著者
金山 剛
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.105-116, 2011-03-25

地方自治体では、政策形成行政運営に際し様々な統計データが活用されている。熊本市においても同様である。統計データは、主に他都市との比較や過去のデータとの比較による現状分析に用いられ、その対象は、熊本市全域である。今後熊本市では小学校区を単位とした参画および協働による市政やまちづくりを進めていくため、行政運営についても各校区の違いを把握した上で行う必要がある。本報告では、熊本市のまちづくりや政策への校区単位の統計データの活用について検討する。熊本市においては、各校区の違いを把握し、まちづくりや政策に生かしていくことが望まれる。The local government uses a variety of statistical data for policy formation and public management; the Kumamoto city also uses statistical data in a similar manner. The Kumamoto city uses statistical data for drawing comparisons with other cities as well as with the past. In the future, the Kumamoto city will undertake public management and "Machizukuri" by collaborating with citizens. The Kumamomto city considers the districts of elementary schools as separate units. This report examines the inflection of the statistical data to the district of an elementary school for "Machizukuri" and policy formulation in Kumamoto city.
著者
竹本 裕明 ザモーラ ジェーン ルイ フレスコ 樫原 茂 妙中 雄三 高井 峰生 金田 茂 山口 英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoNA, モバイルネットワークとアプリケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.304, pp.11-16, 2013-11-14

本論文では,これまでに提案してきた要救助者群の情報共有手法の有効性評価をシミュレーションにより行う.現在我々は,通信被害地域において,要救助者端末から救助要請メッセージを収集し,救助者へ配送するためのアプリケーションとしてSOSCastの研究開発を行っている.文献[5]〜[7]において,要救助者端末間の通信によるバッテリ消費の削減を考慮した情報共有手法を提案し,5台の実機による評価を行ったが,多数の要救助者が存在する環境での評価は行っていない.本論文では,Scenargieシミュレータを用いて,多数の要救助者端末が存在する環境下において,要救助者群内での情報共有にかかる時間,通信回数,バッテリ消費量の評価を行った.評価結果より,端末バッテリ消費量を大幅に削減させるためには,端末の通信回数の削減だけでなく,別のアプローチも必要であることが明らかとなった.
著者
帆苅 真由美 倉井 佳子 五十嵐 恵 児玉 直子 金子 史代 Hokari Mayumi Kurai Yoshiko Ikarashi Megumi Kodama Naoko Kaneko Fumiyo
出版者
新潟青陵学会誌
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.39-47, 2016-03

In this study we looked at the team approach taken to provide rehabilitation care, whereby nurses, physical therapists, and occupational therapists work together to support acute phase stroke patients to regain their independence and improve their performance of activities of daily living (ADL). The aim ofthe research was to clarify the factors affecting the team approach from nurses’ perspective. Ten nurses who are engaged in acute phase stroke rehabilitation took part in semi-structured interviews regardingcollaboration between nurses, physical therapists, and occupational therapists. The results were analyzed using a qualitative synthesis method (KJ method). It was found that collaboration was promoted by “ensuring achievement of the team objective by fulfilling professional duties and reaching a cooperative relationship,” based on “ providing support to stabilize the medical condition,” “ demonstrating empathetic understanding and providing support to patients with paralysis, aphasia, or other disabilities” and “providing support in prioritizing patient’s physical and mental security,” and that nurses’ recognition of the factors that affect the team approach included “ selecting appropriate methods to ensure smoothinformation-sharing,” “ reaching consensus in decision making based on proactive suggestions” and “coordinating work and providing support of ADL.” The findings suggested that information-sharing and consensus in decision making between the different professions are important factors to fulfill professional duties of each profession and to promote the cooperative relationship. 急性期脳卒中患者の日常生活動作の自立と向上を支援する看護師、理学療法士、作業療法士によるチームアプローチの要因を看護師の視点から見出すことを目的に、急性期脳卒中患者のリハビリテーションに関わる看護師10名に看護師、理学療法士、作業療法士の連携について半構成的面接を行い、質的統合法(KJ法)を用いて分析した。看護師が認識するチームアプローチに影響する要因には、【病状の安定に向けた支援】【麻痺や失語等の障害に対する共感的理解と支援】【心身の安全を最優先にした支援】を基盤にして、【目標を達成するための各職種の業務の遂行と補完の関係】により連携を図っており、【円滑な情報共有のための手段の選択】【主体的な意見提案による判断の一致】【看護業務の調整とADLの支援】が影響要因となっていた。職種間の情報共有と判断の一致が各職種の業務の遂行と補完の関係を推進する重要な要因となることが示唆された。
著者
石井 克枝 金子 崇恵 Ishii Katsue 金子 崇恵 カネコ タカエ Kaneko Takae
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.299-304, 2013-03

シフォンケーキはスポンジケーキの中で最も軟らかいものである。その材料の特徴として卵白を多く用い,卵白泡を支える小麦粉の量を少なくし,他のスポンジケーキに比べて多量のサラダ油を用いている。本研究ではシフォンケーキに油脂としてサラダ油が使用され,バターが使用されない理由を明らかにすることを目的とした。その結果サラダ油は,シフォンケーキ特有の軟らかさをつくるために大変重要な役割をしていることが分かった。シフォンケーキでサラダ油が使用されていることは調理操作の上でも,室温における操作で生地の比重を上昇させず,膨化を助けていることが分かった。またサラダ油の量は使用する卵白の40%まで可能であった。サラダ油に代わってバターのような融点の高い固形の油脂を使用する場合は,生地温度を融点以上に,すなわち30℃に管理する必要があり,室温での操作では膨化が不十分になることが分かった。A chiffon cake is the softest in a sponge cake. The features of the material of a chiffon cake were that there were many egg white bubbles, that there was little flour, and that there was much oil. In this research, the reason for using not butter but oil for a chiffon cake is clarified. The chiffon cake which added oil was soft and which added butter was hard. The chiffon cake which added many oil was softer. The specific gravity of the batter of a chiffon cake which added butter was larger than what added oil. It turned out that the chiffon cake which added butter did not swell because butter becomes hard in batter and specific gravity becomes large. Since butter did not become hard when batter was warmed at 30degrees, the chiffon cake swelled greatly. The quantity of oil was possible to 40% of the egg whites.
著者
池川 健 山崎 和子 西村 謙一 金高 太一 菊地 雅子 野澤 智 原 良紀 佐藤 知実 櫻井 のどか 横田 俊平
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.176-182, 2014 (Released:2014-06-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は14歳男児.1か月以上続く弛張熱,紅斑,関節痛,筋痛を認め,抗菌薬投与では改善せず,全身型若年性特発性関節炎(JIA)を疑われた.メトトレキサートの内服,メチルプレドニゾロン(mPSL)・パルス療法2クールが行われたが,効果不十分であったため当科へ転院となった.骨髄検査で悪性所見なく,positron emission tomography(PET)で椎体骨,骨盤骨,上腕骨近位端など赤色髄への18F-FDG集積を認めた.また弛張熱,発熱時の紅斑,関節痛,筋痛があり,血液検査では白血球増多,顆粒球増多,CRP高値,フェリチン高値,IL-6高値を認めた.以上から全身型JIAと診断した.きわめて強い全身炎症があり,mPSLパルスをさらに2クール追加後,トシリズマブ(TCZ)を導入した.その効果は著しく,症状は改善した.激しい全身炎症を有する全身型JIA重症例には,トシリズマブ導入を早めることで早期に炎症を沈静化でき,ステロイドの副作用を軽減できる可能性がある.トシリズマブ治療のさらなる検討を行い,時期を違えずにトシリズマブを導入する適応の検討が必要であろう.
著者
金城 明美 浦崎 武 Kinjyo Akemi Urasaki Takeshi
出版者
琉球大学教育学部附属発達支援教育実践センター
雑誌
琉球大学教育学部発達支援教育実践センター紀要 (ISSN:18849407)
巻号頁・発行日
no.3, pp.119-132, 2011

知的に遅れのないKくんは、通常の学級という集団の中で、指示的な言葉に反応し、注意の持続が難しい。周囲の言葉や態度に怒りを表出させ、行為は暴言と人を叩くという問題行動を引き起こしていた。トータル支援では、個別支援の中でKくんの関係形成が行われ、集団支援ではKくんの特性に添った集団活動が行われてきた。支援の継続を行う中、生活にかかわる人々のインタビューとアセスメントを通して、Kくんの環境を捉え直し、集団支援の内容を検討してきた。結果、人を叩く行為が減少した。4学年に入り、Kくんの集団支援に見られる特性は、フラッシュで見る短期記憶のよさと、視覚的刺激入力から表出する際の書字の困難さが見えてきた。
著者
金田 文男
出版者
新潟県民俗学会
雑誌
高志路 (ISSN:0912067X)
巻号頁・発行日
no.399, pp.74-76, 2016-02
著者
閻 順 穆 桂金 Xiu Yingqing ZHAO Zhenghong 遠藤 邦彦
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.235-248, 1997-10-31
被引用文献数
2 4

タリム盆地の東端に位置するロプヌール低地において,K1ボーリング・コアを採取し,主として花粉分析に基づいて当地域の第四紀環境変化を明らかにした.約100mのコアは,前期更新世以来のおもに泥質堆積物からなり,深度66.2mに前期および中期更新世を分ける不整合が存在する.前期更新世のこの地域は森林-草原の環境下にあったが,中期更新世以後,砂漠-草原と砂漠環境が繰り返す環境に置き代わった.湖沼の発達はおそらく更新世初期の頃まで遡るものと考えられる.トウヒ属花粉および総樹木花粉数が前期更新世に高い出現率を示すことは,当時ロプヌール地域は比較的湿潤で,近くに森林が存在していたことを示唆する.乾燥環境は中期更新世のはじめ頃に始まり,完新世にはきわめて乾燥した条件が支配的となった.
著者
稲葉 豊 金澤 伸雄 古川 福実
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.26-30, 2013

34歳,女性。頭痛に対して鎮痛薬を使用したところ口唇の腫脹を生じた。数ヶ月後に別の鎮痛薬を使用したところ,上下口唇と手背の水疱および手指の紅斑を生じ,色素沈着を残した。両薬剤に共通な成分であるアリルイソプロピルアセチル尿素 (Allylisopropylacetylurea,AIAU),イブプロフェン,無水カフェインのいずれかによる固定薬疹を疑い,これらの成分に対して無疹部でのクローズドパッチテストを行ったがすべて陰性であった。そのため上下口唇の色素沈着部に AIAU とイブプロフェンをそれぞれ20%含有するワセリンを単純塗布すると,5分後に紅斑が出現した。また無水カフェインの口唇色素沈着部への,AIAU の手背色素沈着部への単純塗布はそれぞれ陰性であった。本症例は皮膚粘膜移行部の固定薬疹であり,同部でのオープンパッチテストは結果が早く得られ,安全で有用性の高い検査法であった。(皮膚の科学,12: 26-30, 2013)
著者
金子 猛 西平 友彦 鷲田 昌信 石井 隆道 岩井 輝 井上 章
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.2217-2220, 2003
被引用文献数
5 1

症例は84歳,女性.腹部手術の既往はなかった.突然出現した腹痛と嘔気を主訴に当院に来院した.腹部全体が膨隆し下腹部に圧痛を認めた.腹部単純X線で鏡面像を伴う拡張した小腸が認められ腸閉塞と診断された.腹膜刺激症状を認めなかったため,イレウス管を留置し精査を行った.イレウス管造影と注腸造影により,回盲部の尾側に両端に狭窄像を有する拡張した小腸係締を認めた.この拡張した小腸係締は腹部CT上では盲腸の背側に位置していたため,盲腸後窩ヘルニアを強く疑った.開腹すると回腸末端から口側約80cmの部位で約4cmの回腸係締が盲腸後窩に嵌頓していた.還納後,盲腸を後腹膜へ固定しヘルニア門を閉鎖した.盲腸後窩ヘルニアは比較的稀な疾患であり,術前診断は困難とされている.本例ではCTが術前診断に有用であり,消化管造影後に撮影したため盲腸周囲ヘルニアのタイプ診断も可能であった.