著者
野村 雅昭 Patricia Welch
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.59-88, 1996-03-31

フレーム理論とは, 人工知能, 心理学, 言語学などの分野で近年研究が盛んになった概念である.人間の行動における認識の枠組みとでもいうべきもので, 「予想の力」などと言われることもある.言語学では, 談話分析に応用されることが多い.小稿では, この理論を用いて落語を談話としてとらえ, そのユーモアが生じる過程を分析することを目的とする.「長屋の花見」は, 大家が貧乏長屋の店子を連れて花見に出かけるというだけの単純なストーリーからなるが, きわめてクスグリ(笑いを起こさせるための手法)に富んだ落語である.その笑いの多くは, 大家と店子との対話から生まれる.それは, それぞれの持つフレームの対立によってもたらされる.すなわち, 金持ち/貧乏, 生/死, ごちそう/粗食, などの対立するフレームがそこから取り出される,その食い違いが笑いの誘因とデなっている.それらをまとめると, この落語は正常と異常の7レームの対立を軸としていることがわかる.そして, 特に<有り得る/有り得ない>という対立が全体を通して存在する.大家は<有り得る>世界の代表者であり, 店子はしばしば<有り得ない>世界に飛び出してしまう.そこに対立が生まれ, ユーモアが生じることになる.このような方法は, そのほかの落語の分析にも有効だと考えられる.
著者
野村 圭介
出版者
早稲田商学同攻會
雑誌
文化論集 = The Cultural review (ISSN:09184589)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.93-128, 2000-03

研究ノート
著者
野村昌靖 著
出版者
瑞岳堂
巻号頁・発行日
1921
著者
辻本 早織 越久田 健 越久田 活子 宇根 有美 野村 靖夫 代田 欣二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.329-331, 2005-03-25
被引用文献数
2

腹部膨満を示し高窒素血症を呈した3か月齢の雌の三毛猫を剖検し, 右側腎臓腹側に尿臭を持つ黄色透明液体を容れる巨大な腎周囲嚢胞(8.5×6.0×4.5cm)を認めた.嚢胞内腔は不規則に拡張した腎盂と腎実質を貫く小孔で連絡していた.嚢胞は上皮に内張りされ, 壁は膠原線維と平滑筋で構成されており, 腎盂や尿管壁の構造に類似していた.嚢胞に接する腎実質間質には, リンパ系細胞の浸潤を認めた.嚢胞は発生異常による腎盂憩室と考えられた.
著者
野村 茂樹 水島 大[シュン]
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.621-630, 1941

The foot-binding remains in Chinese as a time honoured manner and custom that is to bind women's feet from childhood. But Chinese women have a dislike to have one's own feet seen by other persons. For this reason, the study of foot-binding is so poor, that there is hardly any literature addicible for it. Accidentally we have had an opportunity to see many foot-bindings during the present Sino-Japanese Affairs. Summaries of our studies concerning about it are following: 1) The foot-binding in the Chinese has various forms, generally the distance from heel to back of foot is mostly long and variant. 2) The influene of foot-binding has not only local transinformation, but has bad effects upon the whole body.
著者
増井 啓太 野村 理朗
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.15-24, 2010-07-31 (Released:2011-09-01)
参考文献数
66

Impulsivity is a multidimensional personality trait and a common symptom of various mental disorders. In this paper, we review multiple perspectives such as behavioral studies, neuroimaging studies, and genetic association studies about response inhibition, which is one aspect of impulsivity. In various studies, the stop-signal paradigm (SSP) has been used to investigate inhibitory mechanisms. In our study, first, the procedure and theory of SSP are introduced. Second, the neural mechanism during response inhibition is ascertained using functional neuroimaging machinery. In particular, the activation of the right ventro-lateral prefrontal cortex associated with the success in response inhibition is examined. A number of genetic association studies showed that specific gene phenotypes affect the accuracy of response inhibition. Thus, understanding the mechanism of response inhibition is linked to the fundamental resolution of impulsive control disorders or personality disorders.
著者
野村 俊昭 石井 六哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.68, pp.39-46, 1995-05-26
被引用文献数
1

本論文では,快音・不快音の特徴を解明するため,パワースペクトルに着目し9種類の自然音について解析を行った。解析は,始めに各対象音を一定のフレーム長で切り出してパワースペクトルを算出した。次に求めたパワースペクトルについて1次と2次の関数による近似を行い,近似関数の係数をパラメータとした。各音のパラメータを比較した結果,パワースペクトルの4kHz〜20kHzの帯域を2次関数での近似を行うと,快音は2次の係数が負,負快音は正になる。またパワースペクトルがピークに達してからの減衰の傾斜が,快音は緩やかな傾斜から10kHzを越えて急峻な傾斜となる。これに対し不快音は快音の急峻な傾斜に比べ緩やかな傾斜で減衰し高域にホワイトノイズ的成分を持つことが分かった。
著者
花見 正幸 松本 浩良 野村 靖夫 高橋 令冶
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.699-702, 1996-07-25

イソプロテレノール(ISP), ヒドララジン(HYD), カフェイン(CAF), シクロホスファミド(CYC)とアドリアマイシン(ADR)をLD_<50>または1/10 LD_<50>でラットに一回静脈内投与し, 1 hrと4 hr後の心筋病変の病理組織学的評価を行った. ISP群でLD_<50>投与1 hr及び4 hr後と1/10 LD_<50>投与4 hr後に, HYD, CAFとCYC群でLD_<50>投与4 hr後に, 心筋線維の均質で強い好酸性化, 過収縮帯形成と断裂からなる病変を認めた. 病変は, ISP, HYDとCAF群で左心室壁内側1/3と左心室乳頭筋, CYC群では左右心室心筋全域に分布していた. ADR群では心筋病変は誘発されなかった.
著者
木之瀬 隆 野村 みどり 大崎 淳史 木之瀬 隆 徳永 亜希雄
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

特別支援教育を推進するバリアフリー生活情報環境デザインのあり方に関する研究の目的は、わが国の障害児教育が従来の特殊教育から個々の教育的ニーズに対応する特別支援教育への大きな変革に合せて、養護学校のバリアフリー生活環境デザインのあり方についてハード・ソフトの両面を含めたグローバルで学際的視点から課題を明確にすることであった。研究は2部で構成され、研究Iは特別支援教育で重要となるインクルーシブ教育の実態把握としてノルウェー王国の調査を行いまとめた。ノルウェーでは、ノーマライゼーションの考え方と合せてWHO国際生活機能分類(以下、ICF)の障害観に基づく教育が展開されており、地域での障害者支援技術としてアシスティブテクノロジー(Assistive Technology : ATと略す)のサービスと合わせたサポート体制が整っており、特別支援学校の展開にソフト面として重要な情報を得ることができた。研究IIはノルウェーの特別支援教育プログラムを参考に日本の養護学校における環境面からのアプローチを検討し、千葉県立桜が丘養護学校の教室とトイレに天井走行式リフターを導入し「抱っこによる移乗」の改善を試みた。その結果、授業時間にリフターを活用した重度重複障害児の自宅にリフターを設置し、自宅における環境改善と家族の介護負担の軽減が大きく図れた。一方、千葉県立袖ケ浦養護学校では、寄宿舎にリフターを設置することで、介助者の安全性・身体的負担軽減に有効であった。また、浴室に設置したリフターは利用する児童にとって、入浴の楽しみと快適性を高めるQOLの向上につながった。また、自立活動室にリフターを設置し、授業中のリフター活用で教諭の腰痛予防に配慮した安全性向上による移乗動作の獲得と自立活動の歩行補助用具としてのリフター活用の可能性を評価することができた。今後の課題としては、社会資源の活用を含めたバリアフリー生活情報環境のリソースセンター機能の構築が必要である。また、教育場面では教諭を中心とした、関連職種による支援体制整備と「個別の指導計画」の中に、ICFの視点から、児童の学校生活、自宅生活、卒業後の自立生活を視野に入れた、環境面からの目標を導入することが挙げられる。