著者
日山 亨 國弘 真己 朝山 直樹 卜部 祐司 岡信 秀治 小野川 靖二 國弘 佳代子 桑井 寿雄 児玉 美千世 佐野村 洋次 永井 健太 濱田 博重 古土井 明 実綿 倫宏 毛利 律生 吉岡 京子 田中 信治 岡 志郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.467-479, 2023 (Released:2023-06-29)
参考文献数
101

プロバイオティクスは日常診療において頻用されているが,現在,その使用ガイドラインは作成されていない.そのため,「広島大学消化器内科関連病院プロバイオティクス使用ガイドライン」を作成した.実地診療における疑問や問題を取り上げ,7(実質10)項目のクリニカルクエスチョンを決定した.作成に当たっては「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0」に従い,推奨の強さとエビデンスの質を示した.なお,この領域における本邦からのメタアナリシスなど質の高い報告は少なく,委員のコンセンサスを重視せざるを得ない部分も多かった.ガイドラインは現時点でのエビデンスの質に基づいたものであり,医療の現場で患者と医師による意思決定を支援するものである.個々の患者に応じて,柔軟に対応する必要がある.
著者
野村 亮太
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PI-011, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

2020年には,ソーシャルディスタンシングという用語が一般化し,多くの人が集まる会議は制限されている。それらの代替手段として,企業や大学ではweb会議がこれまでにないほど高い頻度で行われるようになった。web会議では,画面中の相手に注意を向けなければならないことに加え,時に通信状況に起因した遅延が生じるなど,通常の会議では経験しない出来事も生じやすい。あるタイミングで会話中にふと静まり返り,誰も言葉を発しない時,フランスのことわざで「天使が通る Un ange passe.」と表現される。こうした少々の気まずい瞬間の生起頻度について,著者の知る限り正確な統計はないが,体験的にはweb会議での方が多いようだ。本研究では,会議で円滑にターンテイキング状況とぎこちない場合で何が異なるかを比較できるように,行動指標の定量化を目指した。具体的には,多人数が参加するweb会議を想定して,画面から人の顔を検出し,瞬目タイミングを同定するプログラムを作成した。また,瞬目生起タイミングの一致度について比較できる統計量を定義した。今後は,通信による遅延が生じない360度カメラでの映像とweb会議で統計量を比較する予定である。
著者
須釜 淳子 石橋 みゆき 大田 えりか 鎌倉 やよい 才藤 栄一 真田 弘美 中山 健夫 野村 岳志 山田 雅子 仲上 豪二朗 佐藤 直子 柴田 斉子 長谷 剛志 深田 順子 三鬼 達人 有田 弥棋子 浦井 珠恵 大川 洋平 北村 言 臺 美佐子 高橋 聡明 玉井 奈緒 飛田 伊都子 野口 博史 松本 勝 三浦 由佳 向井 加奈恵 麦田 裕子 吉田 美香子 倉智 雅子 白坂 誉子 山根 由起子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.790-810, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
58

目的:本資料は,日本看護科学学会より公開した「看護ケアのための摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに関する診療ガイドライン」の要約版である.方法:本診療ガイドラインは,「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に従い,研究エビデンスと益と害のバランス,患者の価値観などに基づき作成された.結果:身体診査技術を用いた系統的アセスメント,反復唾液嚥下テスト,改訂水飲みテスト,フードテスト,頸部聴診法,超音波診断装置による嚥下観察,内視鏡による嚥下観察に関するクリニカルクエスチョンをもとに,10の推奨が作成された.8つの推奨はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)2Cとして評価され,残りの2つはGRADEなしとして評価された.結論:看護ケアのためのアセスメントに焦点を当て,最新の知見を盛り込んだ信頼性の高い診療ガイドラインが作成された.本資料は要約版であり,臨床実践への活用が期待される.
著者
濱口 冴香 山本 貴和子 佐藤 未織 大海 なつき 隈元 麻里子 小川 えりか 野村 伊知郎 山本 康仁
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.132-137, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
13

急性食物蛋白誘発胃腸炎(acute FPIES)の経口食物負荷試験(OFC)における,OFC施行時期,過去の症状の重症度や負荷量と,OFCでの誘発症状の重症度の関係については明らかでない.今回,生後1か月まで混合栄養で症状がなかったが,生後3か月時の普通ミルク再導入により軽症のacute FPIESを疑う症状を呈し,確定診断のために国際コンセンサスガイドラインに準拠した通常負荷量でOFCを施行したところ,意識障害やアシドーシスを伴う重症な症状を呈したacute FPIESの乳児例を経験したため報告する.乳児期,また最終エピソードからOFCまでの期間が短い場合は,ガイドラインに準拠した負荷量でも重症の誘発症状を生じる可能性があり,負荷量設定,緊急時対応の事前準備が,安全なOFC実施に重要である.Acute FPIESに対するOFCの方法はまだ標準化されておらず,今後のエビデンスの蓄積が必要である.
著者
野村 亜紀子
出版者
財務省財務総合政策研究所
雑誌
フィナンシャル・レビュー (ISSN:09125892)
巻号頁・発行日
vol.150, pp.46-75, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
31

少子高齢化が進む日本では,公的年金はマクロ経済スライドによる給付抑制を実行することが求められており,私的年金の役割が増すと共に,私的年金自体の持続可能性が重要を増す。私的年金の一種である確定拠出年金(DC)は2001 年の導入以降着実に普及しているが,改善すべき制度上の課題も抱えている。まず,DC 拠出限度額は,個人が働き方 や職場の年金制度等に関わらず均等に拠出機会を享受できる方向での,抜本的な見直しが求められる。租税理論及び財政の観点からは,私的年金税制の「EET 型」への移行も重要な論点となる。また,多くの個人がDC に加入し有効活用していることが重要であり,更なる普及拡大に向けて自動加入制度のような思い切った手段も検討の余地がある。さらに,DC 制度の運営の担い手は民間企業であり,事業として持続可能でなければならない点には留意が必要である。
著者
野村 信威
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.136-154, 2021 (Released:2022-08-25)
参考文献数
79
被引用文献数
1

This paper presents a systematic review of the effectiveness of reminiscence therapy (RT) and life review interventions conducted to date in Japan, and it attempts to examine their effectiveness, after introducing two reviews that were undertaken abroad. The results of the meta-analyses showed that RT slightly improved the quality of life and self-esteem of participants without dementia, and RT slightly improved cognitive function and withdrawal in participants with dementia. However, the results from the meta-analyses was judged as having a low quality of evidence. For future research, this paper also indicates the importance of the “art” aspect of RT, the so-called knowledge from clinical practice, which has rarely been evaluated in the research paper of empirical studies.
著者
小笠原 尚志 大徳 和之 野村 亜南 川村 知紀 谷口 哲 福田 幾夫
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.345-350, 2019-09-15 (Released:2019-10-02)
参考文献数
6

大動脈食道瘻は手術死亡率が高く,予後不良な疾患である.症例は胸部下行大動脈嚢状動脈瘤による嚥下困難を認めた72歳男性.胸部ステントグラフト内挿術施行4カ月後にendoleakによる大動脈瘤の拡大をきたし,食道内視鏡検査で中部食道に突出する壁欠損を伴う腫瘤を認めた.腫瘤内部は血栓で充満していた.大動脈造影ではステントグラフトの小彎側からI型のendoleakを認め,腫瘤内への血流を認めたため大動脈食道瘻と診断した.発熱はなく,血液検査ではCRPの上昇を認めたが,白血球数は正常であった.人工血管に感染が及ぶことが必至と思われたため,開胸人工血管置換術および健常大動脈壁による瘻孔閉鎖を行った.人工血管は大網で被覆し,瘻孔部と隔離した.術後経過は順調で,術後4年のCT検査では食道穿孔部の治癒を確認,9年後の現在健在である.
著者
権野 めぐみ 西尾 真樹 来田 宣幸 野村 照夫 松井 知之 東 善一 平本 真知子 橋本 留緒 幸田 仁志 渡邊 裕也 甲斐 義浩 森原 徹
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.101-106, 2023-02-28 (Released:2023-03-02)
参考文献数
34

本研究では,下腿・足部スポ-ツ障害の有無とジャンプ前後の腓腹筋筋硬度の関係を検討することを目的とした。対象はジュニアアスリート43名であった。メディカルチェックでは,下腿・足部障害の有無を評価した。筋硬度測定では,20秒間片足8の字ジャンプをおこなわせ,ジャンプ前後の腓腹筋筋硬度測定を実施した。ジャンプ前後を被験者内要因,障害の有無を被験者間要因とした2要因分散分析をおこなった結果,有意な交互作用がみられた(F=5.586, p=.023)。単純主効果については,ジャンプ前後とも陽性者の筋硬度が有意に高く,陽性者,陰性者ともにジャンプ後の筋硬度が有意に高値であった。陽性者は陰性者と比べ,ジャンプ前後の筋硬度差が有意に大きかった。下腿・足部障害と腓腹筋筋硬度との関係を示すことができ,ジャンプ動作中の身体の使い方がジャンプ直後の筋硬度の上昇量および障害の有無に関係することが示唆された。
著者
野村 真理 Nomura Mari
出版者
金沢大学経済学経営学系
雑誌
平成20(2008)年度 科学研究費補助金 基盤研究(C) 研究成果報告書 = 2008 Fiscal Year Final Research Report
巻号頁・発行日
vol.2006-2008, pp.4p., 2009-04-02

ナチ・ドイツによるユダヤ人迫害(ホロコースト)は、一般によく知られているが、その最大の犠牲者は東ヨーロッパのユダヤ人であり、また、そのさい東ヨーロッパ現地の住民が迫害に加担した事実は、ほとんど認識されていない。本研究の成果である著書『ガリツィアのユダヤ人--ポーランド人とウクライナ人のはざまで』(人文書院、2008年)は、現在ではウクライナに属する東ガリツィアを例に、文献資料の他、回想録や同時代の日記史料を用い、現地住民とホロコーストとのかかわりを人びとの心性にまで立ち入って解明した日本ではほとんど唯一の著作である。
著者
田巻 松雄 狩谷 あゆみ 文 貞実 中根 光敏 山口 恵子 山本 薫子 稲月 正 稲葉 奈々子 野村 浩也 佐藤 繁美 西澤 晃彦
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究から得られた主な知見は以下の通りである。1.近年における野宿者の増大と寄せ場における労働市場の縮小とは密接な関係にある。ただし、寄せ場の縮小は不況の単なる反映ではなく、建設産業の大きな再編に起因する。建設日雇労働市場の就労経路が多様化するとともに、飯場の実態に見られるように、建設日雇の労働条件が一般的に悪化している。2.近年の寄せ場の著しい変容には、寄せ場を都市下層の姿を隠蔽しつつ同時に労働力をプールする場として利用してきた行政の寄せ場対策のドラスティックな政策転換が関係している。3.野宿者の増大と可視化にともなう社会問題化によって国及び自治体でのホームレス対策が本格化しているが、従来、福祉面での対応に比べて労働対策の遅れが著しかった。近年、「就労自立」を軸とするホームレス対策が急展開しているが、行政的な狭い枠組みでの「自立」をもとに野宿者を分類・選別するなど、改善すべき課題は多い。4.従来、寄せ場や野宿の問題を語ることは、とりわけ高齢単身の男性を語ることであった。しかし、女性の野宿者が増大している事態、さらに寄せ場の歴史を捉えなおす上でも、ジェンダー的視点を盛り込み、男性野宿者の周辺部にいる女性野宿者の位置から探題設定することが必要になっている。5.野宿者問題は産業構造の変容・再編に伴う労働問題や行政施策の仕組みなどが深く係わる現代の貧困問題であり社会問題であるが、野宿者や日雇労働者、さらには外国人労働者を社会に適合しない特殊な人々と見る社会的風潮は依然強く、このことに起因すると思われる社会的排除の現象が様々な形で生じている、
著者
末廣 栄一 藤山 雄一 杉本 至健 五島 久陽 篠山 瑞也 小泉 博靖 石原 秀行 野村 貞宏 鈴木 倫保
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.178-184, 2016 (Released:2017-03-25)
参考文献数
17
被引用文献数
4 2

One Week Study 2012 (日本頭部外傷データバンク) によると, 軽症・中等症頭部外傷は入院を要する頭部外傷の86%を占め, 頻繁に遭遇する病態である. 中等症頭部外傷においては15%, 軽症頭部外傷においては7.6%の割合で重症化し, 外科的治療が必要となっており, 軽視せずに慎重な判断や対応が重要である. 入院後は, 重症化の危険因子を踏まえたうえで, 積極的な経過観察が重要となる. 頭蓋内病変の有無や重症化の予測ツールとしてS-100B proteinやD-dimerなどの血液biomarkerが注目を浴びており, 自験例も含めて紹介する. 軽症・中等症頭部外傷においては, “重症化” への対応と同様に, 高次脳機能障害や脳震盪後症候群などの社会的問題への対応も重要である. 今後, 脳神経外科医が真摯に取り組むべき分野である.
著者
野村 真未 石田 健一郎
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.47-51, 2017 (Released:2018-04-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1

細胞が細胞としてあり続けるため,また自己増殖するためには,エネルギー生産や細胞分裂は欠かすことができない機能であり,これらの機能はすべての細胞が持ち合わせている.一方,主に単一の細胞のみで生活する微細藻や原生生物に目を移してみると,各々の細胞は実に多様で,特殊な機能を有していることが分かる.例えば,珪藻の細かくて精巧なガラスの殻形成や,ハプト藻のハプトネマの急速なコイリング,渦鞭毛藻のベールを使った捕食,そして,有殻アメーバの細胞外での殻形成など,これまでの細胞研究から得られた知見では説明できない現象が多数存在する.本稿では,有殻アメーバの殻形成という現象に焦点をあてた.有殻アメーバは,仮足以外の細胞質を殻の外に出すことはなく,殻を細胞分裂に先立って新たに構築し,新規殻へ娘細胞を送り込むという分裂様式を持っている.驚くべきことに,新規殻は細胞外の鋳型のない空間に,レンガ状の鱗片を仮足を使って積み上げることで構築される.Paulinella chromatophoraは,安定した培養系の確立された数少ない有殻アメーバの一種である.我々は,P. chromatophoraを材料として,有殻アメーバによる被殻構築という現象が,細胞のどのような構造や機能により引き起こされるのかを理解することで,細胞が持つ機能の可能性を探ってきた.
著者
野村 眞康
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.46-50, 1953 (Released:2008-11-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

1. One strain of Pseudonas wan isolated from the soil and used in this study. 2. As the decomposition products of d-tartaric acid by resting cells, succinic and acetic acids were isolated and identified. Furthermore, it was confirmed from the quantitative studies (Table 2, Part 1 and 2) that anaerobic decompositien of d-tartaric acid is performed according to the following equation;_??_ 3. Standard free energy of formaton of bivalent d-tartaric ion at 25°C was calculated to be -242, 990 cal./mol. (Table 3) and the free energy change in the anaerobic decomposition of d-tartarate, i, e., 3 Tartaric''+2H2O=2Acetic' +Succinic''+4HCO3'+2H was calculated to be -64, 400 cal., or -21, 500 cal./mol. of tartarate (cf. Table 4). 4. It was suggested that this decomposition may proceed according to the equation (2) (3) (4) (5). 5. Dried preparation of cells was found to contain the enzymes which catalyze the oxidation of d-tartarate. 6. The enzymes involved in the oxidation of d-tartarate by this bacteria were shown to be adaptive in nature (Fig. 1).

1 0 0 0 OA 徳と技術知

著者
野村 光義
出版者
東京都立大学哲学会
雑誌
哲学誌 (ISSN:02895056)
巻号頁・発行日
no.44, pp.15-29, 2002-03-20
著者
田野村 忠温
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.3-26, 2018-03-31

The etymology and history of the Japanese/Chinese name Eigo/Yingyu for the English language has remained barely examined. This article will demonstrate that Eigo/Yingyu became the conventional name for English as late as in the second half of the nineteenth century, and that thitherto there were various names for English both in Japanese and in Chinese. It will also be discussed whether or not one of the two languages exerted influence on the other with respect to the creation and/or spread of Eigo/Yingyu.