也 永石 一弥 石川 剛志
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-12, 2018-09-01 (Released:2018-11-06)
参考文献数
22
被引用文献数
2

本研究では,同位体分析を行うために単一の試料溶液からSr・Nd・Pbの3元素を分離する湿式化学分離法を開発した.新手法では,元素選択制の高い3種類の抽出樹脂(Sr樹脂・TRU樹脂・Ln樹脂)と陽イオン交換樹脂を用いた4段の小型カラムクロマトグラフィーを採用し,低ブランク・高時間効率のもとにこれら3元素を逐次分離することが可能になった.新手法においてTRU樹脂は,試料溶液から選択的にNdを含む希土類元素を分離するために用いられるが,TRU樹脂のNd保持率はカラムに導入された試料溶液中のFe量に依存して大きく変化することが明らかになった.本研究では,分析試料のタイプに応じて樹脂容量の異なる3種類のカラムを用意し,それぞれの樹脂容量ごとにNd保持率の低下を起こすFe量の上限値を明らかにした.適切なNd分離を行うためには,試料中のFe濃度をあらかじめ測定し,カラムに導入する試料量をコントロールすることが必要となる.新手法によって,単一試料溶液からの3元素逐次分離を低ブランク下で行うことが可能になったため,今後,掘削試料より分離した少量の有孔虫や,岩石薄片よりマイクロドリリングで分離した極微小量の珪酸塩試料などの微小量試料に対するマルチ同位体分析への応用が期待される.
著者
則末 和宏 松原 由奈 中川 正親 小畑 元 岡村 慶 永石 一弥 石川 剛志
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>現代の海洋には人間活動によって負荷されたPbが存在しており,多くの海域で人為起源Pbが天然由来のバックグラウンドを大きく上回っている。人為起源Pbの発生源は様々であり,発生源に応じて特徴的な同位体比を示す。このため,海水中のPb同位体比を調べることにより,大気から海洋表層へもたらされた人為起源Pbの供給源を推定することができる。また,海水中のPb濃度と同位体比の時系列データがサンゴの骨格に記録されており,現在の海水中のPb の挙動を解析する上で有用な情報となる。このように,Pb同位体比は,人為起源の汚染物質の指標として重要であるのみならず,海洋物質循環の理解にも有用である。このような学術的な特性を有するPb同位体に着目した海洋化学研究を行う。</p>
著者
横山 友暉 廣野 哲朗 小笠原 宏 石川 剛志
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

本研究では、断層掘削プロジェクトのひとつであるICDP DSeisに参加し、回収された断層岩試料およびその母岩の物質科学的特徴について、多角的な分析・実験を実施した。 Moab鉱山の地下2.9 kmからM5.5 Orkney地震の余震発生域に向けて掘削が行われ、断層および付近の母岩のコア試料の回収に成功した。回収されたコア試料は、浅部よりRoodepoort層・Crown層・Babrosco層と区分され、Crown層の貫入岩に断層が位置している。本研究にて分析を実施するため、断層および母岩より計50箇所の試料を採取した。 X線回折による鉱物組成定量の結果、断層が位置する貫入岩は主に滑石・黒雲母・角閃石(透閃石)・方解石で構成され、周囲の母岩は主に石英・長石・緑泥石で構成される。また、蛍光X線分析の結果、断層ではMg・Feに富み、周囲の岩石とは著しく異なる元素組成を示す。一方で、顕微鏡による観察の結果、断層では明瞭な葉状構造が観察された。断層を含む貫入岩は強い変質を示し、原岩(火成岩)としての組織を保持していない。しかし、鉱物組成・元素組成を考慮すると、その原岩はランプロファイアであると考えられる。また、二軸摩擦試験機を用いたせん断実験の結果、母岩の摩擦係数は0.68–0.75であるのに対し、断層では0.54と低い値を示す。 以上の分析・観察・測定結果から、M5.5を引き起こした断層が摩擦強度の著しく低い滑石を多く含むため、広域のテクトニックな力によりランプロファイア沿いに応力が集中し、地震の発生につながったと考えられる。一方で、滑石はランプロファイアには不均質に分布しているため、断層沿いの摩擦強度にはムラがあり、それが地震の規模(破壊域の面積)に影響している可能性がある。 なお本研究および本プロジェクトは、ICDP、JSPS Core-to-Core Proram、高知大学海洋コア総合研究センター共同利用・共同研究ほかのサポートを受けて、実施された。
著者
信田 卓男 福岡 里江子 圓尾 拓也 伊藤 哲郎 川村 裕子 武田 晴央 杉山 大樹 石川 剛司 山田 徹 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
一般社団法人日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.58-63, 2010 (Released:2010-12-15)
参考文献数
25

犬のリンパ腫107例に対して、L-アスパラギナーゼとプレドニゾロンにより初期導入を行い、その反応を分析した。評価可能であった104例のうち、寛解率は92.3%(完全寛解27.9%、部分寛解64.4%)であった。皮膚型リンパ腫より多中心型リンパ腫の方が、有意に寛解率が高かったものの(p=0.045)、ステージ、サブステージ、ステロイド投与歴による差は認められなかった。臨床的に有意なアナフィラキシー反応や膵炎は認められなかった。以上のことから、L-アスパラギナーゼとプレドニゾロンによるダウンステージを目的とした導入は、有効であると考えられた。
著者
石川 剛志 氏家 恒太郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
日本地質学会学術大会講演要旨 第124年学術大会(2017愛媛) (ISSN:13483935)
巻号頁・発行日
pp.207, 2017 (Released:2018-03-30)

【台風のためプログラム中止】 台風18号により学術大会の一部プログラムが中止となりました.中止となったプログラムの講演要旨については,著者のプライオリティ保護の見地から今回に限りJ-STAGEに公開し,引用可能とします.ただし,学術大会においては専門家による議論には供されていませんので「台風のためプログラム中止」との文言を付記します.(日本地質学会行事委員会)
著者
石川剛 訳
出版者
大倉書店
巻号頁・発行日
1913
著者
磯崎 豊 鈴木 建太朗 松山 竜三 松本 尚之 長尾 泰考 石川 剛 原田 明子 松本 貴弘 谷 知子 辰巳 嘉英 今本 栄子 安藤 貴志 小山田 裕一
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.1707-1713, 2009 (Released:2012-07-26)
参考文献数
13

クラミジア直腸炎を3例経験した.全例無症状で,便潜血反応陽性の精査の際に直腸の均一な半球状小隆起の集簇像という特徴的な内視鏡所見と直腸擦過診のChlamydia trachomatis抗原検索によって診断された.治療としてazithromycin hydrateを投与した.クラミジア直腸炎は自覚症状の乏しい症例も多く,画像所見から本疾患を疑い,適切な検査で診断・治療することが必要である.
著者
高柳 栄子 中山 裕樹 石川 剛志 永石 一弥 井龍 康文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.4, pp.237-240, 2010 (Released:2010-10-13)
参考文献数
14
被引用文献数
3

We present strontium (Sr) isotope data for island-surface dolomites at Kita-daito-jima, northern Philippine Sea. The 87Sr/86Sr ratios of 50 samples fall within a wide range from 0.709037 to 0.709079, corresponding to 4.9-2.1 Ma. This wide range in Sr ages reflects the fact that the island-surface dolomites comprise variable mixtures of geochemically distinct, diachronous, dolomite crystal phases. Our results indicate that the Sr isotope ages of multi-generational dolomites on carbonate islands such as Niue and Little Bahama Bank, as well as Kita-daito-jima, should be re-examined employing a new method that determines the Sr isotope ratio of individual crystal phases.
著者
木村 博充 圓尾 拓也 石川 剛司 福山 泰広 久末 正晴 信田 卓男
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.11-15, 2013-05-31 (Released:2013-05-30)
参考文献数
14

Hypofractionated radiotherapy(27-32 Gy/3-4 fractions)was performed in the 3 dogs diagnosed as plasma cell tumors, since complete resection by surgical operation was impossible. In all cases, their tumors were disappeared within 1 to 4 months after radiotherapy. In case1, recurrence has not been noted during a follow-up period of 19 months. Cases 2 and 3 have not showed recurrence for 13 and 6 months, respectively. These results indicated that hypofractionated radiotherapy is effective for canine plasma cell tumors, since reduction of the local mass was seen within a few months.
著者
佐藤 敏彦 信田 卓男 圓尾 拓也 川村 裕子 山田 徹 伊藤 哲郎 武田 晴央 杉山 大樹 石川 剛司 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.20-24, 2012-12-19 (Released:2012-12-19)
参考文献数
17

人の肺癌では、腫瘍随伴症候群として好中球増加症や単球増加症を伴う白血球増加症が報告されている。しかしながら、犬では腫瘍随伴性白血球増加症の報告は少ない。今回、初診時の血液検査にて好中球を主体とした白血球増加症を示した犬に対し、種々の検査を行った結果、巨大肺腫瘤を認め、肺腫瘤の摘出術を行った。術後の病理組織学的検査にて肺腺癌と診断されたが、腫瘍の摘出とともに劇的な好中球数の回復がみられ、肺癌による腫瘍随伴性白血球増加症と診断した。
著者
信田 卓男 石川 剛司 八野田 健 山根 悠太郎 安藤 健二 上條 圭司 柴田 真治 浅利 昌男
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-8, 2012-11-28 (Released:2012-11-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

健康犬の乳腺からのリンパ流路について調べた。解剖学的研究では、リンパ流路の多くが定型的パターンを示したが、個体により変異も見られた。CT 分析では、造影剤を乳腺皮下に少量注射すると非侵襲性で迅速にリンパ経路を可視化することができた。これらのことから、臨床では各個体で、3D-CT によるリンパ造影をすることで、変異のあるリンパ流路の特定が容易になり、その結果、その個体にあった最も適切な乳腺腫瘍の外科切除と予後判定の実施が可能になると思われた。
著者
小野 薫 泉屋 周一 秦泉寺 雅夫 松下 大介 石川 剛郎 山口 佳三 高倉 樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

symplectic 構造は、古典力学における Hamilton の運動方程式の定式化などで重要な幾何構造である。近年は、symplectic 構造そのものの幾何学的研究が進展し、ミラー対称性の数学的研究と相俟って多くの研究者が関心を持つ対象となっている。研究代表者は、symplectic 幾何学で特に重要な Floer 理論とその応用の研究を続けている。今研究計画においては、Floer 理論をトーリック多様体とその Lagrange トーラスファイバーに対して、具体的な研究をし、いくつもの興味ある結果を得た。
著者
川野 浩志 石川 剛司 圓尾 拓也 並河 和彦 信田 卓男
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.23-27, 2012 (Released:2012-04-17)
参考文献数
18

ミニチュア・ダックスフント,オス,12歳が,鼻稜部,体幹部,足根関節部の皮膚病変,腹部膨満と多飲多尿(192 ml/kg/day)を呈して来院した。ACTH刺激試験では,投与前のコルチゾール値が12.1 μg/dl,投与1時間後が68.4 μg/dlであった。下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(PDH)と診断し,小分割照射(毎週1回[6 Gy],合計3回[18Gy])を実施した。飲水量は徐々に減少し,約1年後には85 ml/kg/dayとなり,被毛も改善した。ACTH刺激試験では,投与前が6.3 μg/dl,投与1時間後が36.1 μg/dlであった。ACTH試験では依然高値であったが,PDHに対する低線量小分割照射は,臨床症状の改善には有効である可能性が示唆された。