著者
都司 嘉宣
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.35-51, 1982-03-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
10

In the evening of November 7, 1855, a large earthquake occurred beneath the sea off the southern coast of the Tokai district, central part of the Honshu Island. Recently more than fifty kind of historical documents were discovered, and we obtained much amount of knowledge about it. Most serious damages occurred in several villages on the coast in the vicinity of Hamamatsu City, where destruction of houses and gushing of sand were reported. Shock of intensity IV (in JMA scale) was experienced in the western part of Shizuoka Prefecture and at several cities on the east coast of the Kii Peninsula. After the occurrence of the earthquake, a small tsunami was generated, and was observed at the Shimoda Port near the tip of the Izu Peninsula, and at three ports on the east coast of the Kii Peninsula, where inundation height was one to two meters. The coast was upheaved near the mouth of the lake of Hamana where it had been subsided with the occurrence of the Ansei Tokai Earthquake of December 23, 1854. In contrast to that, the coast near the cape of Omaezaki was subsided with this earthquake, which had been upheaved with the Ansei Tokai Earthquake.The estimations of the location of the epicenter and the magnitude were made by adapting least mean square method to the formulae which give the relationship between the magnitude and the area of intensities IV, V, and VI. The location of the epicenter and the magnitude are estimated 34.5°N, 137.8°E and M=7.1, respectively.
著者
篠原 雅尚 村井 芳夫 藤本 博己 日野 亮太 佐藤 利典 平田 直 小原 一成 塩原 肇 飯尾 能久 植平 賢司 宮町 宏樹 金田 義行 小平 秀一 松澤 暢 岡田 知己 八木 勇治 纐纈 一起 山中 佳子 平原 和朗 谷岡 勇市郎 今村 文彦 佐竹 健治 田中 淳 高橋 智幸 岡村 眞 安田 進 壁谷澤 寿海 堀 宗朗 平田 賢治 都司 嘉宣 高橋 良和 後藤 浩之 盛川 仁
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2010

2011年3月11日、東北地方太平洋沖でM9.0の巨大地震が発生し、地震動・津波被害をもたらした。この地震の詳細を明らかにするために、各種観測研究を行った。海底地震観測と陸域地震観測により、余震活動の時空間変化を明らかにした。海底地殻変動観測及び地震波反射法構造調査から、震源断層の位置・形状を求めた。さらに、各種データを用いて、断層面滑り分布を明らかにした。現地調査により、津波の実態を明らかにし、津波発生様式を解明した。構造物被害や地盤災害の状況を明らかにするとともに、防災対策に資するデータを収集した。

1 0 0 0 OA 慶長9年の津波

著者
三好 寿 佐藤 要 都司 嘉宣
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.174-180, 1989-06-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
7
被引用文献数
1

慶長9年 (1605年2月3日) の津波波源が, 2個分離型か, 1個合体型かは, 日本社会の直面する最重要問題のひとつである. 海洋学知識が普及していない時代には, 八丈島 (含・小島) の被害パターンが重要な鍵と考えられた.戦後の動乱期に, その情報が日本に入り, 貿易風による大波と津波の複合という重要考察が読み落され, 1946年のアリューシャン津波が超巨大津波と想定された情況に似る.筆者らは延べ8年間の, 八丈島をめぐる1月, 2月の季節風風向の統計を求め, 八丈島の被害パターンは, 非常に高い確率で, 季節風による大波に若干の津波が重なったものによるとして説明し尽されることを示した.これにより, 静岡県の多数の寺の過去帳が1605年2月3日の人命損失を記録していないことを, 分離型震源との結論の鍵と考えても後顧の心配がないことが示された.
著者
河田 恵昭 都司 嘉宣 松富 英夫 今村 文彦 松山 昌史 高橋 智幸
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.63-71, 1993-06-30

On December 12,1992,5 : 29 a.m. UTC (1 : 29 p.m. local time), a magnitude M7.5 (USGS) earthquake struck the eastern region of Flores Island, Indonesia. A highly cooperative international survey team was formed, consisting of twenty scientists and engineers. Our Japanese team visited Indonesia on December 25,1992 to January 10,1993 and managed the field survey on earthquake and tsunami disasters. The first tsunami was reported to reach the shore of Flores Island within five minutes after the earthquake, because it is characterized as an extremely near-source event. About 1,000 people were killed by the tsunami. The maximum runup height measured is 26.2m at Kroko. Through the questionnaire the human behavior at the moment of tsunami attacking was studied. The lessons from the tsunami disaster will be useful for the Tokai tsunami prepardness in Japan.
著者
阿部 邦昭 阿部 勝征 都司 嘉宣 今村 文彦 片尾 浩 飯尾 能久 佐竹 健治 BOURGEOIS J. NOGUERA E. ESTRADA F.
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.23-70, 1993-06-30

1992年9月2日に中米ニカラグア国太平洋側沖合い海域に発生したニカラグア地震と津波の野外調査を行い,ニカラグアの太平洋海岸での震度と津波浸水高の分布図などを得た.沿岸の各集落での改正メルカリ震度階では震度2または3であって,まったく地震動による被害も生じず,揺れは気がつかない人も多数いるほど小さかった.これに対して,津波の浸水高は,南部海岸で100kmの長さにわたって,平均海水面上6~7mにも達したことが明らかとなり,今回の地震が1896年の明治三陸津波の地震と同様の,地震動が小さかった割に津波規模が異常に大きな「津波地震」であることが判明した.本震発生の直後の余震分布から判断すると,震源の広がりは,ニカラグアの太平洋側海岸線に平行に西北西.東南東に走る海溝軸にそった長さ約200km,幅約100kmの海域と判断される.津波の被害を生じたのもほぼこの震源域と相応した海岸区域であった.また地震波の解析からこの地震は,ココスプレートがニカラグア本土を載せたカリブプレートに沈み込む際の,両プレートの境界面でのずれのよって生じた低角の逆断層型の地震であることが判明しているが,ニカラグアの2ヵ所で得られた検潮記録,および引き波から始まったと各地で証言されている津波初動の傾向はこの地震メカニズムと調和的である.検潮記録,証言,および津波伝播の数値計算結果によると,津波は地震が発生して44~70分後に,まず小さな引き波が来て,その直後に大きな押し波が押し寄せるという形で海岸を襲った.沿岸各地では15分周期で2ないし3波継続したと証言されている.また津波の被害に関しては,浸水高が4mを越すと急激に人的被害が増加すること,津波による建築物の被害の割に死者数が少なかったこと,死者数のうち子どもの占める割合が大きいことが今回の津波被害の特徴であった.
著者
都司 嘉宣
出版者
日本海洋学会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.159-168, 1998-02-25

インドネシアは国土が日本と同じような列島弧からなっており,地震,津波火山災害の多い国である.1992年以後今日までの5年間に4回もの津波が発生しており,津波による総溺死者数は1,500人を超えると見られる.1992年のFlores島地震を始め,近年にインドネシアで起きた津波4例を検証し,この国に津波警報システムを構築する構想について考察する.
著者
今村 文彦 後藤 和久 松本 秀明 越村 俊一 都司 喜宣 牧 紀男 高橋 智幸 小岩 直人 菅原 大助 都司 嘉宣
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

千年に一度程度発生する低頻度巨大津波災害であるミレニアム津波ハザードの事例を取り挙げ,災害史学から明らかにされる史実に加え,地質学・堆積学・地形学・地震学など科学的な手法に基づいて補完することで,沖縄および東北地方でのミレニアム津波ハザード評価を検討した.まず,八重山諸島において津波で打ち上がったサンゴ化石(津波石)の分布調査および解析により,1771年明和津波に加え,850,1100 yrBPの2期存在する可能性が示された.さらに,仙台平野でも学際的な調査を行い,869年貞観地震津波に加え,1260や2050yrBPされた.2011年東日本大震災で得られた津波被害関数などの検討も実施した.