著者
渋谷 俊昭 金山 圭一 上野 健一郎 木村 洋子 後藤 昌彦 籾山 正敬 北後 光信 白木 雅文
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.91-95, 2010-10-20

歯周組織に及ぼす喫煙の影響を検討する目的で,歯肉線維芽細胞へのニコチンの影響について検討した.歯肉線維芽細胞は通常の培地で24時間培養され,次に1μg/ml,0.1μg/ml,0.01μg/ml のニコチン含有培地で培養した.細胞増殖能を測定するために培養終了24時間前に3H-Thymidine を添加した.培養終了後に放射能計測を行い,細胞分裂能を観察した.さらに同様の培養後に細胞形態を観察した.また細胞骨格の観察の目的でFITC Phalloidin で染色し,ストレスファイバーの観察をおこなった.ニコチン添加1μg/ml 群では有意に細胞増殖能が低下した.また1μg/ml 群では細胞形態は紡錘型を呈していた.さらに細胞骨格のストレス線維は収縮し,粗になっていた.これらの結果から,歯肉線維芽細胞の増殖にニコチン摂取が抑制的に関与することが示唆された.
著者
遊間 義一 金澤 雄一郎 遊間 千秋
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.35, pp.115-130, 2010-10-01
被引用文献数
2

オイルショック後の日本における少年による殺人事件の発生率に対する完全失業率の効果については,これまで十分な検討がなされていない.この間日本社会には大規模な変化が生じている.完全失業率と少年による殺人事件発生率の間に長期的に安定した関係(共和分関係)が存在したのか,あるいは,いずれかの時点で両者の関係に構造変化が生じたのであろうか.Gregory and Hansen(1996a,1996b)の残差を用いた構造変化を許容する共和分関係の検定を実施したところ,16歳と17歳の中間少年にも,18歳と19歳の年長少年にも,完全失業率と殺人事件発生率の間に安定した正の長期的関係が存在する一方,構造変化は認められないことが分かった.この結果から,完全失業率の増加は殺人発生率の増加を引き起こすことが理解できる.考察では,これらの結果の含意と,構造変化の可能性について検討した.
著者
倉田 さつき 金谷 誠久 水内 秀次 永禮 旬
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.121-125, 1993-02-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
3

重症心身障害児者(以下重心)病棟において一括して施行するハブラシの洗浄消毒方法について検討した. 入院患者歯磨き後のハブラシを水道水流水, 0.5%グルタルアルデヒド, 0.1%次亜塩素酸ナトリウム, 85℃高温乾燥機, 70℃流水でそれぞれ洗浄, 消毒し, 好気性菌について残存菌数を比較した. また種々の細菌をハブラシに付着させ, 同様の洗浄, 消毒後の残存生菌数を比較した. さらにハブラシに残存した細菌群をより短時間で除菌する目的で, 電子レンジによるマイクロ波照射を湿潤状態, 乾燥状態の歯磨き後のハブラシに対して行い, 残存菌数の測定を行った. ハブラシに付着した細菌の除菌についてはグルタルアルデヒドと70℃の流水がそれぞれ充分な除菌効果が得られたが, 前者は毒性が残留するため, 湯を用いての洗浄が重心病棟で日常行いうる有効な方法と考えられた. 電子レンジでは, ハブラシの湿潤, 乾燥にかわからず, 5分の照射で充分な殺菌効果が認められた.
著者
金平 茂紀
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.77, pp.77-104, 2010-07-31

In the US, public opinion polls have steadily become a part of ordinary life. There is a wide variety of implementation systems for opinion polls, and they cover a wide range of issues. Increasingly, we can see the tendency in the US that conductors of opinion polls have been polarized or politically factionalized in parallel with the polarization of media. There is also a great division in the public about how they evaluate opinion polls. We can see some opinion polls in the US actually mislead the public. The fundamental cause of this misleading is the process of converting complicated realities into numerical data. Furthermore, we can point out that methodological and technical factors like bias in the process of sampling and data handling, misrepresentations by the media, and so on. The crux of the problem in the media is that in many cases opinion polls are manipulated to reinforce certain narratives. More importantly, we should think of the practical context in which the opinion poll that is currently being dealt with, will eventually be used. In Japan, we can see clear tendencies of Japanese the media to put a high priority on the approval rating for the Cabinet as the decisive factor when measuring the success of administration. In fact, opinion polls simply represent a particular outcome, and should not become the causes of that outcome. Some people in Japan are pointing out that we are facing the risk of reification of abstract figures by believing opinion polls too blindly. To avoid believing opinion polls blindly, we should carefully consider the limitations of opinion polls and think critically about their effects.

1 0 0 0 御冠船夜話

著者
金武良章著編
出版者
若夏社
巻号頁・発行日
1983
著者
金間 大介 野村 稔
出版者
科学技術・学術政策研究所 科学技術動向研究センター
雑誌
科学技術動向 (ISSN:13493663)
巻号頁・発行日
no.142, pp.13-18, 2014-01 (Released:2014-02-13)

農林水産省の調査によると、約50%の営農者がこれまでの農業経営において情報通信技術(IT)を利用しており、かつ今後も利用したいと答えている。ただし、その多くが比較的簡易な利用に留まっており、農業生産の飛躍的な向上が期待されるようなIT の利用はわずかとなっている。 農産物の生産量や品質は気温、日射量、土壌水分、施肥量などの影響を大きく受ける。適切な生産管理により収益を向上させるためには、これら環境データと実際に収穫した収量データをつき合わせ、最適な施肥量や作業時期を決める必要がある。そこで環境データをセンシングできるデバイスやカメラ等の観測機器を設置し、各地点の環境データや生育状況がリアルタイムで入手できるシステムの開発・導入が進められている。また、収集されたデータの蓄積・分析・活用の面でも、クラウドサービスを中心とした取り組みの進展がみられている。 こうした農業へのIT 導入の動きを活かし、大きな成果に結びつけていくためには、地域の大学・自治体と関係政府機関が協力して、IT の導入をサポートできる人材の確保・充実、現場におけるIT 利用の実証、知識や成果の共有促進などの施策により、営農者のIT リテラシーの向上を図っていくことが望まれる。
著者
際本 宏 神田 英憲 大西 規夫 江左 篤宣 杉山 高秀 朴 英哲 金子 茂男 栗田 孝
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1007-1010, 1988-06

Tests for evaluating the function of the nervous system in patients with erectile impotence have been performed indirectly with the measurement of nerve conduction velocity in the extremities and other neurological procedures, since it has been technically difficult to measure the nerve conduction velocity of the dorsal nerve of the penis. Calculation of the nerve conduction velocity of the dorsal nerve of penis from values of the bulbocavernosus reflex latency was not reliable and the development of a technique to measure accurately the nerve conduction velocity of the dorsal nerve of penis has been awaited. Ten impotent men were studied, and a precise description was made about the procedure of measuring the orthodromic nerve conduction velocity of the dorsal nerve of the penis. The dorsal nerve of the penis was stretched optimally with a weight of 300 g, and its conduction velocity reached the maximal value. This new methodology is of use in the evaluation of erectile impotence.
著者
村田翔太郎 屋良朝克 金田一将 五百蔵重典 田中博
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1608-1613, 2014-07-02

筆者らはナビゲーション,ロボットの自動走行などへの適用を目標に10cm以下の測位誤差を実現できる超音波を用いた屋内測位システムを開発してきたが,測位対象に専用の超音波送信機を所持・装着する必要があり,一般ユーザ利用展開への課題になっていた.そこで,一般に広く普及し,携帯性も高いスマートフォンを送信器として利用するシステムの検討を行った.しかし,スマートフォンから超音波は発生できないため,発生可能な非可聴音を用いて同様の屋内測位システムの開発に着手した.まず,スマートフォンから非可聴音を発生させるプログラムを作成し,その動作を確認した.次に非可聴音に対応する受信機を試作し,送信信号取得に必要な検波閾値の決定と測位計算に用いるタイマカウント値の取得実験を行った.それらを踏まえて測位実験の環境を構築し,測位実験を行った.その結果,非可聴音で高い測位精度が得られることと,フィルタを用いることで騒音環境でも測位が可能なことを確認し,スマートフォンを用いた測位ステム実現の見通しを得た.
著者
金井 佑樹
出版者
新領域創成科学研究科 環境学研究系 社会文化環境学専攻
巻号頁・発行日
2007-03-22

報告番号: ; 学位授与年月日: 2007-03-22; 学位の種別: 修士; 学位の種類: 修士(環境学) ; 学位記番号: 修創域第2277号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻
著者
渡辺 裕明 金田 康正
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.2843-2850, 1999-07-15

カオスを持つ数列から良い乱数性を持ち周期の長い数列を生成するための手法として テント写像に基づく擬似一様乱数生成法を提案する.テント写像は カオスを持つ系列を生成するロジスティック写像と同様のでたらめさを持つ数列を生成することが可能であり かつ写像の多重度を大きくすることで近隣の数列同士の相関を少なくすることができる.さらにテント写像はロジスティック写像よりも長周期の数列を生成することが可能であり ロジスティック写像で必須であった一様分布列への変換が不要になる利点がある.この生成法と既存の各種擬似乱数生成法について統計的検定を実施し 検定結果を比較することで 生成された擬似乱数列の乱数性を評価した.その結果 写像の多重度が13以上の場合は 既存の生成法と比較しても遜色のない乱数列を生成できることが分った.
著者
金光 秀雄 今野 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.395, pp.41-46, 2012-01-16

閉区間上で目的関数の極小値が(下へ)単峰列となる一変数多峰関数の大域的最適化問題に対して,極大点・極小点および多峰関数の数理構造を与える,さらに,前報のアルゴリズムより広汎な多変数最適化問題に適用可能なアルゴリズムを検討・提案する.多変数のテスト関数に対するいくつかの数値実験の結果から,本手法が効率的かつ高信頼性で最小点を見い出せることを示す.
著者
水科 晴樹 村田 直史 阪本 清美 金子 寛彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J92-A, no.10, pp.677-689, 2009-10-01

機器使用時におけるユーザの心理的ストレスを客観的に評価することは,人間に優しいヒューマンマシンインタフェースを設計する上で重要である.しかし,従来提案されている心拍・脳波・皮膚電位等の生体信号をストレスの指標とする場合,電極の装着等の煩わしさが生じる.その点において,非接触で計測可能な瞳孔径は優れた指標になり得ると考えられる.また指標の汎用性を考慮すると,幅広い年齢層のユーザに適用可能なことが重要である.本論文ではその基礎的な知見を得るために,若年者と高齢者を対象に,多様な課題の遂行時における瞳孔径を計測し,そのときの心理状態の主観評価との対応を検討した.その結果,本研究で用いた3種類の作業負荷条件下においては,いずれの場合も負荷量の増大とともに瞳孔径変動量が増大した.また,タイムプレッシャーを与えた場合と聴覚刺激の識別難易度を操作した場合においては,心理的ストレスの要因となり得る「不安感」の主観評価と瞳孔径変動量との間に相関が見られた.瞳孔径変動に関しては,定性的には若年者と高齢者でほぼ同様の挙動が観察されたため,心理的ストレス指標として幅広い年齢層に適用できる可能性が示された.