著者
松田 慶士 田中 真琴 野村 泰之 鴫原 俊太郎 大島 猛史
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.55-61, 2022 (Released:2022-07-15)
参考文献数
15

症例は70歳代男性.数ヵ月前から39℃を超える発熱,咽頭痛,皮疹の出現を繰り返していた.初診時,口腔内および咽頭喉頭にアフタ性潰瘍が多発していたため,急性咽喉頭炎による重症感染症を疑い抗菌薬治療を行った.咽頭喉頭所見は加療により概ね改善し,皮疹も消退傾向であったが,軽微な炎症反応,弛張熱,大球性貧血は遷延していた.貧血の精査目的に骨髄生検を施行.精査中に新たな皮疹も出現したため,皮膚生検を施行した.生検の結果,骨髄異形成症候群を合併したSweet病の診断に至った. 急性咽喉頭炎に皮疹を合併した症例で,抗菌薬治療を行っても症状が遷延する場合には,背景にSweet病や自己免疫疾患などが存在する可能性がある.
著者
野村 真 前田 剛伸 嘉戸 直樹 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.195-199, 2017 (Released:2017-05-02)
参考文献数
23
被引用文献数
15 6

〔目的〕運動イメージの明瞭性の個人差が複雑性の異なる手指対立運動のイメージ課題における上肢脊髄神経機能の興奮性に及ぼす影響についてF波を用いて検討した.〔対象と方法〕対象は健常者30名とし,Vividness of Movement Imagery Questionnaireの得点結果より運動イメージの明瞭性の高い群,低い群にふりわけた.運動イメージ課題は複雑性の異なる3種類の手指対立運動とした.各群における安静試行と各課題の振幅F/M比の変化を比較検討した.〔結果〕振幅F/M比は運動イメージの明瞭性の低い群において安静試行と比較して課題2,課題3で有意に増加した.〔結語〕運動イメージの明瞭性の個人差が運動イメージ中の脊髄神経機能の興奮性の違いに影響を及ぼす可能性が示唆された.
著者
田妻 卓 杉本 太路 阿部 貴文 大野 成美 儀賀 麻由実 内藤 裕之 河野 智之 野村 栄一 山脇 健盛
出版者
一般社団法人 日本頭痛学会
雑誌
日本頭痛学会誌 (ISSN:13456547)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.193-197, 2021 (Released:2021-09-01)
参考文献数
15

症例は16歳男性.10歳時より視野の左側に出現する点状の模様に続いて後頭部痛があり,その頻度が増加し,全身強直間代性痙攣を生じて入院した.MRIで両側後頭葉に瘢痕脳回を認めた.視覚症状は後頭葉てんかん発作としての要素性幻視と考えられた.レベチラセタム投与により幻視および頭痛は消失し,痙攣の再発なく経過した.要素性幻視は,片頭痛ではジグザグした模様が視野の末梢へ緩徐に動くが,後頭葉てんかんでは円状または点状で視野の中心や出現部位と対側へ速く動くことから,病歴聴取が鑑別に有用であった.前兆のある片頭痛と後頭葉てんかんの鑑別には,視覚症状の詳細な病歴聴取と頭部MRI画像が有用と考えられた.
著者
野村 泰之
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.149-153, 2009 (Released:2009-08-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1
著者
野村崇 宇田川洋編
出版者
北海道新聞社
巻号頁・発行日
2001
著者
野村 正
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.860-865, 1967-09-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
81
被引用文献数
1 1
著者
斉藤 竜平 赤尾 浩慶 かせ野 健一 野村 祐介 北山 道彦 津川 博一 梶波 康二
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.541-544, 2009 (Released:2010-02-08)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

症例は80歳女性.慢性心房細動にて,2003年5月よりワルファリン投与開始.2.0 mg/日でPT-INR:1.6∼2.2で安定していた.最終のPT-INRは2008年5月26日の1.58であった.同年5月末より全身倦怠感,食欲低下を認めたが,近医にて明らかな異常を認めず自宅療養にて経過観察していたところ,血尿を認めたため,6月4日当科外来を受診.PT-INR 12.88と著明な延長を認め,ワルファリン内服を中止のうえ,入院となった.入院時貧血と尿路感染症(E. coli)および低アルブミン血症(Alb:2.2 g/dl)以外には異常は認めなかった.PT-INRの正常化により血尿は消失し,抗生剤治療で尿路感染症の改善を認めた.その後,全身倦怠感の消失とともに食事摂取量は増加し,低アルブミン血症も改善した.最終的に従来と同様の2.0 mg/日内服にて,PT-INR 1.8程度で安定した.本症例は内服コンプライアンスに問題はなく,経過中にワルファリン作用を増強させる薬物の併用,肝·腎障害,悪性腫瘍,甲状腺機能異常は認めなかった.尿路感染症による急性炎症反応と食欲低下によって引き起こされた低アルブミン血症が遊離ワルファリン濃度を上昇させたことが高度のPT-INR延長に関与したと考えられた.一般に,高齢者は体内薬物動態(吸収,分布,肝臓での代謝,VitK依存性凝固因子合成能,腎排泄)の低下に加え,感染や脱水等急激な体内環境変化への反応性が減衰しており,ワルファリン投与に際して注意深いモニタリングが必要であることが示唆された.
著者
小島 弘昭 荒谷 邦雄 吉富 博之 野村 周平 渡辺 泰明
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

伊豆諸島の甲虫相解明のため,研究の遅れていたゾウムシ上科,ハネカクシ科,水生甲虫類を対象に調査を実施し,固有3新種を発見した.また,遺存固有と考えられていたクワガタムシ科2種,ゾウムシ科1種について分子系統解析を行い,前2者は極最近,周辺地域に分布する近縁種から分化した種であること,ゾウムシについては人為的移入の可能性が示唆された.島としての成立年代が新しい伊豆諸島は,生息する固有種も起源的に新しい可能性が高いことが明らかとなった.さらに,甲虫相から見た伊豆諸島のホットスポットとして御蔵島がその候補となり,北伊豆諸島の利島もこれまで考えられていた以上に重要な地域であることが示唆された.
著者
野村 哲也 西良 雅夫 中筋 加恵 澤井 克彦 吉川 範子 立川 茂樹 安宅 啓二
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.223-226, 2004-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10

急性の肺血栓塞栓症を来し心停止となったが,3時間の心肺蘇生法の後に心拍が再開し,ほとんど神経学的欠損なしに回復した症例を経験した。症例は57歳,女性。左股関節再置換術を受けるため,深夜の長距離バスを利用して翌朝に来院,直後に心停止となった。乗車中ほとんど動いていなかった。3時間の胸骨圧迫による心肺蘇生法の後,心拍が再開し意識が回復した。肺動脈近位部の血栓が心臓マッサージにより破砕され,心拍が再開した可能性が考えられた。長時間の心肺蘇生法を行ったが出血所見を認めなかった。肺動脈の血栓を破砕吸引し,血栓溶解療法を行った。その後肺水腫となり,循環も不安定であったが,徐々に改善し人工呼吸器からも離脱できた。上肢にわずかに振戦を認めたのみで独歩退院できた。心肺蘇生法をいつまで行うかについては明確な基準はないが,長時間の心肺蘇生法にもかかわらず神経学的後遺症をほとんど認めなかった症例を経験した。
著者
野村 浩郷
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, 1991-01-15
著者
有馬 孝 愛澤 禎典 野村 誠治
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.110-117, 2014 (Released:2014-01-31)
参考文献数
58
被引用文献数
3 5

Coking coal necessary for cokemaking process is exhausted in progress; increasing the ratio of non- or slightly-coking coal is required. However, non-or-slightly coking coal causes a lot of structural defects in the coke lump and decreases coke strength because of its low dilatation and high shrinkage.For increasing the ratio of non- or slightly-coking coal, pre-treatment technology of coal such as the coal size control, increasing the coal bulk density and the rapid preheating reforming etc. have been developed and a new cokemaking process SCOPE21 that consists of those technologies have already started and high quality of coke is produced using over 50% of non- or slightly-coking coal. In addition, knowledge of coke structure formation mechanism and degradation mechanism of coke were remarkably developed.This paper reviews the past research on coal utilization technologies, carbonization mechanism and coke structure and degradation behavior of coke, and describes future direction of research and development for increasing the ratio of non- or slightly-coking coal.
著者
八藤後 猛 野村 歡
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.488, pp.159-164, 1996-10-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

Researched the usage of Hoists, Table lift, Stair lift, and Home elevator used in homes. Recognized that those equipments not only reduce the physical workload of a family, but also help reduce the mental burden of both a disabled person and his or her family. Those are used in daily life and improve the quality of life. However, since the houses must be remodeled to install those equipments, most user currently own their own houses. Therefore, it is difficult for the people who need these to install immediately. Also, the number of accident while using those machines is low, and no serious accident has occurred. Yet most people worry about the safety of using those machines, except home elevators, so better safety measures for those are required in the future.
著者
井上 浩三郎 市川 満 橋本 正之 野村 民也 林 友直 広沢 春任 高野 忠 INOUE Kozaburo ICHIKAWA Mitsuru HASHIMOTO Masayuki NOMURA Tamiya HAYASHI Tomonao HIROSAWA Haruto TAKANO Tadashi
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集: ハレー彗星探査計画報告 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.33-46, 1987-03

Telecommunications systems are indispensable to control spacecraft and gather telemetry data from space. After the launch of each spacecraft, the telecommunications systems worked well and supported the observation around the encounters with Halley's comet. The system performances have been confirmed to be coincident with the design through operations. This chapter describes the design principle and constitution of the telecommunications systems, and the operational results together with system evaluations.
著者
野村 季和 江原 由泰 岸田 治夫 伊藤 泰郎
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.118, no.4, pp.341-346, 1998-04-01 (Released:2008-07-15)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

In this work, the effect of discharge condition on the NOx reduction performances by a superimposing barrier discharge plasma reactor is experimentally investigated. The superimposing barrier discharge plasma reactor consists of double coaxial cylinders. The outer tube is made of Pyrex glass with aluminum foil electrode which is the outer electrode. The inner tube is a glass one filled with NaCl solution which is the central electrode, and nickel wire electrode wound on the surface of central electrode is the inner electrode. Amplified AC high voltage is applied to the outer electrode and central electrode, and the inner electrode was used as a common ground. A superimposing discharge is generated by surface or silent discharge of 50Hz and changeable frequency. Experimental investigation has been conducted to reduce NO concentration by two kinds of single discharges operating mode and three kinds of superimposed barrier discharge on the changeable frequency.The results show that the reduction rate of NO at superimposed barrier discharge is higher than that of a single discharge at the same applied voltage. At the range of low discharge power, the highest reduction rate is obtained by silent discharge mode. However, the discharge power is more, the highest reduction rate is obtained by surface discharge mode.
著者
西川 真那 島田 典明 永山 泉 福島 和彦 天野 圭慧子 川北 智英子 澤田 真理子 木野村 賢 福島 正樹 浅野 健一郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.199-205, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

57歳男性, 透析歴35年. C型肝硬変があり週初めの血液透析 (HD) 後にのみ肝性脳症Ⅲ度を繰り返した. 低カリウム血症などの誘因はなく, 分岐鎖アミノ酸製剤とラクツロース, レボカルニチンを追加し透析液の重炭酸濃度を低減した. しかし再び週初めのHD後に肝性脳症Ⅲ度となり血漿アンモニア濃度は219μg/dLであった. CTで太い門脈-大循環シャントを認め, ドップラー超音波で測定した門脈血流はHD後に低下していた. 血液濾過透析 (HDF) への変更で門脈血流の低下を減少でき, カナマイシンも追加し以後の肝性脳症はみられていない. 肝性脳症の原因にはアンモニアなどの代謝異常に加え, 門脈血の大循環への流入がある. HDにより大循環の圧が低下することで, 門脈-大循環シャントを介した門脈血の大循環への流入量が増えHD後の肝性脳症を惹起するとされる. HDFによる門脈血流の保持を含めた集学的治療で肝性脳症の再発を抑制できた.