著者
野村 泰朗 中川 美穂
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学教育学部教育実践総合センター紀要 = Journal of Integrated Center for Clinical and Educational Practice (ISSN:13477420)
巻号頁・発行日
no.13, pp.33-38, 2014

若者が引き起こす命に関わる重大事件が起きるたびに「命の教育」の重要性が繰り返し論じられている.しかし,「思いやり」ひとつ取ってみても,学校教育の中では実感を伴う学習を意図的に行うことは難しい.本研究では,乳児ロボットを活用することにより,命と向き合い困難な状況において命あるものに対する対応について判断を求められる場面を意図的に作り出すことによって,体験的に生命倫理に対する各自の態度形成を促す指導方法の開発を目指す.実際に大学生を対象にした実証実験により,乳児ロボットを用いた育児体験プログラムが乳児に関する知識理解への動機付けを高めるとともに,生命倫理に対する態度を高めることが示唆された.Nowadays, the importance of bioethics education is growing up. But in school, it seems very hard to improve the methodology of teaching without real daily life experience. This research forcuses the usage of child-care-training infant robot to prepare the opportunity of real experience of caring child in school. This paper show the new curriculum of home economic subject using infant robot to cultivate students' attitude to the bioethics. Also through the experience of caring infant robot, the curriculum aims to improve students' knowledge about the characteristics of infant and young child. Results of practical research with university students shows the effectiveness of this curriculum. Through this practical experiment, the knowledge of university students became more stable and the attitude to the bioethics grew up.
著者
本行 忠志 野村 大成 青笹 克之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

膿胸関連リンパ腫(PAL)と甲状腺リンパ腫(TL)のp53,K・rasの遺伝子変異をPCR・“Cold SSCP"法,Direct sequencing法にて解析した。TLは、microsatellite instability(MSI)も検討した。PALでは、21症例中14症(67%)にp53遺伝子の変異を認めた。13個の点突然変異のうち12個(92%)にG:C→A:T transition、2個(15%)にCpG siteのtransition,10個(77%)にdipyrimidine siteのtransitionを認めた。これは、PAL以外のリンパ腫や放射能被爆した人に発生した肺癌における変異のパターンと大きく異なっている。K・rasの変異は、3例(14%)で、p53の変異との関連性は見られなかった。TLでは、21症例中2例(9.5%)にp53の変異を認め(codon190.codon272)、K・ras変異は4例(19%)(2例codon12、2例codon13)であった。次に21例のTLに対して16個の異なったmicrosatellite repeatsをPCR法にて解析した。21例のTLは病理学的にdiffuse large B cell lymphoma(DLBL)10例、follicle center lymphoma6例、marginal zone B cell lymphoma of extranodaltype3例、lymphoplasmacytic type2例に分類され、DLBLのみに5例microsatellite instability(MSI)が見られ、他のタイプに対して有意(p<0.05)に高い頻度であった。これら5例中4例(80%)がK・ras遺伝子の変異を伴っており、replication error(RER)とK・ras変異の関連性を示唆した。また、これは、“遺伝的不安定さ"がTLのlow gradeからhigh gradeへのprogressionに関与している可能性を示唆している。PALとTLの遺伝子変異には明らかな違いが見られた。PALではEBV感染(PALは100%)の影響や、長期にわたる治療薬や細菌やウイルスの産物がp53遺伝子に特殊な変異を引き起こした可能性が、TLでは慢性甲状腺炎に加え、EBV感染の影響や、免疫異常によりRERが起こった可能性が考えられる。今後、さらに各リンパ腫に影響を及す因子について追求していきたい。
著者
野村 大成 中島 裕夫 藤堂 剛
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

1.マウス胸腺リンパ球Apoptosisの放射線感受性を決定する優性および劣性遺伝子群:凍結切片を用い微量放射線(0.01-0.5Gy)によるApoptosisを鋭敏に検出する方法を開発した。この方法を用い、中程度の放射線感受性を示すN4系マウスと抵抗系のC3H/HeJマウスとの遺伝交配により、単純にメンデル遺伝する1つの優性遺伝子(Apo-1)があることを証明した。従来のlinkagetestに加え、PCR法を用いた染色体標識遺伝子(マイクロサテライト)による全染色体マッピングを行った。その結果、第4染色体に連鎖を認めた。更に、高感受性のC57BL/6Jマウスと抵抗性C3H/HeJマウスのRecombinant inbred(RI)マウス(BXH)を用い、2つの劣性遺伝子(apo-2,3)を見つけ、マッピングを行い第9染色体Mod-1、第12染色体Ighの近傍に存在することがわかった。2.胸腺リンパ球の集団自決機構:本来、胸腺リンパ球のApoptosisは単一の細胞死によるとされていたが、本法により一定数の細胞が集団で死亡することを判明した。この集団死は、2時間後には観察され、4時間でピークに達する。12時間を過ぎると死細胞は排除され、単一の死細胞が散在して観察されるため、誤解されていたのかもしれない。また、胸腺の器官培養により放射線誘発Apoptosisは、低温処理およびcyclophosphamideで抑制されることがわかった。3.リンパ性白血病との関係:マウスリンパ性白血病発生に関する放射線感受性にも系統差が見られ、Apoptosis高感受性マウス系統は白血病高感受性であることを証明した。しかし、RIマウスを用いて検討したところ、異なる遺伝子によることが判明した。
著者
梁 治子 中島 裕夫 野村 大成
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

電離放射線のヒトへの継世代的遺伝リスクを、人類の通常の被曝形態(低線量・低線量率による被曝)で調べるのが本研究の目的である。チェルノブイリ核施設崩壊による被曝は、人類が放射線曝露を受ける被曝形態そのものである。共同研究者K.G.Yelisseeva博士により被曝者群(ベラルーシ共和国に居住し事故後、除洗作業に携わった父親とその配偶者および子供から構成されている家族)、非被曝者群(同国内の非汚染地区に居住している家族で被曝者の子供と年令、性別をマッチさせた子供をもつ家族)のリンパ球を冷凍保存し、大阪大学医学部放射線基礎医学講座で保存している。遺伝リスクの検出には、マイクロサテライト変異検出系を試みた。リンパ球は約10^7個まで培養増殖させた後DNAを抽出し変異を検出した。最終的に変異検出可能な対象としてのF1子孫は、被曝者群62人、非被曝者群85人である。用いたマイクロサテライトは常染色体由来21、X染色体由来1、Y染色体由来19種である。マイクロサテライト変異頻度(/locus/gamate)は、被曝者群、非被曝者群について、常染色体由来が0.64%(12/1858)と0.80%(19/2362)で統計学的にも差はみとめられない。Y染色体由来については、被曝者群、非被曝者群で、0.44%(3/675)と0.23%(2/835)で被曝者群で変異頻度が高い傾向がみられたが、有意差はない。被曝者群については、父親の精細胞の照射時期から分類すると、F1子孫はspermatogonia期40、post spermatogonia期22人である。両精子期についての、変異頻度はpost spermatogonia期におけるほうが低い頻度であった。
著者
野村 恭彦 筧 大日朗
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.148-154, 2014-01-15

サービスシステムのデザインは,サービスそのもののデザインのみならず,そのサービスを取り囲む多様なステークホルダーの社会的行動をデザインすることを意味する.既存の枠組みでは解決できなくなった複雑な問題に対し,多様なステークホルダーを招き入れ,アイディアと社会的ムーブメントを同時に生み出すフューチャーセッション・アプローチは,この目的にきわめて合致した手法である.欧州で広がったフューチャーセンター,日本で広がりつつあるフューチャーセッションの最先端動向を鳥瞰し,よりよいサービスシステムのデザインを行うための洞察を示す.
著者
勝矢 淳雄 藤井 健 河野 勝彦 山岸 博 野村 哲郎 遊磨 正秀
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

上賀茂の住民と協働して北大路魯山人生誕地石碑を建立した。反対者への対応の仕方とその波及効果について多くの知見を得た。京都の特産のミズナがスグキナの作物としての成立に関与した可能性が示せた。ナミテントウは、60年前の結果と比べ、日本全土で暖地に適した二紋型の割合が増えていることを明らかにした。台風域内で、風の左右非対称性を明らかにした。近年の河川改修がアユ産卵場を失う可能性のあることを示唆した。
著者
亀澤 寛之 野村 真義 平木 敬
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.80, pp.25-32, 2003-08-04

ネット上でサービスを行うサーバプログラム、特にウェブサーバの性能に関する研究はこれまで多くなされてきた。しかし、家庭内へのネットワークの普及、複雑化するサービス、サービスの種類増大に伴うファイルサイズの増大を考慮すると、サーバの性能向上は未だ重要課題である。コンピュータやネットワークスイッチの価格性能比の向上もあり、近年のサーバ/OSに関する研究は、OS の改善等よりサーバの性能向上を行うより、クラスタ化やハードウェアの性能をあげる事による性能改善を行う議論が多くなされてきた。しかし、サーバプログラムの性能を議論する上では、単一マシン上での実験によるパラメータの計測も不可欠である。本稿では、独自に開発した実験用OS(Orbと呼称)上で、様々なパラメータとシングルスレッドウェブサーバ、thttpd の性能測定を行う。Orb は キメラ的なOSであり、オリジナルなコードを多く含むが、他のOSから流用したコードも含んでおり、Linux2.4 のほとんどインタフェイスに加えて、BSD でサポートされるkqeueue を実装している。thttpd(www.acme.com)は single thread で poll/kqueue mmap と 非同期socket を用いた高速webサーバである。計測結果では、cpu が networkに追いつく場合には個々の要素のオーバヘッド改善よりもスケジュールが問題になる事示す。There are many studies for performance improvement of Internet Servers, especially web servers.Current trend of increasing home internet users, more and more complicated service,large file size with variety of services, show improvementing web server performance is still impotrant problem. With decreasing cost of computers and network switch, recent studies for server/OS are about performance of clustering, hardware enhancement,performance with security,instead of perfomance improvement with new OS interface.However for considering server application program, it is important that performance measurements on single machine. In this paper,we present performance measurement of thttpd\cite{ACME}, on Opereating System ``Orb'' which we developped.Orb is a kimera OS,has original code and imported code from Linux and BSD,and support Linux2.4 interface + BSD's kqueue.thttpd is a very fast web server developped by ACME Laboratory.That is designed as single-threaded web server,using poll/kqueue,mmap,non-blockin socket.From our experiments, when cpu overcomes network,scheduling is more important than each working cost degration techniques.
著者
野村 幸加 吉田 圭一郎
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.225-233, 2009 (Released:2012-03-15)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は,東京ディズニーランドに対して抱くイメージを,その対象者の地域的な背景,特に対象者との距離に着目して明らかにした。居住地の異なる大学生を対象に,SD法に基づいた評定尺度法調査を行い,因子分析を適用して,イメージの構成要素を抽出した。また,因子得点をもとに,東京ディズニーランドまでの距離によるイメージの差異を検証した。因子分析の結果から,東京ディズニーランドのイメージは,主に「心理的因子」,「視覚的因子」の2つの要素によって構成されていた。第1因子である心理的因子には,「わくわくする」「楽しい」など対象者の主観的な感情が表れており,第2因子の視覚的因子は「静か」「緑が多い」といった景観を客観的に捉えたものであった。スピアマンの順位相関係数によると,心理的因子は距離と関係があり,その理由としてカリギュラ効果が考えられた。また,訪問回数を介して距離が視覚的因子に影響を与えていると考えられた。
著者
野村 憲司 斎藤 興毅 片桐 滋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.441, pp.61-66, 2012-02-20

本研究では,単眼カメラを搭載したラジコンヘリコプターを回転飛行させて,画像特徴に基づき全自動で全周パノラマ画像を生成することを目指す.本研究が扱う課題では,全周パノラマ画像であるため多くの画像を用いなければならず,また,ラジコンヘリコプターの移動やブレを含んだ画像であるため,特徴や対応点を正確に求めることができないことから,平面射影変換行列を用いて全周分の画像の変形を行うことが困難である.そこで,ロバスト推定法による外れ値を除いた対応点と輝度値の誤差最小化を用いた平行移動のみによる手法を用いて合成する位置を決定して,全周パノラマ画像をロバストに自動生成し,従来法との比較を通して有用性を示す.