著者
稲本 万里子 加藤 拓也 小長谷 明彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.F-L12_1-16, 2021-11-01 (Released:2021-11-01)
参考文献数
14

”Phantom Genji Scrolls ”are one of the most debatable artifacts whose painter school is still unknown in the history of art. In this study, the authors have reached a conclusion that the Phantom Genji Scrolls would have been painted by the painters who studied Kyoto-Kano and Tosa painter schools but not Edo-Kano painter school.As a learning data set, more than 1500 face images are extracted from well-known the Tale of Genji pictures painted from Heian (12 Century) to Edo (17 Century) periods whose painter schools are all established in the history of art. The face images are written in typical old painting style so called“line-eye and hook nose (hikime-kagihana)” which often represents the characteristics of the painter schools.The authors not only identified the painter school of the Phantom Genji Scrolls but also discovered the inconsistency in Iwasa painter school by means of artifact-based painter school learning model. The t-SNE scatter plots clearly indicated that the 266 face images extracted from the Phantom Genji Scrolls were surrounded by the Kyoto- Kano painter school learning data sets. It should be also noted that the 266 face images were far from the learning data set of Ujinobu Kano, one of the typical Edo-Kano painter. Interestingly, the Phantom Genji Scrolls and Ujinobu Kano were intercepted by Mitsuyoshi Tosa, one of the typical Tosa painter in scatter plot. This suggests that the painters of the Phantom Genji Scrolls may have been affected by both Kyoto-Kano and Tosa painter schools, instead of Edo-Kano painter school.As for the Iwasa painter school, the authors came across strange behavior that the artifacts of Katsutomo Iwasa were identified as the Tosa painter school, even if the validation data of Katsutomo Iwasa were all included in the learning data set of Iwasa painter school, mostly constituted by Katsutomo Iwasa (244 face images). After careful observation and discussion, the authors have concluded that Matabei Iwasa and Kastutomo Iwasa may be too different to be categorized into the same Iwasa painter school with regards to face characteristics.
著者
津野 駿幸 稲本 万里子 小長谷 明彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2K202, 2018-07-30

<p>近年,IT技術と芸術を融合した新しい研究領域の試みとして,日本美術の代表となる源氏絵のオントロジーを用いた研究および深層学習を用いた源氏絵の分析などの研究が進められている.本研究では仮想空間技術を利用して,平安貴族が鑑賞したと思われる時代屏風の再現を試みる.時代屏風は背景に金箔が貼られており,平安時代には照明器具として灯明が用いられていた.一般に,芸術作品を灯明のような燃焼を伴う灯りで鑑賞することは安全性の観点から困難である.この問題を仮想空間上で灯明の灯りと金箔からの光源反射を忠実に再現することで解決する.</p>
著者
稲本 万里子 加藤 拓也 小長谷 明彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.F-L12_1-16, 2021

<p>"Phantom Genji Scrolls "are one of the most debatable artifacts whose painter school is still unknown in the history of art. In this study, the authors have reached a conclusion that the Phantom Genji Scrolls would have been painted by the painters who studied Kyoto-Kano and Tosa painter schools but not Edo-Kano painter school.</p><p>As a learning data set, more than 1500 face images are extracted from well-known the Tale of Genji pictures painted from Heian (12 Century) to Edo (17 Century) periods whose painter schools are all established in the history of art. The face images are written in typical old painting style so called"line-eye and hook nose (hikime-kagihana)" which often represents the characteristics of the painter schools.</p><p>The authors not only identified the painter school of the Phantom Genji Scrolls but also discovered the inconsistency in Iwasa painter school by means of artifact-based painter school learning model. The t-SNE scatter plots clearly indicated that the 266 face images extracted from the Phantom Genji Scrolls were surrounded by the Kyoto- Kano painter school learning data sets. It should be also noted that the 266 face images were far from the learning data set of Ujinobu Kano, one of the typical Edo-Kano painter. Interestingly, the Phantom Genji Scrolls and Ujinobu Kano were intercepted by Mitsuyoshi Tosa, one of the typical Tosa painter in scatter plot. This suggests that the painters of the Phantom Genji Scrolls may have been affected by both Kyoto-Kano and Tosa painter schools, instead of Edo-Kano painter school.</p><p>As for the Iwasa painter school, the authors came across strange behavior that the artifacts of Katsutomo Iwasa were identified as the Tosa painter school, even if the validation data of Katsutomo Iwasa were all included in the learning data set of Iwasa painter school, mostly constituted by Katsutomo Iwasa (244 face images). After careful observation and discussion, the authors have concluded that Matabei Iwasa and Kastutomo Iwasa may be too different to be categorized into the same Iwasa painter school with regards to face characteristics.</p>
著者
吉澤 剛 ファン・エスト・ リニー 吉永 大祐 田中 幹人 標葉 隆馬 小長谷 明彦
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.164-172, 2018-12-01 (Released:2018-12-01)
参考文献数
38
被引用文献数
5

分子ロボティクスは環境の変化に適応し、自己組織化、進化できる人工的な分子システムの創成を目的とした学術領域である。本稿では分子ロボティクス技術の分野で責任ある研究・イノベーションをどのように促進するかについて検討する。そのためにまず、遺伝子組換え技術やナノテクノロジー、合成生物学やゲノム研究などの先進技術の日本における初期発展段階での社会的反応から教訓を得た。それは《適切な》専門家・ステークホルダーの発見と巻き込み、規制の更新、科学コミュニケーションにおける科学者および市民の巻き込みである。分子ロボティクスの社会的側面に関する学術的・社会的議論の現状として文献レビューや未来ワークショップ、シナリオワークショップを実施した。そこでは幾多の倫理的・社会的・政治的・文化的課題を提起し、次の数十年で起こる望ましい/望ましくないシナリオを描いた。Twitterのテキストマイニング分析では、幅広い市民において分子ロボティクスについての意識や関心、知識がまだ限定的であることを明らかにした。結論として、分子ロボティクスが責任あるイノベーションを可能にするには、分子ロボティクスの発展のスピードを掌握すること、技術的潮流を監視すること、テクノロジーアセスメントのための安定的な知識基盤を確立すること、そして分子ロボティクス研究者と社会科学者との持続可能な相互関係を構築することである。
著者
加藤 拓也 稲本 万里子 小長谷 明彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2D105, 2018 (Released:2018-07-30)

源氏絵とは,『源氏物語』を題材とした絵画の総称である.源氏絵の絵師には土佐派をはじめ狩野派,岩佐派,など多数の流派があり,各流派独自の個性がある.これまでに見つかった作品にはどの流派の絵師が描いたかわからないものがあり,美術史の専門家たち中でも意見が分かれている.そのため新たな知見から流派を判断する手法が望まれる.近年,深層学習の一種である畳み込みニューラルネットワークの画像分類能力の向上は著しく,一部の分野では人間よりも高いという報告もある.深層学習では特徴量がデータから学習されるため,これまで人間が発見していない特徴量に基づく分類をすることが期待できる.本稿では,深層学習による物体検出手法を用いて顔を自動認識し,畳み込みニューラルネットワークにより流派を推定する.5分割交叉検証を行った結果,96.5%の精度で分類することに成功した.
著者
青木 康憲 速水 謙 小長谷 明彦
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.151-159, 2014-12-25 (Released:2017-04-08)

As the observations we can make from patients are limited compared to the complexity of the physiology, underdetermined inverse problems appear often in the parameter estimation problems of physiologically based pharmacokinetics (PBPK) models. We address this issues of not being able to identify the model parameter set uniquely by finding multiple sets of possible parameter sets that are consistent with the observations. As this approach requires multiple parameter estimations of a complex model, the computational cost can be a bottle neck. In this paper, we introduce a new computationally efficient algorithm called the Cluster Newton method to find multiple solutions of an underdetermined inverse problem.
著者
村瀬 喜代美 小長谷 明彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.94, pp.85-91, 2000-10-12

世界で最も重要な音楽作品とされる、J.S.バッハ「マタイ受難曲」における暗黙知の機能を明確にし、その音楽鑑賞において、楽曲に関する知識の有無が生理反応にもたらす影響を、脳波計で測定した結果について報告する。This report intends to explore the function of tacit knowledge in J.S.Bach's St.Mtthew Passion as the most important Musical composition in the world, and investigate influence of the information of the composition upon the listener'sphysiological reaction through the electroencephalographical analyses of Music Appreciation.
著者
小長谷 明彦 池田 将 湯川 博 川又 生吹 野口 洋文 柳澤 実穂 豊田 太郎 梅田 民樹
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

リポソームそのものに感覚,知能,運動の機能を付加するために、リボソーム凝集体の作成、小動物における/in vivo/蛍光イメージ、リポソーム凝集体の評価、グルコース応答性有機分子の合成、膜透過性調整法の確立、DNAハトメ構造の設計、リポソームシミュレーション、可視化シミュレーションを行った。リポソーム凝集体の作成に関しては、インスリンを内包し、血清共存下での膜破裂、血管網を模した/in vitro/評価において血流速度でのマイクロ流体デバイス内部での滞留を確認した(豊田)。小動物における/in vivo/蛍光イメージに関しては、/in vitro/のジャイアントベシクル凝集体に蛍光標識用量子ドットを導入し、量子ドット由来の鮮明な蛍光を確認した(湯川)。リポソーム凝集体の評価に関しては、/in vitro/評価に用いる糖尿病モデルマウスを作成し、膵島移植により血糖を改善できることを確認した(野口)。グルコース応答性有機分子合成に関しては、グルコースに応答して親水-疎水バランスが変化する新規のボロン酸誘導体を設計した(池田)。膜透過性調整法の確立に関しては、タンパク質ゲルを内包したリポソームの形成法およびリポソーム内に封入したペプチドホルモンの膜透過性調整技術について検討した(柳澤)。DNAハトメの創成に関しては、DNAハトメ前駆体のコレステロールによる脂質膜上への固定法ならびに平面脂質膜上におけるDNAハトメ前駆体の拡散・反応による凝集の観察実験を行った(川又)。リポソームシミュレーションに関しては、コンパートメントが2つの場合について数値シミュレーションを行い,実験を再現するための形状と膜面に働く張力との関係について調べた(梅田)。可視化シミュレーションに関しては、超分子設計支援環境を整備しDNAオリガミ構造体ならびにリポソームの原子モデルを作成した(小長谷)。
著者
加藤 拓也 稲本 万里子 小長谷 明彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

源氏絵とは,『源氏物語』を題材とした絵画の総称である.源氏絵の絵師には土佐派をはじめ狩野派,岩佐派,など多数の流派があり,各流派独自の個性がある.これまでに見つかった作品にはどの流派の絵師が描いたかわからないものがあり,美術史の専門家たち中でも意見が分かれている.そのため新たな知見から流派を判断する手法が望まれる.近年,深層学習の一種である畳み込みニューラルネットワークの画像分類能力の向上は著しく,一部の分野では人間よりも高いという報告もある.深層学習では特徴量がデータから学習されるため,これまで人間が発見していない特徴量に基づく分類をすることが期待できる.本稿では,深層学習による物体検出手法を用いて顔を自動認識し,畳み込みニューラルネットワークにより流派を推定する.5分割交叉検証を行った結果,96.5%の精度で分類することに成功した.
著者
佐藤 敦子 幸 瞳 渡邉 千鶴 齋藤 純一 小長谷 明彦 本間 光貴
出版者
情報計算化学生物学会
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.38-52, 2017-05-31 (Released:2017-05-31)
参考文献数
36
被引用文献数
3

CYP群により薬物が代謝されることによる薬効の減弱、薬物間相互作用は創薬研究における重要な課題であり、中でもCYP3A4は医薬品代謝への寄与が最も大きい。代謝不安定性の改善に対しては、一般的に脂溶性の低減や代謝部位の変換などが行われるが、求める薬効との両立が難しく、また代謝部位や結合様式を実験的に決定するには大きな労力が必要となる。そのため創薬現場では、薬効を維持しながら代謝を回避し得る効率的な薬物設計と、予測による低コスト化が求められている。CYP3A4は様々な化学構造をもつ化合物を代謝することから、結合ポケットは非常に大きく、その形状も柔軟に変化し、化合物との結合様式予測は非常に難しい。我々はカルバマゼピン (CBZ) を題材とした先行研究において、ドッキング計算から得た複数の結合ポーズを初期構造とした分子動力学 (MD) 計算を組み合わせた代謝部位予測方法を検討した。本手法では、化合物とCYP3A4との結合自由エネルギー値と、化合物の各炭素原子のヘム鉄への近づきやすさから、代謝部位を予測している。さらに、この手法がより柔軟な構造を有する化合物にも適用可能か確かめることを目的とし、トルテロジンを題材とした代謝部位予測を試みた。この研究では、化合物ドッキングポーズからのMD初期構造選択の際にProtein Ligand Interaction Fingerprint (PLIF) とRMSDの2種類のクラスタリング手法を用い、効率的な初期構造選択方法と予測結合様式からの代謝安定化デザインについて議論する。
著者
小長谷 明彦 新 淳
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.625-626, 1988-09-12

Prologに代表される論理型言語では、プログラム(クローズ)を名前(述語名)を用いて参照するため、大規模システムを開発する際に名前の衝突がシステム開発の大きなネックとなる。この名前の衝突を解決する方法の一つとして、Common Lispではパッケージを利用した多重名前空間を提供している。本稿ではこのような多重名前空間を論理型言語に適用した際の利用法、設計上の問題点、ならびにマルチプロセス環境への拡張について述べる。本稿で述べる多重名前空間は第五世代計算機プロジェクトの一環として開発した逐次型推論マシンCHI上の論理型言語SUPLOGに実装稼働している。
著者
藤正 巖 松谷 明彦
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、システムダイナミックスを用い、2000年、2005、2010年の社会構造推計エンジンを開発し、世界、諸国、日本、都道府県、市区町村の個別のモデルを試作し、クラウドコンピューティングのデータベースに蓄積してきた。これまでの3種の推計エンジンの結果からは、将来の社会構造は驚く程確定的に定まることが明らかになった。この成果を本研究の仮想実施空間であるPost-Max-Network-Workshop(PMN工房)に提供した
著者
鳥居 淳 近藤真己 本村 真人 池野 晃久 小長谷 明彦 西 直樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1622-1631, 1998-06-15
被引用文献数
21

1チップ上に複数のPE (Processing Element)を集積することを前提にした制御並列処理アーキテクチャMUSCAT (MUlti?Stream Control Archi Tecture)を提案する.MUSCATはスレッド管理のハードウェア化とスレッド間のレジスタ継承をサポートし,並列実行オーバヘッドを大幅に低減している.また,制御/データスペキュレーションという2種類のスレッド投機実行をサポートしている.シミュレーションによる評価の結果,4PEモデルで1.5?3.0倍の性能向上を確認した.さらに,同一ハードウェア規模のスーパスカラプロセッサの性能を上回ることが明らかになった.An on-chip control parallel multi-threaded architecture:MUSCAT has been proposed.MUSCAT supports hardware-controlled thread management and interthread register inheri-tance mechanisms to reduce multi-thread execution overhead.It also employs control and data speculative execution.Simulation results indicate that a four processing-element multiprocessor achieves one and a half to three times better performance than single processing-element model.It is demonstrates that MUSCAT performance is better than a super-scalar processor with the same hardware resources.
著者
谷 明彦 増田 達男 下川 雄一
出版者
金沢工業大学
雑誌
KIT progress : 工学教育研究 (ISSN:13421662)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.121-130, 2007-03-01

金沢の街は藩政時代の城下町の歴史を残しているところに特徴がある。しかしながら、高度経済成長期以降の人口の流出に伴って、月極駐車場の増加等、空間的にも空洞化が著しい昨今である。一方、これまでの城下町研究および建築遺構の調査を通して、藩政時代の城下町の姿が次第に明らかになりつつある。そこで、歴史の喪失とは正反対に、3次元のコンピュータ・グラフィックス(CG)によって、城下町金沢の空間を復原しようとする歴史創出プロジェクトの試みを紹介するものである。GIS(地理情報システム)上で、城下町金沢の正確なデジタル地図を制作し、これをベースとして、かつての代表的な武家屋敷、足軽屋敷、町家等を3次元CGによって建て並べる景観シミュレーションである。幅広い層や学際的な利用等、新たな歴史情報の可能性を展望するプロジェクトである。